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第21話「ヴェネットの選択」
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ヴェネットと黒ドラの再会からしばし、少し落ち着いたヴェネットから話を聞くことになった。
「だいぶ落ち着いてきて、いろいろと思い出してきました」
俺たちは切り株に腰掛け、ヴェネットの話に耳を傾けている。
「無理はしなくていいよ。
まだ目覚めてから間もないんだしさ」
話したくないこともあるかもしれないと思い、ヴェネットにそう告げた。
「気をつかっていただき、ありがとうございます。
でも、ネロさんには聞いて欲しいのです。
話をさせてください。
いろいろと思い出すことはできたのですが、
今の状況が分からないこともありますし……」
「わかった……」
そうだよな。ヴェネットのこれからのためにも、話をすることは必要なことだろう。
数百年眠っていたということは、目を覚ましたら数百年後だったということだもんな。
それなのに、不安を見せないようにしているヴェネット。
気丈だな……。
「わたくしはアルサルークという国の第三王女でした……」
お、おうじょ!?
何か過去があるとは思ってたけど、予想以上の予感。
それに……。
「アルサルークって、“失われた王国”と言われてる、アルサルーク王国……?」
そうだ、セシルさんの言うようにアルサルーク王国は物語に出てくる存在だ。
それも、その形容詞が示すように悲劇の物語として。
ただ、その王国が滅んだ理由は謎に包まれていたはずだ。
少なくとも庶民の俺が知らないくらいには。
今日は伝説とか物語に縁のある日だな……。
「……うしなわれた、ですか。
……やはりでしたか。
わたくし達がこの森に逃げてきたときにはその結末を予想してはいましたが……」
やはりと言うものの、ヴェネットは目に見えて落ち込んだ様子だ。
「逃げて来たって、その王国には何があったんだい」
アルがヴェネットに問いかける。
タナトスが関わっていることから、ある程度の推測をしているのかもしれない。
「……この森に来るまでのことをはっきりと思い出しました」
ヴェネットは泣きそうな顔になりながらも話を続ける。
あまりにも辛そうな様子に途中で止めようと思ったが、最後まで聞いて欲しいと言われ俺たちは静かに耳をかたむけてた。
それはアルサルーク王国に突如訪れた災厄の物語だった。
王国は、近隣国と小さな小競り合いくらいはあったものの、平和で穏やかな国だったらしい。
ヴェネットも王女という立場ではあったものの、小国であったからか、その国民性からか、平民と街で接することも多かったようだ。
アビー……そこにいる黒ドラゴンはアビゲイルという名前で、ヴェネットのペットだったらしい。もっとも、その頃は手で抱えられるくらいの小竜だったみたいだけど。
家族とも上手くいっていて、幸せだったとヴェネットは語ってくれた。
遠い目をするヴェネットに、俺は胸が締め付けられる思いだった。
ある晩のことだったとヴェネットが語る。警鐘が鳴らされ、王都はひっくり返したような騒ぎに包まれたとのこと。
王都の城壁の周囲は、アンデッドの大群に囲まれたそうだ。
アンデッドと言ってもスケルトンから竜型アンデッドまでいたということだ。
王国騎士団を中心にアンデッドに立ち向かったものの、その数と強さの前にあっという間に飲み込まれていったそうだ。
王族の何人かは、それぞれの近衛に連れられて、城にいくつかあった隠し通路からの脱出を図ったとのことだ。ヴェネットもお付きの近衛騎士団に連れられて隠し通路の一つから脱出を図り、運が良かったのか王都の外に出ることができたそうだ。
火に包まれる王都に絶望を感じヴェネットはしばらく立ち尽くしていたそうだ。
そんなヴェネットを近衛たちが、友好国に逃がそうと無理矢理に連れて移動したとのこと。
アビーことアビゲイルもヴェネットについていたそうだ。
途中で入ったのがこの森だったのだが、徐々に体調が悪くなり、記憶はそこで途絶えているとのことだった。
……なんというか、理不尽すぎる。
アンデッドを率いてた奴は、どうしてそんなことを……。
「……きっと王都にいたときに既に呪いをかけられていたんだと思います。
逃げることもできないように……。
でもどうして、この森を放置していたんでしょうね」
「たしかに、森がこの規模で変化したら、そいつは気づいていそうだね」
アンデッドを率いていた首謀者は、気づいていて放置した?
ヴェネットの話を聞いていて、セシルさんはあることに気づいたようで、
「もしかして、さっきのスケルトンって……?」
俺も途中で思った。
みんなの視線がレーカに集まる。
「スケルトン?」
ヴェネットは首をかしげて、クエスチョンを浮かべている。
「スケルトンがどうかしたの?」
レーカもよく分かってない様子だけど、俺もしょうがないと思っているから責める気持ちはないよ。
その時、カチャリという音が少し離れたところから聞こえた。
音のした方から、その後すぐにスケルトンの集団が現れた。
さっき見た時よりボロボロの様子だけど、全員?が揃っているように見える。
レーカが全部倒したはずだけど、復活したってこと……?
アンデッドは倒すのが大変だと聞いたことはある。
粉々にしなきゃ倒せないのかな?
「え? え??」
ヴェネットがスケルトンを見て固まっている。
正確にはスケルトンの装備している鎧を見てだろうか。
「近衛の鎧……」
ヴェネットが呟きながら、フラフラとスケルトンに近づこうとする。
「危ないから下がって」
ヴェネットの腕をつかんで止める。
「あのスケルトンは騎士団の人たちってことですか……?」
青ざめて震えているヴェネット。
話を聞いて、なんとなくそんな気はしていたが、鎧を見たヴェネットの反応を見れば確定的だろう。
おそらくだが、数百年の年月に人の体がもたなかったのだろう。
ドラゴンのアビーは、レーカと同じで瘴気にある程度の耐性があったのかもしれない。
それでもだいぶ悪い状態になりつつあった。
ヴェネットが仮死状態とはいえ、今こうして正気でいられるのに謎が残るけど、何か理由があるのだろう。
スケルトンの集団はヴェネットに気づいたかのように、その場で膝をついた。
まるで騎士が姫に忠誠を誓うような姿だ。
「……みんな」
この森で眠りに着く前、ヴェネットに仕え支えてきたのだろう。
「どうしようか?」
困った俺はアルに問いかける。
レーカと戦っていた敵だけど、ヴェネットの味方だったことを考えるとどうするか難しいところだ。
「うーん、人に害が無いならいいんじゃないかな」
アルは気楽な調子で答える。
自身が精霊なこともあって、人外にも理解が深いのがアルだ。
今思うと、村長の話に出てきた森に入った村人の話も、村人が瘴気にあたりつづけるのを防いだように思えるんだよね。
人は瘴気にあたりつづけると、彼らと同じようにアンデッドになるんだろう。
それに、この森にいたのもヴェネットを守っていたからだと思う。
ただ、レーカと戦っていたときは、もう理性がほとんどなかったように見えた。
黒ドラのアビーもそうだったけど。
「ヴェネット。
この状況で尋ねるのは酷だと思うけど、
大事なことだから聞かせてほしい」
「はい」
「見ての通り、騎士団の人たちは王国を滅ぼした奴の呪いでアンデッドになってしまった。
これからどうしたい?
その人たちをどうしたい?
安らかな眠りにつかせてあげるのも一つの優しさだと思う」
選択を丸投げすることにした。
ただどういう選択をしても、俺にできる範囲で力になりたいとは思う。
これは眠りから覚ました、責任感からなのだろうか。
「…………」
ヴェネットはスケルトンたちを見つめたまま無言で固まっている。
何を想っているのだろうか。
アビーの鳴き声には感情らしきもの感じるけど、スケルトンにもそういうのがあるのだろうか。
少なくとも今のスケルトンたちの態度には、主であるヴェネットの判断に全面的に従うという意思のようなものを感じる。
『グルルゥ』
アビーの唸り声だ。
「アビー……」
ヴェネットがアビーの方に顔を向ける。
そして次にこちらを振り向いた時には、決断をする王女の顔だった。
「わたくしは国を滅ぼした存在を調べたいです。
そのためにも、人ならざるものですが、
アビーと……騎士団の人たちと共に歩みたいです」
ヴェネットの言葉に、スケルトンたちが打ち震えているような雰囲気だ。
見た目はカチャカチャいってるだけだが。
「わかったよ。ヴェネット」
俺の言葉を聞いて、顔を輝かせるヴェネット。
スケルトンたちの肩を持ったのだ。不安な気持ちもあっただろう。
「レーカ。一度戦った相手だけど、いいか?」
「狩りの邪魔しないならいいわよ」
レーカは全く気にしていない様子だ。
レーカくらいの強さだと、小動物がじゃれてきたくらいの感じなのかな。
「セシルさんもいい?」
「ネロ君に任せるわ」
俺はアルの方を向いて問いかける。
「アル。アビーが落ち着いている様子から考えていたんだけど、
俺の睡眠魔法は瘴気を中和させることができるのか」
「そうだね。
アビーももう少し魔法をかければ、
完全に瘴気の影響を除けると思う」
「スケルトンに使っても効果はある?
永遠の眠りにつかせちゃうかな?」
ここは少し心配だった。
「そればかりは使ってみないと分からないね。
成功しても人の姿には戻らないだろうけどね」
アルにも分からないようだ。
「ヴェネット。
上手くいけば瘴気の影響を除けるけど、どうする。
今のままだとスケルトンたちはいつ暴走するか分からないと思う」
ヴェネットに問いかける。そのまま永眠させてしまう可能性もしっかり伝える。
瘴気はヴェネット自身が発していたけど、今はそれももう止まっている。
アビーもスケルトンも体内に残っている瘴気の影響さえ除くことができれば、もう暴走することはない気がする。
「ネロ様!
使ってください。
みんながここまでだとしても、
それを恨んだりすることはありません」
ヴェネットの答えには強い意志を感じる。
様付けは少しくすぐったいものがあるけど。
「分かった」
スケルトンたちは大人しくしているので、順番に睡眠魔法をかけていく。
その場で突っ伏し、眠りに着く骨たち。
あとで起きてくれると良いんだけど。
ヴェネットに手伝ってもらい、アビーにも睡眠魔法をかける。
上手くいってくれよ――。
「だいぶ落ち着いてきて、いろいろと思い出してきました」
俺たちは切り株に腰掛け、ヴェネットの話に耳を傾けている。
「無理はしなくていいよ。
まだ目覚めてから間もないんだしさ」
話したくないこともあるかもしれないと思い、ヴェネットにそう告げた。
「気をつかっていただき、ありがとうございます。
でも、ネロさんには聞いて欲しいのです。
話をさせてください。
いろいろと思い出すことはできたのですが、
今の状況が分からないこともありますし……」
「わかった……」
そうだよな。ヴェネットのこれからのためにも、話をすることは必要なことだろう。
数百年眠っていたということは、目を覚ましたら数百年後だったということだもんな。
それなのに、不安を見せないようにしているヴェネット。
気丈だな……。
「わたくしはアルサルークという国の第三王女でした……」
お、おうじょ!?
