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第10話 ギルドへの報告
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「とりあえず、ギルドへ報告に戻るぞ」
ダイチがミレーニアに告げる。
「その子はどうするの?」
ミレーニアがダイチの抱える獣人の女の子を指差している。
「ギルドに連れて行って、あとはギルドに任せるさ。ミレ、他にはバジリスクの中に気配は無さそう?」
視線をバジリスクに向けるダイチ。
「うーん、もう何も感じないかな」
ミレーニアが答える。
「じゃあ、行こうか」
ダイチは女の子を抱えたまま、もと来た道を歩き始める。
「うん!」
ダイチに寄り添うように、ついて歩くミレーニア。
村の入口まで着いたところで、騎竜を呼び騎乗するダイチとミレーニア。
獣人の女の子は、ダイチが自分の前に横向きに座らせ、左手で肩を抑えている。
目を覚ます様子は無いが、時たまムニャムニャ言っている。
「なんか、羨ましいな~」
並んで騎乗しているミレーニアが、獣人の女の子を羨ましそうに見ている。
「しょうがないだろ、気を失ってるんだから。それより早く戻るぞ」
サウスローの街へ向けて騎竜を進めるダイチ。
ミレーニアもその後に続く。
■■■
「マルコさん、終わりましたよ」
ダイチ達は街に戻る途中、村の方へ向かって馬を走らせているマルコと会った。ダイチ達に置いてきぼりにされた後、街に戻って馬を手に入れてきたようだ。
「終わったって? え??……もしかして、バジリスク?」
信じられないといった様子のマルコ。
「はい、村にバジリスクの死骸が残ってるから確認しておいてください」
「ダイちゃん達、どんだけだよ……俺と別れてからパンを焼く時間くらいしか経ってないじゃん……」
マルコの中では置きざりにされたのでは無く、必要あって別れたということにしたようだ。
「俺達はギルドに戻りますね」
「ああ、それでその子は?」
マルコがダイチの抱えている獣人の女の子について聞いてくる。
「バジリスクの腹の中にいたので保護しました。とりあえずギルドに連れていくつもりです」
「腹の中……なんか色々もう、俺の許容範囲を超えすぎだよ……あとはギルマスに任せよ……」
ブツブツと呟くマルコ。
「俺達はこのままギルドに戻りますけど、マルコさんは?」
「ああ……俺は村の様子を見てから、ギルドに戻るよ。ギルマスによろしく」
ダイチ達とマルコはそれぞれ反対方向に別れていった。
■■■
獣人の女の子を抱えたダイチとミレーニアが、冒険者ギルドの扉を抜けると中はいつにも増して騒がしかった。
「おい、聞いたか! 近くの村にバジリスクが現れたらしいぞ」
「ああ、バジリスクってBランク冒険者が二十人くらいでパーティ組んで倒せるかどうかってヤツだろ?」
「そうだ、それで倒せたとしても、冒険者にも大きな被害が出るって野郎だ」
「私聞いたわよ。噂の新人女冒険者の『紅の暴雷』メリーにギルマスがバジリスク討伐の指名依頼したって」
「うそー、さすがにバジリスクは無理よ、今王都に救援を求めてるって話よ」
「あ、丁度あそこにいるの『紅の暴雷』よ」
ギルド内を進んだところで視線がミレーニアに集まった。
「なんか既に二つ名がついてるようだぞ……」
ミレーニアの方を見るダイチ。
「なんか恥ずかしいよ……」
二つ名の元になった髪を抑えて、ダイチの後ろに隠れようとするミレーニア。
周囲の視線が集まる中、ギルド内を進んだところで、受付嬢のセレナがダイチ達に声をかけてきた。
「ダイチさんとメリーさん、バジリスク討伐に必要な物はありますか? こちらでも可能な限り協力しますので、遠慮せず言ってくださいね。あら、その子はどうしたのですか?」
セレナはダイチ達がバジリスク討伐の準備中だと思っているようだ。
「バジリスクの討伐なら終わったよ。それで、この子を任せたいんだけど」
「えっ!? バジリスクですよバジリスク! 人を丸呑みするような怖~い化物ですよ」
動揺して、仕事モードが解除され気味のセレナ。
「まあ……その丸呑みされてたのが、この子だし、大きさから言って間違いないと思うよ」
セレナの様子に若干腰が引けてる様子のダイチ。
「フゥ……失礼しました。……ではギルドマスターのところに行きましょう」
少し冷静になったのか、自分の仕事を思い出したセレナ。
ダイチ達はセレナに連れられて、ギルドマスターの部屋へと向かった。
ダイチ達の様子を伺っていた周囲の冒険者達は、何が起こったか分からずに静まり返っていた。
■■■
「無事に討伐してくれる気はしてたが、怪我や疲労の様子が全く無く、この早さというのは凄まじいな……」
ギルドマスターのギルバートが、ダイチから報告を受けて唸っている。
ダイチとミレーニアは反対側のソファーに腰掛け、セレナは今朝と同じくギルバートの後ろである。
獣人の女の子は、ギルバートが呼んだギルド職員に連れて行かれた。まだ気を失ってはいるが、治療室で安静にしてれば大丈夫だろうとのことだ。
「マルコさんが、村の様子を確認しに向かってますので、詳細はあとで分かると思います」
マルコが向かったことを伝えるダイチ。
「そうだな……とりあえず、ダイチ、メリーありがとう! 報酬に関しては……今日はこれからバタバタするだろうから、明日また来てもらってもいいだろうか。さっきの獣人の女の子についても確認しておく。」
バジリスクくらいの魔物になると、討伐後の対応や処理もなかなか大変なようだ。
「問題ありません。では、明日の朝にまた来ますね」
そう言って、ギルドマスターの部屋を後にするダイチとミレーニア。
まだ、昼を少し過ぎた程度の時間だった。
ダイチがミレーニアに告げる。
「その子はどうするの?」
ミレーニアがダイチの抱える獣人の女の子を指差している。
「ギルドに連れて行って、あとはギルドに任せるさ。ミレ、他にはバジリスクの中に気配は無さそう?」
視線をバジリスクに向けるダイチ。
「うーん、もう何も感じないかな」
ミレーニアが答える。
「じゃあ、行こうか」
ダイチは女の子を抱えたまま、もと来た道を歩き始める。
「うん!」
ダイチに寄り添うように、ついて歩くミレーニア。
村の入口まで着いたところで、騎竜を呼び騎乗するダイチとミレーニア。
獣人の女の子は、ダイチが自分の前に横向きに座らせ、左手で肩を抑えている。
目を覚ます様子は無いが、時たまムニャムニャ言っている。
「なんか、羨ましいな~」
並んで騎乗しているミレーニアが、獣人の女の子を羨ましそうに見ている。
「しょうがないだろ、気を失ってるんだから。それより早く戻るぞ」
サウスローの街へ向けて騎竜を進めるダイチ。
ミレーニアもその後に続く。
■■■
「マルコさん、終わりましたよ」
ダイチ達は街に戻る途中、村の方へ向かって馬を走らせているマルコと会った。ダイチ達に置いてきぼりにされた後、街に戻って馬を手に入れてきたようだ。
「終わったって? え??……もしかして、バジリスク?」
信じられないといった様子のマルコ。
「はい、村にバジリスクの死骸が残ってるから確認しておいてください」
「ダイちゃん達、どんだけだよ……俺と別れてからパンを焼く時間くらいしか経ってないじゃん……」
マルコの中では置きざりにされたのでは無く、必要あって別れたということにしたようだ。
「俺達はギルドに戻りますね」
「ああ、それでその子は?」
マルコがダイチの抱えている獣人の女の子について聞いてくる。
「バジリスクの腹の中にいたので保護しました。とりあえずギルドに連れていくつもりです」
「腹の中……なんか色々もう、俺の許容範囲を超えすぎだよ……あとはギルマスに任せよ……」
ブツブツと呟くマルコ。
「俺達はこのままギルドに戻りますけど、マルコさんは?」
「ああ……俺は村の様子を見てから、ギルドに戻るよ。ギルマスによろしく」
ダイチ達とマルコはそれぞれ反対方向に別れていった。
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獣人の女の子を抱えたダイチとミレーニアが、冒険者ギルドの扉を抜けると中はいつにも増して騒がしかった。
「おい、聞いたか! 近くの村にバジリスクが現れたらしいぞ」
「ああ、バジリスクってBランク冒険者が二十人くらいでパーティ組んで倒せるかどうかってヤツだろ?」
「そうだ、それで倒せたとしても、冒険者にも大きな被害が出るって野郎だ」
「私聞いたわよ。噂の新人女冒険者の『紅の暴雷』メリーにギルマスがバジリスク討伐の指名依頼したって」
「うそー、さすがにバジリスクは無理よ、今王都に救援を求めてるって話よ」
「あ、丁度あそこにいるの『紅の暴雷』よ」
ギルド内を進んだところで視線がミレーニアに集まった。
「なんか既に二つ名がついてるようだぞ……」
ミレーニアの方を見るダイチ。
「なんか恥ずかしいよ……」
二つ名の元になった髪を抑えて、ダイチの後ろに隠れようとするミレーニア。
周囲の視線が集まる中、ギルド内を進んだところで、受付嬢のセレナがダイチ達に声をかけてきた。
「ダイチさんとメリーさん、バジリスク討伐に必要な物はありますか? こちらでも可能な限り協力しますので、遠慮せず言ってくださいね。あら、その子はどうしたのですか?」
セレナはダイチ達がバジリスク討伐の準備中だと思っているようだ。
「バジリスクの討伐なら終わったよ。それで、この子を任せたいんだけど」
「えっ!? バジリスクですよバジリスク! 人を丸呑みするような怖~い化物ですよ」
動揺して、仕事モードが解除され気味のセレナ。
「まあ……その丸呑みされてたのが、この子だし、大きさから言って間違いないと思うよ」
セレナの様子に若干腰が引けてる様子のダイチ。
「フゥ……失礼しました。……ではギルドマスターのところに行きましょう」
少し冷静になったのか、自分の仕事を思い出したセレナ。
ダイチ達はセレナに連れられて、ギルドマスターの部屋へと向かった。
ダイチ達の様子を伺っていた周囲の冒険者達は、何が起こったか分からずに静まり返っていた。
■■■
「無事に討伐してくれる気はしてたが、怪我や疲労の様子が全く無く、この早さというのは凄まじいな……」
ギルドマスターのギルバートが、ダイチから報告を受けて唸っている。
ダイチとミレーニアは反対側のソファーに腰掛け、セレナは今朝と同じくギルバートの後ろである。
獣人の女の子は、ギルバートが呼んだギルド職員に連れて行かれた。まだ気を失ってはいるが、治療室で安静にしてれば大丈夫だろうとのことだ。
「マルコさんが、村の様子を確認しに向かってますので、詳細はあとで分かると思います」
マルコが向かったことを伝えるダイチ。
「そうだな……とりあえず、ダイチ、メリーありがとう! 報酬に関しては……今日はこれからバタバタするだろうから、明日また来てもらってもいいだろうか。さっきの獣人の女の子についても確認しておく。」
バジリスクくらいの魔物になると、討伐後の対応や処理もなかなか大変なようだ。
「問題ありません。では、明日の朝にまた来ますね」
そう言って、ギルドマスターの部屋を後にするダイチとミレーニア。
まだ、昼を少し過ぎた程度の時間だった。
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