10 / 11
第10話
しおりを挟む
表面的には穏やかな日常が戻ってきたけど、学園にオレーシオの姿はない。
タリーノ伯爵家から除籍されたなら貴族の身分を失ったのだし、貴族学園に通えるはずがないもの。
でもみんなはまだそのことを知らないはず。
「そういえば最近オレーシオ様の姿を見かけませんね?」
「きっと浮気相手と駆け落ちしたのよ」
「えっ、だってオレーシオ様はドリエ様の婚約者ではありませんか?」
「それが浮気してドリエ様に婚約破棄して浮気相手を選んだらしいの」
噂話に興じている令嬢と視線が合ってしまった。
一部の令嬢たちには話を通してあるので問題なし。
この流れを利用して私も話に加わることにした。
「ごめんなさい、そんな事情があったなんて知らずに失礼なことを言ってしまいました」
「いいのよ。もう済んだことだし、私も説明していなかったもの。だからこの場でもう少し正しく説明するわね」
「は、はい」
「オレーシオが浮気したのは事実よ。しかも相手があのアウド男爵家の女だったの。しかも結構年上で…母親とは言わないけど10歳は上でしょうね」
「そんなご趣味があったのね。それにアウド男爵家ですか?オレーシオ様は何を考えているのでしょうね?」
「どうも体に溺れたらしいの。そういった相手が好みだったみたい」
「まあ……」
「その証拠にオレーシオは私に婚約破棄して浮気相手と婚約したの。オレーシオにとっては私に魅力なんて感じなかったみたい。でもオレーシオにとって良い相手と婚約できたのだから祝福してあげないと」
「そうですね。それにしてもドリエ様が魅力的に感じられないなんてオレーシオ様は目が腐っているのでしょうか?」
「そうかもしれないわね。とにかく親みたいな年齢の女性でないと愛せなかったみたいだし、婚約破棄されてしまったのも当然よね」
このようにオレーシオとパルメラのことを暴露していく。
噂話が好きな令嬢たちによって話はすぐに広まっていくだろう。
これをきっかけに、あの日、カフェで待ち構えていた学友たちも噂話を広めてくれるはず。
しかも噂話には尾ひれが付いたり背びれが付いたりするものだから、どういった変化を遂げるかはわからない。
噂話は学園の中だけではなく家族を通じて貴族社会へと伝わっていくので、やがて社交の場でも話題になるだろう。
タリーノ伯爵家の評判も地に落ちるだろうし、あのアウド男爵家と関わってしまったのだから誰からも相手にされなくなるかもしれない。
でもそれで終わりではない。
オレーシオの浮気を調べていて、ある種の謀反を企てている集団の存在も確認された。
まだ公にはされていないけど、然るべき人には報告してある。
タリーノ伯爵家もアウド男爵家も命運は尽きたわね。
タリーノ伯爵家から除籍されたなら貴族の身分を失ったのだし、貴族学園に通えるはずがないもの。
でもみんなはまだそのことを知らないはず。
「そういえば最近オレーシオ様の姿を見かけませんね?」
「きっと浮気相手と駆け落ちしたのよ」
「えっ、だってオレーシオ様はドリエ様の婚約者ではありませんか?」
「それが浮気してドリエ様に婚約破棄して浮気相手を選んだらしいの」
噂話に興じている令嬢と視線が合ってしまった。
一部の令嬢たちには話を通してあるので問題なし。
この流れを利用して私も話に加わることにした。
「ごめんなさい、そんな事情があったなんて知らずに失礼なことを言ってしまいました」
「いいのよ。もう済んだことだし、私も説明していなかったもの。だからこの場でもう少し正しく説明するわね」
「は、はい」
「オレーシオが浮気したのは事実よ。しかも相手があのアウド男爵家の女だったの。しかも結構年上で…母親とは言わないけど10歳は上でしょうね」
「そんなご趣味があったのね。それにアウド男爵家ですか?オレーシオ様は何を考えているのでしょうね?」
「どうも体に溺れたらしいの。そういった相手が好みだったみたい」
「まあ……」
「その証拠にオレーシオは私に婚約破棄して浮気相手と婚約したの。オレーシオにとっては私に魅力なんて感じなかったみたい。でもオレーシオにとって良い相手と婚約できたのだから祝福してあげないと」
「そうですね。それにしてもドリエ様が魅力的に感じられないなんてオレーシオ様は目が腐っているのでしょうか?」
「そうかもしれないわね。とにかく親みたいな年齢の女性でないと愛せなかったみたいだし、婚約破棄されてしまったのも当然よね」
このようにオレーシオとパルメラのことを暴露していく。
噂話が好きな令嬢たちによって話はすぐに広まっていくだろう。
これをきっかけに、あの日、カフェで待ち構えていた学友たちも噂話を広めてくれるはず。
しかも噂話には尾ひれが付いたり背びれが付いたりするものだから、どういった変化を遂げるかはわからない。
噂話は学園の中だけではなく家族を通じて貴族社会へと伝わっていくので、やがて社交の場でも話題になるだろう。
タリーノ伯爵家の評判も地に落ちるだろうし、あのアウド男爵家と関わってしまったのだから誰からも相手にされなくなるかもしれない。
でもそれで終わりではない。
オレーシオの浮気を調べていて、ある種の謀反を企てている集団の存在も確認された。
まだ公にはされていないけど、然るべき人には報告してある。
タリーノ伯爵家もアウド男爵家も命運は尽きたわね。
100
お気に入りに追加
550
あなたにおすすめの小説

