2 / 40
第一章 花吹雪
第二話
しおりを挟む
「紘一、逃げろ! 家に帰って通報するんだ!」
「分かった」
紘一が駆けていくのを見送ると、紘彬は男の方へと向き直った。
男はもうすぐそこまで来ていた。刀を振りかぶっている。
「銃を向けて警告しろ! 早く!」
中山は拳銃を抜くと構えた。
「動くな! 撃つぞ!」
男はまるで聞いてない様子で近付いてくる。
「巡査、撃て!」
「しかし……」
中山は完全に腰が引けている。
これでは当たるものも当たらないだろう。
「警告はした! 腕か足を狙え! 早く! 万が一あいつが死んでも正当防衛だって証言してやる! さっさと撃て!」
あと少しで男の間合いに入ってしまう。
「それが……自分は射撃が苦手でして……。桜井警部補、代わりに撃っていただけませんか」
中山が情けない顔で紘彬の方に顔を向けた。
「俺、拳銃なんか持ってないぜ」
紘彬はジャケットの前を開けてホルスターがないことを示した。
「自分のをお貸しします」
「冗談だろ。人の拳銃を撃ったりしたら報告書何枚書かされると思ってるんだ」
一発発砲するごとに報告書を書くのに忙殺されるのである。
他人の拳銃を使ったとなれば、報告書の枚数は更に増えるだろう。
いや、それ以前に二人とも処分されるに違いない。
「威嚇射撃なら腕は関係ないだろ」
「そうですが……」
警官が躊躇うのも無理はなかった。
紘彬達がいる道の脇の斜面の上には高校があるのだ。
今は春休み中のはずだが校庭には運動部の生徒達がいるらしく、時折掛け声や歓声が聞こえてくる。
歌舞伎町辺りならともかく、ここは住宅街だ。銃撃事件など皆無に近い。
そんなところで拳銃をぶっ放せば大騒ぎになるだろう。
もっとも、銃声を聞いたことがないから車のバックファイアと勘違いしてくれるかもしれないが。
紘彬と中山は近付いてくる男にあわせて後ずさっていた。
紘彬は左右に目を配って何かないか探した。
右側の家の作りかけの塀のそばに鉄パイプが落ちていた。
男の背は百七十センチくらいか。がりがりに痩せている。手にした刀からは血が滴っていた。刀身は七十センチくらいだろう。
地面に散った桜の花びらが風に飛ばされて男の方から紘彬達の方へと流されてくる。
花弁の中には血の付いているものもあった。
中山は拳銃を抜いてはいるものの撃てないでいた。
銃を上に向けて、迷うように左右に揺らしている。
威嚇射撃と言っても、実弾を発砲するのだから落ちてきた弾が当たればケガをする。
弾が落ちても大丈夫そうなところを探しているのだ。
もう応援は呼んであるし、紘一も警察に電話したはずだ。
あと少し待てば……。
そのとき、紘彬達と男の中間くらいで金属のきしむ音がして民家の門が開いた。
中から幼稚園児くらいの子供が出てきた。
「優ちゃん、待ってちょうだい」
家の中から母親らしき女性の声が聞こえてきた。
男が刀を振り上げたまま子供の方に身体を向けた。
「やばい!」
紘彬はとっさに近くに落ちていた鉄パイプを拾うと男と子供の間に入った。
振り下ろされた刀を間一髪で受け止めた。
男は予想外に強い力で押してくる。
背後で中山が子供を連れ去った足音を聞くと後ろに飛びさすった。
紘彬が鉄パイプを青眼に構えたのと、男が再び刀を振り下ろすのは同時だった。
刀を右に弾く。
刀についた血が紘彬に跳ねかかる。
男は立て続けに刀を打ち込んできた。
それを右に左にと弾いていく。
安物の日本刀ならとっくに折れているはずである。
相当な業物なのだろう。
刀と鉄パイプがぶつかる度に金属音が住宅街に響く。
その都度、刀についた血が紘彬に降りかかってくる。
男に剣道の心得はないようだ。
ただめちゃくちゃに振り回しているだけである。
すぐに男の動きは見切れた。
紘彬は男の振り下ろした刀を体を開いてよけると、すれ違いざまに小手を打った。
手加減したつもりだったが、手の甲の骨が折れる音が聞こえた。
紘彬はすぐに体を反転して男に向き直った。
男は何事もなかったかのように振り返り、紘彬を見るとにたりと笑った。
薬物のせいだろう。痛みを感じなくなってるらしい。
しかし、そうなると応援が来るまでこのまま打ち合っていなければならないのだろうか。
まだまだ息が上がったりはしないが、春の陽気に、ジャケットの下のシャツが汗で素肌に張り付いている。
男は馬鹿の一つ覚えのように刀を振りかぶると、打ち下ろしてきた。
それを鉄パイプで弾く。
鉄パイプを握る手が汗ばんで滑りやすくなってきたが汗を拭いてる暇はない。
