6 / 144
第一章 凍れる音楽
第六話
しおりを挟む
服はユニクロで揃えた。
「小夜ちゃん、カジュアルブランドとか着ないの? 可愛い服、似合いそうなのに」
楸矢はそう言ったが、そういう店で服を買うとなると、どうしてもあれこれ迷ってしまって選ぶのに時間がかかる。
それに、柊矢は気にするなといったがやはりお金のことが気になったのでユニクロにしておいた。
「次はどこだ?」
柊矢が車を出しながら訊ねた。
下着もユニクロで間に合ったし、あと当面必要なものは……。
小夜が黙り込んでいると、柊矢は車をドラッグストアの隣に止めた。
「ここで待ってるから必要なものを買ってこい」
そう言って一万円札を小夜に渡した。
分かってくれて良かった。
小夜は必要なものを買うと、厳重に包んでもらった袋を抱えて車に戻った。
柊矢にお釣りを返すと、
「次は制服と教科書と文房具か」
と言って車を出した。
「制服と教科書は……」
小夜は俯いた。
お金を稼ぐ方法がなければこのまま高校へ行くことは出来ない。
奨学金も考えないではなかったが、申込方法も申込先も分からない。
「都立高校の学費なんて大したことないだろ」
小夜の考えを察した柊矢が言った。
「でも、生活費とかも必要ですし、そう言うお金のことを考えたら、高校を辞めて働いた方がいいのかなって……」
「金の方は大丈夫だろ」
「え?」
柊矢は車を駐車場に入れながら言った。
「とにかく、制服を買いに行くぞ」
そう言うと小夜の腕を掴んで強引に店に入った。
制服を買った後、昼食をファミレスでとってから教科書と文房具を買い、最後に夕食の買い出しをして家に戻った。
小夜が買ってきたものを冷蔵庫に入れ、夕食の支度をしようとしたとき、
「今日はまだ一回も歌ってないでしょ。俺、歌うとこ見たいから歌ってよ」
楸矢はそう言って小夜を音楽室へ連れて行った。
棚から木製の横笛を取り出すと、吹き始めた。
小夜が歌い始めると、柊矢も入ってきてキタラを弾き始めた。すぐに小夜の声にあわせて他の歌い手達が歌い始めた。
歌と演奏のハーモニーが東京の街に広がる。街を覆うように旋律が流れていく。
これ以上悲しいことが起こりませんように。
明日がみんなにとって良い日でありますように。
小夜が祈るように歌う。
それに答えるように斉唱が、重唱が、副旋律を歌うコーラスが、演奏と重なり天に昇っていく。
この祈りがどうか天に届きますように。
最後の歌が終わり、演奏がやむと、小夜は息をついた。
なんだか気持ちが楽になったような気がした。
「有難うございました」
小夜は二人に頭を下げると台所へ向かった。
昨日の反省をいかして、今日は柊矢達がこんなに沢山食べられるのかと不安になるほど作った。
しかし、そんな心配は無用だった。
柊矢も楸矢もぺろりと平らげてしまった。
ここんち、エンゲル係数高そう。
食後のお茶――柊矢と楸矢はコーヒーだが――になったとき、小夜は思いきって気になっていたことを訊ねた。
「あの、お金の心配が無いってどういうことですか?」
「普通は生命保険や火災保険なんかに入ってるものだからな。君のお祖父さんも入ってたと思う。それに身内がお祖父さん一人しかいなかったなら、自分に何かあったときのために信託財産を積み立ててた可能性もある」
柊矢はそう言ってから、
「焼け跡から耐火金庫が見つかった。多分、その中に書類が入ってるはずだ。開け方、分かるか?」
小夜は首を振った。
「なら錠前屋を呼んで壊してもらっていいか?」
「はい」
「君が良ければ中身を調べて、保険の請求なんかをやっておくが」
「有難うございます。でも、どうしてそこまでしてくれるんですか?」
小夜の問いに、
「祖父から一度拾った生き物は最後まで責任を持って面倒を見るように言われてる」