「君を愛するつもりはない」と言ったら、泣いて喜ばれた
菱田もな
恋愛
完璧令嬢と名高い公爵家の一人娘シャーロットとの婚約が決まった第二皇子オズワルド。しかし、これは政略結婚で、婚約にもシャーロット自身にも全く興味がない。初めての顔合わせの場で「悪いが、君を愛するつもりはない」とはっきり告げたオズワルドに、シャーロットはなぜか歓喜の涙を浮かべて…?
※他サイトでも掲載中しております。

思い出してしまったのです
月樹《つき》
恋愛
同じ姉妹なのに、私だけ愛されない。
妹のルルだけが特別なのはどうして?
婚約者のレオナルド王子も、どうして妹ばかり可愛がるの?
でもある時、鏡を見て思い出してしまったのです。
愛されないのは当然です。
だって私は…。

【完結】婚約破棄される未来見えてるので最初から婚約しないルートを選びます
21時完結
恋愛
レイリーナ・フォン・アーデルバルトは、美しく品格高い公爵令嬢。しかし、彼女はこの世界が乙女ゲームの世界であり、自分がその悪役令嬢であることを知っている。ある日、夢で見た記憶が現実となり、レイリーナとしての人生が始まる。彼女の使命は、悲惨な結末を避けて幸せを掴むこと。
エドウィン王子との婚約を避けるため、レイリーナは彼との接触を避けようとするが、彼の深い愛情に次第に心を開いていく。エドウィン王子から婚約を申し込まれるも、レイリーナは即答を避け、未来を築くために時間を求める。
悪役令嬢としての運命を変えるため、レイリーナはエドウィンとの関係を慎重に築きながら、新しい道を模索する。運命を超えて真実の愛を掴むため、彼女は一人の女性として成長し、幸せな未来を目指して歩み続ける。

こんな人とは頼まれても婚約したくありません!
Mayoi
恋愛
ダミアンからの辛辣な一言で始まった縁談は、いきなり終わりに向かって進み始めた。
最初から望んでいないような態度に無理に婚約する必要はないと考えたジュディスは狙い通りに破談となった。
しかし、どうしてか妹のユーニスがダミアンとの縁談を望んでしまった。
不幸な結末が予想できたが、それもユーニスの選んだこと。
ジュディスは妹の行く末を見守りつつ、自分の幸せを求めた。

公爵家の跡継ぎ事情
satomi
恋愛
公爵家当主、エトール=ルル(ルが多い)は女性にモテまくって女性不審になり、当主でありながら独身。
養子をとり、その子・ショルドを次期当主に指名した。当然、自分の方が血統でいえば公爵家にふさわしい。と言ってきた輩(甥)もいたが、ショルドはイケメンだし、体格いいし、知性も運動神経もある。しかも王家の覚えもめでたく、功績も多い。のでなぁ。
いろいろあると思うけど、頑張れショルド!私の希望は孫の顔を見ること。
ショルドが第3王女の降嫁先だし…。

【短編完結】地味眼鏡令嬢はとっても普通にざまぁする。
鏑木 うりこ
恋愛
クリスティア・ノッカー!お前のようなブスは侯爵家に相応しくない!お前との婚約は破棄させてもらう!
茶色の長い髪をお下げに編んだ私、クリスティアは瓶底メガネをクイっと上げて了承致しました。
ええ、良いですよ。ただ、私の物は私の物。そこら辺はきちんとさせていただきますね?
(´・ω・`)普通……。
でも書いたから見てくれたらとても嬉しいです。次はもっと特徴だしたの書きたいです。


私も処刑されたことですし、どうか皆さま地獄へ落ちてくださいね。
火野村志紀
恋愛
あなた方が訪れるその時をお待ちしております。
王宮医官長のエステルは、流行り病の特効薬を第四王子に服用させた。すると王子は高熱で苦しみ出し、エステルを含めた王宮医官たちは罪人として投獄されてしまう。
そしてエステルの婚約者であり大臣の息子のブノワは、エステルを口汚く罵り婚約破棄をすると、王女ナデージュとの婚約を果たす。ブノワにとって、優秀すぎるエステルは以前から邪魔な存在だったのだ。
エステルは貴族や平民からも悪女、魔女と罵られながら処刑された。
それがこの国の終わりの始まりだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる