結婚式間近に発覚した隠し子の存在。裏切っただけでも問題なのに、何が悪いのか理解できないような人とは結婚できません!

田太 優

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第3話

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ディーンズと婚約破棄したのだから、彼との婚約を推し進めたヘインリード公爵にも説明に伺わなくてはならない。
場合によってはヘインリード公爵の責任も追及しないと。
まさか公爵閣下によって決められた相手が、あんなにも不誠実で隠し子まで作るような人なんて夢にも思わなかった。
私が婚約破棄するのも当然だと理解してくださればいいのだけれど…。

ディーンズを婚約者にするように決めたくらいだから公爵閣下を信用していいのかわからない。
悪意があってのことならモーラン伯爵家に喧嘩を売ったようなものだし、悪意がなければ公爵閣下の人を見る目がないということになる。
そんな人なら、いくら公爵という立派な爵位があっても評価を下げなくてはならない。
間違っても言葉に出したりしないし表情にも出さないけどね。

でも、まずは説明から。
どういった反応をするかで悪意の有無も判断できると思う。

* * * * * * * * * *

「申し訳なかった、セシーリア嬢。まさかディーンズがそれほど不誠実で自分を律することができない人物だとは見抜けなかった」

そう言って頭を下げたヘインリード公爵。
そこまでするのだから悪意はなかったのだろう。
残念だけどヘインリード公爵は人を見る目がなかったということになってしまった。

「もう十分な謝罪をいただきました。どうか私ごときのために頭を下げないでください」

頭を上げた公爵閣下。
きっと交渉を有利に進めるために、あえて必要以上に謝罪して私から譲歩を引き出そうとしたのだろう。

「このような結果になった以上、ギラルロイ伯爵家にも何かしら責任を取らせないとな。それでセシーリア嬢、どうやって責任を取らせるか、希望はあるか?」
「希望ですか?」

急に私に処遇を決めろと言われても困ってしまう。
ディーンズのことは許せないし、浮気も子供のことを隠し通せたのはギラルロイ伯爵家の意思で事実を隠蔽したに決まっている。
都合の悪いことを隠したまま私と婚姻を結ぼうとするような悪意しかない相手に手心を加える必要はない。

だからといって客観的にはよくある婚約破棄でしかないのだから、あまり重い制裁は下せない。
それなら――――

「まずはギラルロイ伯爵家に事実を隠蔽しようとしたことを追及してください。その回答からどうすべきか判断できると思います。ギラルロイ伯爵家が信用するに足るか、切り捨てるべきなのか」
「ふむ…そうだな、悪くない。このようなことを仕出かしてくれたのだから切り捨てることも考えるべきだな。わかった、セシーリア嬢とモーラン伯爵家には追って結果を伝える」
「はい」

もしかしたらギラルロイ伯爵家ごとディーンズは破滅することになるかもしれない。
別に私が望んでの婚約ではなかったし、浮気して子供まで作ってしまうようなディーンズは身分を失って追放されるようなことになっても、むしろ世のためになると思う。
これは新たな被害者を生み出さないためにも必要なこと。

結果が楽しみだわ。
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