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第一章 花吹雪
第四話
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課長から辞令を受けた紘彬と如月は同僚の刑事達と引き合わされた。
「俺は団藤団警部補だ」
黒っぽい背広を着た、彫りの深い顔立ちの男が自己紹介した。刑事課のリーダー的存在のようだ。
「まどかちゃんって言うんだ」
三十代半ばの団藤は紘彬にとって先輩のはずなのにタメ口で言った。
「ダンと呼んでくれ」
団藤の方も気にした様子もなく答えた。
「だんどうだん? ミサイルみたいだな」
「いいじゃないか、男らしくて」
「よろしくな、まどかちゃん」
紘彬は明るく団藤の肩を叩いた。
「ダンだ」
「まどかちゃんだって」
団藤の隣に立っていた三人組がにやにやしながら肘で突きあっていた。
三人も団藤と同じく三十代くらいに見える。
「そっちの三人が長野トリオ」
むっとした団藤が三人を一纏めにして言った。
「佐久健二巡査部長であります」
「上田猛巡査部長であります」
「飯田洋一巡査部長であります」
三人が並んで敬礼をしながら自己紹介した。
「長野トリオって、名字が長野の地名だからか?」
「三人とも長野県出身で、よくローカルな話で盛り上がってるからだ」
「へぇ」
「よし! 顔合わせがすんだら事件の話に移るぞ」
団藤が手を叩いて注意を集めた。
「おい、新入りのパンダ、茶、入れてこい」
長野トリオの一人、飯田が言った。
「はい」
如月はすぐに給湯室に向かった。
給湯室の場所は訊いてなかったが、さっき通り過ぎたときにチェックはしていた。
自分が一番の下っ端なのは分かっている。
当然お茶くみは自分がやることになるのだ。
狭くて薄暗い給湯室に入ったとき、人の気配がして振り返ると紘彬がついてきていた。
「桜井警部補、どうされたんですか?」
如月は電気を付けながら訊ねた。
「新入り、茶、入れてこいって言われただろ」
「あれは自分のことです。桜井警部補はパンダなんてあだ名ついてないですし」
「なんでパンダなんてあだ名がついてるんだ? 捕り物で殴られてパンダにでもなったか?」
「いえ、自分の名前は風太なんです。昔、例のアライグマが立ち上がって話題になったのを覚えてる人がいて……」
「レッサーパンダだろ。……それでパンダか」
紘彬は納得したように頷いた。
「でも、俺も新入りには変わらないし」
「桜井警部補はいいんですよ。警部補なんですから」
如月はそう言いながらやかんに水を入れ火にかけると、戸棚から急須とお茶っぱの入った缶を探し始めた。
「俺、これでもお茶入れるの得意なんだぜ。花耶ちゃんに教わったからな」
「花耶ちゃん?」
「俺の従妹だ。写真見るか?」
紘彬はそう言うと胸ポケットからスマホを出した。
「これが俺の従妹弟の花耶ちゃんと紘一」
紘彬はスマホのアルバムの中から一枚を選ぶとそれをタップして表示し、さも自慢そうに写真を見せた。
写真には紘彬に面差しが似ている少年が一人と、高校生くらいのきれいな女の子が一人、それに二十代後半くらいのすごい美女が写っていた。
三人とも頭が良さそうに見えるのは紘彬の血縁という色眼鏡で見てるからだろうか。
「こっちが花耶ちゃんで、こっちが紘一な」
紘彬は女の子を指し、次に少年を指すと胸を張った。
従妹弟の写真をこんなに自慢げに見せる人も珍しいな。
「このきれいな方はどなたですか?」
如月は女性を指さした。
「それは俺の姉ちゃん。花穂って言うんだ」
「美形一家なんですね」
戸棚からお盆を取り出し、人数分の湯飲みを乗せながら言った。
「美形ってほどじゃないだろ」
紘彬は茶筒の蓋を開けて中を覗くと、なんだ番茶か、と言って蓋を閉めて元のところに戻した。
「美人ですよ、花耶さんもお姉さんも」
「ちなみに紘一は今高校一年。花耶ちゃんが大学一年。姉ちゃんは結婚して家出た」
「高一と大学一年ですか」
如月は紘彬が戻した茶筒を取ると、茶葉を急須に入れた。
「お前まで言うなよ」
「何をですか?」
「紘一が高一って駄洒落」
「どういうことですか?」
「俺の親父や紘一の叔父さんが会社で言ってるらしいんだよ。『紘一が高一』って親父ギャグ。それが言えるのは高校一年の一年間だけだからって何度も言ってるらしいんだ」
「はぁ」
「どん引きするだろ。ただでさえ寒い親父ギャグを繰り返すなんてさぁ」
