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第15話
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「もうアシューの自由にさせることにした」
父上から呼び出されて、第一声がそれだった。
自由?
それだけでは何を言いたいのかわからない。
「自由とは?」
「インガーロ男爵家の嫡男という立場はお前にとって良くないものだ。だから親子の縁を切る。お前はもう自由だ。どこへでも好きなところへ行くがいい」
「そんな!冗談ですよね?」
「冗談ではない。それとも処刑されたいか?ルビア嬢はずいぶんと怒っていたぞ。それこそ処刑を求めるくらいにな」
「なんだと……」
ルビアめ。
やはりルビアは俺の邪魔ばかりする。
処刑を望むなんて悪魔みたいな女だ。
だが問題はルビアの言い分を受け入れてしまった父上だ。
俺が何を言っても意味がないなら大人しく追放されるしかないのか?
「仕方ありません、ルビアに文句を言ったことを認めて謝罪しましょう。それでよろしいのですよね?」
「それで許されるはずがないだろう。処刑されたくなければ出ていけ。もうレクーナ男爵との問題ではなくなったのだ。ソーウェル伯爵家も絡んでいるのだから不興を買う訳にはいかない」
やはりルビア、そしてソーウェル伯爵家か。
そこまで俺に嫌がらせするなら仕方ない。
これからも嫌がらせされ続けるよりも新天地でエナと幸せに暮らしたほうがいい。
新天地まで影響力は及ばないだろうし、エナと幸せに暮らすことは最大の復讐になる。
こんな閉鎖的な貴族社会で生きるなんて、もう嫌だ。
俺はエナとの愛に生きる。
愛を素晴らしさを見せつけてやる。
* * * * * * * * * *
追放されても近隣の領地ではソーウェル伯爵家の影響を強く受ける。
かといって国内ではどこでまたルビアに嫌がらせされるかわからない。
目指すは外国。
ルビアもソーウェル伯爵家も力が及ばないところだ。
外国であってもエナと一緒なら幸せになれる。
愛に場所なんて関係ないからな。
「エナ、俺と一緒に外国に行かないか?」
「えっ、外国?急にどうしたの?旅行?」
「実は…親子の縁を切られて追放されることになったんだ」
「嘘でしょ!?どうしてそんなことになったのよ!?」
「ルビアの嫉妬が全ての元凶だ。こうなったら外国に逃げるしか俺たちが幸せになる道はないんだ」
「…アシューは貴族じゃなくなるの?」
「……そうなる」
エナが俺を睨む。
「騙されたわ。アシューが将来領主になるから婚約したのに…」
「身分を失っても愛は変わらない。だから安心してくれ」
「無理よ!貴族でなくなるアシューなんて嫌!騙すなんて酷い!それに私は知ってるの。ルビアと復縁しようとしたんでしょ?断られたからって許せるはずがないじゃない!」
そんなことは無いのに、エナは何を言っているんだ?
誤解か?
「そのような事実はないから安心してくれ。俺はいつだってエナだけを愛している」
「嘘よ。噂になっているもの。ルビアのところへ行ったのは事実でしょ?」
「確かにルビアのところには行った。だがそれは嫌がらせをやめるよう抗議しに行っただけだ。間違っても復縁なんて望んでいない」
「………信じられない」
「エナ……」
「嫌!触らないで!!」
エナが辛いときはいつだって俺が抱きしめて癒してあげた。
それが今では触れることすら嫌がられるようになってしまった。
もう俺のことは信用できないということか?
俺がルビアと復縁しようとしたなんて噂、広めたとすればルビア以外に考えられない。
どこまでも俺の邪魔をするつもりなのか!
だがそれよりも今はエナだ。
俺たちの愛は真実の愛ではなかったのか?
エナだって真実の愛があったから俺の婚約者になったのではなかったのか?
誤解さえ解ければ今まで通りになってくれるよな?
「アシューは嘘ばっかり。私がどれだけ惨めな思いをしたと思ってるの?平民だからって見下され笑い者にされるのは嫌なの!」
「だからそれはルビアが」
「いつも言い訳ばかり。もう信じられない。アシューなんてどこでも勝手に好きなところへ行けばいいわ!もう私には関わらないで!!」
「…………」
信じたくはないが、エナの愛は偽りだったのかもしれない。
……もうエナのことは諦めよう。
所詮俺がインガーロ男爵家を継ぐ立場にあったから俺を好きになったのだろう。
もうエナを信じられない。
エナが俺を信じないなら俺だってエナを信じない。
真実の愛なんてものはなかった。
* * * * * * * * * *
俺は失意のままエナの前から去った。
親子の縁を切られた俺に居場所はなく、もう外国を目指すしかなかった。
身分を失い愛も失った俺には何も無かった。
夢も希望もなく、ただ、死んでいないから生きているだけだった。
金が尽きれば俺は死ぬだろう。
俺の人生はいったい何だったのか……。
愛なんて全部嘘だ………。
父上から呼び出されて、第一声がそれだった。
自由?
