2 / 10
第2話
しおりを挟む
「サバーナといると心が癒されるよ」
「まあ、嬉しいこと言ってくれるのね」
エラステラとの生活は窮屈だったし、そもそも愛していない女との婚約も苦痛だった。
親が決めた婚約がこんなにも面倒なものだとは知らなかったし、いっそのこと法で禁止してくれればいい。
もう手遅れだけどな。
やるせない日々に酒を飲んで気を紛らわせているときに出会ったのがサバーナだった。
サバーナは平民だったが美人で体つきも文句なし。
口説いたら俺の魅力を理解してくれて愛し合う関係になれた。
あのままエラステラと暮らしていたら俺はどうにかなってしまったと思う。
サバーナがいてくれて俺は救われた。
「帰らなくてもいいの?今までは朝には帰っていたじゃない」
「ちょっといろいろとあってな。このままいたら迷惑か?」
「迷惑じゃないけど…ずっといるなら関係をはっきりさせてもらわないと」
なるほど、確かに愛し合う者同士だから結婚すべきだな。
エラステラも離婚には積極的なようだから離婚さえ成立すればサバーナと結婚しても文句は言われないだろう。
「今すぐは無理だが…結婚するか?」
「ほんと!?嬉しいわ!」
サバーナが抱きついてきた。
いろいろと嬉しい気持ちは理解できる。
エラステラでは味わうことのなかった満足感や幸福感がサバーナとの間にはある。
やはり俺にはサバーナしかいない。
最初からサバーナと結婚すべきだったし、出会いが遅くなってしまったことが悔やまれる。
エラステラと婚約する前に出会えていれば親が決めた婚約だろうと覆してやったのに。
「ルウィンと結婚したら私も貴族になれるの?」
「正式には爵位を継いだ人だけが貴族だ。だがその家族も貴族家の一員として貴族と見なされるのが一般的だな」
「それなら私も貴族になれるのね」
「まあ大体その通りだな」
俺は爵位を継いでいないし継ぐ予定もない。
でも親父は貴族だから俺も貴族家の一員だし、その妻になるならサバーナも対外的には貴族として扱われるだろう。
だがそんな身分に関係なくルウィンはサバーナのことを愛してしまったんだ。
「身分なんて関係なく俺はサバーナのことを愛している。その気持ちに嘘はない」
「わかっているわ。それで結婚できるのはいつ頃になりそうなの?」
「それは未定だな。俺だって早く結婚したいが、そう簡単ではないからな…」
エラステラの気が変わって離婚を渋ったら大変なことになる。
ここはエラステラを信じて刺激せずに離婚することを優先するか。
それに放っておけば気持ちも落ち着いて話が通じるようになるかもしれない。
やはり時間は必要だ。
サバーナには申し訳ないと思うが許して欲しい。
「…奥さんが邪魔してくるの」
「そうだ。だから予定が立たないんだ。サバーナには本当に申し訳ないと思っている」
「しかたないわ」
残念そうな表情のサバーナを見ると心が痛む。
エラステラはどこまで俺の邪魔をすれば気が済むというのか。
きっと気が済むことなんてないだろう。
望まない相手と結婚なんてすべきではないな。
「まあ、嬉しいこと言ってくれるのね」
エラステラとの生活は窮屈だったし、そもそも愛していない女との婚約も苦痛だった。
親が決めた婚約がこんなにも面倒なものだとは知らなかったし、いっそのこと法で禁止してくれればいい。
もう手遅れだけどな。
やるせない日々に酒を飲んで気を紛らわせているときに出会ったのがサバーナだった。
サバーナは平民だったが美人で体つきも文句なし。
口説いたら俺の魅力を理解してくれて愛し合う関係になれた。
あのままエラステラと暮らしていたら俺はどうにかなってしまったと思う。
サバーナがいてくれて俺は救われた。
「帰らなくてもいいの?今までは朝には帰っていたじゃない」
「ちょっといろいろとあってな。このままいたら迷惑か?」
「迷惑じゃないけど…ずっといるなら関係をはっきりさせてもらわないと」
なるほど、確かに愛し合う者同士だから結婚すべきだな。
エラステラも離婚には積極的なようだから離婚さえ成立すればサバーナと結婚しても文句は言われないだろう。
「今すぐは無理だが…結婚するか?」
「ほんと!?嬉しいわ!」
サバーナが抱きついてきた。
いろいろと嬉しい気持ちは理解できる。
エラステラでは味わうことのなかった満足感や幸福感がサバーナとの間にはある。
やはり俺にはサバーナしかいない。
最初からサバーナと結婚すべきだったし、出会いが遅くなってしまったことが悔やまれる。
エラステラと婚約する前に出会えていれば親が決めた婚約だろうと覆してやったのに。
「ルウィンと結婚したら私も貴族になれるの?」
「正式には爵位を継いだ人だけが貴族だ。だがその家族も貴族家の一員として貴族と見なされるのが一般的だな」
「それなら私も貴族になれるのね」
「まあ大体その通りだな」
俺は爵位を継いでいないし継ぐ予定もない。
でも親父は貴族だから俺も貴族家の一員だし、その妻になるならサバーナも対外的には貴族として扱われるだろう。
だがそんな身分に関係なくルウィンはサバーナのことを愛してしまったんだ。
「身分なんて関係なく俺はサバーナのことを愛している。その気持ちに嘘はない」
