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第六章 花霞
第一話
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第六章 花霞
放課後、帰る支度をしていると花咲が近寄ってきた。
「藤崎くん、今日は図書委員の会議で遅くなりそうなの。だから写真は明日でいいかな?」
「うん、じゃあ、明日」
花咲と入れ違いに、斉藤道子が話しかけてきた。
「藤崎くん、子猫、まだ残ってる?」
「いるよ」
「じゃあ、一匹譲ってくれない?」
斉藤ははにかんだように言った。
「いいよ」
「じゃあ、今日一緒に帰っていい?」
「いいけど」
正直斉藤は苦手なのだが猫の貰い手は必要だ。
紘一は斉藤と連れだって帰宅した。
斉藤はよほど猫が欲しかったのか、はしゃいでる様子で何やら色々喋っていたが、紘一は殆ど聞いてなかった。
「あれ? あの子、確か紘一君の好きな子じゃないですか?」
紘彬と一緒に紘一の家に向かっていた如月が言った。
確かに紘一の家へ続く道を花咲が一人で歩いていた。
「紘一君があの子と約束してるなら遠慮した方がいいですよね?」
「でも、それならさっきメールしたときにそう返事してきただろ」
メールの返事には「待ってる」としか書いてなかった。
「俺達に彼女だって紹介したいのかな」
紘一は、家に着くと玄関にいる斉藤のところに子猫の入った段ボールを持っていった。
「残りはこの二匹なんだ」
紘一はタオルを敷いた段ボールに入っている子猫を見せた。
「可愛い~」
斉藤は目を輝かせて猫に見入った。
「藤崎君はどっちがいいと思う?」
二匹の子猫を抱き上げて訊ねてきた。
洋服選びじゃないんだから……。
「斉藤の好きな方選びなよ」
「う~ん、どっちにしようかな」
斉藤が子猫を交互に見ているとき、チャイムが鳴った。
「はい」
紘一がドアを開けると、そこには花咲が立っていた。
「花咲……」
紘一は思わず狼狽えた。
別にやましいことはしていないのだが、なんだか浮気の現場を見られたような気になった。
「委員会が早く終わったの。だから……道子ちゃん! どうしてここにいるの?」
「あ、猫欲しいっていうから……」
紘一はとっさに弁解した。
「夕香梨ちゃんこそ、どうして来たの! もう猫貰ったんだから用はないはずでしょ!」
斉藤がきつい口調で言った。
「私は猫の写真を撮りに……」
花咲が言い訳するように言った。
「道子ちゃん、猫は飼えないって言ってたじゃない」
「飼えることになったの!」
「でも……」
「夕香梨ちゃんこそ、殺される猫を減らすために保健所から貰う事にしたって言ってたくせに、藤崎くんから貰ったじゃない!」
「それは……」
「猫に紘一って名前つけたこと、知ってるんだからね!」
「え?」
「あ!」
紘一が花咲を見るのと同時に、彼女が真っ赤になって俯いた。
「私帰る!」
斉藤は猫を段ボールに入れると帰ってしまった。
「あ! 道子ちゃん!」
「は、花咲、俺も花咲のこと……」
紘一が真っ赤になって告白しようとしたとき、
「ごめんなさい! 道子ちゃん達のこと、裏切れないの!」
花咲はそう言って頭を下げると走っていってしまった。
「花咲!」
後に残された紘一は呆然と花咲が駆けていった方を見ていた。
「紘一……」
紘彬も如月も、紘一にかける言葉が見つからなかった。
「兄ちゃん、如月さん、ごめん。今日はゲームする気になんない」
「そ、そうか。兄ちゃん達のことは気にするな」
紘彬がそう言うと紘一は家の中に入っていった。
勝手に修羅場を演じられたあげくに振られてしまったのだから落ち込むのも無理はない。
紘彬と如月は家の外に取り残された。
「仕方ないな。どうしようか。うちにはゲームないんだよな」
「そうなんですか?」
ゲームそのものは紘一の部屋にあるが、どちらかと言えばゲーム好きは紘彬の方に見えるのだが。
「ゲームやってると祖父ちゃんが説教してくんだよ」
「そうですか」
「あ、もしかして、桐子ちゃんとどっか行きたいか? それなら俺、遠慮するけど」
紘彬の言葉に、
「そんな必要ないですよ。桐子ちゃんはむしろ桜井さんがいた方が嬉しいと思いますし」
如月は慌てて手を振った。
「そうか? じゃあさ、桐子ちゃんに友達連れてきてもらえよ」
