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第三章 未月椛
第七話
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「違う! もう一度最初から!」
「ひとはおのれを……」
「そこ! 間違ってる! もう一度!」
「ひ、ひと、おのれを……」
「違う! もう一度!」
「ひ、ひ、ひとのおのれを……」
祥三郞は勉強を始めるといきなり性格が豹変した。
長八をびしびしと鍛えていく。
怖ぇー。
車を運転すると性格が豹変する人がいるっていうけど、祥三郞君は勉強始めると性格変わるんだな。
「今日はこの辺にしておきましょう」
祥三郞がそう言った途端、長八は力が抜けたようにその場に突っ伏した。
「祥三郞君、結構厳しいんだね」
祥三郞を送って峰湯の玄関まで出たところで言った。
「あ、申し訳ない。どうしても学問のこととなると見境がなくなる故……」
祥三郞は恥ずかしそうに顔を赤らめた。
「学問、好きなの?」
「はい。拙者は剣術より学問の方が好きなんです」
「じゃあ、剣術じゃなくて学問の方で仕事に就くことは出来ないの?」
「拙者も、出来ればそうしたいのですが、うちは番方故……」
そう簡単にはいかないのかな。
「婿に行けなかったら家を出て学問指南所をやるつもりです」
将来のことを考えている祥三郞にかける言葉が見つからなかった。
これが現代なら、高校生になったばかりなんだから将来のことはこれから考えていけばいい、と言えただろうが、この時代、祥三郞の年で仕事をしている人は珍しくないのだ。
自分も仕事を見つけなければいけないのかな、と思う反面、この世界のことはまだよく知らないからどうすれば見つかるのかよく分からない。
何より、夕輝は現代に帰りたいと思っていた。
それもそう遠くない未来に。
この世界で生きていく覚悟は出来ていないのだ。
残月ってヤツに勝てたら帰してくれるって言ってたよな。
今の自分の腕ではまだまだ勝てそうにない。
もっと修行しなければ。
引き返して家に入ろうとすると、ちょうど出てきた長八と顔を合わせた。
「長八さん、お疲れ様でした」
「夕輝さん、これからも夕輝さんに教わるわけにはいかねぇんですかい?」
「もう、俺の知識じゃ無理ですよ」
「そうですか……」
長八は肩を落として帰っていった。
「繊月丸、朔夜と会いたいんだ。出来るか?」
夕輝は刀の姿の繊月丸に声をかけた。
繊月丸が少女の姿になる。
「うん。こっち」
繊月丸はすぐに夕輝の先に立って歩き出した。
繊月丸の後について歩いているとき、道ばたに数人の人が固まってるのが見えた。
思わず近付いて覗き込むと、金魚売とそれに集まった人達だった。
「どうだい、安くしとくよ」
金魚が入れられた桶を覗き込むと、小さな亀が一匹、泳いでいた。
亀か……。
夕輝は懐から巾着を取り出した。
「おじさん、この亀いくら?」
「十六文、と言いてぇところだが八文にしといてやるよ」
良かった。
お峰にもらった二十文に手を付けずにすんだ。
夕輝は八文を金魚売に渡すと亀を受け取った。
「待たせちゃってゴメンね、行こうか」
夕輝は亀を大事に右の手のひらに載せ、左手で上を押さえながら言った。
手の中の亀がもそもそ動いてくすぐったかった。
寺に着くと夕輝は辺りを見回して池を見つけると、
「もし玉手箱を貰ったらお前にやるから、なるべく早く迎えに来てくれよ」
と言いながら放した。
亀を池に放してしばらく待つと、木立の間から朔夜と残月が出てきた。
「繊月丸」
夕輝が声をかけると繊月丸が日本刀の姿になった。
――刃引きになるの?