「女子高生拾ったのは初めてだけどね」
楸矢が冗談っぽく言った。
柊矢はコーヒーのマグカップを持つと自分の部屋へ戻っていった。
生き物……。
柊矢さん達にとってはそのレベルなんだ……。
その方が気は楽だけど。
「まぁ、冗談は置いといて、似てるから、かな」
「え?」
「俺達も祖父ちゃんに育てられたんだ。祖母ちゃんと両親は早くに死んで、顔も写真を見たことがあるだけで……柊兄は父さんと母さんのこと覚えてるかもしれないけど」
「楸矢さん達も……」
「歌が聴こえる人に会ったのも初めてだし」
「私も初めてです」
「誰かに話したことある?」
「いえ、言っちゃいけないって言われてたので」
「だよなぁ。俺達もそう言われててさ。まぁ、それは正解だったんだけど」
「どういうことですか?」
楸矢が十一歳の時だった。
柊矢と楸矢は祖父が運転する車の後部座席にいた。
嵐の夜で視界が悪かった。
ずっと歌が聴こえていた。
祖父は歌の話をすると怒るから口には出せなかったが、柊矢と楸矢は眼で合図していた。
何となく、嫌な予感がした。
歌に誰かの悪意を感じた。
この嵐は歌のせいだ。
祖父に車を止めるよう頼もうとしたとき、正面からダンプカーが突っ込んできた。
一瞬、白い森が見えた。
気が付いたら病院だった。
トラック運転手の居眠り運転が事故の原因だったそうだ。
柊矢と楸矢は気を失っただけで奇跡的にかすり傷程度で済んだが祖父は亡くなったと告げられた。
楸矢は警察の事情聴取で、普通の人には聴こえない歌が嵐を起こしたから事故が起きたんだと訴えた。
「それで、どうなったんですか?」
「あやうく精神科病棟に移されるところだった」
まぁ、そうだろう。
それは容易に想像が付く。
「カウンセラーが来たとき、ヤバい!って思ってさ、頭が痛くて事故のことはよく覚えてないってごまかした。事情聴取で言ったことも記憶にないって」
あの火事の夜、小夜が家を出たときも歌が聴こえていた。
嵐ではなかったが強い風が吹いていた。
まさか、ね。
「それで懲りればいいのにさぁ、俺ってバカだからまたやらかしたんだよね」
「え?」
「中三の時、付き合ってた彼女に言っちゃったんだ。お互い秘密を持つのはよそうって言われて正直に打ち明けた」
「それで、どうなったんですか?」
小夜は思わず身を乗り出した。
「なんか急によそよそしくなっちゃってさ。彼女の友達まで俺のこと変な目で見るし」
私だったら好きな人が言ったことなら、たとえ自分には歌が聴こえなくても信じると思うけど……それは自分が聴こえるからそう思うのかな。
「参るよね。友達にまで言いふらすなんてさ。見る目なかったんだなぁ。でも、それに懲りて、その後は例え相手が彼女でも言わないことにしたんだ」
「どうして歌が聴こえる人と聴こえない人がいるんでしょう」
「どうしてかなぁ」
楸矢はそう言うと大きなあくびをした。
「小夜ちゃん、お風呂に入ってきなよ。俺が片付けておくからさ」
「そんな、昨日も片付けてもらったのに……」
「いいから、ほら」
楸矢は小夜を台所から送り出すと、片付けを始めた。
制服や教科書を買ってもらったので、小夜は明日から学校へ行くことになった。
柊矢からこの家から学校までの行き方を教えてもらった。
バス通学になるので定期券も買ってもらった。
あ、学校に行くならお弁当作らなきゃ。
柊矢さんと楸矢さんの分も。
小夜はとりあえず風呂に入ることにした。出る頃には片付けも終わっているだろう。
翌日、学校へ行くとクラスメイト達が集まってきた。
「心配かけちゃってゴメンね」
小夜がそう言うと、
「お葬式は? まだだよね?」
「うん、司法解剖って言うのをしないといけないから時間がかかるんだって」
そんな話をしていると、予鈴が鳴った。
