真実の愛だからと平民女性を連れて堂々とパーティーに参加した元婚約者が大恥をかいたようです。

田太 優

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第14話

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私はお父様と一緒にインガーロ男爵に抗議しに行った。
顔色の悪いインガーロ男爵のもとへ案内され、事態を正しく把握していることがわかった。
とはいえここでの抗議はお父様が主役。
私はお父様の活躍を見守ることから始まる。

「アシュー殿にはずいぶんと迷惑をかけられた訳だが、その責任はどうやって取ってくれるんだ?」
「申し訳ない」

いつぞやと同じように、インガーロ男爵はテーブルに頭をぶつける勢いで頭を下げた。
このパフォーマンスはもう見飽きたし、何の効果もないことだって実証済み。

「そんなことよりもアシュー殿にどう責任を取らせるのかだ。どうお考えなのだ?」
「…アシューにも至らないところがあったとはいえ、そちらもやり過ぎではないのか?」
「ほほう、契約を反故にするのか」
「そうは言っていない。ただ、やり過ぎではないかと言っただけだ」
「それは文句であろう?一切文句を言わない契約だったはずだが?」
「……それはそうだが、限度があるだろう」

結局アシューの親だから似たようなものね。
どういった内容の契約であっても同意したのだから履行してもらわないと困る。
契約を軽んじるならそれでも構わないけど。

それからもくだらないやり取りが続いた。
インガーロ男爵は一貫して責任を回避しようとし、お父様は契約を遵守すべきという立場を崩さなかった。

「もういいです、お父様」
「…そうか」

これ以上は無駄なので私が止めた。
私のためにお父様ががんばってくれているのだから、私がもういいと言えばそれで終わり。
でも終わりにするのはこの場の無駄なやり取りだけ。
決して許した訳ではない。

「やはりアシューは処刑にでもすべきでしたね。こうやって何度も繰り返し迷惑をかけられたのですから。下手な温情は余計な問題しか引き起こさないことを学ばせてもらいました」
「そうか、それは良い学びとなったな。ではアシュー殿は処刑か?別にこれ以上生かしておく必要もないのだろう?」
「ま、待ってくれ」

インガーロ男爵が顔色を変えて制止してきた。
まさか本気にしたの?
こんなの本気ではないし、あくまでもインガーロ男爵に要求を飲ませるための嘘でしかないのに。

「また言い訳か?どうせその場逃れのことを言い出すのだろう?」
「ち、違う!アシューとは縁を切って追放する!だから処刑なんて言わないでくれ!」
「…どうする、ルビア」
「縁切りと追放ですか。本当にそうするなら構いませんよ。でももし嘘だったら…」

これは脅しを演じているだけ。
でもセレオン様と婚約した私にはソーウェル伯爵家が味方してくれるだろう。
本当に脅しになってしまうかも。

「嘘ではない!絶対に守る!」
「…期待せずに待ってますよ」
「ルビアがそれなら構わない。頼むぞ、インガーロ男爵」
「ああ……」

インガーロ男爵は力なく同意の言葉を発した。

アシューの処分が決まったのだから用は済んだので帰ることにする。
インガーロ男爵の言葉に嘘がないかは近日中に明らかになるはず。
あえて期日を決めなかったけど、誠意があるなら近日中にアシューが縁切りされて追放される。
また言い訳するようなら…それこそインガーロ男爵家の最後かもしれない。
そうなれば必然的にアシューも終わりだし、追放されても終わるだろう。
私はどちらでも構わない。

私を裏切ったアシューにはお似合いの末路しか残されていない。
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