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狭間世界編
第七話:新たなる冒険の地
しおりを挟む世界と世界の隙間にあるという狭間世界。そこに浮かび漂う巨大な大地の一つ、カルツィオ大陸。少し前に、同規模の浮遊大陸であるポルヴァーティアと融合した事でさらに大きくなったこの大地には、地球世界やフラキウル大陸のある異世界と同じように独自の文明があり、多くの人々が生活を営んでいる。
先程の密偵らしき人物から読み取れた情報は、国家戦略規模の陰謀から個人の趣味や秘密に至るまで様々な隠し事に精通しており、刺激に満ちていた。
コウは、この世界にも興味を持った。
「じゃあ帰ろっか、コウ君」
レクティマの回収も終えたので、そろそろ帰還しようかと促す朔耶に、コウは告げる。
「もうちょっとこっちに居ていい?」
密偵から読み取った情報にも加え、コウはここへ来た時から悠介や周りの人間からも色々と情報を読み取っていた。それにより、悠介達が今、隣国や隣の大陸に絡む一部勢力から命を狙われるなど、厳しい状況に置かれている事を知った。
コウは以前、魔王討伐の時に助けてもらった恩があるので、悠介達の手伝いをしたいと申し出た。
「って事だけど、悠介君どう? コウ君なら敵味方の判別も瞬時にやってくれるわよ?」
「それは、正直助かりますけど……結構危険もはらみますよ?」
「ボクは平気だよ?」
コウの身を案じて躊躇する悠介に、自分は自己を認識した時から危険と隣り合わせの世界で生きて来た事を伝える。少年型や複合体はあくまで仮の姿であり、実体は不死の精神体。
異世界に絡むこの三人の中では、恐らく最も人の生き死にに精通している。ダンジョンで魔獣に憑依して生活していた頃など、毎日が狩ったり狩られたりで死を間近に感じて来たのだ。
「なるほど。それならよろしく頼もうかな」
「おっけ~」
そんな訳で、コウはしばらく狭間世界に滞在する事になった。五日後に各国の代表が顔を揃える大きな会議があるらしく、そこに参加出来るよう手を回す方針で進めるらしい。それまでは悠介邸でお世話になる。
「使節団が戻ったら直ぐに聖堂に集まる事になってるんで、それまでうちに宿泊って事で」
そう言った悠介は、コウを一度宮殿にも連れて行こうと考えているようだ。闇神隊長の直属の上司でもあるヴォレット姫に会わせておく為に。
それというのも、コウが朔耶や悠介と同じく黒髪である事が関係している。カルツィオでは一部の種族を除いて、誰もが『神技』という魔術のような力を扱う器官を持っており、その種類によって色分けされている。
力の色は髪や瞳に反映され、少し前まではそれが厳格に身分を隔てる階級証の役割を担っていた。その為、髪や瞳の色を偽る事は重罪であったようだ。
それぞれの力の色は炎技の赤、水技の青、土技の黄、風技の緑で構成され、それ以外の色は無かった。神技を使えない白髪の民は無技の民と呼ばれ、最底辺の扱いを受けていた。
その無技の民が密かに崇拝していたとされる古の邪神像が黒かった事から、黒は『災厄の邪神』の色とされ、忌避されていた。
これらの事は既に大半が形骸化されており、新しい時代を迎えたカルツィオでは過去の話になっている。しかしながら、悠介が本物の邪神である事を知る一部の上流層の人間や、組織にとって、黒髪は特別な意味を持つ色となっていた。
なので黒髪の件で周囲に騒がれないよう、根回ししておくのだ。闇神隊長の関係者であるという触れ込みをそれとなく撒いておけば、無駄に探りを入れられる事もないだろうと。
そこまで悠介の思考を読み取っていたコウは、続けて悠介が内心に思い浮かべた『まあ、レイフョルド辺りがさらっと調べに来るだろうけど』という呟きに反応する。
「あ、そのヒトさっき来てたよ?」
「え?」
悠介はコウの台詞に何の事かと戸惑いを浮かべたが、察した朔耶が苦笑しながら説明してくれた。
「ああ、コウ君の読心って常時発動してるから、何か思っただけで筒抜けちゃうわよ?」