霧生家から学校への通学は、明治通りを走るバスに乗るので超高層ビル群のそばは通らない。
バスの中で歌が聴こえてきたが、さすがにここでは歌えない。
音楽室でいつでも歌っていいと言われているので、夕食の支度の前に歌わせてもらおう。
小夜は夕食の献立を考えながらバスに揺られていた。
「小夜ちゃん、カジュアルブランドとか着ないの? 可愛い服、似合いそうなのに」
楸矢はそう言ったが、そういう店で服を買うとなると、どうしてもあれこれ迷ってしまって選ぶのに時間がかかる。
それに、柊矢は気にするなといったがやはりお金のことが気になったのでユニクロにしておいた。
「次はどこだ?」
柊矢が車を出しながら訊ねた。
下着もユニクロで間に合ったし、あと当面必要なものは……。
小夜が黙り込んでいると、柊矢は車をドラッグストアの隣に止めた。
「ここで待ってるから必要なものを買ってこい」
そう言って一万円札を小夜に渡した。
分かってくれて良かった。
小夜は必要なものを買うと、厳重に包んでもらった袋を抱えて車に戻った。
柊矢にお釣りを返すと、
「次は制服と教科書と文房具か」
と言って車を出した。
「制服と教科書は……」
小夜は俯いた。
お金を稼ぐ方法がなければこのまま高校へ行くことは出来ない。
奨学金も考えないではなかったが、申込方法も申込先も分からない。
「都立高校の学費なんて大したことないだろ」
小夜の考えを察した柊矢が言った。
「でも、生活費とかも必要ですし、そう言うお金のことを考えたら、高校を辞めて働いた方がいいのかなって……」
「金の方は大丈夫だろ」
「え?」
柊矢は車を駐車場に入れながら言った。
「とにかく、制服を買いに行くぞ」
そう言うと小夜の腕を掴んで強引に店に入った。
制服を買った後、昼食をファミレスでとってから教科書と文房具を買い、最後に夕食の買い出しをして家に戻った。
小夜が買ってきたものを冷蔵庫に入れ、夕食の支度をしようとしたとき、
「今日はまだ一回も歌ってないでしょ。俺、歌うとこ見たいから歌ってよ」
楸矢はそう言って小夜を音楽室へ連れて行った。
棚から木製の横笛を取り出すと、吹き始めた。
小夜が歌い始めると、柊矢も入ってきてキタラを弾き始めた。すぐに小夜の声にあわせて他の歌い手達が歌い始めた。
歌と演奏のハーモニーが東京の街に広がる。街を覆うように旋律が流れていく。
これ以上悲しいことが起こりませんように。
明日がみんなにとって良い日でありますように。
小夜が祈るように歌う。
それに答えるように斉唱が、重唱が、副旋律を歌うコーラスが、演奏と重なり天に昇っていく。
この祈りがどうか天に届きますように。
最後の歌が終わり、演奏がやむと、小夜は息をついた。
なんだか気持ちが楽になったような気がした。
「有難うございました」
小夜は二人に頭を下げると台所へ向かった。
昨日の反省をいかして、今日は柊矢達がこんなに沢山食べられるのかと不安になるほど作った。
しかし、そんな心配は無用だった。
柊矢も楸矢もぺろりと平らげてしまった。
ここんち、エンゲル係数高そう。
食後のお茶――柊矢と楸矢はコーヒーだが――になったとき、小夜は思いきって気になっていたことを訊ねた。
「あの、お金の心配が無いってどういうことですか?」
「普通は生命保険や火災保険なんかに入ってるものだからな。君のお祖父さんも入ってたと思う。それに身内がお祖父さん一人しかいなかったなら、自分に何かあったときのために信託財産を積み立ててた可能性もある」
柊矢はそう言ってから、
「焼け跡から耐火金庫が見つかった。多分、その中に書類が入ってるはずだ。開け方、分かるか?」
小夜は首を振った。
「なら錠前屋を呼んで壊してもらっていいか?」
「はい」
「君が良ければ中身を調べて、保険の請求なんかをやっておくが」
