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第3話
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私がパーシー様を絶対に許さないと思ったように、パーシー様もこのままで済ますはずがなかった。
あそこまで怒ったパーシー様が何もしないはずがなく、レイナード様が私と浮気したという事実無根の噂を広めようとしたのだ。
でも…それは失敗に終わった。
だってパーシー様には人望がないから……。
レイナード様には人望が溢れるほどあるから………。
私の人望は知らないけど、レイナード様の人望に助けられたようなものだった。
仮に噂を広めようとして誰かが耳を貸したとしても、噂の内容が「レイナード様が浮気した」では信憑性に乏しくて真っ当な判断ができる人なら一笑に付すだろう。
パーシー様の低俗な噂話に同調するのは同じく低俗な人だけだろう。
幸いなことに学園に通う生徒は賢明な判断ができる人が多かった。
この件はパーシー様の自爆みたいなもの。
レイナード様の名誉を貶めようとして逆に自分の評価を下げただけだった。
もう十分すぎるほど評価が低いパーシー様の評価がもっと下がったところで意味はないかもしれないけど。
でもパーシー様の婚約者として、レイナード様に迷惑をかけてしまったことを謝罪しなくてはならない。
レイナード様は気にしないように言ってくれるだろうけど、だからといって謝罪しない訳にはいかないのだ。
「パーシー様がご迷惑をおかけしました。パーシー様に代わって謝罪します」
「アイラ嬢が謝るようなことではないよ。それにアイラ嬢だって被害者だろう?」
「そうかもしれませんが…謝らずに済ませられる問題ではありませんから」
「そうだよね。でもこれ以上の謝罪は不要だから」
やはりレイナード様は思いやりの精神に溢れている。
お互いの考えもわかるけど、他人から見て私がパーシー様のことで謝罪したという形が重要だもの。
本当に面倒だわ。
やはりパーシー様をこのまま放っておく訳にはいかない。
自分が何をしようとしたのか理解させてあげないと。
レイナード様のためにも、もうこれ以上迷惑をかけたくない。
でも、どうすればいいのか良い考えが思いつかない。
このまま時間ばかり過ぎるのも良くないし……。
* * * * * * * * * *
悩んだ私はパーシー様への報復で、同じように悪評を広めてあげることにした。
それなのに…パーシー様の悪評はもう十分すぎるほど広まっていた。
私が話題に上げても「またパーシー様が何かしたの?」と当たり前のように訊かれるから驚きはない。
あえて広めるまでもなく、私の報復は失敗に終わった…。
みんなの同情が嬉しくも悲しくもあった。
でも悲観するばかりではない。
学園内ではパーシー様の悪評は当然のことだけど、学園外にまで悪評が広まったのだ。
社交の場でも話題になったらしくて私も驚かされた。
予想外の広まりだったけど、こうなるともう学園内だけの問題ではないし、パーシー様の悪評はピーケット伯爵家の悪評。
我がイクセル侯爵家としてもパーシー様との婚約を見直すきっかけになるかもしれない。
私のしたことは無駄ではなかったと思いたい。
* * * * * * * * * *
そう思っていたけど、風向きというか、私の予想外の展開になってきた。
ある意味当然だけど、パーシー様の婚約者である私が可哀そうという風潮が広まっているようだった。
こうなってしまえばピーケット伯爵も手を打たざるを得ないだろう。
何もしなければパーシー様の名声は下がる一方だし、ピーケット伯爵家の名声も同じく下がるだけ。
でも…本当にどうにかなるのだろうか。
私とパーシー様の婚約には宰相様が関わっていると聞いた。
もしかしたら政治的な理由が強いのかもしれず、そうであるなら簡単に婚約解消にはならないだろう。
どうなってしまうのか、私にも想像できなくなってきてしまった。
そんな私に心強い言葉をかけてくれたのは、やはりレイナード様だった。
「安心して。きっと大丈夫だから」
優しく微笑みかけてくれたので私も元気が湧いてきた。
いつだってレイナード様には助けてもらっている。
レイナード様が大丈夫と言うのだから、きっと大丈夫なのだろう。
