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第3話

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「また手紙を書いてるの?暇なのね」
「暇ではなくて書きたいから書いてるの」
「ふーん」

マーシャの横暴さはますます酷くなり、このように何かあれば私のことを馬鹿にするように言ってくる。
マーシャがこのようになってしまったのは両親の責任もある。
訳ありだからといって甘すぎる態度だから調子に乗らせてしまうのに。

マーシャだっていつまでも過去を引きずるのは良くない。
我が家の恵まれた環境はマーシャが好き勝手していいものではない。

…マーシャのことも問題だけど、それよりも私を悩ませる出来事があった。
ルコムは魔法を学ぶためにがんばっているけど、どうやらこれからは今まで以上に忙しくなるみたい。
手紙でそう書いてあって、今後は手紙の頻度も減ると書かれていた。

私はルコムの邪魔をしたくはない。
さみしいのは事実だけど、将来のためにがんばっているルコムに正直に気持ちを伝えると負担になってしまうだろう。
ここは私が耐えるところだと思う。
この程度のこと、我慢できないようではルコムから嫌われてしまうかもしれない。

そう考えても不安というものは消えてくれない。
ルコムが帰ってくるまで、まだ2年か3年は必要だろう。
あまりにも長い。
私が不安を感じているようにルコムも不安なのかもしれない。
でも信じないと。
将来を約束したのだから信じないと。

* * * * * * * * * *

時間が過ぎても何一つ事態は良くならなかった。
マーシャの横暴さはますます酷くなり、私が何を言っても逆効果で怒らせるだけだった。
今になってマーシャを追い出せるはずもなく、両親も困りつつも何もできないでいた。

ルコムからの手紙は相変わらずほとんど来ていない。
来ても素っ気ない内容で、忙しさを裏付けているようだった。
きっと無理に時間をとって私のために手紙を書いてくれたのだと思うと、申し訳なく思うけど心が温かくなった。

そのような私にマーシャは鼻で笑いながら言った。

「手紙が来ないのは浮気されてるからじゃないの?」
「…そんなことないわ」
「随分自信があるのね。でも遠くにいるんでしょ?何をしているかなんてわからないじゃない」
「でも将来を約束したもの。私はルコムを信じているわ」
「ふーん、別に信じるのは勝手だけどね」

相変わらず私を不機嫌にさせる。
マーシャは私の嫌がることをするのは得意だし、我慢してばかりだと私が病気か何かになりそう。
心の拠り所だったルコムからは手紙もあまり来ないし、それを浮気だと決めつけるのは失礼だし、私にとってはこれ以上ないくらいの嫌がらせ。

だからたまには私から反撃してみるのもいいかもしれない。

「そう言うマーシャは誰か良い人はいるの?そろそろ結婚してもいい年頃じゃない」
「いるわよ?知らなかったの??」
「………」

知らなかった。
信じられなかった。
どこの誰がこんな性格の悪いマーシャを好きになるというのだろうか。

言葉を失った私を馬鹿にするような目で見ているマーシャ。
鼻で笑う姿も憎らしい。
ああ、きっと私を絶望させるために嘘をついたのだ。
マーシャならそれくらいしてもおかしくはないもの。

「知らなかったわ。その人と幸せになってね」
「もちろんよ」

嘘を嘘と理解しつつ話に乗ってあげたというのにマーシャは余裕の態度を崩さなかった。
…まさか本当に良い人がいるというの?

屈辱。
マーシャに負けてしまったように感じた。

でも私にはルコムがいる。
ルコムが帰ってくれば私と結婚しマーシャとも縁が切れる。
それにマーシャの良い人がどういう人であれ、魔法使いであるルコムに勝てるはずがないもの。
いい気になれるのも今だけ。
後でマーシャの吠え面を見てやるんだから。
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