しかし、鉄パイプを落としたりしたら男の兇刃にかかってしまうのは間違いない。
これだけ血にまみれていれば、斬られる心配はないだろうが、この力で刀を叩き付けられたら確実に骨が砕ける。
刀さえなければこちらは二人だ。
中山と二人で押さえ込めるだろう。だが、手の骨を折っても刀を放さないのだ。
となれば……。
男が振り下ろした刀をわずかな体捌きでよけると、裂帛の気合いを発して渾身の力で下段から刀を跳ね上げ、返す二の太刀で太ももを打った。
一瞬の出来事だった。
男が尻餅をつきながら後ろに倒れた。
手から刀が離れた。
次の瞬間、どこから湧いてきたのか、制服警官が次々と男の上に覆い被さっていった。
同時に拍手が聞こえてきた。周りを見てみると、いつの間にか野次馬に囲まれていた。
そう言えば、巡査が警告したんだっけ。
巡査の声は静かな住宅地に響いただろう。
随分沢山の警官がいたように感じたが、数えてみたら三人だった。
警官達は次々と起き上がって、もがいている血刀男を改めて押さえつけた。
「紘兄!」
「兄ちゃん!」
花耶と紘一が駆け寄ってきた。
「大丈夫?」
「平気平気」
紘彬が袖で顔をぬぐっていると、花耶がハンカチを差し出した。隅にピンク色の花が刺繍してある真っ白できれいなハンカチだ。
紘彬が使っていいのか躊躇っていると、
「桜井さん、ご無事ですか?」
如月風太巡査部長が駆け寄ってきた。
如月は刑事なので私服だった。
警官としては小柄な方だし童顔で実際より若く見える。
紘彬と並んでいると、如月の方が何歳も年下に見えるが実際は二歳しか違わない。
「血が……」
「これはあいつの刀の血がかかっただけだ。それより、あの刀の血が何かの感染症に冒されてないか忘れずに検査させろよ。こんなことで肝炎やHIVに感染したらシャレにならないからな」
刀の血は目にも入ってしまった。
手術用のゴーグルをしていたかった。それとマスク。そうすれば体液による感染はなくなる。幸い手に傷はないし。
「必ず検査するように言っておきます」
「もしこれでHIVに感染してエイズで死んだら労災認定降りるかな」
「難しいケースですねぇ」
如月は本気とも冗談ともつかない表情で首をかしげた。
紘彬は腕の時計に目を落とした。
もう十分以上たっていた。
「分かった」
紘一が駆けていくのを見送ると、紘彬は男の方へと向き直った。
男はもうすぐそこまで来ていた。刀を振りかぶっている。
「銃を向けて警告しろ! 早く!」
中山は拳銃を抜くと構えた。
「動くな! 撃つぞ!」
男はまるで聞いてない様子で近付いてくる。
「巡査、撃て!」
「しかし……」
中山は完全に腰が引けている。
これでは当たるものも当たらないだろう。
「警告はした! 腕か足を狙え! 早く! 万が一あいつが死んでも正当防衛だって証言してやる! さっさと撃て!」
あと少しで男の間合いに入ってしまう。
「それが……自分は射撃が苦手でして……。桜井警部補、代わりに撃っていただけませんか」
中山が情けない顔で紘彬の方に顔を向けた。
「俺、拳銃なんか持ってないぜ」
紘彬はジャケットの前を開けてホルスターがないことを示した。
「自分のをお貸しします」
「冗談だろ。人の拳銃を撃ったりしたら報告書何枚書かされると思ってるんだ」
一発発砲するごとに報告書を書くのに忙殺されるのである。
他人の拳銃を使ったとなれば、報告書の枚数は更に増えるだろう。
いや、それ以前に二人とも処分されるに違いない。
「威嚇射撃なら腕は関係ないだろ」
「そうですが……」
警官が躊躇うのも無理はなかった。
紘彬達がいる道の脇の斜面の上には高校があるのだ。
今は春休み中のはずだが校庭には運動部の生徒達がいるらしく、時折掛け声や歓声が聞こえてくる。
歌舞伎町辺りならともかく、ここは住宅街だ。銃撃事件など皆無に近い。
そんなところで拳銃をぶっ放せば大騒ぎになるだろう。
もっとも、銃声を聞いたことがないから車のバックファイアと勘違いしてくれるかもしれないが。
紘彬と中山は近付いてくる男にあわせて後ずさっていた。
紘彬は左右に目を配って何かないか探した。
右側の家の作りかけの塀のそばに鉄パイプが落ちていた。
男の背は百七十センチくらいか。がりがりに痩せている。手にした刀からは血が滴っていた。刀身は七十センチくらいだろう。
地面に散った桜の花びらが風に飛ばされて男の方から紘彬達の方へと流されてくる。
花弁の中には血の付いているものもあった。
中山は拳銃を抜いてはいるものの撃てないでいた。
