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第7話
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王であるバルメジャーが玉座に座り、正妃である私はその隣に座っている。
目の前には主な貴族たちが跪き頭を下げている。
近衛隊長であるマンスティルは私の斜め後ろに控えている。
この場はバルメジャーを断罪するために用意した場。
いざ断罪されればバルメジャーが怒り狂い何かするかもしれないのでマンスティルの存在が頼もしい。
ちらりとバルメジャーの様子を窺うと、最近の元気の無さは影を潜め、また得意気で満足そうな表情に戻っていた。
王の威厳を誇示できて満足しているの?
残念だけど貴族たちは私に頭を下げているのに。
残念な頭のバルメジャーなら勘違いしてもおかしくないけど。
「よく集まってくれた。頭を上げよ」
何も知らないバルメジャーが偉そうに言い、貴族たちが頭を上げた。
「この場で皆に問いたい。メディーレは正妃であるにも関わらず愛妾のシビリアに嫉妬し幽閉するという暴挙に及んだ。これはとてもではないが許される行為ではない。そこでだ」
もったいぶったバルメジャーが言葉を区切り、貴族たちを見渡す。
「余は正妃として相応しくないメディーレに離縁を申しつける。異議のある者は何なりと申し出よ」
「お言葉ですが陛下。メディーレ様にどのような非があったというのでしょうか?」
「言っただろう?シビリアを幽閉した罪だ」
「それはおかしいですね?シビリアは権力を私物化すべくバルメジャー陛下に働きかけたと聞き及んでおります。処罰を受けるべきはバルメジャー陛下のほうではありませんか?」
バルメジャーにとってはまさかの反論のようで、何も口にしなかった。
「余の言うことが信じられないというのか?」
「はい、その通りです」
他の貴族たちは笑いを噛み殺し、必死に平然を装うとしている。
バルメジャーは誰も自分のことを庇おうとしていないことに気付かないのだろうか。
「ねえ、バルメジャー。これでバルメジャーがお飾りの王だと理解できた?」
「そんなはずはない!貴族たちのほうが間違っている!王の言い分を信じない奴らなんか信用できるか!」
「そう。そう考えているのね……」
この場に集まった貴族は有力な貴族たち。
末端の力のない貴族たちとは違うのに。
そんな彼らを敵にするような発言をしても自分の首を絞めるだけなのにね。
「これが現実なのよ。シビリアに篭絡されてしまった王なんて王に相応しくないわ。ここは潔く身を引いたらどう?今ならまだ間に合うわよ?」
「くっ、メディーレも侮辱するのか!もういい!メディーレとは離縁する!」
「わかったわ。でも忘れないでね。バルメジャーは誰が王にしたのか」
「負け惜しみだな」
負け惜しみはバルメジャーのほうなのに。
でももう離縁すると言われたのだから準備は整った。
「それでは密約の不履行によりバルメジャーの退位を求めるわ。いえ、退位なんて生温いわね。王としての資質に欠け愛妾に入れ込み過ぎ、その愛妾の親を優遇するような政策を推し進めようとしたバルメジャーは反逆者よ。私に賛同する者は拍手して」
貴族たちの全員が拍手した。
呆然とするバルメジャー。
まさか自分がそこまで支持されていないなんて夢にも思わなかったのかもしれない。
私の実家であるメルヴィエール公爵家は国内の貴族の多くを取りまとめる立場だったのよ。
事前に根回ししてあるし、この場を設けたのはバルメジャーに現実を知ってもらい、王位を退いてもらうため。
「これで決まりね。バルメジャーはもう王ではなくなったわ」
「そんな……。全部メディーレが企んだというのか?」
バルメジャーが立ち上がり、ふらふらと私に近づいてきた。
「よくも俺に恥をかかせてくれたな…」
素直に退位すればまだ扱いも良くなったというのに、こんな行為に出るなんて、バルメジャーは最後まで愚かだったわ。
近づくバルメジャーを制するため、マンスティルがバルメジャーの腕を掴んだ。
「よさないか。もうお前は王ではないのだ」
「そんなのは認めない!お前は近衛隊長なんだぞ!?王に従うべきであろう!?」
「メディーレ様に何をしようとしていた?お前は王以前に人間として最低だな」
「侮辱するのか!」
「口で言っても理解できない者には体で理解させるしかないな」
マンスティルはバルメジャーの腕をねじり上げ組み伏せた。
「痛たたたた、や、やめてくれ!王に何をする!あっ、や、やめ」
「無様ね、バルメジャー。私に危害を加えようとしたのだから情状酌量の余地はないわ。バルメジャーには相応しい罰を与えてあげるから。それとマンスティル、ありがとう。助かったわ」
「いえ、メディーレ様のためなら当然のことをしたまでです」
職務上の役目を果たしただけと言うけど、マンスティルの本当の気持ちは私に伝わっている。
バルメジャーから離縁された私はもう誰の邪魔も受けない立場だし、バルメジャーへの恨みを晴らすなら良い機会だと思う。
でもまだ残務処理があるのだから気持ちを切り替える。
「バルメジャーは王を解任され乱心したわ。しばらく牢屋にでも入れておきなさい。それと新たな王を決めない訳にはいかないわよね。それで相談だけど――」
目の前には主な貴族たちが跪き頭を下げている。
近衛隊長であるマンスティルは私の斜め後ろに控えている。
この場はバルメジャーを断罪するために用意した場。
いざ断罪されればバルメジャーが怒り狂い何かするかもしれないのでマンスティルの存在が頼もしい。
ちらりとバルメジャーの様子を窺うと、最近の元気の無さは影を潜め、また得意気で満足そうな表情に戻っていた。
王の威厳を誇示できて満足しているの?
