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第4話

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離婚の手続きは配偶者がいなくても可能だ。
問題があれば実家に文句を言えばいいし、法がどうあれ貴族家同士の話し合いで合意できれば問題ない。

私の現状はルウィンが失踪中だから私が全ての権限を代行できる。
そのことにルウィンから文句は言われていないもの。
あえて探さない理由もそこにあるけどね。

下手にルウィンが関わってくるとまとまる話もまとまらなくなってしまう。
現に財産の処分は滞りなく進んだし、私への財産分与だって行われるし。

ルウィンは慰謝料なんて支払うはずがないから先に慰謝料分も込みで財産分与してあげた。
ルウィン分の財産も使用人たちの退職金でなくなると思うけど。

* * * * * * * * * *

離婚の手続きを終え、館の引き渡しの日時も決まり、使用人を解雇する日がやってきた。

「みんなの働きぶりには感謝しているわ。退職金も含めて多く給金を支払うから許してちょうだい」
「もったいないお言葉です」

執事が代表して答えた。
きっと他の使用人たちも気持ちは同じだろう。

そもそも退職金を支払う雇い主は少ない。
もしルウィンが当主だったら退職金なんて無駄だと言い出して支払うことはないだろう。
ルウィンは感謝しないし他人の苦労を思いやることもできずない人だもの。
だから私が雇用主代行として適切な振る舞いで使用人たちを報いてあげる。

涙を流しているメイドもいる。
私はみんなの働きに満足していたし、こちらの都合で解雇するのだからせめてものお詫びをしているだけ。
そこまで気にしなくてもいいのに。

こうして使用人たちは解雇され、私も館を後にした。

* * * * * * * * * *

実家へ向かう馬車に揺られながら物思いに耽る。
長いようで短かったルウィンとの結婚生活。
思い返すと苦々しい記憶ばかり蘇ってくる。
私がどれだけ苦労したのかルウィンは夢にも思わないだろう。

離婚はしたけど恨みはまだ晴らしていない。
やはりルウィンにも制裁を下さないと私は前に進めないのかもしれない。

「嫌な事ばかり考えてしまうわ…」

でも気持ちに区切りをつけるためには必要なこと。
一方でそんなことに囚われていればいつになっても幸せになれないと考える冷静な自分もいる。

こんな不愉快で悩み苦しむのも全部ルウィンのせい。
いつか絶対に痛い目に遭わせるということで問題は棚上げしておこう。
ルウィンのせいで苦しむ日々を続けるのは不本意だもの。

そんなことよりも離婚したのだから私は自由!
しばらくは自由を満喫するのもいいわね。

そう決めたところで実家に着いた。
また戻ってくることになると考えたことはあっても現実のものになってしまうなんてね。
でもここから私の新しい生活は始まるのだ。
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