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137 出張(8)
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清潤の声に少し間が空き、ひとりの男が姿を現すと次々に人相や風体の悪い男たちが姿を現した。寒そうに二の腕をさすっている。
「皇国の刑法に照らせば――いえ、皇国の法でなくとも、罪を犯せば相応の罰を与えねばなりません。我らの法はあなたたちにとっては厳格がすぎるでしょうが……レーファ!」
清潤が名を呼んだ時には、レーファの剣は隠れていた男のナイフを長剣で弾き飛ばしていた。仲間たちを囮にしてレーファを人質に取ろうとしていたらしい。
抜き身の剣を男の眼前に突きつける。
「気付かなかったと思ってる? あと、罰からは逃れられないからそのつもりでね」
たとえレーファが赦しても、絶対に清潤が赦さないはずだ。そんな空気を感じる。
すぐさま清潤の術で男たちはまとめて捕縛され、近くの国の竜官へと知らせを清潤が飛ばした。脚も腕も動かせない状態なら警備隊が来るまでに逃げられることもない。
このまま吹雪の中に放置しようと清潤は言ったが、さすがに凍死させるのは可哀想だとレーファが取りなし、雪と風を止めて雨だけ降らせておくことにする。
数時間で報せを受けた警備隊がやってくるだろう。経緯を書いた書面も残しておいたから、きっと正しく罰せられるはずだ。
ふたりは先を急ぐことにした。果物を食べさせた駆竜の足取りは軽快だ。
「すっかり昏くなったね……」
「余計な時間を使いましたね。今日は近くの街に宿を取り、明日の昼にでもゆっくり帰りましょう」
「いいのかい?」
「仕事は済みましたし、他に急ぎの仕事はありませんから。それに、あなた以上に大切なことなどありません」
「う……」
時折清潤が歯の浮くような台詞を寄越すのにはまだ慣れないが、宿の料理が美味しいことを祈って清潤に凭れた。
「危ないと思ったら、いつでも真名を呼んでください」
「今回はそんなに危なくなかったけど……そうだね、またあの変な鳥に攫われそうになったら、呼ぶよ」
真名は、呼んだ相手を引き寄せる。どんなに離れていても、すぐに傍へ現れるのだとか。実際、あの鳥に攫われて名を呼んだ時も、清潤が来てくれたのは速かった。
「それに、賊くらいは対処できるように剣の稽古してきたんだから、大丈夫。もう少し信用してくれていいよ」
「……わかりました」
不承不承の様子が背中から伝わってくるが、そんなに頼りなく見えるだろうか。
(そっちのほうが問題ある……?)
もう少ししっかり稽古をしようと心に決めた。
「皇国の刑法に照らせば――いえ、皇国の法でなくとも、罪を犯せば相応の罰を与えねばなりません。我らの法はあなたたちにとっては厳格がすぎるでしょうが……レーファ!」
清潤が名を呼んだ時には、レーファの剣は隠れていた男のナイフを長剣で弾き飛ばしていた。仲間たちを囮にしてレーファを人質に取ろうとしていたらしい。
抜き身の剣を男の眼前に突きつける。
「気付かなかったと思ってる? あと、罰からは逃れられないからそのつもりでね」
たとえレーファが赦しても、絶対に清潤が赦さないはずだ。そんな空気を感じる。
すぐさま清潤の術で男たちはまとめて捕縛され、近くの国の竜官へと知らせを清潤が飛ばした。脚も腕も動かせない状態なら警備隊が来るまでに逃げられることもない。
このまま吹雪の中に放置しようと清潤は言ったが、さすがに凍死させるのは可哀想だとレーファが取りなし、雪と風を止めて雨だけ降らせておくことにする。
数時間で報せを受けた警備隊がやってくるだろう。経緯を書いた書面も残しておいたから、きっと正しく罰せられるはずだ。
ふたりは先を急ぐことにした。果物を食べさせた駆竜の足取りは軽快だ。
「すっかり昏くなったね……」
「余計な時間を使いましたね。今日は近くの街に宿を取り、明日の昼にでもゆっくり帰りましょう」
「いいのかい?」
「仕事は済みましたし、他に急ぎの仕事はありませんから。それに、あなた以上に大切なことなどありません」
「う……」
時折清潤が歯の浮くような台詞を寄越すのにはまだ慣れないが、宿の料理が美味しいことを祈って清潤に凭れた。
「危ないと思ったら、いつでも真名を呼んでください」
「今回はそんなに危なくなかったけど……そうだね、またあの変な鳥に攫われそうになったら、呼ぶよ」
真名は、呼んだ相手を引き寄せる。どんなに離れていても、すぐに傍へ現れるのだとか。実際、あの鳥に攫われて名を呼んだ時も、清潤が来てくれたのは速かった。
「それに、賊くらいは対処できるように剣の稽古してきたんだから、大丈夫。もう少し信用してくれていいよ」
「……わかりました」
不承不承の様子が背中から伝わってくるが、そんなに頼りなく見えるだろうか。
(そっちのほうが問題ある……?)
もう少ししっかり稽古をしようと心に決めた。
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