【完結/番外編更新】皇国竜王恋物語◆白竜王のツガイだったせいでループn回目、最終的には溺愛されてます◆

オジカヅキ・オボロ

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133 出張(4)

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 恐ろしい、恐怖、畏怖などという気持ちは未知のものに対して抱く感情だと聞いたことがあるが、だとするならレーファが四凶に抱くこの感情はそれらなのだろう。
 弱気になったが、清潤が繋いだ手を引き寄せてくれる。

「本当は倒せるのが一番ですし、学者たちが研究を続けていますが、成果は芳しくありません。もし今回、封印が破られてこの世に顕現するようなら……貴族たちを含め、総力戦でしょう」
「公爵以下の諸侯も戦うんだ?」
「ええ。貴族は時が来れば戦うことが義務付けられています。そうでなければ爵位は剥奪されます」

 公爵家もかつては竜王が出た家系だし、現在でも能力が高ければ竜王になる者もいる。清潤や紅竜王の洪聖がそうだ。
 だから民たちの護りの要になるのは大公たちと公爵家、時には侯爵家も含まれる。伯爵位以下はその補佐だ。

「基本的に諸侯たちは戦力というより、民たちの安全を確保するのが主目的です。野生動物に悪影響があるような気を撒き散らすものが、我らやヒトにとっても有益であるはずがありませんから」

 それはそうだ。竜人や獣人、ヒトが凶暴化すれば動物より抑えるのが一苦労だろう。
 何しろ獣たちとは違って、殺すわけにはいかないのだから。

「……戦える竜人が何人もいて、それでも厄災による被害はゼロにはできませんでした。それを踏まえ、今は大公たちが諸侯を鍛えているでしょう。……本当は、竜王だけでどうにかできればいいんですけれど……」
「オレは。……清潤が怪我するほうがイヤだからね」

 何でも自分たちで解決したいような清潤の言葉には違和感があった。

(どうしてオレに言ってくれたように、ひとりじゃないって思ってくれないんだ。……オレにはそう言ってくれるのに)

 もちろん他の竜王や大公もいるにしても、もう少し他の者のことも信用してくれてもいいと思う。――ツガイのことも。

「レーファ」
「覚えておいてほしい。……清潤だって、ひとりじゃないから」
「……わかりました。私も、あなたを悲しませることはしたくありません。もちろん、あなたが傷付くようなことにもならないように全力を尽くします」
「……うん。頼りにしてる」

 繋いだ手に軽く力を入れると、清潤からも同じように返される。それが嬉しかった。
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