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第二話
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そのとき、樹々の間から黒髪の頭が覗いた。
黒い髪に褐色の肌をした、ケイより一つ年上の少年ラウルである。
ラウルの褐色の肌は樹々の間ではいい保護色になる。服装はケイと同じく紺色のシャツとズボンだ。
ここ一年ほどケイと一緒に旅をしていた。年は十八。
ケイが手を挙げてみせるとラウルが少女の後ろからやってきた。
「どうしたの?」
ラウルはケイに訊ねながらミールの死体を見渡した。
最後に親子達の死体に目を留める。
「狙われたの、ケイじゃないの?」
ラウルが意外そうに言った。
「らしいな。どっちにしろ早いとこ、ここを離れよう」
「そうだね」
ケイに同意して少女の顔を見たラウルが一瞬動揺したような表情になった。
少女の表情は変わらない。
ポーカーフェイスを装っているのでなければ、ラウルを知らないということだ。
ケイは首をかしげた。
確かにかなり可愛い女の子ではあるが、そんなに驚くこともないような……。
「行く当てがあるなら送ってあげるよ。僕らと一緒に……」
ラウルはすぐに何事もなかったように少女に声をかけた。
「ヘンダーソンさん達を放って行くわけにはいかないわ。私はここに残る」
少女が答えた。
「もう死んでんるんだ。放っといたからって文句なんか言わないだろ」
「そういう問題じゃないでしょ!」
喧嘩になりそうな気配を察したラウルが急いで二人の間に入った。
「あのね、急がないとこいつらの仲間が来るんだよ。五分連絡がないと……」
「そんなの私には関係ないわ。こんな連中に殺されるようなことした覚えないもの」
少女はラウルの言葉を遮った。
それでもラウルは、
「この人達と一緒にいたってだけで殺される理由になるんだよ。ね、ケイ」
と言ってケイの方を見た。
「義理も恩もないのに助けてやったんだ」
ケイが素っ気なく言う。
「それがなによ!」
少女が言った。
「ここであっさり死なれたら助けた俺がバカみたいだろ」
ケイの言葉に少女がきっと睨み付ける。
「ヘンダーソンさん達も君に死なれるのを望んではいないんじゃないかな」
ラウルが穏やかに諭す。
月並みな台詞だが効果はあったようだ。
少女は黙り込んだ。
「ケイ。連中は西から来るよ」
ラウルが西の方を見ながら言った。
ケイは倒した男達から使えそうな物――武器と予備の弾薬などを素早くはぎ取ると、その場を離れた。
ラウルは少女の腕を取って後から付いてきた。
三人は東に向かって歩いていた。
連中が西から来るのなら東に行くしかない。
選択の余地はないのだ。
三十年前、『最後の審判』が起きた日から雨は内陸の奥にある高い山の上にしか降らなくなった。
雨が降らないから内陸の平地は荒野になり、緑地帯は海沿いと川沿いだけになった。
そのため人間の行動範囲は川沿いと海沿いの緑地帯に限定されているのだ。
川沿いの緑地帯の幅は川の大きさによる。
向こう岸が見えないような大河でもない限り広くて百メートル程度だ。
三人がいるのは大して広くない川沿いの緑地帯である。
幅数十メートル程度だから一本道みたいなものだ。
西から来た連中が、ケイ達と出会わなかったことに気付けば、そのまま東に来るだろう。
シーサイドベルトと呼ばれる海沿いの緑地帯は数キロの幅がある。樹が生えているのは主に川辺でそれ以外はほとんど草原である。
森の樹々がまばらになってきたところを見ると、そろそろシーサイドベルトに入っているかもしれない。
「ここ、どの辺かな」
ラウルの問いにケイは背負っていた荷物を下ろした。
地面に置いた荷物の前にしゃがみ込むと、地図を出すためにバックパックを開いた。
少女がケイの方を振り返り、
