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123 宴から帰ってきて(3)

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「レーファ、上を向いて」
「……?」

 言われるままに上を向く。綺麗な顔が見えたのはわずかの間で、すぐにくちびるを塞がれてしまった。
 その間も、清潤の濡れた手はレーファの熱に戯れかかる。裏側を筋を辿るように根元からなぞられ、くびれたところや先端のつるりとしたところを指先や手のひらで刺激された。

 そちらに気を取られていると、口の中へ入ってきた清潤の舌が、彼の好きなようにレーファを舐めていく。

「ンッ……ん、ぅ……んんっ……」

 堪えきれず、無意識に清潤の背に爪を立てる。
 止めて欲しいわけではないが、あちらもこちらもと追い詰められていくのは訳がわからなくなりおそろしくもある。

(せめて、緩めてくれたら……)

 そんな風に思うのに、清潤はさらに執拗とも表現できるような口付けでレーファの呼吸を奪い、熱を高めていく。
 自分のことでいっぱいになっているレーファは、後ろを慣らしていた指が抜かれて清潤の熱が宛がわれていたことに気付くのが遅れた。

 ナカを広げ、指では足らない奥へと挿入ってくる熱。
 体を揺らされるとたまらず、悶えることになる。

「んんっ、ン……ッ、せ、じゅ……っ」

 ようやくくちびるが離されると、自分を見下ろしている清潤を見上げた。



 日中では見たことがない顔をしている。



 つい見惚れてしまうが、その顔が意味するところまでは考えが及ばない。
 腰を掴まれるとゆるゆると揺すられる。体がびくつくところを刺激されるたび、今までよりもずっと追い詰められていくのを感じた。
 浅いところから奥深くまで。まるで舌が舐めていたみたいに、ナカの全部を舐めるように。

「あっ、ァ……ッ、アん、っも、……おか、しく、なるぅ……っ」

 また爪を立てたが、意図的ではないのでレーファ自身は気付かない。
 清潤が額に口付けをくれる。
 この時にはもうとっくに清潤の体もひんやりとはしていなかった。けれどレーファには気付く余裕がない。

「構いません。……私も一緒におかしくなりますから」

 ね、と誘われるように囁かれることにも弱い。

(……清潤も、なら)

 ひとりじゃないなら、とこくこくと頷く。また「いい子ですね」と囁かれ、深いところまで貫かれた。

「ッア……ァ、アッ、ぁあ、アッ」

 息つく間もなく意味をなさない切れ切れの言葉が散らされていく。
 そのたびに追い詰められ、張り詰めたレーファの熱は解放を求めていた。

「……イッて」

 低く囁かれた言葉がトリガーになったのか、レーファはいっそう高い嬌声を上げてよがり、清潤の手に熱を吐き出した。
 直後、レーファの体を何度か揺さぶった清潤が欲を吐き出し、動きを止める。

「……っ、……」

 部屋に満ちるふたつの荒い呼吸。
 気付いたのは清潤だ。

「……レーファ?」

 清潤に抱きついていた腕をシーツへ投げ出したように落としているレーファは、くったりとした様子で目を閉じていた。
 まだ意識はあるが、ほとんど落ちかかっているに近い。

「…………すみません……」

 清潤が彼自身に溜息を吐いたらしい音が聞こえた。

(そんなに気にすることじゃないのに)

「……こんなに、嬉しいなんて……」

 語尾は息に紛れて聞こえなかった。
 そうして、体が温かいもので拭われていく気配があり――その心地よさに負けて、レーファは今度こそ本当に意識を手放した。
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