繊月丸が頭の中に話しかけてきた。
「頼む」
――残月となら刃引きじゃなくても大丈夫だよ
「頼むよ。刃引きになってくれ」
夕輝がそう言うと繊月丸が刃引きの日本刀になった。
「それから先っぽのところ、丸くしてくれ」
繊月丸の先端が丸くなった。
――カッコ悪い。恥ずかしいよ、十六夜。
「ゴメン、少しの間だけ我慢してくれ」
「刃引きか。お優しいことだ。だが、俺は刃引きになどしないぞ」
残月がそう言いながら抜刀して青眼に構えた。
夕輝も青眼に構える。
残月が足裏を擦るようにしてじりじりと近付いてくる。
一足一刀の間境で残月が止まった。
二人は睨み合ったまま動かなかった。
どれだけの時間がたったのか。
数瞬か数刻か。
不意に夕輝の剣先が下がった。
誘いだった。
残月が真っ向へ切り下ろしてきた。
夕輝も真っ向へ。
二人の眼前で刀が弾き合った。
すかさず二の太刀で小手を放った。
残月の腕から大分離れたところで刀が止まった。
夕輝の喉元に残月の刀が突きつけられていた。
一瞬睨み合った後、夕輝と残月は刀を下ろした。
「残念だったな。まぁ、この前より多少は良くなってたぜ」
そう言うと踵を返して歩き始めた。
朔夜が残月に併せて踵を返す。
歩き出そうとして夕輝の方を振り返った。
「十六夜、この『えど』は君の知ってる江戸じゃない」
「どういう意味だ」
「『えど』がどういう字を書くのか誰かに訊いてみるといい」
朔夜はそう言い残して木立の間に消えていった。
「じゃあ、まだ伊勢屋に入った盗賊は捕まってないのかい?」
お峰が言った。
夕餉の席だった。
平助は連日盗賊の探索に出歩いていた。
夕輝が手代の死体を見つけた伊勢屋だけではなく、他にもいくつかの大店が盗賊に入られていた。
「手掛かりもなくてよ。次にどこかが押し込まれる前ぇに捕まえてぇんだがな」
平助が漬け物をかじりながら答えた。
「平助さん、『えど』ってどういう字を書くんですか?」
夕輝は平助に訊ねた。
「なんでぇ、知らねぇのか」
「えっと、その……」
夕輝は言葉を濁した。
「こうだよ」
お峰がそう言って、畳の上に指を走らせて『江都』と書いた。
「『ど』って都って書くんですか?」
「そうだよ」
まさか……。
「『えど』は水郷の都だろ。だから江都って書いて江都って言うんだよ」
お峰が説明してくれた。
昔は江戸のことを江都って言った……訳ないよなぁ。
と言うことはここは俺のいた世界とは別の世界だっていうのか?
となると、何百年待っても自分のいた世界へは帰れないことになる。
夕輝は池に放した亀を思い出した。
亀を助けても無駄だったのか……。
まぁ、いいけど。
それに、いじめられてるところを助けたわけじゃないしな。
金で買って恩を売ろうなんて虫が良すぎたか……。
その夜、夕輝が布団に横になると、
――十六夜。
頭の中に繊月丸が話しかけてきた。
どうした?
――あの亀……。
うん、何?
――海亀じゃないよ。
…………。
「ひとはおのれを……」
「そこ! 間違ってる! もう一度!」
「ひ、ひと、おのれを……」
「違う! もう一度!」
「ひ、ひ、ひとのおのれを……」
祥三郞は勉強を始めるといきなり性格が豹変した。
長八をびしびしと鍛えていく。
怖ぇー。
車を運転すると性格が豹変する人がいるっていうけど、祥三郞君は勉強始めると性格変わるんだな。
「今日はこの辺にしておきましょう」
祥三郞がそう言った途端、長八は力が抜けたようにその場に突っ伏した。
「祥三郞君、結構厳しいんだね」
祥三郞を送って峰湯の玄関まで出たところで言った。
「あ、申し訳ない。どうしても学問のこととなると見境がなくなる故……」
祥三郞は恥ずかしそうに顔を赤らめた。
「学問、好きなの?」
「はい。拙者は剣術より学問の方が好きなんです」
「じゃあ、剣術じゃなくて学問の方で仕事に就くことは出来ないの?」
「拙者も、出来ればそうしたいのですが、うちは番方故……」
そう簡単にはいかないのかな。
「婿に行けなかったら家を出て学問指南所をやるつもりです」
将来のことを考えている祥三郞にかける言葉が見つからなかった。
これが現代なら、高校生になったばかりなんだから将来のことはこれから考えていけばいい、と言えただろうが、この時代、祥三郞の年で仕事をしている人は珍しくないのだ。
自分も仕事を見つけなければいけないのかな、と思う反面、この世界のことはまだよく知らないからどうすれば見つかるのかよく分からない。
何より、夕輝は現代に帰りたいと思っていた。
それもそう遠くない未来に。
この世界で生きていく覚悟は出来ていないのだ。
残月ってヤツに勝てたら帰してくれるって言ってたよな。
今の自分の腕ではまだまだ勝てそうにない。
もっと修行しなければ。
引き返して家に入ろうとすると、ちょうど出てきた長八と顔を合わせた。
「長八さん、お疲れ様でした」
「夕輝さん、これからも夕輝さんに教わるわけにはいかねぇんですかい?」
「もう、俺の知識じゃ無理ですよ」
「そうですか……」
長八は肩を落として帰っていった。
「繊月丸、朔夜と会いたいんだ。出来るか?」
夕輝は刀の姿の繊月丸に声をかけた。
繊月丸が少女の姿になる。
「うん。こっち」
繊月丸はすぐに夕輝の先に立って歩き出した。
繊月丸の後について歩いているとき、道ばたに数人の人が固まってるのが見えた。
思わず近付いて覗き込むと、金魚売とそれに集まった人達だった。
「どうだい、安くしとくよ」
金魚が入れられた桶を覗き込むと、小さな亀が一匹、泳いでいた。
亀か……。
夕輝は懐から巾着を取り出した。
「おじさん、この亀いくら?」
「十六文、と言いてぇところだが八文にしといてやるよ」
良かった。
お峰にもらった二十文に手を付けずにすんだ。
夕輝は八文を金魚売に渡すと亀を受け取った。
「待たせちゃってゴメンね、行こうか」
夕輝は亀を大事に右の手のひらに載せ、左手で上を押さえながら言った。
手の中の亀がもそもそ動いてくすぐったかった。
寺に着くと夕輝は辺りを見回して池を見つけると、
「もし玉手箱を貰ったらお前にやるから、なるべく早く迎えに来てくれよ」
と言いながら放した。
亀を池に放してしばらく待つと、木立の間から朔夜と残月が出てきた。
「繊月丸」
夕輝が声をかけると繊月丸が日本刀の姿になった。
――刃引きになるの?
