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第4話
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バルメジャーに愛されている私は愛妾という立場だけど、本来ならメディーレに成り代わって正妃になるべきだわ。
あんな口うるさい女が正妃なんてバルメジャーも見る目がないのね。
でも私を選んだのは褒めてあげてもいいけど。
そんなことを考えていたら部屋の外が騒がしくなってきた。
足音や人の声から多くの人がいるようだけど、バルメジャーが来るなら一人のはずだし、大勢が来るような予定は聞かされてない。
乱暴にドアが開き、近衛兵たちが何人も入ってきた。
誰かの部屋と間違えてない?
「失礼しちゃうわね。ここは私の部屋なのよ?何の用なの?」
「ある場所にご案内します。抵抗しなければ痛い目には遭いません。どうか我々に従ってください」
「はぁ?私を誰だと思ってるの?」
「愛妾のシビリア様です」
「よくわかってるじゃない。なら出てって。私がどうして貴方たちに従わないといけないの?」
「指示に従っていただけないなら無理にでも連れて行くことになります。これは脅しではありません。最後通告です」
「はぁ?私はバルメジャーの愛妾なのよ?そんなことが許されるはずないじゃない」
まさか近衛兵がこんな頭が悪いなんて思わなかった。
私を見た人が惚れないようバルメジャーが私を人目につかないようにしていたのが悪いのかも。
私の顔を知っていればこんな無礼なことするはずがないもの。
「仕方ない。連れて行くぞ」
「はっ」
「ちょ、ちょっと。触らないでよ。そんなことするとバルメジャーが黙ってないわよ?ちょっと、やめてってば!」
私の言い分なんて聞かずに腕を掴まれた。
そんなに強く引っ張らなくてもいいのに。
私が腕を炒めたら貴方だってただでは済まされないのよ?
下手すると一族のみんなの首が飛ぶのよ?
バルメジャーが怒ると怖いんだからね!
「どこへ連れて行くのよ?」
「着けばわかります」
「ケチね。そんな態度だと女性にモテないわよ?」
「……」
だんまりを決め込むなんてモテないに決まってるわ。
近衛兵なんて家柄はいいかもしれないけど女性の扱いは全然駄目ね。
それに私の魅力に靡かないなんて絶対におかしいわ。
みんな不能なの?
それとも男色?
「わかったわ、そうやって私の気を引こうとしてるんでしょ?でも残念ね。私の気を引きたいなら最低でも王族でないと」
「………」
「もっと優しくエスコートしたほうがいいと思うけど?バルメジャーに言いつけられたいの?」
「…………」
揃いも揃ってつまんない男たちね。
あ、私と一緒だから緊張して何も言えないのね。
そう考えるとみんな可愛らしく見えてくる。
「ごめんなさいね、私にはバルメジャーがいるから……。だから私を口説きたくなったら王になってからにしてね?」
「……………」
恥ずかしがって何も言えないのね。
何も反応しないなら私も何も言わなかった。
そうして案内されたのは地下の部屋だった。
「部屋の中に入ってください」
掴まれていた腕を離され、部屋に入るように促された。
入ってあげる義理もないけど、逃げられないよう私を囲んでいるし、私を解放する気もないみたい。
こんなときにバルメジャーは何をしているの?
「もう一度言います。入ってください。従わなければ無理にでも入ってもらうことになります」
「強引さが嬉しい時もあるけど…もっと女心を知るべきね」
近衛兵が私を押すようにして部屋の中へと入れられた。
「ちょっと!変態!触らないでよ!私はバルメジャーのものなのよ!不敬だわ!」
ドアが閉められガチャリという音がした。
ドアを開けようとしたけど開かない。
外から鍵をかけられたみたい。
ドアを叩いて抗議する。
「何なのよ!どうしてこんなことするの!?私はバルメジャーの愛妾なのよ?バルメジャーが知ったらただでは済まされないわよ!」
外からは何の反応もない。
バルメジャーが知ったらすぐに助けに来てくれるだろうけど、こんなことをした近衛兵たちは絶対に許せない。
「私を誰だと思ってるのよ……。絶対に許さないから」
あんな口うるさい女が正妃なんてバルメジャーも見る目がないのね。
でも私を選んだのは褒めてあげてもいいけど。
そんなことを考えていたら部屋の外が騒がしくなってきた。
足音や人の声から多くの人がいるようだけど、バルメジャーが来るなら一人のはずだし、大勢が来るような予定は聞かされてない。
乱暴にドアが開き、近衛兵たちが何人も入ってきた。
誰かの部屋と間違えてない?