残念だけど貴族たちは私に頭を下げているのに。
残念な頭のバルメジャーなら勘違いしてもおかしくないけど。
「よく集まってくれた。頭を上げよ」
何も知らないバルメジャーが偉そうに言い、貴族たちが頭を上げた。
「この場で皆に問いたい。メディーレは正妃であるにも関わらず愛妾のシビリアに嫉妬し幽閉するという暴挙に及んだ。これはとてもではないが許される行為ではない。そこでだ」
もったいぶったバルメジャーが言葉を区切り、貴族たちを見渡す。
「余は正妃として相応しくないメディーレに離縁を申しつける。異議のある者は何なりと申し出よ」
「お言葉ですが陛下。メディーレ様にどのような非があったというのでしょうか?」
「言っただろう?シビリアを幽閉した罪だ」
「それはおかしいですね?シビリアは権力を私物化すべくバルメジャー陛下に働きかけたと聞き及んでおります。処罰を受けるべきはバルメジャー陛下のほうではありませんか?」
バルメジャーにとってはまさかの反論のようで、何も口にしなかった。
「余の言うことが信じられないというのか?」
「はい、その通りです」
他の貴族たちは笑いを噛み殺し、必死に平然を装うとしている。
バルメジャーは誰も自分のことを庇おうとしていないことに気付かないのだろうか。
「ねえ、バルメジャー。これでバルメジャーがお飾りの王だと理解できた?」
「そんなはずはない!貴族たちのほうが間違っている!王の言い分を信じない奴らなんか信用できるか!」
「そう。そう考えているのね……」
この場に集まった貴族は有力な貴族たち。
末端の力のない貴族たちとは違うのに。
そんな彼らを敵にするような発言をしても自分の首を絞めるだけなのにね。
「これが現実なのよ。シビリアに篭絡されてしまった王なんて王に相応しくないわ。ここは潔く身を引いたらどう?今ならまだ間に合うわよ?」
「くっ、メディーレも侮辱するのか!もういい!メディーレとは離縁する!」
「わかったわ。でも忘れないでね。バルメジャーは誰が王にしたのか」
「負け惜しみだな」
負け惜しみはバルメジャーのほうなのに。
でももう離縁すると言われたのだから準備は整った。
「それでは密約の不履行によりバルメジャーの退位を求めるわ。いえ、退位なんて生温いわね。王としての資質に欠け愛妾に入れ込み過ぎ、その愛妾の親を優遇するような政策を推し進めようとしたバルメジャーは反逆者よ。私に賛同する者は拍手して」
貴族たちの全員が拍手した。
呆然とするバルメジャー。
まさか自分がそこまで支持されていないなんて夢にも思わなかったのかもしれない。
私の実家であるメルヴィエール公爵家は国内の貴族の多くを取りまとめる立場だったのよ。
事前に根回ししてあるし、この場を設けたのはバルメジャーに現実を知ってもらい、王位を退いてもらうため。
「これで決まりね。バルメジャーはもう王ではなくなったわ」
「そんな……。全部メディーレが企んだというのか?」
バルメジャーが立ち上がり、ふらふらと私に近づいてきた。
「よくも俺に恥をかかせてくれたな…」
素直に退位すればまだ扱いも良くなったというのに、こんな行為に出るなんて、バルメジャーは最後まで愚かだったわ。
近づくバルメジャーを制するため、マンスティルがバルメジャーの腕を掴んだ。
「よさないか。もうお前は王ではないのだ」
「そんなのは認めない!お前は近衛隊長なんだぞ!?王に従うべきであろう!?」
「メディーレ様に何をしようとしていた?お前は王以前に人間として最低だな」
「侮辱するのか!」
「口で言っても理解できない者には体で理解させるしかないな」
マンスティルはバルメジャーの腕をねじり上げ組み伏せた。
「痛たたたた、や、やめてくれ!王に何をする!あっ、や、やめ」
「無様ね、バルメジャー。私に危害を加えようとしたのだから情状酌量の余地はないわ。バルメジャーには相応しい罰を与えてあげるから。それとマンスティル、ありがとう。助かったわ」
「いえ、メディーレ様のためなら当然のことをしたまでです」
職務上の役目を果たしただけと言うけど、マンスティルの本当の気持ちは私に伝わっている。
バルメジャーから離縁された私はもう誰の邪魔も受けない立場だし、バルメジャーへの恨みを晴らすなら良い機会だと思う。
でもまだ残務処理があるのだから気持ちを切り替える。
「バルメジャーは王を解任され乱心したわ。しばらく牢屋にでも入れておきなさい。それと新たな王を決めない訳にはいかないわよね。それで相談だけど――」
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