繊月丸が頭の中に話しかけてきた。
「頼む」
――残月となら刃引きじゃなくても大丈夫だよ
「頼むよ。刃引きになってくれ」
夕輝がそう言うと繊月丸が刃引きの日本刀になった。
「それから先っぽのところ、丸くしてくれ」
繊月丸の先端が丸くなった。
――カッコ悪い。恥ずかしいよ、十六夜。
「ゴメン、少しの間だけ我慢してくれ」
「刃引きか。お優しいことだ。だが、俺は刃引きになどしないぞ」
残月がそう言いながら抜刀して青眼に構えた。
夕輝も青眼に構える。
残月が足裏を擦るようにしてじりじりと近付いてくる。
一足一刀の間境で残月が止まった。
二人は睨み合ったまま動かなかった。
どれだけの時間がたったのか。
数瞬か数刻か。
不意に夕輝の剣先が下がった。
誘いだった。
残月が真っ向へ切り下ろしてきた。
夕輝も真っ向へ。
二人の眼前で刀が弾き合った。
すかさず二の太刀で小手を放った。
残月の腕から大分離れたところで刀が止まった。
夕輝の喉元に残月の刀が突きつけられていた。
一瞬睨み合った後、夕輝と残月は刀を下ろした。
「残念だったな。まぁ、この前より多少は良くなってたぜ」
そう言うと踵を返して歩き始めた。
朔夜が残月に併せて踵を返す。
歩き出そうとして夕輝の方を振り返った。
「十六夜、この『えど』は君の知ってる江戸じゃない」
「どういう意味だ」
「『えど』がどういう字を書くのか誰かに訊いてみるといい」
朔夜はそう言い残して木立の間に消えていった。
「じゃあ、まだ伊勢屋に入った盗賊は捕まってないのかい?」
お峰が言った。
夕餉の席だった。
平助は連日盗賊の探索に出歩いていた。
夕輝が手代の死体を見つけた伊勢屋だけではなく、他にもいくつかの大店が盗賊に入られていた。
「手掛かりもなくてよ。次にどこかが押し込まれる前ぇに捕まえてぇんだがな」
平助が漬け物をかじりながら答えた。
「平助さん、『えど』ってどういう字を書くんですか?」
夕輝は平助に訊ねた。
「なんでぇ、知らねぇのか」
「えっと、その……」
夕輝は言葉を濁した。
「こうだよ」
お峰がそう言って、畳の上に指を走らせて『江都』と書いた。
「『ど』って都って書くんですか?」
「そうだよ」
まさか……。
「『えど』は水郷の都だろ。だから江都って書いて江都って言うんだよ」
お峰が説明してくれた。
昔は江戸のことを江都って言った……訳ないよなぁ。
と言うことはここは俺のいた世界とは別の世界だっていうのか?
となると、何百年待っても自分のいた世界へは帰れないことになる。
夕輝は池に放した亀を思い出した。
亀を助けても無駄だったのか……。
まぁ、いいけど。
それに、いじめられてるところを助けたわけじゃないしな。
金で買って恩を売ろうなんて虫が良すぎたか……。
その夜、夕輝が布団に横になると、
――十六夜。
頭の中に繊月丸が話しかけてきた。
どうした?
――あの亀……。
うん、何?
――海亀じゃないよ。
…………。
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