銃を上に向けて、迷うように左右に揺らしている。
威嚇射撃と言っても、実弾を発砲するのだから落ちてきた弾が当たればケガをする。
弾が落ちても大丈夫そうなところを探しているのだ。
もう応援は呼んであるし、紘一も警察に電話したはずだ。
あと少し待てば……。
そのとき、紘彬達と男の中間くらいで金属のきしむ音がして民家の門が開いた。
中から幼稚園児くらいの子供が出てきた。
「優ちゃん、待ってちょうだい」
家の中から母親らしき女性の声が聞こえてきた。
男が刀を振り上げたまま子供の方に身体を向けた。
「やばい!」
紘彬はとっさに近くに落ちていた鉄パイプを拾うと男と子供の間に入った。
振り下ろされた刀を間一髪で受け止めた。
男は予想外に強い力で押してくる。
背後で中山が子供を連れ去った足音を聞くと後ろに飛びさすった。
紘彬が鉄パイプを青眼に構えたのと、男が再び刀を振り下ろすのは同時だった。
刀を右に弾く。
刀についた血が紘彬に跳ねかかる。
男は立て続けに刀を打ち込んできた。
それを右に左にと弾いていく。
安物の日本刀ならとっくに折れているはずである。
相当な業物なのだろう。
刀と鉄パイプがぶつかる度に金属音が住宅街に響く。
その都度、刀についた血が紘彬に降りかかってくる。
男に剣道の心得はないようだ。
ただめちゃくちゃに振り回しているだけである。
すぐに男の動きは見切れた。
紘彬は男の振り下ろした刀を体を開いてよけると、すれ違いざまに小手を打った。
手加減したつもりだったが、手の甲の骨が折れる音が聞こえた。
紘彬はすぐに体を反転して男に向き直った。
男は何事もなかったかのように振り返り、紘彬を見るとにたりと笑った。
薬物のせいだろう。痛みを感じなくなってるらしい。
しかし、そうなると応援が来るまでこのまま打ち合っていなければならないのだろうか。
まだまだ息が上がったりはしないが、春の陽気に、ジャケットの下のシャツが汗で素肌に張り付いている。
男は馬鹿の一つ覚えのように刀を振りかぶると、打ち下ろしてきた。
それを鉄パイプで弾く。
鉄パイプを握る手が汗ばんで滑りやすくなってきたが汗を拭いてる暇はない。
しかし、鉄パイプを落としたりしたら男の兇刃にかかってしまうのは間違いない。
これだけ血にまみれていれば、斬られる心配はないだろうが、この力で刀を叩き付けられたら確実に骨が砕ける。
刀さえなければこちらは二人だ。
中山と二人で押さえ込めるだろう。だが、手の骨を折っても刀を放さないのだ。
となれば……。
男が振り下ろした刀をわずかな体捌きでよけると、裂帛の気合いを発して渾身の力で下段から刀を跳ね上げ、返す二の太刀で太ももを打った。
一瞬の出来事だった。
男が尻餅をつきながら後ろに倒れた。
手から刀が離れた。
次の瞬間、どこから湧いてきたのか、制服警官が次々と男の上に覆い被さっていった。
同時に拍手が聞こえてきた。周りを見てみると、いつの間にか野次馬に囲まれていた。
そう言えば、巡査が警告したんだっけ。
巡査の声は静かな住宅地に響いただろう。
随分沢山の警官がいたように感じたが、数えてみたら三人だった。
警官達は次々と起き上がって、もがいている血刀男を改めて押さえつけた。
「紘兄!」
「兄ちゃん!」
花耶と紘一が駆け寄ってきた。
「大丈夫?」
「平気平気」
紘彬が袖で顔をぬぐっていると、花耶がハンカチを差し出した。隅にピンク色の花が刺繍してある真っ白できれいなハンカチだ。
紘彬が使っていいのか躊躇っていると、
「桜井さん、ご無事ですか?」
如月風太巡査部長が駆け寄ってきた。
如月は刑事なので私服だった。
警官としては小柄な方だし童顔で実際より若く見える。
紘彬と並んでいると、如月の方が何歳も年下に見えるが実際は二歳しか違わない。
「血が……」
「これはあいつの刀の血がかかっただけだ。それより、あの刀の血が何かの感染症に冒されてないか忘れずに検査させろよ。こんなことで肝炎やHIVに感染したらシャレにならないからな」
刀の血は目にも入ってしまった。
手術用のゴーグルをしていたかった。それとマスク。そうすれば体液による感染はなくなる。幸い手に傷はないし。
「必ず検査するように言っておきます」
「もしこれでHIVに感染してエイズで死んだら労災認定降りるかな」
「難しいケースですねぇ」
如月は本気とも冗談ともつかない表情で首をかしげた。
紘彬は腕の時計に目を落とした。
