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113 黒竜王のお茶会(5)

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 軽食や茶菓子は、少しずつなくなっていく。サンディラとヴェルティスも最初こそ緊張していたようだが、彼の話や人柄で少しずつほぐれ、食べる余裕も出てきたらしい。

「清潤三哥あにうえは、自分にも他人にも厳しくて、だから気難しい方かと言われるとそうでもないんだよね。レーファ殿のほうが知ってるでしょうけれど。特に格好いいところは、新年の慶賀けいがの儀で行われる演武なんかでも見られると思うな……」

 各竜王や大公の演武で男女問わずファンが増える、と洵澤が言うのに興味を惹かれた。

(演武って、どんなものだったんだろう)

 興味を惹かれて聞こうと思った時、空が急激に陰った。

「うわっ……なんだ?!」

 猛烈な風が四阿に吹き付けてくる。
 咄嗟にサンディラが庇ってくれるが、それだけでは到底防げない風だ。
 立っているのがやっとなほどの風に、小皿や茶杯が吹き飛ぶ。勢いがある大風から顔を庇うように腕を交差させていたが、今度は耳を覆いたくなった。

「ギュエエエエエエ!!」

 耳が痛くなるほど高音の何かの音――声が降り注ぐ。
 禍々しい、と思った。

(逃げなきゃ……せめて体を隠さないと)

 風のせいでしゃがみ込むのが精一杯で、身動きがとれない。

「っ、あ……?!」

 何かが破壊される音。同時に、急に体が締め付けられて浮遊する感覚。
 痛み。

「レーファ!」

 風が種類を変える。目を開けば――宙を飛んでいた。

「なんで……あっ?!」

 じたばたともがくが、何かで拘束されている。上を見上げれば、大きな鳥のような生き物が羽ばたいている。どうやらその生き物に掴まれているらしい。
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