朔耶は、自身も『レイフョルドの潜入』を察知していた事を付け加えながら、コウの読心について語った。曰く、『えげつないレベルで読み取る』と。
「あたしは精霊スクランブルで対処してるけどね」
プライベート情報含めて隠し事はまず不可能。読まれた本人さえも気付いて無いような深層心理まで視通すと聞き、それが本当なら「確かにえげつないレベルだ」と、悠介は恐々としていた。
その後、朔耶はまた後日と手を振って姿を消した。地球世界に帰ったのだ。時刻は既に夕方前。就寝中だった不老不死のパルサと、地下で薬の研究をしていたラーザッシアが広間にやって来た。
「そろそろ夕食の時間だな」
「薬品棚の片付けに時間掛かっちゃった。あら? その子は?」
ソファーで寛いでいるコウを見つけたラーザッシアが訊ねると、悠介が説明する。
「今日からしばらくうちで預かる事になったコウ君だ」
「よろしくー」
悠介はコウについて、レクティマの所有者であり、朔耶の関係者でもあり、異世界の魔王討伐で共闘した冒険者であると紹介した。
「あ、レクティマ目覚めたんだ? そっかぁ、この子がレクティマの御主人様かぁ。てっきりユースケが引き取るつもりかと思ってたわ」
興味深そうな視線を向けて来るラーザッシアは、表面上は友好的な態度だが、何となく歓迎していない雰囲気が感じ取れる。コウは少し内面を探ってみた。
『――ううー……やっとノルマも片付いて、今夜こそはって楽しみにしてたのにぃ~――』
どうやらコウが滞在する事で『お楽しみ』がお預けになってしまい、不満を感じているらしい。彼女の不満に対しては直ぐにでも解消可能な方法があるので、後で実行しようと予定を立てる。
1200年前にポルヴァーティアに召喚された勇者パルサは、コウを一目見て普通の子供ではないと見抜いた。
「ふむ。君は人間そっくりだが、人間ではないな?」
「一応人間だよ? この身体は召喚獣だけど」
「ほう、召喚獣とは興味深い」
情報を得る為に割と物怖じせず踏み込んで来るラーザッシアと、自身の好奇心に忠実なパルサが色々とコウに質問を重ねた結果、悠介達のコウに関する理解度が随分深まった。
「憑依能力か……虫や動物からも情報が読み取れるってのは凄いな」
「虫君達はあんまりふくざつな事は考えてないけどね」
感情もあるのかどうか分からないくらい起伏は感じられない。逆に動物や魔物はちゃんと感情や思考がハッキリしていて、死に対する認識も様々だと教える。
コウが冒険者として活動し始める切っ掛けとなった話には、皆が聞き入った。とりわけ、大型魔物の『角熊』に憑依して冒険者達と共闘した討伐任務の顛末には、眼に涙を浮かべる女性陣も。
本来、人と相容れない存在でも、行動を共にするうちに心を通わせる事もあるのだというお話。
「ふーむ、調整魔獣とかにも憑依出来るなら、何処かで繁殖してないか調べられそうだな」
「何かあれば手伝うよー」
悠介の呟きからカルツィオで猛威を振るった『造られた魔獣』の存在を読み取ったコウは、狭間世界に生息するまだ見ぬ珍しい生き物達に思いを馳せた。
夕食の準備が進められている悠介邸。異世界の冒険譚で、屋敷の住人に十分周知されたコウは、この街を散策に出掛けると言って席を立った。
「今から? 夕飯食べてからでいいんじゃないか?」
「ボク、食事も睡眠も必要ないんだ」
一応食べる事も出す事も出来るが、この身体は魔力で構成されているので、食物による栄養摂取は必要ない。
「そうなのか……元が精神体だからなのかな」
悠介の思考からは『某三千歳の幼女はしょっちゅうお腹を空かせてるけど』という、パルサよりも長く生きている不老不死の少女のイメージが流れて来た。
(不死の人が身近に二人もいるのって、けっこう凄い事なんじゃないかなぁ)
自分自身も不死候補なコウは、そんな事を思いつつ少年型召喚獣の仕様について説明しておいた。奉仕用の少女型召喚獣がベースになっており、諸々の生理現象は全て演出機能なのだと。
奉仕用の身体というくだりで、ラーザッシアが密かに反応していたので、コウはからかい半分に配慮を見せる。
「朝まで戻らないから、おきづかいなく~」