「分かりました」
如月がメールを打つと、すぐに立花から返事があった。
「待ち合わせ場所、歌舞伎町でいいですか?」
「いいよ。なんで?」
「歌舞伎町には行きたくないって……」
「それは仕事でだよ。拳銃だの青竜刀だの持ち出す奴らがいるだろ」
青竜刀は滅多にないと思うが、確かに客で行く分にはそれほど危険はない。
ぼったくりにさえ引っかからなければ。
「じゃあ、行きましょうか」
二人は並んで歩き出した。
「それにしても紘一君、さすが桜井さんの従弟だけありますね」
如月は感心したように言った。
一度でいいからあんなにモテてみたいものだ。
「俺、あんなにモテないぜ」
「バレンタインのお返しのキャンディ、問屋で箱買いした人が何言ってるんですか」
紘彬一人では持ちきれないので如月も手伝ったのだ。
「署内の女性全員から貰ったじゃないですか。掃除のおばさんも含めて。それと今まで事件で関わった女性とか、警察に入る前からの知り合いとか」
「義理チョコなんていくら貰ってもモテてることにはならないだろ」
「既婚の女性は義理でしょうけど、それ以外は本命ですよ。桜井さんのチョコだけグレードが違ったじゃないですか」
「警部補だから良い物だったんじゃないのか?」
「だったら課長や署長はもっと良い物貰ってるはずじゃないですか」
「違うの?」
「婦警達、徳用の袋から出して配ってましたよ」
「そういうことはもっと早く言えよ」
「てっきり気付いてるかと」
紘彬はとぼけてるのか天然なのか、如月にも今イチ掴みきれなかった。
待ち合わせの場所には立花を含めて五人の女性がいた。
「羽田俊子です」
「成田美代子です」
「空港コンビか。茨城がいれば完璧だったな」
「よく言われます」
羽田と成田は顔を合わせて笑った。
「そちらの二人は花井京子さんと岬凪子さんです」
立花が紹介した。
全員紘彬と同じ署の婦警だった。
「桐子ちゃん、連れてくるの一人じゃなかったの?」
如月が小声で訊ねた。
「それが……桜井警部補が来るって聞いたら、みんな来たいって言っちゃって……」
「五対二か、こっちもあと三人用意した方がいいのか?」
「やめておきましょう」
何人来ても紘彬一人がモテることには変わりないだろう。
呼んだ三人に恨まれるだけだ。
放課後、帰る支度をしていると花咲が近寄ってきた。
「藤崎くん、今日は図書委員の会議で遅くなりそうなの。だから写真は明日でいいかな?」
「うん、じゃあ、明日」
花咲と入れ違いに、斉藤道子が話しかけてきた。
「藤崎くん、子猫、まだ残ってる?」
「いるよ」
「じゃあ、一匹譲ってくれない?」
斉藤ははにかんだように言った。
「いいよ」
「じゃあ、今日一緒に帰っていい?」
「いいけど」
正直斉藤は苦手なのだが猫の貰い手は必要だ。
紘一は斉藤と連れだって帰宅した。
斉藤はよほど猫が欲しかったのか、はしゃいでる様子で何やら色々喋っていたが、紘一は殆ど聞いてなかった。
「あれ? あの子、確か紘一君の好きな子じゃないですか?」
紘彬と一緒に紘一の家に向かっていた如月が言った。
確かに紘一の家へ続く道を花咲が一人で歩いていた。
「紘一君があの子と約束してるなら遠慮した方がいいですよね?」
「でも、それならさっきメールしたときにそう返事してきただろ」
メールの返事には「待ってる」としか書いてなかった。
「俺達に彼女だって紹介したいのかな」
紘一は、家に着くと玄関にいる斉藤のところに子猫の入った段ボールを持っていった。
「残りはこの二匹なんだ」
紘一はタオルを敷いた段ボールに入っている子猫を見せた。
「可愛い~」
斉藤は目を輝かせて猫に見入った。
「藤崎君はどっちがいいと思う?」
二匹の子猫を抱き上げて訊ねてきた。
洋服選びじゃないんだから……。
「斉藤の好きな方選びなよ」
「う~ん、どっちにしようかな」
斉藤が子猫を交互に見ているとき、チャイムが鳴った。
「はい」
紘一がドアを開けると、そこには花咲が立っていた。
「花咲……」
紘一は思わず狼狽えた。
別にやましいことはしていないのだが、なんだか浮気の現場を見られたような気になった。
「委員会が早く終わったの。だから……道子ちゃん! どうしてここにいるの?」
「あ、猫欲しいっていうから……」
紘一はとっさに弁解した。
「夕香梨ちゃんこそ、どうして来たの! もう猫貰ったんだから用はないはずでしょ!」
斉藤がきつい口調で言った。
「私は猫の写真を撮りに……」
花咲が言い訳するように言った。
「道子ちゃん、猫は飼えないって言ってたじゃない」
「飼えることになったの!」
「でも……」
「夕香梨ちゃんこそ、殺される猫を減らすために保健所から貰う事にしたって言ってたくせに、藤崎くんから貰ったじゃない!」
「それは……」
「猫に紘一って名前つけたこと、知ってるんだからね!」
「え?」
「あ!」
紘一が花咲を見るのと同時に、彼女が真っ赤になって俯いた。
「私帰る!」
斉藤は猫を段ボールに入れると帰ってしまった。
「あ! 道子ちゃん!」
「は、花咲、俺も花咲のこと……」
紘一が真っ赤になって告白しようとしたとき、
「ごめんなさい! 道子ちゃん達のこと、裏切れないの!」
花咲はそう言って頭を下げると走っていってしまった。
「花咲!」
後に残された紘一は呆然と花咲が駆けていった方を見ていた。
「紘一……」
紘彬も如月も、紘一にかける言葉が見つからなかった。
「兄ちゃん、如月さん、ごめん。今日はゲームする気になんない」
「そ、そうか。兄ちゃん達のことは気にするな」
紘彬がそう言うと紘一は家の中に入っていった。
勝手に修羅場を演じられたあげくに振られてしまったのだから落ち込むのも無理はない。
紘彬と如月は家の外に取り残された。
「仕方ないな。どうしようか。うちにはゲームないんだよな」
「そうなんですか?」
ゲームそのものは紘一の部屋にあるが、どちらかと言えばゲーム好きは紘彬の方に見えるのだが。
「ゲームやってると祖父ちゃんが説教してくんだよ」
「そうですか」
「あ、もしかして、桐子ちゃんとどっか行きたいか? それなら俺、遠慮するけど」
紘彬の言葉に、
「そんな必要ないですよ。桐子ちゃんはむしろ桜井さんがいた方が嬉しいと思いますし」
如月は慌てて手を振った。
「そうか? じゃあさ、桐子ちゃんに友達連れてきてもらえよ」
「分かりました」
如月がメールを打つと、すぐに立花から返事があった。
「待ち合わせ場所、歌舞伎町でいいですか?」
「いいよ。なんで?」
「歌舞伎町には行きたくないって……」
「それは仕事でだよ。拳銃だの青竜刀だの持ち出す奴らがいるだろ」
青竜刀は滅多にないと思うが、確かに客で行く分にはそれほど危険はない。
ぼったくりにさえ引っかからなければ。
「じゃあ、行きましょうか」
二人は並んで歩き出した。
「それにしても紘一君、さすが桜井さんの従弟だけありますね」
如月は感心したように言った。
一度でいいからあんなにモテてみたいものだ。
「俺、あんなにモテないぜ」
「バレンタインのお返しのキャンディ、問屋で箱買いした人が何言ってるんですか」
紘彬一人では持ちきれないので如月も手伝ったのだ。
「署内の女性全員から貰ったじゃないですか。掃除のおばさんも含めて。それと今まで事件で関わった女性とか、警察に入る前からの知り合いとか」
「義理チョコなんていくら貰ってもモテてることにはならないだろ」
「既婚の女性は義理でしょうけど、それ以外は本命ですよ。桜井さんのチョコだけグレードが違ったじゃないですか」
「警部補だから良い物だったんじゃないのか?」
「だったら課長や署長はもっと良い物貰ってるはずじゃないですか」
「違うの?」
「婦警達、徳用の袋から出して配ってましたよ」
「そういうことはもっと早く言えよ」
「てっきり気付いてるかと」
紘彬はとぼけてるのか天然なのか、如月にも今イチ掴みきれなかった。
待ち合わせの場所には立花を含めて五人の女性がいた。
「羽田俊子です」
「成田美代子です」
「空港コンビか。茨城がいれば完璧だったな」
「よく言われます」
羽田と成田は顔を合わせて笑った。
「そちらの二人は花井京子さんと岬凪子さんです」
立花が紹介した。
全員紘彬と同じ署の婦警だった。
「桐子ちゃん、連れてくるの一人じゃなかったの?」
如月が小声で訊ねた。
「それが……桜井警部補が来るって聞いたら、みんな来たいって言っちゃって……」
「五対二か、こっちもあと三人用意した方がいいのか?」
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