「あーーー!」
悲鳴に近い声を上げた。
「どうしたの?」
ラウルが驚いたように訊ねた。
「荷物がない」
少女が答える。
「当然だろ。持ってこなかったんだから」
ケイが素っ気なく言って荷物の中から地図を引っぱり出す。
少女はケイを睨み付けてから踵を返した。
「どこに行くの?」
ラウルが声を掛ける。
「荷物取りに帰る」
少女の言葉にラウルが黙って西の空を指した。
黒い煙が乾いた空に立ち昇っている。
「何あれ」
少女が首を傾げると、
「さっきの連中の仲間だよ。あの人達の遺体と持ち物を焼き払ってるんだ」
ラウルが言った。
「なんで!?」
「知識を後世に残さないために」
ケイは地図を広げなら答えた。
「知識って、植林の?」
少女の問いに、
「兵器製造のだ」
ケイは地図に目を落としたまま言った。
「そんなの作ってなかったわよ!」
少女が心外だ、という表情で言った。
「作ってたんだ。審判前に」
「ケイ、もう少し優しく……」
ラウルがケイの素っ気ない態度を穏やかにたしなめた。
「どこにそんな証拠があるのよ!」
少女が腹を立てたように言うと、
「証拠なんかいらないんだ。あいつらがそう思えばそれで十分なんだよ」
ラウルが答えた。
「そんな……!」
少女は何かを言いかけて口をつぐんだ。
煙が昇っている西の空を見上げる。
ケイは地図を広げたままラウルを見上げた。
ラウルは少女に気を取られているようだった。斜め後ろから少女を見つめている。
空を見ていた少女が口を開きかけたとき、
「君の名前、何て言うの?」
ラウルが訊ねた。
と言うことは、やはり二人は知り合いではなかったのか。
だとしたら、さっきのラウルのリアクションはなんだったんだろうか。
「僕はラウル。ラウル・クライ・デート」
ラウルが名乗ると、
「ティア・シティル」
と少女が答えた。
ラウルがケイを無言で促す。
ティアもつられるようにケイの方を向いた。
「……ケイ」
嫌だったが仕方なく名乗った。
「それだけ?」
ティアが首を傾げる。
黒い髪に褐色の肌をした、ケイより一つ年上の少年ラウルである。
ラウルの褐色の肌は樹々の間ではいい保護色になる。服装はケイと同じく紺色のシャツとズボンだ。
ここ一年ほどケイと一緒に旅をしていた。年は十八。
ケイが手を挙げてみせるとラウルが少女の後ろからやってきた。
「どうしたの?」
ラウルはケイに訊ねながらミールの死体を見渡した。
最後に親子達の死体に目を留める。
「狙われたの、ケイじゃないの?」
ラウルが意外そうに言った。
「らしいな。どっちにしろ早いとこ、ここを離れよう」
「そうだね」
ケイに同意して少女の顔を見たラウルが一瞬動揺したような表情になった。
少女の表情は変わらない。
ポーカーフェイスを装っているのでなければ、ラウルを知らないということだ。
ケイは首をかしげた。
確かにかなり可愛い女の子ではあるが、そんなに驚くこともないような……。
「行く当てがあるなら送ってあげるよ。僕らと一緒に……」
ラウルはすぐに何事もなかったように少女に声をかけた。
「ヘンダーソンさん達を放って行くわけにはいかないわ。私はここに残る」
少女が答えた。
「もう死んでんるんだ。放っといたからって文句なんか言わないだろ」
「そういう問題じゃないでしょ!」
喧嘩になりそうな気配を察したラウルが急いで二人の間に入った。
「あのね、急がないとこいつらの仲間が来るんだよ。五分連絡がないと……」
「そんなの私には関係ないわ。こんな連中に殺されるようなことした覚えないもの」
少女はラウルの言葉を遮った。
それでもラウルは、
「この人達と一緒にいたってだけで殺される理由になるんだよ。ね、ケイ」
と言ってケイの方を見た。
「義理も恩もないのに助けてやったんだ」
ケイが素っ気なく言う。
「それがなによ!」
少女が言った。
「ここであっさり死なれたら助けた俺がバカみたいだろ」
