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第四章 花嵐
第四話
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職員室から戻ってきた紘一は、よその教室から出てきた花咲と廊下で出くわした。
「花咲、この教室で何してたの?」
ここは紘一や花咲の教室ではない。
「友達に借りてた本を返しに来たの。藤崎君、この前は有難う」
「あの猫、どうしてる?」
やった!
今日は邪魔者がいない。
紘一は心の中でガッツポーズを取った。
「うん、もうすっかり慣れて、今朝もソファでくつろいでた」
「そうなんだ。なんて名前にしたの?」
「こ……」
「え?」
「……猫」
花咲は恥ずかしげに頬を赤らめた。
「ほら、藤崎くんち、夏目坂の近くでしょ」
確かに箱根山を越えた向こう側が夏目坂だから近くといえない事はないけど……。
歩いて十五分くらいだし。
箱根山というのは23区内で一番高い山である。
山と言っても高さ45メートル弱の丘――と言うか正確には築山である。
この辺りは江戸時代尾張徳川家の下屋敷で、殿様が庭に東海道五十三次のミニチュアを作った。
そのとき箱根関を模して作ったのが箱根山である。
この箱根山を中心とした一体は、緑が多いので戸山公園という公園になっている。
紘一の家と夏目坂はこの戸山公園を挟んだ反対側である。
「だから夏目漱石にあやかって」
「あれは名無しで猫って名前じゃなかったと思うけど……」
確か最後まで名前は付かなかったはずだ。
「うん、でも、さすがに名前なしって訳にはいかないし」
まぁ、そうだろうな。
花咲ってやっぱり変わってる。
「他の猫の貰い手、見つかった?」
「それは……」
紘一が答えようとしたとき、大勢の生徒達が教室の方から逃げるように走ってきた。
「おい、どうしたんだよ」
紘一はクラスメイトを捕まえて訊ねた。
「石川がナイフ持って暴れてるんだ」
「まさか! 花咲はここにいて」
「藤崎君は?」
「様子を見てくる」
流れに逆らって教室の前に行くと人だかりがしていた。
逃げないで見物している連中がいるようだ。
命の危険を冒してまで野次馬をすると言うのもある意味天晴れと言えない事もない……かもしれない。
人垣の頭越し覗いてみると石川が倒れていた。
紘一は紘彬と同じで背が高い。だから野次馬の後ろからでも見えたのだ。
石川の手元には血に染まったナイフが落ちていた。
皆、遠巻きに見ているだけで石川に近寄ろうとはしなかった。
紘一は生徒達をかき分けて石川のそばに行くと膝を突いて頭を抱えた。
石川は意識がなかった。
服には血がべっとりとついていたが、それが石川のものなのか、それとも返り血なのかは分からなかった。
呻き声のようなものが聞こえて振り返ると、教室の中に何人か倒れていた。
よく見えないが血を流してるようだった。
そのとき、生徒達から報告を受けたらしい教師達がやってきた。
紘一は石川を保健教諭にゆだねた。
そして、教師達に話を訊かれているところへ刑事達が来たのだ。
「じゃあ、石川くんがなんで倒れたのかは知らないのかい?」
「はい。知りません」
そのとき、別の少年課の刑事が電話を終えて、紘一に話を聞いていた刑事に耳打ちをした。
紘彬は紘一の前にかがんだ。
「ケガはしてないんだな」
「うん。これは石川を抱えてついた血だよ」
「藤崎くん、悪いんだけどもう一度話を聞かせてくれるかい?」
「はい」
紘一はさっきの話を再び繰り返した。
刑事が時折質問を挟んだ。
「じゃあ、ホントに君が石川くんと喧嘩したんじゃないんだね」
「紘一は嘘なんかつきません」
紘彬がむっとしたように言った。
「紘一くんがこの生徒と喧嘩したなんて、目撃証言ってホントに宛てになりませんね」
如月も憤慨したが、目撃証言の宛てにならなさは経験上よく分かっている。
犯人は緑色の服を着ていた、と言う目撃証言があったのに捕まえてみたらオレンジ色の服だった、なんて言う事は日常茶飯事だ。
「俺、石川とは仲悪かったから」
紘一が喧嘩して倒したと言っているのは、倒れている石川を抱えている姿を見た生徒が早合点したのだろう。
話を聞きながら考え込んでいた如月が、
「紘一くん、その石川って子、痩せてた? ていうか、最近痩せた?」
と、訊ねた。
「そういえば、抱え上げたとき、随分軽いなって……」
「とりあえず、今はもういいよ。着替えてくるといい」
刑事が言った。
「はい」
紘一は立ち上がってから少し躊躇った後、刑事に向き直った。
「あの……病院に運ばれた人は……石川も含めて……」
