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第4話

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「お帰りなさいませ、ダンク様。ご領主様も滞在されておられます。速やかに顔を出すように、とのことです」
「…わかった」

リーディアに婚約破棄したことは手紙で領地にいる父上に伝えておいた。
その父上が…王都にまでやってきた。
わざわざ領地から出てきたのだからただ事ではない。
速やかに顔を出せというのだから大事に決まっている。

…気が重いが行くしかない。

* * * * * * * * * *

父上が滞在した部屋に入るなり、溜め息で父上が出迎えてくれた。

「学園生活はどうだ?」
「悪くないと思います」
「そうか、それは良かった。ではリーディア嬢に婚約破棄した時のことを詳しく教えてもらおうか。嘘偽りなく」

嘘偽りなくと、あえて言ったのだから俺の手紙の内容を嘘だと考えているのだろう。
実際に俺にとって都合のいいように書いておいたのだからバレたに違いない。
ここで下手に言い訳するともっと怒られることになるだろう。
仕方ないので正直に控えめに伝えるしかない。

「リーディアから、どうして大切にしないのかと問い質されました。俺が正直に理由を告げたところ、我がターダム男爵家を侮辱され平手打ちまでされたのです。だから婚約破棄しました」
「なるほどな。それで、お前に大切に想っている女性がいるというのは事実か?」

まずい、そこまで知られていたとは。

「事実です」
「それがリーディア嬢を大切にしなかった理由なのだな?」
「……はい」
「そうか………」

素直に認めたが、父上は溜め息をつき考え込んでしまった。

「こうなってしまった以上、仕方あるまい。非はお前にあることを忘れるなよ。当然慰謝料も支払わなくてはならんし、ラールデン男爵に謝罪しなくてはならん。そこは私がしておく」
「申し訳ありませんでした」
「済んでしまったことだ。だがな、ダンクよ。このようなことは二度とするな。肝に銘じておけ」
「はい」

父上の言葉に肝を冷やしたが、この程度で済んで良かったとも思った。

忘れられない女性…デイジーのことも父上に許しを請わなくてはならない。
この流れなら婚約を認めてもらえるかもしれない。

「それで、父上、相談があるのですが…」
「何だ?」

くだらないことを言ったら承知しないぞ、と目が言っている。
だがこれは俺の婚約の問題。
父上に許可を得なくてはならない問題だ。
ここで負けてしまえばデイジーと結ばれなくなってしまう。

もうリーディアとの婚約関係は終わっている。
やっとデイジーと結ばれる前提条件が整ったのだから、このチャンスを逃す訳にはいかない。
デイジーの存在が離れていようとも俺に勇気を与えてくれる。

「デイジーとの婚約を認めてください」
「………そうか、デイジーだったのか」

また溜め息をついた父上。
デイジーと知ってがっかりしたのか?

「すぐに認めることはできない。お前が本当に反省していることが確認された時にまた考えるとしよう」
「ありがとうございます」

少なくとも拒否はされていないのだからチャンスは十分にある。
俺次第なら時間の問題ということだ。

相談して良かった。
リーディアに婚約破棄して良かった。
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