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救い
しおりを挟むとある研究所で非道な行いをしている研究者とその新人が、まるで虫籠のような部屋をガラス越しに見ていた。
「見てごらん、あれが僕の最高傑作だ。」
まるで粘土で皿を作ったかのように語る彼の視線には、それは人間離れをした美しさをもつ子供が座っていた。
白い肌に白い髪、水色の目を持った子供だった。
「あれは本当に人間なのですか?」
新人はあの子供が人間には見えなかった。何故なら人間にはない美しさを持っていた。
「もちろん、人間の遺伝子で作ったからね。」
研究者は鼻を高くする。その言葉をあっさり言うぐらい彼は天才なのだろう。
「なるほど。ですが不思議ですね。あの子はどちらかといえば天使に見えます。」
「あぁ、それはきっと性別がないからじゃないかな。」
「ということは男でも女でもないのですか?」
「あぁ、服を着ているからわかりずらいけど、アレは性別という概念を外したんだ。あと排泄もしないよ。だから残念ながら天使のように可愛らしいお尻はないんだけどね。」
どうやら天使と呼ばれた子供には排泄機能がないようだ。ということは生殖器のもないのだろう。
「まぁ、じゃあ食事は取らないのですか?」
「もちろん、だから遺伝子を工夫して最低10年はご飯を食べなくても生きていけるんだ。」
まさに人類、いや全生き物の理想の姿である。
新人は拍手した。
「あなたは天才ですね。」
褒められて研究者は頭を掻きながら顔を赤くした。
「でもアレは管理しないと生きていけないんだ。そこが次の課題だね。」
研究者は次の研究のことを考え始めた。子供はあくびした。
…………
「まさかこの研究所が攻められるとは、いやだわぁ。」
そう言いながら新人は攻撃によってボロボロになっている研究所の中を走って脱出しようとしていた。
「あら、あの子は。」
廊下には自分が天使のようだといった子供が横たわっていた。
「あ…うぅ…」
新人に気づいたのか、子供は手を伸ばしてきた。足にはガラスが痛々しく刺さっていた。きっとガラスは危ないものだと知らなかったのだろう。
「あらあら可哀想に、今助けてあげるわね。」
新人はしゃがむ。そしてポケットに入っていた銃で子供の額に向けて発射した。
「よしっ、さて行かなくちゃ。」
新人は再び出口に向かって走った。
それゃそうだ。あんな存在は人間社会では生きていけないのだから。死んだ方がマシであろう。
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