婚約者に反論したら悪評を広められ、王子まで巻き込んだ断罪に発展してしまいました。

田太 優

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第8話

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オルファス殿下からパーシー様への断罪のこともあったし、宰相閣下の失脚もあった。
当然その影響は多岐に及ぶし、生徒だって親に影響が及ぶかもしれないとなれば落ち着いて授業を受けることも難しい。
そこで今日は臨時で休みになることが決定した。

私はいろいろと訊きたいこともあったのでレイナード様と話すことにした。

* * * * * * * * * *

普段よりも人が少ないとはいえ、あまり他人に聞かれないほうがいい話題もあるだろうから空き教室に移動した。

「いろいろと大変だったね。でも片付いて良かったね」
「そうですね。もしかしてレイナード様もかなり動いてくれました?」
「まあ、ね」

さも当然のことのように言ってくれた。
やはりレイナード様が私のために何かと動いてくれたのだ。
それがどれだけ大変なことなのか想像すらできない。

「もしかしてオルファス殿下のこともレイナード様が?」
「そうだよ。前から繋がりはあったけど、あまり公にはしていなかったけどね。協力を求めたら快く応じてくれたんだ」
「そうだったのですね」
「使える伝手は何でも使わないとね。そうしないとアイラ嬢が幸せになれないだろうから」

そこまで私の幸せを願ってくれたことが嬉しかった。
言葉だけではなく行動で示してくれたからレイナード様は信用できる。
ずっと昔から誰よりも信用していたけど。

「本当はもっと早くに手を打ちたかったけど、パーシー、正確にはピーケット伯爵家は宰相閣下との繋がりがあったら簡単ではなくてね。でもオルファス殿下も協力してくれたからこの結果になったんだ」
「そうだったのですね。本当にありがとうございます。オルファス殿下にも感謝しないといけませんね」
「ははっ、そうだね」

終わってみれば笑って話せるようになっていた。
もうパーシー様に邪魔されることもなくレイナード様と好きなだけ話ができる。

レイナード様は姿勢を正した。
その意図は察したので、私も姿勢を正し言葉を待つ。

「僕と婚約してくれないか?ずっと前から好きだったんだ」
「喜んでお受けいたします。私もずっと前から好きでしたよ」
「お互い同じ気持ちだったね」
「ええ」

やっと、やっと本来あるべき関係になれた。
これからは友人ではなく婚約者として新たな関係が始まる。
未来には希望があるし、きっと私たちは幸せになれると確信している。

だってレイナード様だもの。
いつだって私のそばにいてくれた。
私が誰よりも信頼している人。
それがレイナード様。

「幸せにすると約束するよ、アイラ」
「信じていますよ、レイナード様」
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