たぶんだけど、私の知らないところで問題を解決すべく奔走してくれているに違いない。
あそこまで怒ったパーシー様が何もしないはずがなく、レイナード様が私と浮気したという事実無根の噂を広めようとしたのだ。
でも…それは失敗に終わった。
だってパーシー様には人望がないから……。
レイナード様には人望が溢れるほどあるから………。
私の人望は知らないけど、レイナード様の人望に助けられたようなものだった。
仮に噂を広めようとして誰かが耳を貸したとしても、噂の内容が「レイナード様が浮気した」では信憑性に乏しくて真っ当な判断ができる人なら一笑に付すだろう。
パーシー様の低俗な噂話に同調するのは同じく低俗な人だけだろう。
幸いなことに学園に通う生徒は賢明な判断ができる人が多かった。
この件はパーシー様の自爆みたいなもの。
レイナード様の名誉を貶めようとして逆に自分の評価を下げただけだった。
もう十分すぎるほど評価が低いパーシー様の評価がもっと下がったところで意味はないかもしれないけど。
でもパーシー様の婚約者として、レイナード様に迷惑をかけてしまったことを謝罪しなくてはならない。
レイナード様は気にしないように言ってくれるだろうけど、だからといって謝罪しない訳にはいかないのだ。
「パーシー様がご迷惑をおかけしました。パーシー様に代わって謝罪します」
「アイラ嬢が謝るようなことではないよ。それにアイラ嬢だって被害者だろう?」
「そうかもしれませんが…謝らずに済ませられる問題ではありませんから」
「そうだよね。でもこれ以上の謝罪は不要だから」
やはりレイナード様は思いやりの精神に溢れている。
お互いの考えもわかるけど、他人から見て私がパーシー様のことで謝罪したという形が重要だもの。
本当に面倒だわ。
やはりパーシー様をこのまま放っておく訳にはいかない。
自分が何をしようとしたのか理解させてあげないと。
レイナード様のためにも、もうこれ以上迷惑をかけたくない。
でも、どうすればいいのか良い考えが思いつかない。
このまま時間ばかり過ぎるのも良くないし……。
* * * * * * * * * *
悩んだ私はパーシー様への報復で、同じように悪評を広めてあげることにした。
それなのに…パーシー様の悪評はもう十分すぎるほど広まっていた。
私が話題に上げても「またパーシー様が何かしたの?」と当たり前のように訊かれるから驚きはない。
あえて広めるまでもなく、私の報復は失敗に終わった…。
みんなの同情が嬉しくも悲しくもあった。
でも悲観するばかりではない。
学園内ではパーシー様の悪評は当然のことだけど、学園外にまで悪評が広まったのだ。
社交の場でも話題になったらしくて私も驚かされた。
予想外の広まりだったけど、こうなるともう学園内だけの問題ではないし、パーシー様の悪評はピーケット伯爵家の悪評。
我がイクセル侯爵家としてもパーシー様との婚約を見直すきっかけになるかもしれない。
私のしたことは無駄ではなかったと思いたい。
* * * * * * * * * *
そう思っていたけど、風向きというか、私の予想外の展開になってきた。
ある意味当然だけど、パーシー様の婚約者である私が可哀そうという風潮が広まっているようだった。
こうなってしまえばピーケット伯爵も手を打たざるを得ないだろう。
何もしなければパーシー様の名声は下がる一方だし、ピーケット伯爵家の名声も同じく下がるだけ。
でも…本当にどうにかなるのだろうか。
私とパーシー様の婚約には宰相様が関わっていると聞いた。
もしかしたら政治的な理由が強いのかもしれず、そうであるなら簡単に婚約解消にはならないだろう。
どうなってしまうのか、私にも想像できなくなってきてしまった。
そんな私に心強い言葉をかけてくれたのは、やはりレイナード様だった。
「安心して。きっと大丈夫だから」
優しく微笑みかけてくれたので私も元気が湧いてきた。
いつだってレイナード様には助けてもらっている。
レイナード様が大丈夫と言うのだから、きっと大丈夫なのだろう。
たぶんだけど、私の知らないところで問題を解決すべく奔走してくれているに違いない。
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