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第2話

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ルコムがいなくなってさみしい思いをしたけど、いつしかそのような日々にも慣れてしまった。
ルコムががんばっているのだから私も何かがんばらないといけないと思ったけど、特別な才能もなければ取り柄もない私に何ができるというのだろう?

幸いなことに私の家は裕福だ。
伯父には娘がいないため、私のことを可愛がってくれ、多すぎるくらいの援助を父にしてくれている。
伯父でも父でも、私が何かを学びたいと言えば希望を叶えてくれると思う。
でも…これといって何かしたいものがある訳でもなかった。

「このままだと駄目ね………。こんな私だとルコムに嫌われるかも」

ルコムからの手紙では努力していることが伝わってきた。
私との将来のためにがんばってくれていることが嬉しい。
その分、何もできない自分が情けなく思える。

「そうだ、ルコムががんばってくれれば私も嬉しいし、応援すればいいのね」

良い閃きだった。
ルコムと結婚するならルコムの一番身近な存在として支えてあげればいい。
それで十分すぎるほどのことだと思う。
離れていても手紙で気持ちを伝え、支えてあげることができる。

名案がやる気を引き出した。

「よし、がんばって手紙を書かないと」

やっと見つけた私にできること。
手紙がルコムの励みになればいいと思う。
…私のためにがんばってほしいし、私がルコムの励みになれればすごく嬉しい。

気持ちを素直に言葉にできないけど、きっと想いは伝わるはず。
今まで以上に気持ちを込め、ルコムにさみしい思いをさせないよう、私が支えになれるよう、手紙を書いた。

* * * * * * * * * *

ルコムに頻繁に手紙を書くようになったのも大きな変化だけど、それ以上に大きな変化があった。
事情があって親族の子を家族の一員として迎えることになった。

「……マーシャです」

不慣れな環境なのか、良くない境遇に育った影響なのか、初めて挨拶をしたマーシャは元気もなければ暗そうな雰囲気を漂わせていた。
一つ年下と聞いていたけど、見た目はもう少し年下のように思えた。

「リナリアよ。今日から姉妹になるのね。よろしくね、マーシャ」
「…はい、よろしくお願いします」

義妹ができたことで私もどうなるのか不安もあった。
詳しい話は聞かされなかったけど、家族から離れて別の家に引き取られたのだから大変な環境で育ったのだと思う。
仲良くできるのか、どういった距離感がいいのか、家族としてどう接すればいいのか……。

でも同時にルコムへの手紙に書くべき話題が増えた。
いつも同じような内容になってしまっても面白くはないだろうし、話題を探すのも大変だ。

こうして新たな家族との生活が始まった。

* * * * * * * * * *

マーシャはすぐに新しい家、新しい家族に馴染んだ。
もう勝手知ったる我が家として遠慮なく振る舞っている。
……普通に考えて、もう少し遠慮してもいいと思うけど。

我が家は裕福だし、それまでの境遇を考えれば貪欲になってしまうのも仕方ないと思う。
でも、私のほうのおかずが大きいから交換して、なんて恥ずかしげもなく言えるのはどうかと思う。
別に礼儀作法だとか面倒なことを言う気はないけど、少しくらいは遠慮してもいいのに。
きっとひもじい思いをしてきたのだから私もマーシャの要望に応じてあげた。
恵まれない環境に育ったであろうマーシャのためにも、義理とはいえ姉である私にできることなのだから。

お父様もお母様も、そんなマーシャのことを微笑ましく見守っていた。
マーシャも恵まれなかった分を取り戻すために、今は周囲に気を使う余裕がないのかもしれない。

他にもマーシャは貪欲だった。
新しい服が欲しいといえば親が買って与え、私の服のほうがいいと言われればマーシャに譲ってあげた。
私は義理とはいえ姉だもの。
義妹の振る舞いを笑って許してあげるくらいの余裕を持たないとね。

そのような日常もルコムへの手紙には書いておいた。
返事で呆れていたからマーシャの振る舞いが目に余ると感じたのは私だけではないということ。

マーシャという困った家族が増えたけど、私とルコムの関係は順調だった。
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