「失礼しちゃうわね。ここは私の部屋なのよ?何の用なの?」
「ある場所にご案内します。抵抗しなければ痛い目には遭いません。どうか我々に従ってください」
「はぁ?私を誰だと思ってるの?」
「愛妾のシビリア様です」
「よくわかってるじゃない。なら出てって。私がどうして貴方たちに従わないといけないの?」
「指示に従っていただけないなら無理にでも連れて行くことになります。これは脅しではありません。最後通告です」
「はぁ?私はバルメジャーの愛妾なのよ?そんなことが許されるはずないじゃない」
まさか近衛兵がこんな頭が悪いなんて思わなかった。
私を見た人が惚れないようバルメジャーが私を人目につかないようにしていたのが悪いのかも。
私の顔を知っていればこんな無礼なことするはずがないもの。
「仕方ない。連れて行くぞ」
「はっ」
「ちょ、ちょっと。触らないでよ。そんなことするとバルメジャーが黙ってないわよ?ちょっと、やめてってば!」
私の言い分なんて聞かずに腕を掴まれた。
そんなに強く引っ張らなくてもいいのに。
私が腕を炒めたら貴方だってただでは済まされないのよ?
下手すると一族のみんなの首が飛ぶのよ?
バルメジャーが怒ると怖いんだからね!
「どこへ連れて行くのよ?」
「着けばわかります」
「ケチね。そんな態度だと女性にモテないわよ?」
「……」
だんまりを決め込むなんてモテないに決まってるわ。
近衛兵なんて家柄はいいかもしれないけど女性の扱いは全然駄目ね。
それに私の魅力に靡かないなんて絶対におかしいわ。
みんな不能なの?
それとも男色?
「わかったわ、そうやって私の気を引こうとしてるんでしょ?でも残念ね。私の気を引きたいなら最低でも王族でないと」
「………」
「もっと優しくエスコートしたほうがいいと思うけど?バルメジャーに言いつけられたいの?」
「…………」
揃いも揃ってつまんない男たちね。
あ、私と一緒だから緊張して何も言えないのね。
そう考えるとみんな可愛らしく見えてくる。
「ごめんなさいね、私にはバルメジャーがいるから……。だから私を口説きたくなったら王になってからにしてね?」
「……………」
恥ずかしがって何も言えないのね。
何も反応しないなら私も何も言わなかった。
そうして案内されたのは地下の部屋だった。
「部屋の中に入ってください」
掴まれていた腕を離され、部屋に入るように促された。
入ってあげる義理もないけど、逃げられないよう私を囲んでいるし、私を解放する気もないみたい。
こんなときにバルメジャーは何をしているの?
「もう一度言います。入ってください。従わなければ無理にでも入ってもらうことになります」
「強引さが嬉しい時もあるけど…もっと女心を知るべきね」
近衛兵が私を押すようにして部屋の中へと入れられた。
「ちょっと!変態!触らないでよ!私はバルメジャーのものなのよ!不敬だわ!」
ドアが閉められガチャリという音がした。
ドアを開けようとしたけど開かない。
外から鍵をかけられたみたい。
ドアを叩いて抗議する。
「何なのよ!どうしてこんなことするの!?私はバルメジャーの愛妾なのよ?バルメジャーが知ったらただでは済まされないわよ!」
外からは何の反応もない。
バルメジャーが知ったらすぐに助けに来てくれるだろうけど、こんなことをした近衛兵たちは絶対に許せない。
「私を誰だと思ってるのよ……。絶対に許さないから」
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