「わかっているわ。それで結婚できるのはいつ頃になりそうなの?」
「それは未定だな。俺だって早く結婚したいが、そう簡単ではないからな…」
エラステラの気が変わって離婚を渋ったら大変なことになる。
ここはエラステラを信じて刺激せずに離婚することを優先するか。
それに放っておけば気持ちも落ち着いて話が通じるようになるかもしれない。
やはり時間は必要だ。
サバーナには申し訳ないと思うが許して欲しい。
「…奥さんが邪魔してくるの」
「そうだ。だから予定が立たないんだ。サバーナには本当に申し訳ないと思っている」
「しかたないわ」
残念そうな表情のサバーナを見ると心が痛む。
エラステラはどこまで俺の邪魔をすれば気が済むというのか。
きっと気が済むことなんてないだろう。
望まない相手と結婚なんてすべきではないな。
233
お気に入りに追加
1,228
あなたにおすすめの小説
わたしのことがお嫌いなら、離縁してください~冷遇された妻は、過小評価されている~
絹乃
恋愛
伯爵夫人のフロレンシアは、夫からもメイドからも使用人以下の扱いを受けていた。どんなに離婚してほしいと夫に訴えても、認めてもらえない。夫は自分の愛人を屋敷に迎え、生まれてくる子供の世話すらもフロレンシアに押しつけようと画策する。地味で目立たないフロレンシアに、どんな価値があるか夫もメイドも知らずに。彼女を正しく理解しているのは騎士団の副団長エミリオと、王女のモニカだけだった。※番外編が別にあります。
【完結】捨てられ正妃は思い出す。
なか
恋愛
「お前に食指が動くことはない、後はしみったれた余生でも過ごしてくれ」
そんな言葉を最後に婚約者のランドルフ・ファルムンド王子はデイジー・ルドウィンを捨ててしまう。
人生の全てをかけて愛してくれていた彼女をあっさりと。
正妃教育のため幼き頃より人生を捧げて生きていた彼女に味方はおらず、学園ではいじめられ、再び愛した男性にも「遊びだった」と同じように捨てられてしまう。
人生に楽しみも、生きる気力も失った彼女は自分の意志で…自死を選んだ。
再び意識を取り戻すと見知った光景と聞き覚えのある言葉の数々。
デイジーは確信をした、これは二度目の人生なのだと。
確信したと同時に再びあの酷い日々を過ごす事になる事に絶望した、そんなデイジーを変えたのは他でもなく、前世での彼女自身の願いであった。
––次の人生は後悔もない、幸福な日々を––
他でもない、自分自身の願いを叶えるために彼女は二度目の人生を立ち上がる。
前のような弱気な生き方を捨てて、怒りに滾って奮い立つ彼女はこのくそったれな人生を生きていく事を決めた。
彼女に起きた心境の変化、それによって起こる小さな波紋はやがて波となり…この王国でさえ変える大きな波となる。
【完結】君は強いひとだから
冬馬亮
恋愛
「大丈夫、君は強いひとだから」
そう言って、あなたはわたくしに別れを告げた。
あなたは、隣でごめんなさいと涙を流す彼女の肩を抱く。
そして言うのだ。
「この子は僕が付いてないと生きていけないから」と。
そんなに妹が好きなら死んであげます。
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』
フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。
それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。
そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。
イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。
異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。
何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……
(完結)親友の未亡人がそれほど大事ですか?
青空一夏
恋愛
「お願いだよ。リーズ。わたしはあなただけを愛すると誓う。これほど君を愛しているのはわたしだけだ」
婚約者がいる私に何度も言い寄ってきたジャンはルース伯爵家の4男だ。
私には家族ぐるみでお付き合いしている婚約者エルガー・バロワ様がいる。彼はバロワ侯爵家の三男だ。私の両親はエルガー様をとても気に入っていた。優秀で冷静沈着、理想的なお婿さんになってくれるはずだった。
けれどエルガー様が女性と抱き合っているところを目撃して以来、私はジャンと仲良くなっていき婚約解消を両親にお願いしたのだった。その後、ジャンと結婚したが彼は・・・・・・
※この世界では女性は爵位が継げない。跡継ぎ娘と結婚しても婿となっただけでは当主にはなれない。婿養子になって始めて当主の立場と爵位継承権や財産相続権が与えられる。西洋の史実には全く基づいておりません。独自の異世界のお話しです。
※現代的言葉遣いあり。現代的機器や商品など出てくる可能性あり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる