結婚式間近に発覚した隠し子の存在。裏切っただけでも問題なのに、何が悪いのか理解できないような人とは結婚できません!

田太 優

文字の大きさ
上 下
2 / 9

第2話

しおりを挟む
セシーリアのことは信じていたが裏切られた。
言いがかりを俺がどれだけ否定しようと信じようとしないなら、こちらから婚約破棄してやりたいくらいだった。
まあ婚約破棄されようが関係が終わったことに変わりはないから良しとする。

しかし……どちらから婚約破棄しようとも面倒なことが待ち受けている。
例えば親への報告とか。
俺に非がないとはいえ家の面子の問題もあるし、俺たちの婚約に関わったヘインリード公爵家の面子もある。
セシーリアのせいで面倒なことになったな。

* * * * * * * * * *

俺はセシーリアとの出来事を父上に報告した。
話を聞いていくと父上の顔色が悪くなっていったが、これもセシーリアが変なことを言い出したせいだ。
俺は悪くないが、報告しなくてはならない。

「ということでセシーリアから婚約破棄されました」
「はぁ……。まったく面倒なことになったな……………」

俺の報告を受けた父上が頭を抱えてしまった。
俺だって頭を抱えたいくらいだ。

「あの女の件はもう片がついているというのに、今更蒸し返したところでどうにもならんだろうに…」
「まったくです」
「とはいえ事実を捻じ曲げられてヘインリード公爵に伝えられてしまっては誤解を解くのも手間だな」
「そうですよ。これはモーラン伯爵家から当家への攻撃でしょう」
「そうとも考えられるが、まあモーラン伯爵家のことはいい。それよりもヘインリード公爵に誤解されないことが重要だ。こちらから説明すると言い訳がましく思われるかもしれん」
「ならばいっそのこと何も言わないのはどうでしょうか?訊かれてから答えても遅くはないでしょう」
「そうだな…。そうするか。もし子供のことを追及されても解決済みのことだから伝える必要はなかったと言えば理解されるだろう」

どうやら方針は決まったようだ。
それにしてもあの女……名前は何だったかな……まあいいが、とにかくこんな面倒なことになるなんてな。
もしかしたらあの女も俺の失墜を狙って送り込まれたのか?
それは考えすぎかもしれないが………。

とにかくヘインリード公爵家の出方を見極めてからでも対応は遅くないだろう。
下手に動けば隙を見せることにもなる。
俺にも当家にも非はないのだから堂々としていればいい。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

元婚約者が愛おしい

碧桜 汐香
恋愛
いつも笑顔で支えてくれた婚約者アマリルがいるのに、相談もなく海外留学を決めたフラン王子。 留学先の隣国で、平民リーシャに惹かれていく。 フラン王子の親友であり、大国の王子であるステファン王子が止めるも、アマリルを捨て、リーシャと婚約する。 リーシャの本性や様々な者の策略を知ったフラン王子。アマリルのことを思い出して後悔するが、もう遅かったのだった。 フラン王子目線の物語です。

貴方もヒロインのところに行くのね? [完]

風龍佳乃
恋愛
元気で活発だったマデリーンは アカデミーに入学すると生活が一変し てしまった 友人となったサブリナはマデリーンと 仲良くなった男性を次々と奪っていき そしてマデリーンに愛を告白した バーレンまでもがサブリナと一緒に居た マデリーンは過去に決別して 隣国へと旅立ち新しい生活を送る。 そして帰国したマデリーンは 目を引く美しい蝶になっていた

幼馴染の許嫁は、男勝りな彼女にご執心らしい

和泉鷹央
恋愛
 王国でも指折りの名家の跡取り息子にして、高名な剣士がコンスタンスの幼馴染であり許嫁。  そんな彼は数代前に没落した実家にはなかなか戻らず、地元では遊び人として名高くてコンスタンスを困らせていた。 「クレイ様はまたお戻りにならないのですか……」 「ごめんなさいね、コンスタンス。クレイが結婚の時期を遅くさせてしまって」 「いいえおば様。でも、クレイ様……他に好きな方がおられるようですが?」 「えっ……!?」 「どうやら、色町で有名な踊り子と恋をしているようなんです」  しかし、彼はそんな噂はあり得ないと叫び、相手の男勝りな踊り子も否定する。  でも、コンスタンスは見てしまった。  朝方、二人が仲睦まじくホテルから出てくる姿を……  他の投稿サイトにも掲載しています。

幼馴染の公爵令嬢が、私の婚約者を狙っていたので、流れに身を任せてみる事にした。

完菜
恋愛
公爵令嬢のアンジェラは、自分の婚約者が大嫌いだった。アンジェラの婚約者は、エール王国の第二王子、アレックス・モーリア・エール。彼は、誰からも愛される美貌の持ち主。何度、アンジェラは、婚約を羨ましがられたかわからない。でもアンジェラ自身は、5歳の時に婚約してから一度も嬉しいなんて思った事はない。アンジェラの唯一の幼馴染、公爵令嬢エリーもアンジェラの婚約者を羨ましがったうちの一人。アンジェラが、何度この婚約が良いものではないと説明しても信じて貰えなかった。アンジェラ、エリー、アレックス、この三人が貴族学園に通い始めると同時に、物語は動き出す。

私には婚約者がいた

れもんぴーる
恋愛
私には優秀な魔法使いの婚約者がいる。彼の仕事が忙しくて会えない時間が多くなり、その間私は花の世話をして過ごす。ある日、彼の恋人を名乗る女性から婚約を解消してと手紙が・・・。私は大切な花の世話を忘れるほど嘆き悲しむ。すると彼は・・・? *かなりショートストーリーです。長編にするつもりで書き始めたのに、なぜか主人公の一人語り風になり、書き直そうにもこれでしか納まりませんでした。不思議な力が(#^^#) *なろうにも投稿しています

【完結】ええと?あなたはどなたでしたか?

ここ
恋愛
アリサの婚約者ミゲルは、婚約のときから、平凡なアリサが気に入らなかった。 アリサはそれに気づいていたが、政略結婚に逆らえない。 15歳と16歳になった2人。ミゲルには恋人ができていた。マーシャという綺麗な令嬢だ。邪魔なアリサにこわい思いをさせて、婚約解消をねらうが、事態は思わぬ方向に。

愛する人の手を取るために

碧水 遥
恋愛
「何が茶会だ、ドレスだ、アクセサリーだ!!そんなちゃらちゃら遊んでいる女など、私に相応しくない!!」  わたくしは……あなたをお支えしてきたつもりでした。でも……必要なかったのですね……。

【完結】婚約破棄される未来見えてるので最初から婚約しないルートを選びます

21時完結
恋愛
レイリーナ・フォン・アーデルバルトは、美しく品格高い公爵令嬢。しかし、彼女はこの世界が乙女ゲームの世界であり、自分がその悪役令嬢であることを知っている。ある日、夢で見た記憶が現実となり、レイリーナとしての人生が始まる。彼女の使命は、悲惨な結末を避けて幸せを掴むこと。 エドウィン王子との婚約を避けるため、レイリーナは彼との接触を避けようとするが、彼の深い愛情に次第に心を開いていく。エドウィン王子から婚約を申し込まれるも、レイリーナは即答を避け、未来を築くために時間を求める。 悪役令嬢としての運命を変えるため、レイリーナはエドウィンとの関係を慎重に築きながら、新しい道を模索する。運命を超えて真実の愛を掴むため、彼女は一人の女性として成長し、幸せな未来を目指して歩み続ける。

処理中です...