「有難うございます。でも、どうしてそこまでしてくれるんですか?」
小夜の問いに、
「祖父から一度拾った生き物は最後まで責任を持って面倒を見るように言われてる」
「女子高生拾ったのは初めてだけどね」
楸矢が冗談っぽく言った。
柊矢はコーヒーのマグカップを持つと自分の部屋へ戻っていった。
生き物……。
柊矢さん達にとってはそのレベルなんだ……。
その方が気は楽だけど。
「まぁ、冗談は置いといて、似てるから、かな」
「え?」
「俺達も祖父ちゃんに育てられたんだ。祖母ちゃんと両親は早くに死んで、顔も写真を見たことがあるだけで……柊兄は父さんと母さんのこと覚えてるかもしれないけど」
「楸矢さん達も……」
「歌が聴こえる人に会ったのも初めてだし」
「私も初めてです」
「誰かに話したことある?」
「いえ、言っちゃいけないって言われてたので」
「だよなぁ。俺達もそう言われててさ。まぁ、それは正解だったんだけど」
「どういうことですか?」
楸矢が十一歳の時だった。
柊矢と楸矢は祖父が運転する車の後部座席にいた。
嵐の夜で視界が悪かった。
ずっと歌が聴こえていた。
祖父は歌の話をすると怒るから口には出せなかったが、柊矢と楸矢は眼で合図していた。
何となく、嫌な予感がした。
歌に誰かの悪意を感じた。
この嵐は歌のせいだ。
祖父に車を止めるよう頼もうとしたとき、正面からダンプカーが突っ込んできた。
一瞬、白い森が見えた。
気が付いたら病院だった。
トラック運転手の居眠り運転が事故の原因だったそうだ。
柊矢と楸矢は気を失っただけで奇跡的にかすり傷程度で済んだが祖父は亡くなったと告げられた。
楸矢は警察の事情聴取で、普通の人には聴こえない歌が嵐を起こしたから事故が起きたんだと訴えた。
「それで、どうなったんですか?」
「あやうく精神科病棟に移されるところだった」
まぁ、そうだろう。
それは容易に想像が付く。
「カウンセラーが来たとき、ヤバい!って思ってさ、頭が痛くて事故のことはよく覚えてないってごまかした。事情聴取で言ったことも記憶にないって」
あの火事の夜、小夜が家を出たときも歌が聴こえていた。
嵐ではなかったが強い風が吹いていた。
まさか、ね。
「それで懲りればいいのにさぁ、俺ってバカだからまたやらかしたんだよね」
「え?」
「中三の時、付き合ってた彼女に言っちゃったんだ。お互い秘密を持つのはよそうって言われて正直に打ち明けた」
「それで、どうなったんですか?」
小夜は思わず身を乗り出した。
「なんか急によそよそしくなっちゃってさ。彼女の友達まで俺のこと変な目で見るし」
私だったら好きな人が言ったことなら、たとえ自分には歌が聴こえなくても信じると思うけど……それは自分が聴こえるからそう思うのかな。
「参るよね。友達にまで言いふらすなんてさ。見る目なかったんだなぁ。でも、それに懲りて、その後は例え相手が彼女でも言わないことにしたんだ」
「どうして歌が聴こえる人と聴こえない人がいるんでしょう」
「どうしてかなぁ」
楸矢はそう言うと大きなあくびをした。
「小夜ちゃん、お風呂に入ってきなよ。俺が片付けておくからさ」
「そんな、昨日も片付けてもらったのに……」
「いいから、ほら」
楸矢は小夜を台所から送り出すと、片付けを始めた。
制服や教科書を買ってもらったので、小夜は明日から学校へ行くことになった。
柊矢からこの家から学校までの行き方を教えてもらった。
バス通学になるので定期券も買ってもらった。
あ、学校に行くならお弁当作らなきゃ。
柊矢さんと楸矢さんの分も。
小夜はとりあえず風呂に入ることにした。出る頃には片付けも終わっているだろう。
翌日、学校へ行くとクラスメイト達が集まってきた。
「心配かけちゃってゴメンね」
小夜がそう言うと、