自分より階級が上の人の家族をけなすのに同意するわけにはいかない。答えを探しあぐねてると、ちょうどお湯が沸いた。
お茶を入れたお盆を持って刑事部屋に戻ると捜査会議が始まった。
現在――。
紘彬は、血刀男との戦いでジャケットには返り血がついてしまった。
ハンカチで顔をぬぐいながら野次馬をかき分けて自分の家に向かった。
紘彬の家はここから歩いて二分程度だ。
野次馬の大半は近所の知り合いだったから、口々に「大丈夫だった?」などと声をかけられた。
それを適当に受け流しながら家に帰った。
どうせ犯行現場は近所だろうから署に着く前に分かるに違いない。
だったら行くだけ無駄だ。
紘彬の勤務先である警察署へは家から徒歩十五分程だから、警察の寮に入らず自宅から通勤している。
「紘一、ごめんな。試写会は友達と行ってくれ」
「分かった。気にしなくていいから」
シャワーを浴びて着替え、玄関に行くと如月が待っていた。
犯行現場が分かったのだろう。
紘彬は如月と共に家を出た。
案の定、犯行現場は男がいた場所のすぐ近くの家だった。
つまり紘彬の家の近所でもある。
「桜井さん、あの男のこと知らなかったんですか?」
「見たことないなぁ」
近所と言っても紘彬は昼間は仕事でいない。
警察に入る前は学校へ行っていた。
だから近所の人のことは余りよく知らないのだ。
それに、あの男に限って言えば、顔に大量の血がついていた。
家の周囲には人が大勢集まっていた。
もちろん、マスコミも来ていた。
如月と上田、佐久は聞き込みに回った。
これだけ大勢いるとなるとかなり時間がかかるだろう。
犯行現場の家に入るとき、
「紘君、どうなってるの?」
近所のおばさんに声をかけられた。
きっと警察官の自分が近所に住んでいながら事件が防げなかったとか言って後ろ指指されるんだろうなぁ。
紘彬は密かにため息をついた。
初老の女性が台所近くの廊下に、台所で二十代半ばと思われる女性二人と二、三歳くらいの子供二人が血まみれで死んでいた。
現場と思われる台所は血の海だった。
床は勿論のこと、壁や天井からも血が滴っている。
五人ともいくつもの刀傷があった。めちゃくちゃに振り回した刀に斬り付けられたのだろう。
血まみれで分かりづらかったが、大人の女性の一人と子供の一人は知ってる顔だった。
家はここではなかったはずだ。多分遊びに来ていたのだろう。
残りの三人には見覚えがなかった。
後で祖母ちゃんに訊いてみよう。
「俺は団藤団警部補だ」
黒っぽい背広を着た、彫りの深い顔立ちの男が自己紹介した。刑事課のリーダー的存在のようだ。
「まどかちゃんって言うんだ」
三十代半ばの団藤は紘彬にとって先輩のはずなのにタメ口で言った。
「ダンと呼んでくれ」
団藤の方も気にした様子もなく答えた。
「だんどうだん? ミサイルみたいだな」
「いいじゃないか、男らしくて」
「よろしくな、まどかちゃん」
紘彬は明るく団藤の肩を叩いた。
「ダンだ」
「まどかちゃんだって」
団藤の隣に立っていた三人組がにやにやしながら肘で突きあっていた。
三人も団藤と同じく三十代くらいに見える。
「そっちの三人が長野トリオ」
むっとした団藤が三人を一纏めにして言った。
「佐久健二巡査部長であります」
「上田猛巡査部長であります」
「飯田洋一巡査部長であります」
三人が並んで敬礼をしながら自己紹介した。
「長野トリオって、名字が長野の地名だからか?」
「三人とも長野県出身で、よくローカルな話で盛り上がってるからだ」
「へぇ」
「よし! 顔合わせがすんだら事件の話に移るぞ」
団藤が手を叩いて注意を集めた。
「おい、新入りのパンダ、茶、入れてこい」
長野トリオの一人、飯田が言った。
「はい」
如月はすぐに給湯室に向かった。
給湯室の場所は訊いてなかったが、さっき通り過ぎたときにチェックはしていた。
自分が一番の下っ端なのは分かっている。
当然お茶くみは自分がやることになるのだ。
狭くて薄暗い給湯室に入ったとき、人の気配がして振り返ると紘彬がついてきていた。
「桜井警部補、どうされたんですか?」
如月は電気を付けながら訊ねた。
「新入り、茶、入れてこいって言われただろ」
「あれは自分のことです。桜井警部補はパンダなんてあだ名ついてないですし」
「なんでパンダなんてあだ名がついてるんだ? 捕り物で殴られてパンダにでもなったか?」
「いえ、自分の名前は風太なんです。昔、例のアライグマが立ち上がって話題になったのを覚えてる人がいて……」
「レッサーパンダだろ。……それでパンダか」
紘彬は納得したように頷いた。