それだけでは何を言いたいのかわからない。
「自由とは?」
「インガーロ男爵家の嫡男という立場はお前にとって良くないものだ。だから親子の縁を切る。お前はもう自由だ。どこへでも好きなところへ行くがいい」
「そんな!冗談ですよね?」
「冗談ではない。それとも処刑されたいか?ルビア嬢はずいぶんと怒っていたぞ。それこそ処刑を求めるくらいにな」
「なんだと……」
ルビアめ。
やはりルビアは俺の邪魔ばかりする。
処刑を望むなんて悪魔みたいな女だ。
だが問題はルビアの言い分を受け入れてしまった父上だ。
俺が何を言っても意味がないなら大人しく追放されるしかないのか?
「仕方ありません、ルビアに文句を言ったことを認めて謝罪しましょう。それでよろしいのですよね?」
「それで許されるはずがないだろう。処刑されたくなければ出ていけ。もうレクーナ男爵との問題ではなくなったのだ。ソーウェル伯爵家も絡んでいるのだから不興を買う訳にはいかない」
やはりルビア、そしてソーウェル伯爵家か。
そこまで俺に嫌がらせするなら仕方ない。
これからも嫌がらせされ続けるよりも新天地でエナと幸せに暮らしたほうがいい。
新天地まで影響力は及ばないだろうし、エナと幸せに暮らすことは最大の復讐になる。
こんな閉鎖的な貴族社会で生きるなんて、もう嫌だ。
俺はエナとの愛に生きる。
愛を素晴らしさを見せつけてやる。
* * * * * * * * * *
追放されても近隣の領地ではソーウェル伯爵家の影響を強く受ける。
かといって国内ではどこでまたルビアに嫌がらせされるかわからない。
目指すは外国。
ルビアもソーウェル伯爵家も力が及ばないところだ。
外国であってもエナと一緒なら幸せになれる。
愛に場所なんて関係ないからな。
「エナ、俺と一緒に外国に行かないか?」
「えっ、外国?急にどうしたの?旅行?」
「実は…親子の縁を切られて追放されることになったんだ」
「嘘でしょ!?どうしてそんなことになったのよ!?」
「ルビアの嫉妬が全ての元凶だ。こうなったら外国に逃げるしか俺たちが幸せになる道はないんだ」
「…アシューは貴族じゃなくなるの?」
「……そうなる」
エナが俺を睨む。
「騙されたわ。アシューが将来領主になるから婚約したのに…」
「身分を失っても愛は変わらない。だから安心してくれ」
「無理よ!貴族でなくなるアシューなんて嫌!騙すなんて酷い!それに私は知ってるの。ルビアと復縁しようとしたんでしょ?断られたからって許せるはずがないじゃない!」
そんなことは無いのに、エナは何を言っているんだ?
誤解か?
「そのような事実はないから安心してくれ。俺はいつだってエナだけを愛している」
「嘘よ。噂になっているもの。ルビアのところへ行ったのは事実でしょ?」
「確かにルビアのところには行った。だがそれは嫌がらせをやめるよう抗議しに行っただけだ。間違っても復縁なんて望んでいない」
「………信じられない」
「エナ……」
「嫌!触らないで!!」
エナが辛いときはいつだって俺が抱きしめて癒してあげた。
それが今では触れることすら嫌がられるようになってしまった。
もう俺のことは信用できないということか?
俺がルビアと復縁しようとしたなんて噂、広めたとすればルビア以外に考えられない。
どこまでも俺の邪魔をするつもりなのか!
だがそれよりも今はエナだ。
俺たちの愛は真実の愛ではなかったのか?
エナだって真実の愛があったから俺の婚約者になったのではなかったのか?
誤解さえ解ければ今まで通りになってくれるよな?
「アシューは嘘ばっかり。私がどれだけ惨めな思いをしたと思ってるの?平民だからって見下され笑い者にされるのは嫌なの!」
「だからそれはルビアが」
「いつも言い訳ばかり。もう信じられない。アシューなんてどこでも勝手に好きなところへ行けばいいわ!もう私には関わらないで!!」
「…………」
信じたくはないが、エナの愛は偽りだったのかもしれない。
……もうエナのことは諦めよう。
所詮俺がインガーロ男爵家を継ぐ立場にあったから俺を好きになったのだろう。
もうエナを信じられない。
エナが俺を信じないなら俺だってエナを信じない。
真実の愛なんてものはなかった。
* * * * * * * * * *
俺は失意のままエナの前から去った。
親子の縁を切られた俺に居場所はなく、もう外国を目指すしかなかった。
身分を失い愛も失った俺には何も無かった。
夢も希望もなく、ただ、死んでいないから生きているだけだった。
金が尽きれば俺は死ぬだろう。
俺の人生はいったい何だったのか……。
愛なんて全部嘘だ………。
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