「お葬式は? まだだよね?」
「うん、司法解剖って言うのをしないといけないから時間がかかるんだって」
そんな話をしていると、予鈴が鳴った。
霧生家から学校への通学は、明治通りを走るバスに乗るので超高層ビル群のそばは通らない。
バスの中で歌が聴こえてきたが、さすがにここでは歌えない。
音楽室でいつでも歌っていいと言われているので、夕食の支度の前に歌わせてもらおう。
小夜は夕食の献立を考えながらバスに揺られていた。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
僕とピアノ姫のソナタ
麻倉とわ
ライト文芸
音大でヴァイオリンを専攻しながらも、日々音楽よりも女遊びにいそしむ椎名哲朗。
彼はある合コンで目を奪われるような美人と出会うが、彼女は場の空気をまったく読めず、周囲から浮きまくっていた。実は同じ大学で『ピアノ姫』と呼ばれている音楽バカの天才ピアニスト、真山調だったのだ。
ひょんなことから哲朗は調とホテルに行くことになり、流されて一夜を共にしてしまうが――。
桜散りし頃、君思うことなかれ
二廻歩
ライト文芸
春の日僕は出会った。忘れかけていた青春の追憶。
入学式を終えキャンパスライフに心躍る僕の前にサークルの勧誘が。
断り切れずに高校からの親友と共に夜桜パーティーに出かけることに。
飲み過ぎて潰れた僕は記憶を失う。
翌日昨夜の公園で運命の出会い。
その人は名をヨシノと言い昨夜僕を介抱したのだとか。
ミステリアスな彼女に振り回されながら彼女の正体に迫る。
ヨシノ先輩は本当に存在するのか?
それとも春の幻なのか?
桜が散るまでの儚い二人の恋の物語。
希望のハッピーエンド?
絶望のバッドエンド?
最後の最後まで目が離せない。
Hate or Fate?
たきかわ由里
キャラ文芸
Storm in the Nightfall 第1作
26歳の優哉は、サポートドラマーやスタジオミュージシャンとして活動する、実力派ドラマー。
ヘヴィメタルを愛してやまない優哉がひょんなことから加入したヴィジュアル系バンド・ベルノワールは、クールなワンマンベーシスト宵闇がリーダーとして牽引する、見た目だけで演奏力がないバンドでした。
宵闇と真正面からぶつかり合いながら、ベルノワールの活動にのめり込んでいく「夕」こと優哉。
そして迎える初ライブ!
音楽に恋に駆け回る優哉の、燃えるように熱いヴィジュ根(ヴィジュアル系根性)ストーリー!!
全36話。毎日20:30更新です。
包帯令嬢の恩返し〜顔面難病の少女を助けたら数年後美少女になって俺に会いに来た件〜
藤白ぺるか
恋愛
「――綺麗だ」
五歳の頃にかかった顔の難病により、常に顔全体に包帯を巻いているイギリスハーフの少女、宝条・ルーシー・凛奈。
小学四年生のある日、雨の降りしきる公園のドーム型遊具の中で一人泣いていた時、そこに同い年の少年、九藤光流が現れる。
周囲にはいない金髪碧眼の彼女に目を奪われた光流は、包帯の下の顔も見たいと半ば強引に包帯を取ってもらう。
爛れた肌に無数の吹き出物で埋め尽くされた彼女の顔を見た光流は本気で綺麗だと言った。
ルーシーは彼の言葉を信じ初めての友達になったが、このあと二人には思いも寄らない悲劇が起きてしまい離れ離れになってしまう。
これは、何も持っていなかった少年と顔の難病を持った少女が出会ったことで、奇跡が生まれ、友情を通して成長し、音楽で心が繋がり――そして、恩返しされる青春と純愛の物語。
悪役令嬢にはブラック企業で働いてもらいます。
ガイア
ライト文芸
ライヴァ王国の令嬢、マスカレイド・ライヴァは最低最悪の悪役令嬢だった。
嫌われすぎて町人や使用人達から恨みの刻印を胸に刻まれ、ブラック企業で前世の償いをさせられる事に!?
