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第7話
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今日中に出て行くように伝えたというのにカトナが居座ろうとし抵抗したので使用人によって叩き出された。
「酷いわ!私のことを何だと思っているのよ!許さないから!」
地面に倒れ込みながらも口だけは相変わらず威勢がいい。
私が姿を見せたら面倒なことになるだろうし、こっそり様子を窺うだけにして正解だった。
その後もカトナは文句を言っていたけど、もう当家の娘ではないし、当家とも無関係。
とはいえまだ通報するほどのことではない。
もっと諦めが悪いようなら通報するのも仕方ないだろうけど…。
カトナはその後もしばらく喚いていたけど、いつの間にかに姿を消していた。
行く当ても無いだろうけど、もう私とは無関係だし、どうなろうとも気にする必要もない。
こうなってしまったのも全部カトナの自業自得でしかない。
十分すぎるほど恵まれていた環境に感謝し努力すればこうはならなかった。
他人に対し誠実に接することができればこうはならなかった。
より良い相手と婚約しようと欲をかいたからこのようなことになってしまった。
カトナは満足することなんてなく、それこそ王子様と婚約しても文句ばかりだったと思う。
でももう終わったこと。
もう当家はカトナとは関係なくなったのだ。
* * * * * * * * * *
当家に平和が戻った。
「やっと終わったのね…」
「ああ。苦労をかけた」
どれだけ愛情を注ごうがカトナには意味がなく、際限なく要求し、それが叶わないとなれば相手を非難する。
お母様はカトナのせいで弱り果て、カトナと顔を会わさないようにしていた。
こうやって本当の家族だけで安心して顔を合わせられるのも久々だった。
「エイリアにも辛い思いをさせてしまったわね」
「いえ、お母様は悪くありません」
お母様は母親としての愛情を与えようとした。
それを受け入れなかったのはカトナのせいだし、親を散々利用しようとしたのはカトナだ。
お母様が謝ることなんてないのに。
それに厳しくしようとすれば虐待だと騒ぎ、最低限の教育を施そうとしても母を罵ったカトナは許せない。
お母様の悲しみがどれだけ深いものだったのかカトナは考えたことすらなかっただろうけど。
「これからはエイリアが幸せにならないとね」
「その件なんだが…実はアシャード伯爵家からエイリアに縁談があってだな。カトナが婚約していた相手ではないぞ?」
「今度はどういった相手なのでしょうか?」
「アシャード伯爵の実子だ。伯爵家も当家と同じように養子に悩まされていたようでな、それが解消できたようで、今度は裏のない縁談を提案された」
なるほど、アシャード伯爵家も問題のある養子をカトナと婚約させて何かしたのだろう。
改めて考えてみると養子の義務化は問題が多いように思えた。
でも同じ問題で苦労した相手となら婚約しても上手くいくかもしれない。
それに相手は伯爵家の令息なのだから、男爵家でしかない当家にとってもメリットのある婚約になるだろう。
お父様が勧めるのだから悪い相手ではないはず。
「わかりました。縁談を進めてください」
「もし会って気に入らなければ断ってくれて構わない。相手が伯爵家だろうが気にするな。我々はエイリアの幸せが何よりも大切だからな」
「そうよ、気に入らない相手と婚約したところで人生を無駄にするだけよ。信用できると思った人にすべきだわ」
両親の気遣いが嬉しかった。
カトナが追い出され、やっと私は自分や家族の幸せのために生きられる。
今度の縁談もその一歩になるのだと期待してしまう。
「酷いわ!私のことを何だと思っているのよ!許さないから!」
地面に倒れ込みながらも口だけは相変わらず威勢がいい。
私が姿を見せたら面倒なことになるだろうし、こっそり様子を窺うだけにして正解だった。
その後もカトナは文句を言っていたけど、もう当家の娘ではないし、当家とも無関係。
とはいえまだ通報するほどのことではない。
もっと諦めが悪いようなら通報するのも仕方ないだろうけど…。
カトナはその後もしばらく喚いていたけど、いつの間にかに姿を消していた。
行く当ても無いだろうけど、もう私とは無関係だし、どうなろうとも気にする必要もない。
こうなってしまったのも全部カトナの自業自得でしかない。
十分すぎるほど恵まれていた環境に感謝し努力すればこうはならなかった。
他人に対し誠実に接することができればこうはならなかった。
より良い相手と婚約しようと欲をかいたからこのようなことになってしまった。
カトナは満足することなんてなく、それこそ王子様と婚約しても文句ばかりだったと思う。
でももう終わったこと。
もう当家はカトナとは関係なくなったのだ。
* * * * * * * * * *
当家に平和が戻った。
「やっと終わったのね…」
「ああ。苦労をかけた」
どれだけ愛情を注ごうがカトナには意味がなく、際限なく要求し、それが叶わないとなれば相手を非難する。
お母様はカトナのせいで弱り果て、カトナと顔を会わさないようにしていた。
こうやって本当の家族だけで安心して顔を合わせられるのも久々だった。
「エイリアにも辛い思いをさせてしまったわね」
「いえ、お母様は悪くありません」
お母様は母親としての愛情を与えようとした。
それを受け入れなかったのはカトナのせいだし、親を散々利用しようとしたのはカトナだ。
お母様が謝ることなんてないのに。
それに厳しくしようとすれば虐待だと騒ぎ、最低限の教育を施そうとしても母を罵ったカトナは許せない。
お母様の悲しみがどれだけ深いものだったのかカトナは考えたことすらなかっただろうけど。
「これからはエイリアが幸せにならないとね」
「その件なんだが…実はアシャード伯爵家からエイリアに縁談があってだな。カトナが婚約していた相手ではないぞ?」
「今度はどういった相手なのでしょうか?」
「アシャード伯爵の実子だ。伯爵家も当家と同じように養子に悩まされていたようでな、それが解消できたようで、今度は裏のない縁談を提案された」
なるほど、アシャード伯爵家も問題のある養子をカトナと婚約させて何かしたのだろう。
改めて考えてみると養子の義務化は問題が多いように思えた。
でも同じ問題で苦労した相手となら婚約しても上手くいくかもしれない。
それに相手は伯爵家の令息なのだから、男爵家でしかない当家にとってもメリットのある婚約になるだろう。
お父様が勧めるのだから悪い相手ではないはず。
「わかりました。縁談を進めてください」
「もし会って気に入らなければ断ってくれて構わない。相手が伯爵家だろうが気にするな。我々はエイリアの幸せが何よりも大切だからな」
「そうよ、気に入らない相手と婚約したところで人生を無駄にするだけよ。信用できると思った人にすべきだわ」
両親の気遣いが嬉しかった。
カトナが追い出され、やっと私は自分や家族の幸せのために生きられる。
今度の縁談もその一歩になるのだと期待してしまう。
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