「でも、俺も新入りには変わらないし」
「桜井警部補はいいんですよ。警部補なんですから」
如月はそう言いながらやかんに水を入れ火にかけると、戸棚から急須とお茶っぱの入った缶を探し始めた。
「俺、これでもお茶入れるの得意なんだぜ。花耶ちゃんに教わったからな」
「花耶ちゃん?」
「俺の従妹だ。写真見るか?」
紘彬はそう言うと胸ポケットからスマホを出した。
「これが俺の従妹弟の花耶ちゃんと紘一」
紘彬はスマホのアルバムの中から一枚を選ぶとそれをタップして表示し、さも自慢そうに写真を見せた。
写真には紘彬に面差しが似ている少年が一人と、高校生くらいのきれいな女の子が一人、それに二十代後半くらいのすごい美女が写っていた。
三人とも頭が良さそうに見えるのは紘彬の血縁という色眼鏡で見てるからだろうか。
「こっちが花耶ちゃんで、こっちが紘一な」
紘彬は女の子を指し、次に少年を指すと胸を張った。
従妹弟の写真をこんなに自慢げに見せる人も珍しいな。
「このきれいな方はどなたですか?」
如月は女性を指さした。
「それは俺の姉ちゃん。花穂って言うんだ」
「美形一家なんですね」
戸棚からお盆を取り出し、人数分の湯飲みを乗せながら言った。
「美形ってほどじゃないだろ」
紘彬は茶筒の蓋を開けて中を覗くと、なんだ番茶か、と言って蓋を閉めて元のところに戻した。
「美人ですよ、花耶さんもお姉さんも」
「ちなみに紘一は今高校一年。花耶ちゃんが大学一年。姉ちゃんは結婚して家出た」
「高一と大学一年ですか」
如月は紘彬が戻した茶筒を取ると、茶葉を急須に入れた。
「お前まで言うなよ」
「何をですか?」
「紘一が高一って駄洒落」
「どういうことですか?」
「俺の親父や紘一の叔父さんが会社で言ってるらしいんだよ。『紘一が高一』って親父ギャグ。それが言えるのは高校一年の一年間だけだからって何度も言ってるらしいんだ」
「はぁ」
「どん引きするだろ。ただでさえ寒い親父ギャグを繰り返すなんてさぁ」
自分より階級が上の人の家族をけなすのに同意するわけにはいかない。答えを探しあぐねてると、ちょうどお湯が沸いた。
お茶を入れたお盆を持って刑事部屋に戻ると捜査会議が始まった。
現在――。
紘彬は、血刀男との戦いでジャケットには返り血がついてしまった。
ハンカチで顔をぬぐいながら野次馬をかき分けて自分の家に向かった。
紘彬の家はここから歩いて二分程度だ。
野次馬の大半は近所の知り合いだったから、口々に「大丈夫だった?」などと声をかけられた。
それを適当に受け流しながら家に帰った。
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だったら行くだけ無駄だ。
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「分かった。気にしなくていいから」
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犯行現場が分かったのだろう。
紘彬は如月と共に家を出た。
案の定、犯行現場は男がいた場所のすぐ近くの家だった。
つまり紘彬の家の近所でもある。
「桜井さん、あの男のこと知らなかったんですか?」
「見たことないなぁ」
近所と言っても紘彬は昼間は仕事でいない。
警察に入る前は学校へ行っていた。
だから近所の人のことは余りよく知らないのだ。
それに、あの男に限って言えば、顔に大量の血がついていた。
家の周囲には人が大勢集まっていた。
もちろん、マスコミも来ていた。
如月と上田、佐久は聞き込みに回った。
これだけ大勢いるとなるとかなり時間がかかるだろう。
犯行現場の家に入るとき、
「紘君、どうなってるの?」
近所のおばさんに声をかけられた。
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紘彬は密かにため息をついた。
初老の女性が台所近くの廊下に、台所で二十代半ばと思われる女性二人と二、三歳くらいの子供二人が血まみれで死んでいた。
現場と思われる台所は血の海だった。
床は勿論のこと、壁や天井からも血が滴っている。
五人ともいくつもの刀傷があった。めちゃくちゃに振り回した刀に斬り付けられたのだろう。
血まみれで分かりづらかったが、大人の女性の一人と子供の一人は知ってる顔だった。
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