そう言ってラーザッシアに微笑み掛けると、彼女はあからさまに挙動不審になった。その様子に、ハテナ顔を浮かべた悠介が訪い掛ける。
「シア? どうした?」
「え? あ、別にその……なんでもないわよ?」
それだけ狼狽しながら何でもないは無いだろうと訝しむ悠介に、コウは一言告げる。
「五日ぶりだから楽しみにしてたんだって」
「――っ!?」
「……ああ、そういう」
驚きと困惑が入り混じった表情で赤面するラーザッシアを見て、どうやら悠介も察したようだ。ラーザッシアはこのところ薬の研究に遅くまで集中していたし、悠介も自身の新しい武器の構想に没頭していたりして二人の時間が噛み合わず、なかなか一緒の夜を過ごせていなかった。
今夜は優しくしてやらねばと、密かに気合いを入れる悠介に「がんばれー」とエールを送りつつ、コウは屋敷を後にした。
時代と共に増築と規模の拡大が重ねられて、山のような形状になった巨大な街。フォンクランク国の首都サンク・ア・ディエット。
歩いて回るには聊か広過ぎるこの街には、悠介の異世界の知識を持ち込んだ政策?により、街中を『動力車』と呼ばれる自動車が走っている。
地球世界の町に比べると数は少ないが、一部の貴族階級は自家用動力車を持ち、一般民も街中に設けられた駅を巡る乗り合い動力車を利用するなど、交通機関のインフラ整備が進められていた。
悠介邸を出て直ぐ、コウはこちらの様子を探る者の気配を感じた。『目標確認。報告』というシンプルな思考を拾う。
しばらくその思考の主と周囲に意識を向けていると、昼間屋敷で確認した密偵、レイフョルドの接近を感知した。
どうやら悠介邸の近くでコウを観察していたのは、レイフョルドの部下だったようだ。
(これは幸先いいかも)
カルツィオの事を深く知る為の良い情報源になるのでは、と思っていた相手と早々に再会出来た。コウがしばらく辺りをキョロキョロしていると、『どこへ行く気だ?』という思考が読み取れた。
とりあえず適当に歩いていれば、何か面白い場所のヒントが拾えるかもしれない。コウはどこを目指すでもなく、適当に歩き始めたのだった。
貴族街に幾つか用意されている諜報員の集合所は、高級レストランだったり、装飾品店だったり、或いは自家用動力車向け外装整備工房といった比較的新しい店にも設定されていた。
ここでは広大なサンクアディエットに展開している諜報員達から情報を集めたり、新たな指示を出すなどの活動が秘密裏に行われている。
表向きの業務も普通にこなしているので、店舗の維持などは商売の売り上げから支払われていた。
(へー、このお店も密偵達の隠れ家なのかー)
諜報活動をしている密偵達が、普通のお客さんに交じって店を訪れては、店員との世間話を装い、集めた情報を納めているようだ。特別な店の様子に関心を持ちつつ、貴族街を見物するコウ。
そして、そんなコウを探りに来たレイフョルドからは『この地区の活動拠点を知られている? まさかあそこも?』という具合に、行く先々の詳細な情報を読み取れるので便利だった。
レイフョルドが思い浮かべた『特別な場所』や『知られるとまずい場所』などを次の観光目的地にして街を巡る。
下街付近まで下りて来ると、少し入り組んだ建物の乱立する区画を歩く。
(ここには闇商人って人達の店があるのか~)
一般の店では扱えない訳有り商品を置いてある店。単に危険物があるという訳ではなく、盗品や傷物商品、低品質で安価な薬などの他、生活困窮者向けの日用品全般を取り揃えているようだ。
こういう場所では情報も取り引きされているので、偶に諜報員が利用する事もある。分かり易く裏社会に通ずる店と言えた。
面白そうな品物があれば見てみたいコウだったが、レイフョルドに警戒と尾行をされている今の状況で店を利用すれば、まず間違いなく店主達に迷惑を掛けてしまう。
なのでそれらの店を訊ねる事はせず、近くを通るだけに止めておいた。
(乗り合い動力車にも乗ってみたいけど、ここで使えるお金を持ってないんだよね)
カルツィオの貨幣は金貨や銀貨のようなコインではなく、半透明の棒状のモノが使われている。価値ごとの四種類に色分けされており、製造法はこの国の王家に秘匿されているらしい。
昼間は沢山の露店が並ぶらしい広場には、悠介が立てたという巨大な展望塔があった。機会があれば登ってみようと見上げる。
レイフョルドの思考からは、ここにも諜報員の集合所がある事が分かった。街の全域に近い範囲を見渡せるので、確かに諜報にも重宝しそうな施設だなぁと納得するコウ。
「ちょうほうだけに」
京矢と交信が繋がっていれば今のはツッコミが貰えそうな場面だったが、残念ながら狭間世界から地球世界まで交信は届かない。
ツッコミ不在。
この後も、コウは街の地下に広がる古い街並みを残した巨大空間への入り口や、外周沿いにある無技人街。モーフという家畜を飼育している牧場など、色々なところを観光して回った。
「あらぼうや、こんな夜更けにどうしたんだい?」
「こんばんわー、ちょっと散歩中なんだ」
街唱と呼ばれる、いわゆる娼婦達の住む掘っ立て小屋の寄せ集めで『掘っ立て屋敷』なる建物を見物した時は、屋敷の前で煙管を吹かしていた年配の街唱さんに声を掛けられたりした。なんと、この街唱さんも諜報員らしく、ここを訪れる人の流れをチェックしているのが分かった。
そしてこの場所では、悠介の部下の一人である闇神隊員に関する情報が、レイフョルドの思考に浮かんで来た。
何でも一昔前、フォンクランクと敵対していた隣国からの潜入者である女性の密偵を、籠絡して味方に付けてしまった猛者が居るらしい。闇神隊に纏わる色々な裏情報なども入手出来た。
夜通し歩き続けて街をほぼ一周した頃には、夜明けも近くなっていた。これだけ長時間、ずっと尾行出来るのは、流石プロだなぁと感心する。
(そろそろお屋敷にもどろう)
コウが貴族街への帰り道を歩き始めると、レイフョルドは監視を部下に任せて、一足先に悠介邸へと向かったようだ。
今宵のコウの移動ルートに不審な点があると判断した彼は、悠介にその辺りの質問をするつもりらしい。
ふと、コウの近くを小さな虫がふよふよと横切って行く。悪戯心が湧いたコウは、微風な風魔法でその虫を捕まえると、路地に入って少年型を解除しつつ虫に憑依した。
監視を引き継いだ部下から『目標消失! 索敵』と緊張した思考が読み取れる。おおよその位置は分かっていたので、六メートルほどの高さまで上昇したコウは、監視者の姿を探す。
(あ、いた)
コウが歩いていた通りに面する、大きな屋敷の突き出たバルコニーの下に張り付いていた。緑髪の若い女性で、風系の術を使って僅かな突起を足場にしているようだ。コウが消えた付近を中心に探知用の術を放って探っている様子が覗える。
『――索敵の風……揺らぎの調……風の囁き……うう、見つからない……レイ様に叱られる――』
最初クールビューティーな雰囲気だった諜報員の動揺した思考を確認したコウは、ちょっと可哀そうになったので虫から抜け出て少年型を召喚、憑依した。諜報員の『見つけた!』という喜びの思考感情を拾いつつ、コウは何事も無かったかのように悠介邸を目指す。
悠介邸に着くと、レイフョルドと悠介が何やら深刻そうに話しているのを感じたので、コウは彼等の話が終わるまで庭で待機する。
それから直ぐ、レイフョルドは立ち去った。一応、こちらには気付いていたようだ。後で先程の部下から報告を受けるのだろう。
悠介邸に戻ったコウは、悠介が寛いでいる広間を訪れると、開口一番お約束を放った。
「ゆうべはお楽しみでしたね」
「コウ君もな」
面白そうにそう返した悠介は、先程まで対面で愚痴っていたレイフョルドの事を考えた。
『――あいつがここまで振り回されるのって、初めてなんじゃないか?――』
「すごい便利だったよ?」
「はは……少し自重してやってくれ」
苦笑しながら言う悠介はしかし、流石にこれでは宮殿に連れて行けないかなぁと、ヴォレット姫にも合わせる予定の白紙撤回を決めたようだった。
(しまったなぁ)
ツッコミ不在の弊害か、今回はやり過ぎてしまったようだと反省するコウなのであった。
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