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第2話
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セシーリアのことは信じていたが裏切られた。
言いがかりを俺がどれだけ否定しようと信じようとしないなら、こちらから婚約破棄してやりたいくらいだった。
まあ婚約破棄されようが関係が終わったことに変わりはないから良しとする。
しかし……どちらから婚約破棄しようとも面倒なことが待ち受けている。
例えば親への報告とか。
俺に非がないとはいえ家の面子の問題もあるし、俺たちの婚約に関わったヘインリード公爵家の面子もある。
セシーリアのせいで面倒なことになったな。
* * * * * * * * * *
俺はセシーリアとの出来事を父上に報告した。
話を聞いていくと父上の顔色が悪くなっていったが、これもセシーリアが変なことを言い出したせいだ。
俺は悪くないが、報告しなくてはならない。
「ということでセシーリアから婚約破棄されました」
「はぁ……。まったく面倒なことになったな……………」
俺の報告を受けた父上が頭を抱えてしまった。
俺だって頭を抱えたいくらいだ。
「あの女の件はもう片がついているというのに、今更蒸し返したところでどうにもならんだろうに…」
「まったくです」
「とはいえ事実を捻じ曲げられてヘインリード公爵に伝えられてしまっては誤解を解くのも手間だな」
「そうですよ。これはモーラン伯爵家から当家への攻撃でしょう」
「そうとも考えられるが、まあモーラン伯爵家のことはいい。それよりもヘインリード公爵に誤解されないことが重要だ。こちらから説明すると言い訳がましく思われるかもしれん」
「ならばいっそのこと何も言わないのはどうでしょうか?訊かれてから答えても遅くはないでしょう」
「そうだな…。そうするか。もし子供のことを追及されても解決済みのことだから伝える必要はなかったと言えば理解されるだろう」
どうやら方針は決まったようだ。
それにしてもあの女……名前は何だったかな……まあいいが、とにかくこんな面倒なことになるなんてな。
もしかしたらあの女も俺の失墜を狙って送り込まれたのか?
それは考えすぎかもしれないが………。
とにかくヘインリード公爵家の出方を見極めてからでも対応は遅くないだろう。
下手に動けば隙を見せることにもなる。
俺にも当家にも非はないのだから堂々としていればいい。
言いがかりを俺がどれだけ否定しようと信じようとしないなら、こちらから婚約破棄してやりたいくらいだった。
まあ婚約破棄されようが関係が終わったことに変わりはないから良しとする。
しかし……どちらから婚約破棄しようとも面倒なことが待ち受けている。
例えば親への報告とか。
俺に非がないとはいえ家の面子の問題もあるし、俺たちの婚約に関わったヘインリード公爵家の面子もある。
セシーリアのせいで面倒なことになったな。
* * * * * * * * * *
俺はセシーリアとの出来事を父上に報告した。
話を聞いていくと父上の顔色が悪くなっていったが、これもセシーリアが変なことを言い出したせいだ。
俺は悪くないが、報告しなくてはならない。
「ということでセシーリアから婚約破棄されました」
「はぁ……。まったく面倒なことになったな……………」
俺の報告を受けた父上が頭を抱えてしまった。
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「あの女の件はもう片がついているというのに、今更蒸し返したところでどうにもならんだろうに…」
「まったくです」
「とはいえ事実を捻じ曲げられてヘインリード公爵に伝えられてしまっては誤解を解くのも手間だな」
「そうですよ。これはモーラン伯爵家から当家への攻撃でしょう」
「そうとも考えられるが、まあモーラン伯爵家のことはいい。それよりもヘインリード公爵に誤解されないことが重要だ。こちらから説明すると言い訳がましく思われるかもしれん」
「ならばいっそのこと何も言わないのはどうでしょうか?訊かれてから答えても遅くはないでしょう」
「そうだな…。そうするか。もし子供のことを追及されても解決済みのことだから伝える必要はなかったと言えば理解されるだろう」
どうやら方針は決まったようだ。
それにしてもあの女……名前は何だったかな……まあいいが、とにかくこんな面倒なことになるなんてな。
もしかしたらあの女も俺の失墜を狙って送り込まれたのか?
それは考えすぎかもしれないが………。
とにかくヘインリード公爵家の出方を見極めてからでも対応は遅くないだろう。
下手に動けば隙を見せることにもなる。
俺にも当家にも非はないのだから堂々としていればいい。
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