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22.幸せエメちゃん心踊る贈りもの
しおりを挟む「兄さんたち、ポルティエは楽しかったかいな?」
「ええ、とても。お勧めしてくださった氷像の神殿や教会が特に素晴らしかったです。ね?」
「はい!色とりどりに輝いて荘厳な景色でした!3柱の神々にお祈りもしましたよ!」
なんて、ポルティエ感想をシーヴォさんに伝えていたら1時間はあっという間だった。
またよろしゅうなー!とお別れして、ソレイユ様に私の家まで送ってもらう。
「すっかり遅くなってしまいましたね」
「本当ですね。いつも送ってくださってありがとうございます」
ソレイユ様のお家はどちらですか?と聞くと図書館のすぐ傍のアパートだった。ブレない。
「お部屋は絵がたくさんあるんですか?」
少しウキウキして聞くと、飾ってませんと返ってきた。
「自分で描いた絵を飾るのは何だか恥ずかしくて」
描いたら重ねて本のように保管していますよ、と。えええ、勿体ない……
じゃあお部屋はどんな感じなんだろう、本で埋もれてるのかな。きちんとしてそうだけど脱いだ服とか散らかってたら意外だ。
どうでもいい人ならへぇ~で済むけれど、彼の場合は片付けてあげたくなるのが不思議だ。
これは母性?庇護欲???
あまりお部屋のことを聞いてもストーカーエメリーヌが押さえられなくなるのでやめた。脳内で踏みつけてぐるぐる巻きだ。
全部見てみたいです、機会があれば、なんて話をしていたら家に着いた。
「そういえば、これ、良かったら」
なんだろう?
手の大きさと同じくらいの箱だ。
彼がお土産袋から取り出したから贈り物?!
受け取ると意外と重い。
これずっと持っていたの?
「いま開けてもいいですか?」
「はい。どうぞ」
かぽっと開けると…マグカップだ!
取り出してみると、あの時断念した可愛いカップ!!!
彼が、こちらも、ともう一つ箱を取り出して開け、中のカップを見せてくれた。
お揃いの柄で色違いのカップだ!
1つでも可愛いけれど2つ揃うともっと可愛い~!!
薄い緑と金とグレー、薄い紫と銀とグレー。
うわわ、ちょっと違うけれど私たちの色だ!新婚みたい?
「ずっと眺めていたので欲しいのかなと思ったのですが、違いましたか?」
「違わないです!重たいから持って帰れないと思って諦めたカップです…とても嬉しい」
箱は抱えて緑柄のカップを両手で持って角度を変えて、うん、可愛い可愛い。
「ありがとうございます。ずっと持っていてくださったんですね」
感動して彼を見上げると、くしゃっと笑って「そんなに喜んでもらえるなら買っておいて良かったです」と言ってくれた。
重いからお部屋までお持ちしますよ、とカップと箱をサッと持って一旦自分の袋に仕舞った。
「行きましょう」
あっという間に手を繋がれて階段を登り始める。ポルティエを出てから繋いでいなかったのに!
「あっ…すみません。今日の癖になっていました。気をつけていたんですけれど」
お嫌でしたか?と眉毛を下げる彼に全力で首を振って、お嫌じゃないです。と返事をした。
気をつけていたって手を繋いでくれようとしてたの?ということはソレイユ様は嫌じゃないんだよね?
こんな些細なことが嬉しすぎて叫びたくなる。
お部屋の前でマグカップを受け取った。
「今度、是非このマグカップでお茶をご一緒してください」
「それはいいですね。楽しみにしています」
「今日は、本当にありがとうございました。帰り道、お気をつけて」
「こちらこそ、ありがとうございました。楽しかったです。温かくして寝てくださいね」
ほわほわっと笑った彼に癒されてお別れする。階段を降りる前に振り返った彼と目が合って手をふりふり。彼も微笑んでふりふり。
し、幸せすぎる尊い……
部屋に帰ってラスティにただいまと言い、キッチンカウンターにマグカップを2つ置く。トナカイの小物とコオリバナの額も取り出す。
ソレイユ様の猫の絵とそれぞれ配置を整えて並べて、うん、可愛すぎる。
見るたびに癒されそう。
今日もソレイユ様のおかげで素晴らしい日だった。もうあの人に会いたいーー
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