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魂の還る惑星 第四章 アトボシ
第四章 第四話
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「女の子だけで行くんでしょ。小夜ちゃん、男子と話せないからって部活にも入ってないくらいなんだし」
「なんでそんなこと知ってるんですか?」
小夜が驚いたように目を丸くした。
柊矢も意外そうな表情を楸矢に向けた。
「清美ちゃんから聞いたんだよ」
「清美、そんなことまで……」
小夜は溜息を吐いた。
この分では小夜の学校での行動は楸矢に筒抜けになっていると考えた方が良さそうだ。
「クレーイスから聴こえたってことはムーシケーの意志だから仕方ないな。後で、その家の住所と旅行の日程と一緒に行く友達の名前を教えてくれ」
「でも、その間、ご飯とかお掃除とかは……」
「それ気にしてて言い出せなかったんだ」
清美が遺産のことを聞いてきたのも旅行に誘われた小夜が躊躇っているのを見て金の心配をしていると思ったのだろう。
「いえ、その……」
「心配しなくても食事はデリバリーがあるし、掃除なんか一週間や二週間しなくても死なないから大丈夫だよ」
「つまり掃除サボったことがあるんだな、二週間も。お前、自分の部屋の掃除ちゃんとしてるんだろうな!」
柊矢が怖い顔で楸矢を睨んだ。
「いや、今のは言葉の綾って言うか……」
楸矢は慌てて手を振った。
今まで眼中に入ってなかったのに、なんで存在に気付いた途端怒ってばっかなんだよ……。
楸矢は心の中でぼやいた。
朝、登校すると清美達が沈んだ顔をしていた。
「どうしたの?」
「お母さんにダメって言われちゃった。高校生だけで泊まりがけの旅行なんか行かせられないって」
涼花がそう答えると、
「あたしも全く同じこと言われた」
と清美も言った。
「それじゃあ……」
「小夜は!?」
香奈が勢いよく聞いてきた。
「え?」
「小夜だけでも一緒に行ってくれるよね!」
香奈が小夜の手を両手で握りしめて切羽詰まった表情で聞いてきた。
留守番って、そこまで必死になるほどのこと?
小夜は首を傾げた。
「小夜まで保護者なしはダメなんて言わないよね!」
「言うに決まってんじゃん。うちの親でさえダメって言ったのに、心配性の柊矢さんが許すわけないじゃん」
小夜が答えようとしたときクレーイスが一瞬光った。
あっ……!
「清美や涼花は私達だけだからダメって言われたんだよね?」
「うん」
「それなら、柊矢さんに保護者として付いてきてもらうのはダメかな。後、出来れば楸矢さんも一緒に……保護者が二人も一緒なら清美や涼花も許してもらえるんじゃない?」
「それいい!」
清美が身を乗り出して言った。
「小夜の保護者が一緒に行くって言えばうちの親も許してくれるよ。ていうか、楸矢さんが行くならどんなことしてでも絶対一緒に行く!」
「お母さんに聞いてみないと分からないけど、多分いいって言ってくれると思うよ。大人が一緒ならますます心強いし、男の人だけど小夜の保護者なら大丈夫だと思う」
「あたしも、小夜の保護者が一緒って言えば許してもらえるかも。友達の親って言い間違えちゃうかもしれないけど」
涼花が冗談めかして言った。
「そっか。親が一緒なら絶対許してくれるよね。あたしも友達の親って言い間違えよっと」
それ言い間違いじゃなくて嘘って言うんじゃ……。
「柊矢さん達の都合聞いてみないと分からないけど。今日聞いておく」
「よろしくね!」
香奈が勢い込んで言った。
「あの……」
夕食の席に着いたとき小夜が口を開いた。
「どうした?」
小夜は教室でクレーイスが光ったことを話した。
「清美や涼花が親に許可してもらえなかったから行かれないって言ったときだったんです」
「その二人ってムーシコスじゃないんだよね? なんの関係があるんだろ」
「清美達は高校生だけで行くのはダメって言われたそうなんです。親戚の家へはクレーイス・エコーとして行くので、柊矢さんと楸矢さんも一緒にってことじゃないかと思って、私の後見人の柊矢さんと楸矢さんが保護者として付いていくのはどうかって提案しちゃったんですけど……」
「俺達もその香奈って子の親戚の家に泊まるってことか?」
「はい」
「その子の親や親戚の許可は取ったのか」
「香奈が今日聞くそうですけど、多分大丈夫だと思うって言ってました。大人が付いてきてくれるなら心強いって言ってましたから。田舎の家だから部屋の数も足りるそうです」
「俺は別に構わない。ホテルをキャンセルすればいいだけだからな」
「柊兄、随いてく気だったの!?」
楸矢が驚いたように大声を出した。
小夜も知らなかったらしく、びっくりした顔をしていた。
「高校一年の女の子達だけで泊まりがけの旅行に行かせる保護者がいるわけないだろ」
確かに清美や涼花に許可が下りなかったのもそれが理由だ。
「俺も特に予定はないから構わないよ」
「事後承諾になっちゃってすみません」
小夜が頭を下げた。
「気にすることないよ。おかげで俺達も旅行出来るんだし」
「お前、自分の分のチケット、手配しておけよ」
つまり、柊兄はもうチケットも手配してあるんだ……。
楸矢は柊矢の手回しの良さに舌を巻いた。
けど、何も言ってなかったってことは、もし俺も一緒に行くことにならなければ当日にいきなり小夜ちゃんに同行するからって言っていなくなったってことだよな……。
何日か一人にされたところで困るような年ではないが事前に分かっている旅行の予定くらいは教えておいてほしい。
やっぱ、存在に気付いたといってもパイプ椅子がダイニングチェアに変わった程度で基本は喋るイスなのか……。
楸矢は溜息を吐いた。
「なんでそんなこと知ってるんですか?」
小夜が驚いたように目を丸くした。
柊矢も意外そうな表情を楸矢に向けた。
「清美ちゃんから聞いたんだよ」
「清美、そんなことまで……」
小夜は溜息を吐いた。
この分では小夜の学校での行動は楸矢に筒抜けになっていると考えた方が良さそうだ。
「クレーイスから聴こえたってことはムーシケーの意志だから仕方ないな。後で、その家の住所と旅行の日程と一緒に行く友達の名前を教えてくれ」
「でも、その間、ご飯とかお掃除とかは……」
「それ気にしてて言い出せなかったんだ」
清美が遺産のことを聞いてきたのも旅行に誘われた小夜が躊躇っているのを見て金の心配をしていると思ったのだろう。
「いえ、その……」
「心配しなくても食事はデリバリーがあるし、掃除なんか一週間や二週間しなくても死なないから大丈夫だよ」
「つまり掃除サボったことがあるんだな、二週間も。お前、自分の部屋の掃除ちゃんとしてるんだろうな!」
柊矢が怖い顔で楸矢を睨んだ。
「いや、今のは言葉の綾って言うか……」
楸矢は慌てて手を振った。
今まで眼中に入ってなかったのに、なんで存在に気付いた途端怒ってばっかなんだよ……。
楸矢は心の中でぼやいた。
朝、登校すると清美達が沈んだ顔をしていた。
「どうしたの?」
「お母さんにダメって言われちゃった。高校生だけで泊まりがけの旅行なんか行かせられないって」
涼花がそう答えると、
「あたしも全く同じこと言われた」
と清美も言った。
「それじゃあ……」
「小夜は!?」
香奈が勢いよく聞いてきた。
「え?」
「小夜だけでも一緒に行ってくれるよね!」
香奈が小夜の手を両手で握りしめて切羽詰まった表情で聞いてきた。
留守番って、そこまで必死になるほどのこと?
小夜は首を傾げた。
「小夜まで保護者なしはダメなんて言わないよね!」
「言うに決まってんじゃん。うちの親でさえダメって言ったのに、心配性の柊矢さんが許すわけないじゃん」
小夜が答えようとしたときクレーイスが一瞬光った。
あっ……!
「清美や涼花は私達だけだからダメって言われたんだよね?」
「うん」
「それなら、柊矢さんに保護者として付いてきてもらうのはダメかな。後、出来れば楸矢さんも一緒に……保護者が二人も一緒なら清美や涼花も許してもらえるんじゃない?」
「それいい!」
清美が身を乗り出して言った。
「小夜の保護者が一緒に行くって言えばうちの親も許してくれるよ。ていうか、楸矢さんが行くならどんなことしてでも絶対一緒に行く!」
「お母さんに聞いてみないと分からないけど、多分いいって言ってくれると思うよ。大人が一緒ならますます心強いし、男の人だけど小夜の保護者なら大丈夫だと思う」
「あたしも、小夜の保護者が一緒って言えば許してもらえるかも。友達の親って言い間違えちゃうかもしれないけど」
涼花が冗談めかして言った。
「そっか。親が一緒なら絶対許してくれるよね。あたしも友達の親って言い間違えよっと」
それ言い間違いじゃなくて嘘って言うんじゃ……。
「柊矢さん達の都合聞いてみないと分からないけど。今日聞いておく」
「よろしくね!」
香奈が勢い込んで言った。
「あの……」
夕食の席に着いたとき小夜が口を開いた。
「どうした?」
小夜は教室でクレーイスが光ったことを話した。
「清美や涼花が親に許可してもらえなかったから行かれないって言ったときだったんです」
「その二人ってムーシコスじゃないんだよね? なんの関係があるんだろ」
「清美達は高校生だけで行くのはダメって言われたそうなんです。親戚の家へはクレーイス・エコーとして行くので、柊矢さんと楸矢さんも一緒にってことじゃないかと思って、私の後見人の柊矢さんと楸矢さんが保護者として付いていくのはどうかって提案しちゃったんですけど……」
「俺達もその香奈って子の親戚の家に泊まるってことか?」
「はい」
「その子の親や親戚の許可は取ったのか」
「香奈が今日聞くそうですけど、多分大丈夫だと思うって言ってました。大人が付いてきてくれるなら心強いって言ってましたから。田舎の家だから部屋の数も足りるそうです」
「俺は別に構わない。ホテルをキャンセルすればいいだけだからな」
「柊兄、随いてく気だったの!?」
楸矢が驚いたように大声を出した。
小夜も知らなかったらしく、びっくりした顔をしていた。
「高校一年の女の子達だけで泊まりがけの旅行に行かせる保護者がいるわけないだろ」
確かに清美や涼花に許可が下りなかったのもそれが理由だ。
「俺も特に予定はないから構わないよ」
「事後承諾になっちゃってすみません」
小夜が頭を下げた。
「気にすることないよ。おかげで俺達も旅行出来るんだし」
「お前、自分の分のチケット、手配しておけよ」
つまり、柊兄はもうチケットも手配してあるんだ……。
楸矢は柊矢の手回しの良さに舌を巻いた。
けど、何も言ってなかったってことは、もし俺も一緒に行くことにならなければ当日にいきなり小夜ちゃんに同行するからって言っていなくなったってことだよな……。
何日か一人にされたところで困るような年ではないが事前に分かっている旅行の予定くらいは教えておいてほしい。
やっぱ、存在に気付いたといってもパイプ椅子がダイニングチェアに変わった程度で基本は喋るイスなのか……。
楸矢は溜息を吐いた。
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