あかりの燈るハロー【完結】
虹乃ノラン
ライト文芸
――その観覧車が彩りゆたかにライトアップされるころ、あたしの心は眠ったまま。迷って迷って……、そしてあたしは茜色の空をみつけた。
六年生になる茜(あかね)は、五歳で母を亡くし吃音となった。思い出の早口言葉を歌い今日もひとり図書室へ向かう。特別な目で見られ、友達なんていない――吃音を母への愛の証と捉える茜は治療にも前向きになれないでいた。
ある日『ハローワールド』という件名のメールがパソコンに届く。差出人は朱里(あかり)。件名は謎のままだが二人はすぐに仲良くなった。話すことへの抵抗、思いを伝える怖さ――友だちとの付き合い方に悩みながらも、「もし、あたしが朱里だったら……」と少しずつ自分を見つめなおし、悩みながらも朱里に対する信頼を深めていく。
『ハローワールド』の謎、朱里にたずねるハローワールドはいつだって同じ。『そこはここよりもずっと離れた場所で、ものすごく近くにある場所。行きたくても行けない場所で、いつの間にかたどり着いてる場所』
そんななか、茜は父の部屋で一冊の絵本を見つける……。
誰の心にも燈る光と影――今日も頑張っているあなたへ贈る、心温まるやさしいストーリー。
―――――《目次》――――――
◆第一部
一章 バイバイ、お母さん。ハロー、ハンデ。
二章 ハローワールドの住人
三章 吃音という証明
◆第二部
四章 最高の友だち
五章 うるさい! うるさい! うるさい!
六章 レインボー薬局
◆第三部
七章 はーい! せんせー。
八章 イフ・アカリ
九章 ハウマッチ 木、木、木……。
◆第四部
十章 未来永劫チクワ
十一章 あたしがやりました。
十二章 お父さんの恋人
◆第五部
十三章 アカネ・ゴー・ラウンド
十四章 # to the world...
◆エピローグ
epilogue...
♭
◆献辞
《第7回ライト文芸大賞奨励賞》
捨てられた第四王女は母国には戻らない
風見ゆうみ
恋愛
フラル王国には一人の王子と四人の王女がいた。第四王女は王家にとって災厄か幸運のどちらかだと古くから伝えられていた。
災厄とみなされた第四王女のミーリルは、七歳の時に国境近くの森の中で置き去りにされてしまう。
何とか隣国にたどり着き、警備兵によって保護されたミーリルは、彼女の境遇を気の毒に思ったジャルヌ辺境伯家に、ミリルとして迎え入れられる。
そんな中、ミーリルを捨てた王家には不幸なことばかり起こるようになる。ミーリルが幸運をもたらす娘だったと気づいた王家は、秘密裏にミーリルを捜し始めるが見つけることはできなかった。
それから八年後、フラル王国の第三王女がジャルヌ辺境伯家の嫡男のリディアスに、ミーリルの婚約者である公爵令息が第三王女に恋をする。
リディアスに大事にされているミーリルを憎く思った第三王女は、実の妹とは知らずにミーリルに接触しようとするのだが……。
藤堂正道と伊藤ほのかのおしゃべり
Keitetsu003
ライト文芸
このお話は「風紀委員 藤堂正道 -最愛の選択-」の番外編です。
藤堂正道と伊藤ほのか、その他風紀委員のちょっと役に立つかもしれないトレビア、雑談が展開されます。(ときには恋愛もあり)
*小説内に書かれている内容は作者の個人的意見です。諸説あるもの、勘違いしているものがあっても、ご容赦ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる