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第一章
第一章 第七話
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ある日、流が魚を獲って帰ってくると水緒が家にいなかった。
水緒が自分の言い付けに背いて家を出るはずがない。
開いた本が板の間に出しっ放しになっている。
出掛けるにしても水緒なら片付けてから行くはずだ。
水緒に何かあった!
流は急いで家を飛び出した。
喰われたのではない。
血の匂いはしない。
「きゃっ!」
闇雲に走っていると水緒の悲鳴が聞こえた。
「水緒!」
声のした方に向かうと女の鬼が水緒の腕を掴んでいた。
水緒は地面に倒れている。
かすかに血の匂いがした。
「水緒!」
流の声に水緒が顔を上げた。
頬が赤く張れ、唇の端が切れている。
鬼に叩かれたのだ。
「貴様!」
「流ちゃん! 逃げて!」
水緒が叫んだ。
「お黙り!」
鬼が水緒の腹を蹴った。
「ぐっ!」
「やめろ! 水緒から離れろ! 目的は俺だろ!」
「そう。そこで大人しく立っていればこの娘は離してやろう」
流は怪訝に思って眉を顰めた。
立っていれば?
仲間がいるのか?
だが他に鬼の気配はない。
鬼は水緒を無理矢理立たせると、髪を掴んで顔を上げさせた。
紙を水緒の目の前に突き付けた。
「これを読みな」
水緒は目を逸らそうとしたが鬼は強引に紙を見せた。
「読めって言ってんだよ! 字が読めるのは知ってるんだよ!」
そう言うことか……。
何かの呪文を水緒に言わせようとしているのだ。
何故自分で言わないのかは分からないが。
人間じゃないと駄目とか、何か理由があるのだろうか。
「さぁ、早くしな!」
鬼が水音の髪を掴んで左右に振った。
しかし水緒は頑なに口を噤んでいる。
「お前、供部だろ。言わなきゃ、指を一本ずつ喰ってくよ」
水緒がきつく目を閉じる。
「ただの脅しじゃないよ!」
鬼はそう言うと水緒の右手を掴んで口に近付けた。
「やめろ! 水緒! 言え!」
流がそう言っても水緒は首を振った。
「水緒! 呪いってのは修行しなきゃ効果が出ないんだ! だから大丈夫だ!」
「あの小僧もああ言ってんだ、早く言いな!」
鬼が水音の手首を掴んでいる腕に力を入れた。
「痛っ……」
鬼は焦っているようだった。
保科が助けに来る前に片付けたいのだろう。
「水緒! 早く言え! 頼む!」
水緒が目を開けて流の方を見た。
「流ちゃん……」
「早く!」
「ぞく、きゅう」
鬼に髪を引っ張られているせいで水緒が苦しそうな声で言葉を絞り出した。
ああは言ったものの、効かない呪いをあそこまで強要するはずがない。
きっと何かある、と身構える。
だが何も起きない。
鬼も流が無事なのを見て怪訝そうな表情を浮かべる。
「もう一回!」
「水緒! はっきり言え! 大丈夫だから!」
「ぞくきゅう」
その言葉を聞いてハッとした。
腕に書かれた文字だ!
流は自分の腕を見下ろした。
川で魚を獲っているときに袖をまくっていたから、その時に見られたのだろう。
「くそ!」
鬼は水緒を突き飛ばすと流に飛び掛かってきた。
「伏せて!」
保科の声に流は伏せた。
矢が飛んできて鬼の額を貫いた。
「ーーー……!」
鬼が絶叫を上げて倒れた。
保科は駆け寄ってくると刀で鬼の首を落とした。
「流様、ご無事でしたか?」
「ああ、助かった」
そう言ってから倒れている水緒の側へ駆け寄った。
「水緒! 大丈夫か!?」
倒れている水緒を抱き起こした。
「うん、平気。流ちゃんは?」
「俺は大丈夫だ」
「良かった」
水緒は安心したように微笑んだ。
赤く腫れている頬と、切れた唇から流れている血が痛々しい。
「とにかく、帰ろう」
流は水緒を立たせると保科と共に家に向かった。
「保科、聞きたいことがある」
流は板の間で保科と向かい合って座っていた。
水緒は流の後ろで腫れた頬を濡れた手拭いで冷やしている。
「俺の腕に書かれてるこの文字に何か意味があるのか?」
袖をまくって保科に突き付けた。
「字? どこ?」
水緒が後ろから覗き込んできた。
「これだよ」
流は文字を指した。
「字なんて見えないよ」
え……?
水緒は見えない振りをしてたんじゃなくて本当に見えてなかったのか?
「それは最可族だけにあり、一族の者にしか見えません」
そうだったのか……。
「それで? 何なんだよ、これ」
「それは祟名です」
「たたりな? なんだそれ」
「文字通り、最可族を祟るための名です」
その昔、最可族と、それを滅ぼしに来た人間達との間で大きな争いが起きた。
力で劣る人間は呪術を使った。
呪術師が最可族に呪いを掛けた。
最可族に祟名を与え、その名を呼ばれると死ぬようにしたのだ。
その時は誰にでも祟名が見えた。
祟名は一人一人違い、身体のどこかに表れる。
最可族は人間に祟名を呼ばれて次々に倒れていった。
水緒が息を飲んだ。
きっと流を呪う言葉を口にしてしまったのを気にしているのだろう。
それに対して最可族の長は命と引き替えに「祟名が見えるのは同じ最可族だけ。その祟名を持つ最可族が大切に思っている相手が唱えなければ死なない」と条件を付け加えた。
そうしてようやく人間達を退けたのだ。
「最可族を大事に思っている相手じゃなくて、最可族の方が大切に思っている相手なのか?」
「はい」
そんな馬鹿な……!
背後で水緒がますます落ち込んだ気配を感じた。
水緒は自分が流にとって大事な存在ではないと思ったのだろう。
だがそれは違う。
流には水緒より大切な相手はいない。
しかしそれは口にしなかった。
そんなことを言ったら保科が水緒に何をするか分からない。
「最可族は他の鬼よりも力が強いのでそう簡単には倒せません」
一対多ならなんとかなるが、鬼が徒党を組むのは人間の村を襲うような時くらいで、そう言う場合でも人間一人に複数で襲い掛かったりすることはまずないから集団戦は苦手なのだ。
「そのため最可族を殺そうとする者は最可族に取り入って祟名を言うことで殺そうとします」
だから最可族は親しい者にも祟名を知られないようにしているらしい。
同じ最可族にはなるべく見せないようにしているし、祟名が見えない者にわざわざ教えたりはしないそうだ。
流の場合、水緒ですら何も起きなかったのだから他の者が言ったところで効果がないだろうが、今回のように水緒に言わせようとしてくることは十分考えられる。
どうせ今後も水緒に呼ばれても何も起きないだろうがそれを知らない者は水緒を狙うだろう。
水緒を危険に晒さないようにするためには祟名を知られないようにした方がいい。
水緒が自分の言い付けに背いて家を出るはずがない。
開いた本が板の間に出しっ放しになっている。
出掛けるにしても水緒なら片付けてから行くはずだ。
水緒に何かあった!
流は急いで家を飛び出した。
喰われたのではない。
血の匂いはしない。
「きゃっ!」
闇雲に走っていると水緒の悲鳴が聞こえた。
「水緒!」
声のした方に向かうと女の鬼が水緒の腕を掴んでいた。
水緒は地面に倒れている。
かすかに血の匂いがした。
「水緒!」
流の声に水緒が顔を上げた。
頬が赤く張れ、唇の端が切れている。
鬼に叩かれたのだ。
「貴様!」
「流ちゃん! 逃げて!」
水緒が叫んだ。
「お黙り!」
鬼が水緒の腹を蹴った。
「ぐっ!」
「やめろ! 水緒から離れろ! 目的は俺だろ!」
「そう。そこで大人しく立っていればこの娘は離してやろう」
流は怪訝に思って眉を顰めた。
立っていれば?
仲間がいるのか?
だが他に鬼の気配はない。
鬼は水緒を無理矢理立たせると、髪を掴んで顔を上げさせた。
紙を水緒の目の前に突き付けた。
「これを読みな」
水緒は目を逸らそうとしたが鬼は強引に紙を見せた。
「読めって言ってんだよ! 字が読めるのは知ってるんだよ!」
そう言うことか……。
何かの呪文を水緒に言わせようとしているのだ。
何故自分で言わないのかは分からないが。
人間じゃないと駄目とか、何か理由があるのだろうか。
「さぁ、早くしな!」
鬼が水音の髪を掴んで左右に振った。
しかし水緒は頑なに口を噤んでいる。
「お前、供部だろ。言わなきゃ、指を一本ずつ喰ってくよ」
水緒がきつく目を閉じる。
「ただの脅しじゃないよ!」
鬼はそう言うと水緒の右手を掴んで口に近付けた。
「やめろ! 水緒! 言え!」
流がそう言っても水緒は首を振った。
「水緒! 呪いってのは修行しなきゃ効果が出ないんだ! だから大丈夫だ!」
「あの小僧もああ言ってんだ、早く言いな!」
鬼が水音の手首を掴んでいる腕に力を入れた。
「痛っ……」
鬼は焦っているようだった。
保科が助けに来る前に片付けたいのだろう。
「水緒! 早く言え! 頼む!」
水緒が目を開けて流の方を見た。
「流ちゃん……」
「早く!」
「ぞく、きゅう」
鬼に髪を引っ張られているせいで水緒が苦しそうな声で言葉を絞り出した。
ああは言ったものの、効かない呪いをあそこまで強要するはずがない。
きっと何かある、と身構える。
だが何も起きない。
鬼も流が無事なのを見て怪訝そうな表情を浮かべる。
「もう一回!」
「水緒! はっきり言え! 大丈夫だから!」
「ぞくきゅう」
その言葉を聞いてハッとした。
腕に書かれた文字だ!
