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第4話
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「くそっ、叩きつけなくてもいいだろう……」
自室へと戻ってきたが額が痛む。
まったく父上も少しくらいは手加減してくれてもいいだろうに。
それにしても、まさかルビアがエナのことを知っていたとはな。
だが婚約破棄されたとはいえ都合がいい。
これでエナと婚約できるのだから。
ルビアは自分のことが正しいと信じて疑わない性格だし、一緒にいて心が安らがない。
あのまま結婚してしまったら俺の人生は終わったようなものだっただろう。
だから純朴で従順なエナに愛を見い出せた。
平民だろうが愛の前には身分差なんて関係ない。
いや、これこそが真実の愛なのだろう。
それに俺は将来インガーロ男爵家を継ぐ身だ。
悲しいが男爵家だから平民を娶っても問題はない。
もちろん貴族家の令嬢と結婚したほうがいいに決まっているが、否応なく相手の家との力関係が影響してくる。
同じ男爵家でも、肝心の婚約者…元婚約者がルビアみたいな女ではな。
ルビアのことを考えただけでイラついてくる。
こんな時こそエナに会いに行きたいが、きっとレクーナ男爵との話し合いが終われば父上は俺に話があるはずだ。
仕方ないが面倒なことを片付けてからエナに会いに行こう。
* * * * * * * * * *
レクーナ男爵との話し合いを終えた父上に呼ばれた。
俺を待っていたのは疲れた顔の父上だった。
「まったく、アシューのせいで大変なことになってしまったぞ…」
「こうなったのはルビアにも責任があります。いつも俺に対し偉そうな態度をしていました。酷いとは思いませんか?」
「それは今、問題にすべきことではない。問題はアシューが浮気したことだ。問題だと自覚しているのか?」
「本当の愛を見つけた相手です。浮気と思われるのも仕方ありませんが本気です。いつか婚約関係を解消しなくてはならなかったので、良いきっかけだったと思います」
「はぁ…」
俺としては名案だと思ったが、どうやら父上は気に入らなかったようだ。
どうせ謝罪なんかしたところでルビアは俺を責め何らかの制裁を下しただろう。
下手に謝罪すればルビアを調子付かせるだけだ。
謝罪は無意味ということだ。
そもそもルビアと婚約させたのは父上だ。
俺は好き好んでルビアと婚約したのではないのだから、父上にも責任がある。
昔の約束があったらしいが、そのせいで俺がこんな婚約をさせられたのだから、少しは反省してほしい。
「いかなる理由があっても婚約者がいるのに浮気は良くない。おかげで慰謝料を支払うことになったぞ」
「そうでしたか」
所詮慰謝料目当てなのだろう。
ルビアとの間には愛も信頼もなく、あったのは俺を言葉で精神的にいたぶるだけ。
その挙句が慰謝料とはな。
酷い女だ。
「どの道、もう婚約関係は終わった。この件もこれで終わりだ。支出は痛いがな」
「そうでしたか。では新たな婚約者を作らないといけませんね。でも安心してください。俺にはもうエナがいますから」
「あ、ああ。このようなことになってしまえば貴族家の令嬢を迎えることは難しいかもしれん。この際だから平民でも仕方ない。今度エナとやらを一度連れてきなさい」
「わかりました」
エナはあまり歓迎されていないのかもしれないが、一度会ってみれば素晴らしさを理解してくれるはずだ。
とにかくエナと婚約できることを良しとしなくては。
まだ正式に婚約を発表できないだろうがエナには知らせておいたほうがいいだろう。
父上との話を適当に終わらせ、俺はエナが働いている酒場へと向かった。
自室へと戻ってきたが額が痛む。
まったく父上も少しくらいは手加減してくれてもいいだろうに。
それにしても、まさかルビアがエナのことを知っていたとはな。
だが婚約破棄されたとはいえ都合がいい。
これでエナと婚約できるのだから。
ルビアは自分のことが正しいと信じて疑わない性格だし、一緒にいて心が安らがない。
あのまま結婚してしまったら俺の人生は終わったようなものだっただろう。
だから純朴で従順なエナに愛を見い出せた。
平民だろうが愛の前には身分差なんて関係ない。
いや、これこそが真実の愛なのだろう。
それに俺は将来インガーロ男爵家を継ぐ身だ。
悲しいが男爵家だから平民を娶っても問題はない。
もちろん貴族家の令嬢と結婚したほうがいいに決まっているが、否応なく相手の家との力関係が影響してくる。
同じ男爵家でも、肝心の婚約者…元婚約者がルビアみたいな女ではな。
ルビアのことを考えただけでイラついてくる。
こんな時こそエナに会いに行きたいが、きっとレクーナ男爵との話し合いが終われば父上は俺に話があるはずだ。
仕方ないが面倒なことを片付けてからエナに会いに行こう。
* * * * * * * * * *
レクーナ男爵との話し合いを終えた父上に呼ばれた。
俺を待っていたのは疲れた顔の父上だった。
「まったく、アシューのせいで大変なことになってしまったぞ…」
「こうなったのはルビアにも責任があります。いつも俺に対し偉そうな態度をしていました。酷いとは思いませんか?」
「それは今、問題にすべきことではない。問題はアシューが浮気したことだ。問題だと自覚しているのか?」
「本当の愛を見つけた相手です。浮気と思われるのも仕方ありませんが本気です。いつか婚約関係を解消しなくてはならなかったので、良いきっかけだったと思います」
「はぁ…」
俺としては名案だと思ったが、どうやら父上は気に入らなかったようだ。
どうせ謝罪なんかしたところでルビアは俺を責め何らかの制裁を下しただろう。
下手に謝罪すればルビアを調子付かせるだけだ。
謝罪は無意味ということだ。
そもそもルビアと婚約させたのは父上だ。
俺は好き好んでルビアと婚約したのではないのだから、父上にも責任がある。
昔の約束があったらしいが、そのせいで俺がこんな婚約をさせられたのだから、少しは反省してほしい。
「いかなる理由があっても婚約者がいるのに浮気は良くない。おかげで慰謝料を支払うことになったぞ」
「そうでしたか」
所詮慰謝料目当てなのだろう。
ルビアとの間には愛も信頼もなく、あったのは俺を言葉で精神的にいたぶるだけ。
その挙句が慰謝料とはな。
酷い女だ。
「どの道、もう婚約関係は終わった。この件もこれで終わりだ。支出は痛いがな」
「そうでしたか。では新たな婚約者を作らないといけませんね。でも安心してください。俺にはもうエナがいますから」
「あ、ああ。このようなことになってしまえば貴族家の令嬢を迎えることは難しいかもしれん。この際だから平民でも仕方ない。今度エナとやらを一度連れてきなさい」
「わかりました」
エナはあまり歓迎されていないのかもしれないが、一度会ってみれば素晴らしさを理解してくれるはずだ。
とにかくエナと婚約できることを良しとしなくては。
まだ正式に婚約を発表できないだろうがエナには知らせておいたほうがいいだろう。
父上との話を適当に終わらせ、俺はエナが働いている酒場へと向かった。
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