ケイの言葉に少女がきっと睨み付ける。
「ヘンダーソンさん達も君に死なれるのを望んではいないんじゃないかな」
ラウルが穏やかに諭す。
月並みな台詞だが効果はあったようだ。
少女は黙り込んだ。
「ケイ。連中は西から来るよ」
ラウルが西の方を見ながら言った。
ケイは倒した男達から使えそうな物――武器と予備の弾薬などを素早くはぎ取ると、その場を離れた。
ラウルは少女の腕を取って後から付いてきた。
三人は東に向かって歩いていた。
連中が西から来るのなら東に行くしかない。
選択の余地はないのだ。
三十年前、『最後の審判』が起きた日から雨は内陸の奥にある高い山の上にしか降らなくなった。
雨が降らないから内陸の平地は荒野になり、緑地帯は海沿いと川沿いだけになった。
そのため人間の行動範囲は川沿いと海沿いの緑地帯に限定されているのだ。
川沿いの緑地帯の幅は川の大きさによる。
向こう岸が見えないような大河でもない限り広くて百メートル程度だ。
三人がいるのは大して広くない川沿いの緑地帯である。
幅数十メートル程度だから一本道みたいなものだ。
西から来た連中が、ケイ達と出会わなかったことに気付けば、そのまま東に来るだろう。
シーサイドベルトと呼ばれる海沿いの緑地帯は数キロの幅がある。樹が生えているのは主に川辺でそれ以外はほとんど草原である。
森の樹々がまばらになってきたところを見ると、そろそろシーサイドベルトに入っているかもしれない。
「ここ、どの辺かな」
ラウルの問いにケイは背負っていた荷物を下ろした。
地面に置いた荷物の前にしゃがみ込むと、地図を出すためにバックパックを開いた。
少女がケイの方を振り返り、
「あーーー!」
悲鳴に近い声を上げた。
「どうしたの?」
ラウルが驚いたように訊ねた。
「荷物がない」
少女が答える。
「当然だろ。持ってこなかったんだから」
ケイが素っ気なく言って荷物の中から地図を引っぱり出す。
少女はケイを睨み付けてから踵を返した。
「どこに行くの?」
ラウルが声を掛ける。
「荷物取りに帰る」
少女の言葉にラウルが黙って西の空を指した。
黒い煙が乾いた空に立ち昇っている。
「何あれ」
少女が首を傾げると、
「さっきの連中の仲間だよ。あの人達の遺体と持ち物を焼き払ってるんだ」
ラウルが言った。
「なんで!?」
「知識を後世に残さないために」
ケイは地図を広げなら答えた。
「知識って、植林の?」
少女の問いに、
「兵器製造のだ」
ケイは地図に目を落としたまま言った。
「そんなの作ってなかったわよ!」
少女が心外だ、という表情で言った。
「作ってたんだ。審判前に」
「ケイ、もう少し優しく……」
ラウルがケイの素っ気ない態度を穏やかにたしなめた。
「どこにそんな証拠があるのよ!」
少女が腹を立てたように言うと、
「証拠なんかいらないんだ。あいつらがそう思えばそれで十分なんだよ」
ラウルが答えた。
「そんな……!」
少女は何かを言いかけて口をつぐんだ。
煙が昇っている西の空を見上げる。
ケイは地図を広げたままラウルを見上げた。
ラウルは少女に気を取られているようだった。斜め後ろから少女を見つめている。
空を見ていた少女が口を開きかけたとき、
「君の名前、何て言うの?」
ラウルが訊ねた。
と言うことは、やはり二人は知り合いではなかったのか。
だとしたら、さっきのラウルのリアクションはなんだったんだろうか。
「僕はラウル。ラウル・クライ・デート」
ラウルが名乗ると、
「ティア・シティル」
と少女が答えた。
ラウルがケイを無言で促す。
ティアもつられるようにケイの方を向いた。
「……ケイ」
嫌だったが仕方なく名乗った。
「それだけ?」
ティアが首を傾げる。
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