もう十分以上たっていた。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/essay.png?id=5ada788558fa89228aea)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
比翼の鳥
月夜野 すみれ
歴史・時代
13歳の孤児の少年、菊市(きくち)光夜(こうや)はある日、男装をした十代半ばの少女と出会う。
彼女の名前は桜井花月、16歳。旗本の娘だった。
花月は四人の牢人を一瞬で倒してしまった。
しかし男の格好をしているものの話し方や内容は普通の女の子だ。
男装しているのは刀を差すためだという。
住む家がなく放浪していた光夜は剣術の稽古場をしている桜井家の内弟子として居候することになった。
桜井家で道場剣術とは別に実践的な武術も教わることになる。
バレる、キツい、シャレ(洒落)、マジ(真面目の略)、ネタ(種の逆さ言葉)その他カナ表記でも江戸時代から使われている和語です。
二字熟語のほとんどは明治以前からあります。
愛情(万葉集:8世紀)、時代(9世紀)、世界(竹取物語:9世紀末)、社会(18世紀後半:江戸時代)など。
ただ現代人が現代人向けに現代文で書いた創作なので当時はなかった言葉も使用しています(予感など)。
主人公の名前だけは時代劇らしくなくても勘弁してください。
その他、突っ込まれそうな点は第五章第四話投稿後に近況ノートに書いておきます。
特に花月はブッチギレ!の白だと言われそうですが5章終盤も含め書いたのは2013年です。
カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
独裁者・武田信玄
いずもカリーシ
歴史・時代
歴史の本とは別の視点で武田信玄という人間を描きます!
平和な時代に、戦争の素人が娯楽[エンターテイメント]の一貫で歴史の本を書いたことで、歴史はただ暗記するだけの詰まらないものと化してしまいました。
『事実は小説よりも奇なり』
この言葉の通り、事実の方が好奇心をそそるものであるのに……
歴史の本が単純で薄い内容であるせいで、フィクションの方が面白く、深い内容になっていることが残念でなりません。
過去の出来事ではありますが、独裁国家が民主国家を数で上回り、戦争が相次いで起こる『現代』だからこそ、この歴史物語はどこかに通じるものがあるかもしれません。
【第壱章 独裁者への階段】 国を一つにできない弱く愚かな支配者は、必ず滅ぶのが戦国乱世の習い
【第弐章 川中島合戦】 戦争の勝利に必要な条件は第一に補給、第二に地形
【第参章 戦いの黒幕】 人の持つ欲を煽って争いの種を撒き、愚かな者を操って戦争へと発展させる武器商人
【第肆章 織田信長の愛娘】 人間の生きる価値は、誰かの役に立つ生き方のみにこそある
【最終章 西上作戦】 人々を一つにするには、敵が絶対に必要である
この小説は『大罪人の娘』を補完するものでもあります。
(前編が執筆終了していますが、後編の執筆に向けて修正中です)
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
赤月-AKATSUKI-
月夜野 すみれ
ファンタジー
天満夕輝は予備校からの帰り道、着物を着た幼い女の子と出会った。
その子を家に送ろうと、一緒に歩いていくと複数の着物を着ている男達が乱闘していた。
その中の一人が刀で斬られそうになったのを見た夕輝は咄嗟に駈けだしていた。
いつの間にか手にしていた刀で男と戦うことになる。
戦いが終わった後、夕輝は意識を失って倒れた。
気付くと着物を着て髷を結っている人間ばかりの場所にいた。
そこは馬喰町だと言うが窓の外にビルは見えなかった。
外に飛び出した夕輝の目に入ったのは舗装されていない土の道に木造の建物。そして、着物を着て髷を結っている人々。
帰る方法が分からない夕輝は湯屋を営んでいる御用聞き平助の家に厄介になることになりながら、現代に帰る方法を探すことに。
カクヨム、小説家になろう、ノベマに同じものを投稿しています。
犬鍋
戸部家尊
歴史・時代
江戸時代後期、伊那川藩では飢饉や貧困により民は困窮の極みにあった。
藩士加賀十四郎は友人たちと光流寺へ墓参りに行く。
そこで歴代藩主の墓の前で切腹している男を発見する。
「まさか、この男は……殿なのか?」
※戯曲形式ですので一部読みづらい点があるかと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる