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第1話
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「ルビアお嬢様、残念なお知らせでございます。アシュー様は浮気しておられました」
「そうだったの…」
執事から告げられた事実。
アシューは私の婚約者で、以前から浮気しているのではないかと怪しんでいた。
でも婚約者のことを信じなくてどうするのかと思っていた私が悪かった。
もっと早くに調べておけばアシューのために無駄なことをしなくて済んだのに。
親同士で決めた婚約とはいえ私は領主の娘。
自分の役割は理解している。
アシューだって領主の息子であり、インガーロ男爵家を継ぐ立場。
それなのにアシューは自分の立場を理解しておらず、両家の関係を悪化させるようなことをしてしまった。
「相手のことも調べているわよね?」
「もちろんでございます。エナという酒場で働いている平民です」
「そうだったの……」
私はレクーナ男爵家の娘。
アシューは隣のインガーロ男爵家の令息。
浮気相手は平民の女性。
釣り合いの取れる身分ではなく、わざわざ平民を選んだのは、きっと手を出しても権力でどうにでもなるからだと思う。
でもそれは私への許することできない裏切り。
本気だろうが一時の気の迷いだろうが許すことはできない。
「アシューはどれだけ相手に本気なのかもわかる?」
「…申し上げにくいのですが、相当に本気のようです」
執事が言い淀んだのも当然だ。
私という婚約者がいるのに浮気して、しかもその相手が平民なのに本気になってしまったのだから。
どれだけ私を馬鹿にするつもりなのだろう。
それにレクーナ男爵家への侮辱でもある。
「こうなった以上、何事もなかったことにはできないわね。お父様とも相談しないと。お父様の予定は?」
「夜になるまで時間は取れません」
「わかったわ。もう下がっていいわよ」
「はっ」
執事は一礼して部屋から出ていった。
「……許せない」
改めて考えると怒りが湧いてきた。
お父様だって私がコケにされたのだから怒るはず。
怒らないとレクーナ男爵家が舐められてしまうもの。
問題はどの程度まで制裁するか。
この地域は弱小貴族家が多いので力を合わせなくては共倒れになってしまうかもしれない。
私とアシューの問題だけではなく周辺の貴族家まで巻き込む問題でもあるのだ。
「本当、面倒なことしてくれたわね」
私だけで考えて方針を決められる問題ではないので、お父様との話し合いを待つことにする。
* * * * * * * * * *
夜になり、お父様との話し合いが始まった。
お父様は執事から既に報告を受けているので、この場ですべきことは今後の方針を決めること。
「それにしてもアシューには失望したよ。ルビアがいるのに、まさか浮気するとはな。これではもうインガーロ男爵家のことは信用できないな」
「そうですね」
「一応念のため確認しておく。ルビアはアシューとどうしたい?」
「許すつもりもなければ、やり直すつもりもありません。もう婚約破棄しか考えられません」
「わかった」
私の希望を伝えたとして、実際にどの程度希望に沿えるかはわからない。
でもお父様のことだから私の希望を叶えるべく全力を尽くしてくれるはず。
「どうせだからルビアも一緒にインガーロ男爵領まで行って婚約破棄を伝えるか?その場で慰謝料や制裁について話ができるぞ?」
お父様が悪そうな顔で言った。
こちらから行ってあげれば余計な手間もかからないだろう。
呼び出したところで渋られるかもしれないし、こちらから赴けばアシューもインガーロ男爵もいるだろう。
「そうですね、そうしましょう」
悩まなかった。
どうせなら一度でケリをつけたほうがいいから。
逃がすつもりはないということだし、面倒なことはその場で済ませてしまえるなら済ませたい。
それからはどう制裁するかを話し合った。
方針は決まった。
後はインガーロ男爵に訪問の約束を取り付けてからになる。
私はアシューを許さないし、信頼を裏切ったインガーロ男爵家もただでは済ませない。
責任はきっちり取らせないと。
それに信用できない領地が隣にあるのは落ち着かない。