流は自分の腕を見下ろした。
川で魚を獲っているときに袖をまくっていたから、その時に見られたのだろう。
「くそ!」
鬼は水緒を突き飛ばすと流に飛び掛かってきた。
「伏せて!」
保科の声に流は伏せた。
矢が飛んできて鬼の額を貫いた。
「ーーー……!」
鬼が絶叫を上げて倒れた。
保科は駆け寄ってくると刀で鬼の首を落とした。
「流様、ご無事でしたか?」
「ああ、助かった」
そう言ってから倒れている水緒の側へ駆け寄った。
「水緒! 大丈夫か!?」
倒れている水緒を抱き起こした。
「うん、平気。流ちゃんは?」
「俺は大丈夫だ」
「良かった」
水緒は安心したように微笑んだ。
赤く腫れている頬と、切れた唇から流れている血が痛々しい。
「とにかく、帰ろう」
流は水緒を立たせると保科と共に家に向かった。
「保科、聞きたいことがある」
流は板の間で保科と向かい合って座っていた。
水緒は流の後ろで腫れた頬を濡れた手拭いで冷やしている。
「俺の腕に書かれてるこの文字に何か意味があるのか?」
袖をまくって保科に突き付けた。
「字? どこ?」
水緒が後ろから覗き込んできた。
「これだよ」
流は文字を指した。
「字なんて見えないよ」
え……?
水緒は見えない振りをしてたんじゃなくて本当に見えてなかったのか?
「それは最可族だけにあり、一族の者にしか見えません」
そうだったのか……。
「それで? 何なんだよ、これ」
「それは祟名です」
「たたりな? なんだそれ」
「文字通り、最可族を祟るための名です」
その昔、最可族と、それを滅ぼしに来た人間達との間で大きな争いが起きた。
力で劣る人間は呪術を使った。
呪術師が最可族に呪いを掛けた。
最可族に祟名を与え、その名を呼ばれると死ぬようにしたのだ。
その時は誰にでも祟名が見えた。
祟名は一人一人違い、身体のどこかに表れる。
最可族は人間に祟名を呼ばれて次々に倒れていった。
水緒が息を飲んだ。
きっと流を呪う言葉を口にしてしまったのを気にしているのだろう。
それに対して最可族の長は命と引き替えに「祟名が見えるのは同じ最可族だけ。その祟名を持つ最可族が大切に思っている相手が唱えなければ死なない」と条件を付け加えた。
そうしてようやく人間達を退けたのだ。
「最可族を大事に思っている相手じゃなくて、最可族の方が大切に思っている相手なのか?」
「はい」
そんな馬鹿な……!
背後で水緒がますます落ち込んだ気配を感じた。
水緒は自分が流にとって大事な存在ではないと思ったのだろう。
だがそれは違う。
流には水緒より大切な相手はいない。
しかしそれは口にしなかった。
そんなことを言ったら保科が水緒に何をするか分からない。
「最可族は他の鬼よりも力が強いのでそう簡単には倒せません」
一対多ならなんとかなるが、鬼が徒党を組むのは人間の村を襲うような時くらいで、そう言う場合でも人間一人に複数で襲い掛かったりすることはまずないから集団戦は苦手なのだ。
「そのため最可族を殺そうとする者は最可族に取り入って祟名を言うことで殺そうとします」
だから最可族は親しい者にも祟名を知られないようにしているらしい。
同じ最可族にはなるべく見せないようにしているし、祟名が見えない者にわざわざ教えたりはしないそうだ。
流の場合、水緒ですら何も起きなかったのだから他の者が言ったところで効果がないだろうが、今回のように水緒に言わせようとしてくることは十分考えられる。
どうせ今後も水緒に呼ばれても何も起きないだろうがそれを知らない者は水緒を狙うだろう。
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