教室に倒れていた男子生徒と女子生徒の二人は既に死んでいた。
かろうじて息があった石川ともう一人の男子生徒、それに女性教師が病院に搬送された。
刑事は少し躊躇ってから、
「石川くんは亡くなったそうだ」
と言った。
紘一が石川を倒したという話を聞いて、逃げていた生徒達が戻ってきた。
少年課の刑事が生徒達に話を聞いたところ、石川はいきなりキレて持っていたナイフを振り回し、生徒達に無差別に斬りかかっていったというのだ。
何が原因なのか知っている生徒はいなかった。
切られてケガをした生徒は保健室へ行っていた。
「紘一くん、ショックでしょうね」
署に戻る道すがら、如月が顔を曇らせて言った。
「そうだな」
犠牲になったのは全員クラスメイトだ。
「悪いな、如月」
「何がですか?」
「お前まで飛び出して来て、きっと課長に叱られるぞ」
「自分も紘一くんのことは心配でしたから」
「ありがとな。そういえば、さっき、紘一に、石川って子が痩せてたか訊いてたな」
「急にキレたって訊いて、もしかして例のHeをやったことがあるって言ってた子かなって思って」
確かに、紘一は同級生にHeをやってる生徒がいると言っていた。
Heをやっていた生徒と、がりがりに痩せていきなりキレたあげく、突然倒れた生徒が別だったとは考えにくい。
「さすがだな。そこまで思いつかなかった。てことは自分で倒れたってことだよな」
「そうなりますね」
紘彬はスマホを出すと紘一にメッセージを送った。
着替えていたからか、メッセージの返事はすぐに来た。
「やっぱり石川って子がHeやってたそうだ」
紘一がやってないという言葉は疑ってないが、立証できればそれに越したことはない。
如月は紘一のためにもHeを売ってる売人を捕まえようと決心した。
「そういえば、紘一の相談に乗ってくれてるんだろ」
「そんな、相談に乗るなんてほどのことは何も……」
どうして紘彬が知っているのだろうかと考えながら答えた。
紘一が言ったとは思えなかった。
多分、いつも紘一の様子を見ているから気付いたのだろう。
「やっぱり身内じゃない方が言いやすい事もあるんだと思います」
「何言ってんだ。身内だと思ってなければ相談なんかしないぜ」
「そうでしょうか」
如月も紘一を弟のように思っていたので紘彬の言葉は嬉しかった。
「あいつのこと頼むな。きっと今回の事で落ち込むと思うし」
「分かりました」
「俺も気を付けるつもりだけど、お前も頼むよ」
「はい」
「花咲、この教室で何してたの?」
ここは紘一や花咲の教室ではない。
「友達に借りてた本を返しに来たの。藤崎君、この前は有難う」
「あの猫、どうしてる?」
やった!
今日は邪魔者がいない。
紘一は心の中でガッツポーズを取った。
「うん、もうすっかり慣れて、今朝もソファでくつろいでた」
「そうなんだ。なんて名前にしたの?」
「こ……」
「え?」
「……猫」
花咲は恥ずかしげに頬を赤らめた。
「ほら、藤崎くんち、夏目坂の近くでしょ」
確かに箱根山を越えた向こう側が夏目坂だから近くといえない事はないけど……。
歩いて十五分くらいだし。
箱根山というのは23区内で一番高い山である。
山と言っても高さ45メートル弱の丘――と言うか正確には築山である。
この辺りは江戸時代尾張徳川家の下屋敷で、殿様が庭に東海道五十三次のミニチュアを作った。
そのとき箱根関を模して作ったのが箱根山である。
この箱根山を中心とした一体は、緑が多いので戸山公園という公園になっている。
紘一の家と夏目坂はこの戸山公園を挟んだ反対側である。
「だから夏目漱石にあやかって」
「あれは名無しで猫って名前じゃなかったと思うけど……」
確か最後まで名前は付かなかったはずだ。
「うん、でも、さすがに名前なしって訳にはいかないし」
まぁ、そうだろうな。
花咲ってやっぱり変わってる。
「他の猫の貰い手、見つかった?」
「それは……」
紘一が答えようとしたとき、大勢の生徒達が教室の方から逃げるように走ってきた。
「おい、どうしたんだよ」
紘一はクラスメイトを捕まえて訊ねた。
「石川がナイフ持って暴れてるんだ」
「まさか! 花咲はここにいて」
「藤崎君は?」
「様子を見てくる」
流れに逆らって教室の前に行くと人だかりがしていた。
逃げないで見物している連中がいるようだ。
命の危険を冒してまで野次馬をすると言うのもある意味天晴れと言えない事もない……かもしれない。
人垣の頭越し覗いてみると石川が倒れていた。
紘一は紘彬と同じで背が高い。だから野次馬の後ろからでも見えたのだ。
石川の手元には血に染まったナイフが落ちていた。
皆、遠巻きに見ているだけで石川に近寄ろうとはしなかった。
紘一は生徒達をかき分けて石川のそばに行くと膝を突いて頭を抱えた。
石川は意識がなかった。
服には血がべっとりとついていたが、それが石川のものなのか、それとも返り血なのかは分からなかった。
呻き声のようなものが聞こえて振り返ると、教室の中に何人か倒れていた。
よく見えないが血を流してるようだった。
そのとき、生徒達から報告を受けたらしい教師達がやってきた。
紘一は石川を保健教諭にゆだねた。
そして、教師達に話を訊かれているところへ刑事達が来たのだ。
「じゃあ、石川くんがなんで倒れたのかは知らないのかい?」
「はい。知りません」
そのとき、別の少年課の刑事が電話を終えて、紘一に話を聞いていた刑事に耳打ちをした。
紘彬は紘一の前にかがんだ。
「ケガはしてないんだな」
「うん。これは石川を抱えてついた血だよ」
「藤崎くん、悪いんだけどもう一度話を聞かせてくれるかい?」
「はい」
紘一はさっきの話を再び繰り返した。
刑事が時折質問を挟んだ。
「じゃあ、ホントに君が石川くんと喧嘩したんじゃないんだね」
「紘一は嘘なんかつきません」
紘彬がむっとしたように言った。
「紘一くんがこの生徒と喧嘩したなんて、目撃証言ってホントに宛てになりませんね」
如月も憤慨したが、目撃証言の宛てにならなさは経験上よく分かっている。
犯人は緑色の服を着ていた、と言う目撃証言があったのに捕まえてみたらオレンジ色の服だった、なんて言う事は日常茶飯事だ。
「俺、石川とは仲悪かったから」
紘一が喧嘩して倒したと言っているのは、倒れている石川を抱えている姿を見た生徒が早合点したのだろう。
話を聞きながら考え込んでいた如月が、
「紘一くん、その石川って子、痩せてた? ていうか、最近痩せた?」
と、訊ねた。
「そういえば、抱え上げたとき、随分軽いなって……」
「とりあえず、今はもういいよ。着替えてくるといい」
刑事が言った。
「はい」
紘一は立ち上がってから少し躊躇った後、刑事に向き直った。
「あの……病院に運ばれた人は……石川も含めて……」
教室に倒れていた男子生徒と女子生徒の二人は既に死んでいた。
かろうじて息があった石川ともう一人の男子生徒、それに女性教師が病院に搬送された。
刑事は少し躊躇ってから、
「石川くんは亡くなったそうだ」
と言った。
紘一が石川を倒したという話を聞いて、逃げていた生徒達が戻ってきた。
少年課の刑事が生徒達に話を聞いたところ、石川はいきなりキレて持っていたナイフを振り回し、生徒達に無差別に斬りかかっていったというのだ。
何が原因なのか知っている生徒はいなかった。
切られてケガをした生徒は保健室へ行っていた。
「紘一くん、ショックでしょうね」
署に戻る道すがら、如月が顔を曇らせて言った。
「そうだな」
犠牲になったのは全員クラスメイトだ。
「悪いな、如月」
「何がですか?」
「お前まで飛び出して来て、きっと課長に叱られるぞ」
「自分も紘一くんのことは心配でしたから」
「ありがとな。そういえば、さっき、紘一に、石川って子が痩せてたか訊いてたな」
「急にキレたって訊いて、もしかして例のHeをやったことがあるって言ってた子かなって思って」
確かに、紘一は同級生にHeをやってる生徒がいると言っていた。
Heをやっていた生徒と、がりがりに痩せていきなりキレたあげく、突然倒れた生徒が別だったとは考えにくい。
「さすがだな。そこまで思いつかなかった。てことは自分で倒れたってことだよな」
「そうなりますね」
紘彬はスマホを出すと紘一にメッセージを送った。
着替えていたからか、メッセージの返事はすぐに来た。
「やっぱり石川って子がHeやってたそうだ」
紘一がやってないという言葉は疑ってないが、立証できればそれに越したことはない。
如月は紘一のためにもHeを売ってる売人を捕まえようと決心した。
「そういえば、紘一の相談に乗ってくれてるんだろ」
「そんな、相談に乗るなんてほどのことは何も……」
どうして紘彬が知っているのだろうかと考えながら答えた。
紘一が言ったとは思えなかった。
多分、いつも紘一の様子を見ているから気付いたのだろう。
「やっぱり身内じゃない方が言いやすい事もあるんだと思います」
「何言ってんだ。身内だと思ってなければ相談なんかしないぜ」
「そうでしょうか」
如月も紘一を弟のように思っていたので紘彬の言葉は嬉しかった。
「あいつのこと頼むな。きっと今回の事で落ち込むと思うし」
「分かりました」
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