その機会に徹底的に叩きのめしたほうがいいかも。
「そうだったの…」
執事から告げられた事実。
アシューは私の婚約者で、以前から浮気しているのではないかと怪しんでいた。
でも婚約者のことを信じなくてどうするのかと思っていた私が悪かった。
もっと早くに調べておけばアシューのために無駄なことをしなくて済んだのに。
親同士で決めた婚約とはいえ私は領主の娘。
自分の役割は理解している。
アシューだって領主の息子であり、インガーロ男爵家を継ぐ立場。
それなのにアシューは自分の立場を理解しておらず、両家の関係を悪化させるようなことをしてしまった。
「相手のことも調べているわよね?」
「もちろんでございます。エナという酒場で働いている平民です」
「そうだったの……」
私はレクーナ男爵家の娘。
アシューは隣のインガーロ男爵家の令息。
浮気相手は平民の女性。
釣り合いの取れる身分ではなく、わざわざ平民を選んだのは、きっと手を出しても権力でどうにでもなるからだと思う。
でもそれは私への許することできない裏切り。
本気だろうが一時の気の迷いだろうが許すことはできない。
「アシューはどれだけ相手に本気なのかもわかる?」
「…申し上げにくいのですが、相当に本気のようです」
執事が言い淀んだのも当然だ。
私という婚約者がいるのに浮気して、しかもその相手が平民なのに本気になってしまったのだから。
どれだけ私を馬鹿にするつもりなのだろう。
それにレクーナ男爵家への侮辱でもある。
「こうなった以上、何事もなかったことにはできないわね。お父様とも相談しないと。お父様の予定は?」
「夜になるまで時間は取れません」
「わかったわ。もう下がっていいわよ」
「はっ」
執事は一礼して部屋から出ていった。
「……許せない」
改めて考えると怒りが湧いてきた。
お父様だって私がコケにされたのだから怒るはず。
怒らないとレクーナ男爵家が舐められてしまうもの。
問題はどの程度まで制裁するか。
この地域は弱小貴族家が多いので力を合わせなくては共倒れになってしまうかもしれない。
私とアシューの問題だけではなく周辺の貴族家まで巻き込む問題でもあるのだ。
「本当、面倒なことしてくれたわね」
私だけで考えて方針を決められる問題ではないので、お父様との話し合いを待つことにする。
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夜になり、お父様との話し合いが始まった。
お父様は執事から既に報告を受けているので、この場ですべきことは今後の方針を決めること。
「それにしてもアシューには失望したよ。ルビアがいるのに、まさか浮気するとはな。これではもうインガーロ男爵家のことは信用できないな」
「そうですね」
「一応念のため確認しておく。ルビアはアシューとどうしたい?」
「許すつもりもなければ、やり直すつもりもありません。もう婚約破棄しか考えられません」
「わかった」
私の希望を伝えたとして、実際にどの程度希望に沿えるかはわからない。
でもお父様のことだから私の希望を叶えるべく全力を尽くしてくれるはず。
「どうせだからルビアも一緒にインガーロ男爵領まで行って婚約破棄を伝えるか?その場で慰謝料や制裁について話ができるぞ?」
お父様が悪そうな顔で言った。
こちらから行ってあげれば余計な手間もかからないだろう。
呼び出したところで渋られるかもしれないし、こちらから赴けばアシューもインガーロ男爵もいるだろう。
「そうですね、そうしましょう」
悩まなかった。
どうせなら一度でケリをつけたほうがいいから。
逃がすつもりはないということだし、面倒なことはその場で済ませてしまえるなら済ませたい。
それからはどう制裁するかを話し合った。
方針は決まった。
後はインガーロ男爵に訪問の約束を取り付けてからになる。
私はアシューを許さないし、信頼を裏切ったインガーロ男爵家もただでは済ませない。
責任はきっちり取らせないと。
それに信用できない領地が隣にあるのは落ち着かない。
その機会に徹底的に叩きのめしたほうがいいかも。
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