何か過去があるとは思ってたけど、予想以上の予感。
それに……。
「アルサルークって、“失われた王国”と言われてる、アルサルーク王国……?」
そうだ、セシルさんの言うようにアルサルーク王国は物語に出てくる存在だ。
それも、その形容詞が示すように悲劇の物語として。
ただ、その王国が滅んだ理由は謎に包まれていたはずだ。
少なくとも庶民の俺が知らないくらいには。
今日は伝説とか物語に縁のある日だな……。
「……うしなわれた、ですか。
……やはりでしたか。
わたくし達がこの森に逃げてきたときにはその結末を予想してはいましたが……」
やはりと言うものの、ヴェネットは目に見えて落ち込んだ様子だ。
「逃げて来たって、その王国には何があったんだい」
アルがヴェネットに問いかける。
タナトスが関わっていることから、ある程度の推測をしているのかもしれない。
「……この森に来るまでのことをはっきりと思い出しました」
ヴェネットは泣きそうな顔になりながらも話を続ける。
あまりにも辛そうな様子に途中で止めようと思ったが、最後まで聞いて欲しいと言われ俺たちは静かに耳をかたむけてた。
それはアルサルーク王国に突如訪れた災厄の物語だった。
王国は、近隣国と小さな小競り合いくらいはあったものの、平和で穏やかな国だったらしい。
ヴェネットも王女という立場ではあったものの、小国であったからか、その国民性からか、平民と街で接することも多かったようだ。
アビー……そこにいる黒ドラゴンはアビゲイルという名前で、ヴェネットのペットだったらしい。もっとも、その頃は手で抱えられるくらいの小竜だったみたいだけど。
家族とも上手くいっていて、幸せだったとヴェネットは語ってくれた。
遠い目をするヴェネットに、俺は胸が締め付けられる思いだった。
ある晩のことだったとヴェネットが語る。警鐘が鳴らされ、王都はひっくり返したような騒ぎに包まれたとのこと。
王都の城壁の周囲は、アンデッドの大群に囲まれたそうだ。
アンデッドと言ってもスケルトンから竜型アンデッドまでいたということだ。
王国騎士団を中心にアンデッドに立ち向かったものの、その数と強さの前にあっという間に飲み込まれていったそうだ。
王族の何人かは、それぞれの近衛に連れられて、城にいくつかあった隠し通路からの脱出を図ったとのことだ。ヴェネットもお付きの近衛騎士団に連れられて隠し通路の一つから脱出を図り、運が良かったのか王都の外に出ることができたそうだ。
火に包まれる王都に絶望を感じヴェネットはしばらく立ち尽くしていたそうだ。
そんなヴェネットを近衛たちが、友好国に逃がそうと無理矢理に連れて移動したとのこと。
アビーことアビゲイルもヴェネットについていたそうだ。
途中で入ったのがこの森だったのだが、徐々に体調が悪くなり、記憶はそこで途絶えているとのことだった。
……なんというか、理不尽すぎる。
アンデッドを率いてた奴は、どうしてそんなことを……。
「……きっと王都にいたときに既に呪いをかけられていたんだと思います。
逃げることもできないように……。
でもどうして、この森を放置していたんでしょうね」
「たしかに、森がこの規模で変化したら、そいつは気づいていそうだね」
アンデッドを率いていた首謀者は、気づいていて放置した?
ヴェネットの話を聞いていて、セシルさんはあることに気づいたようで、
「もしかして、さっきのスケルトンって……?」
俺も途中で思った。
みんなの視線がレーカに集まる。
「スケルトン?」
ヴェネットは首をかしげて、クエスチョンを浮かべている。
「スケルトンがどうかしたの?」
レーカもよく分かってない様子だけど、俺もしょうがないと思っているから責める気持ちはないよ。
その時、カチャリという音が少し離れたところから聞こえた。
音のした方から、その後すぐにスケルトンの集団が現れた。
さっき見た時よりボロボロの様子だけど、全員?が揃っているように見える。
レーカが全部倒したはずだけど、復活したってこと……?
アンデッドは倒すのが大変だと聞いたことはある。
粉々にしなきゃ倒せないのかな?
「え? え??」
ヴェネットがスケルトンを見て固まっている。
正確にはスケルトンの装備している鎧を見てだろうか。
「近衛の鎧……」
ヴェネットが呟きながら、フラフラとスケルトンに近づこうとする。
「危ないから下がって」
ヴェネットの腕をつかんで止める。
「あのスケルトンは騎士団の人たちってことですか……?」
青ざめて震えているヴェネット。
話を聞いて、なんとなくそんな気はしていたが、鎧を見たヴェネットの反応を見れば確定的だろう。
おそらくだが、数百年の年月に人の体がもたなかったのだろう。
ドラゴンのアビーは、レーカと同じで瘴気にある程度の耐性があったのかもしれない。
それでもだいぶ悪い状態になりつつあった。
ヴェネットが仮死状態とはいえ、今こうして正気でいられるのに謎が残るけど、何か理由があるのだろう。
スケルトンの集団はヴェネットに気づいたかのように、その場で膝をついた。
まるで騎士が姫に忠誠を誓うような姿だ。
「……みんな」
この森で眠りに着く前、ヴェネットに仕え支えてきたのだろう。
「どうしようか?」
困った俺はアルに問いかける。
レーカと戦っていた敵だけど、ヴェネットの味方だったことを考えるとどうするか難しいところだ。
「うーん、人に害が無いならいいんじゃないかな」
アルは気楽な調子で答える。
自身が精霊なこともあって、人外にも理解が深いのがアルだ。
今思うと、村長の話に出てきた森に入った村人の話も、村人が瘴気にあたりつづけるのを防いだように思えるんだよね。
人は瘴気にあたりつづけると、彼らと同じようにアンデッドになるんだろう。
それに、この森にいたのもヴェネットを守っていたからだと思う。
ただ、レーカと戦っていたときは、もう理性がほとんどなかったように見えた。
黒ドラのアビーもそうだったけど。
「ヴェネット。
この状況で尋ねるのは酷だと思うけど、
大事なことだから聞かせてほしい」
「はい」
「見ての通り、騎士団の人たちは王国を滅ぼした奴の呪いでアンデッドになってしまった。
これからどうしたい?
その人たちをどうしたい?
安らかな眠りにつかせてあげるのも一つの優しさだと思う」
選択を丸投げすることにした。
ただどういう選択をしても、俺にできる範囲で力になりたいとは思う。
これは眠りから覚ました、責任感からなのだろうか。
「…………」
ヴェネットはスケルトンたちを見つめたまま無言で固まっている。
何を想っているのだろうか。
アビーの鳴き声には感情らしきもの感じるけど、スケルトンにもそういうのがあるのだろうか。
少なくとも今のスケルトンたちの態度には、主であるヴェネットの判断に全面的に従うという意思のようなものを感じる。
『グルルゥ』
アビーの唸り声だ。
「アビー……」
ヴェネットがアビーの方に顔を向ける。
そして次にこちらを振り向いた時には、決断をする王女の顔だった。
「わたくしは国を滅ぼした存在を調べたいです。
そのためにも、人ならざるものですが、
アビーと……騎士団の人たちと共に歩みたいです」
ヴェネットの言葉に、スケルトンたちが打ち震えているような雰囲気だ。
見た目はカチャカチャいってるだけだが。
「わかったよ。ヴェネット」
俺の言葉を聞いて、顔を輝かせるヴェネット。
スケルトンたちの肩を持ったのだ。不安な気持ちもあっただろう。
「レーカ。一度戦った相手だけど、いいか?」
「狩りの邪魔しないならいいわよ」
レーカは全く気にしていない様子だ。
レーカくらいの強さだと、小動物がじゃれてきたくらいの感じなのかな。
「セシルさんもいい?」
「ネロ君に任せるわ」
俺はアルの方を向いて問いかける。
「アル。アビーが落ち着いている様子から考えていたんだけど、
俺の睡眠魔法は瘴気を中和させることができるのか」
「そうだね。
アビーももう少し魔法をかければ、
完全に瘴気の影響を除けると思う」
「スケルトンに使っても効果はある?
永遠の眠りにつかせちゃうかな?」
ここは少し心配だった。
「そればかりは使ってみないと分からないね。
成功しても人の姿には戻らないだろうけどね」
アルにも分からないようだ。
「ヴェネット。
上手くいけば瘴気の影響を除けるけど、どうする。
今のままだとスケルトンたちはいつ暴走するか分からないと思う」
ヴェネットに問いかける。そのまま永眠させてしまう可能性もしっかり伝える。
瘴気はヴェネット自身が発していたけど、今はそれももう止まっている。
アビーもスケルトンも体内に残っている瘴気の影響さえ除くことができれば、もう暴走することはない気がする。
「ネロ様!
使ってください。
みんながここまでだとしても、
それを恨んだりすることはありません」
ヴェネットの答えには強い意志を感じる。
様付けは少しくすぐったいものがあるけど。
「分かった」
スケルトンたちは大人しくしているので、順番に睡眠魔法をかけていく。
その場で突っ伏し、眠りに着く骨たち。
あとで起きてくれると良いんだけど。
ヴェネットに手伝ってもらい、アビーにも睡眠魔法をかける。
上手くいってくれよ――。
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