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109 黒竜王のお茶会(1)
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数日後。
晴れて窓を通る風が心地よい昼下がり、ヴェルティスが手紙を持ってレーファの部屋を訪れた。
「黒竜王陛下から?」
「そう。使者が『すぐに返信をもらうように』って、表で待ってる」
「えっ、ちょっと待って。ヴェルティス、返信を書くから用意して」
「了解」
手紙を受け取ると慌てて封を切り、便箋を取り出す。
内容は短いものだった。
「ええと……」
「用意できたぞ」
「ありがと。手紙を使者さんに渡したら、着替え手伝ってくれる?」
短い手紙の返事は、やはり短いものになった。
「着替え?」
「黒竜王陛下からお茶のお誘いだったんだ。公式じゃないからかしこまらなくていいって書いてあったけど……お茶の時間からだから、すぐだろう? オレ以外に参加者はいなくて、お伴も連れてきてかまわないって。だからヴェルティスとサンディラも支度してね」
「普段着るようなものよりはちょっといいものをってことか。俺のほうはすぐ済むし。わかった、任せろ」
ヴェルティスに手紙を渡すと、すぐに行ってしまう。レーファは見送りながら衣服をすべて置いている隣の殿舎へ行く。あまりにも清潤が色々と贈ってくれるものだから、服飾だけで部屋が埋まってしまうため、殿舎のひとつを専用の部屋にしたのだ。
愛されてるねえとサンディラもヴェルティスも笑ってくれたけれど、恥ずかしさはある。何より、レーファの体はひとつだけなのに、こんなにあれこれ着ることがあるだろうかと疑問にも思う。
「……青っぽい色がいいな」
「青だな任せろ!」
「えっ速い」
独り言のつもりだったのに、帰ってきたヴェルティスに驚かされてしまった。
衣服はどうやら部位ごとに色分けして収納されているらしい。白を基調にしつつ、薄い青から紺色までの服をあれこれと広げられた。
好みもあるからと最後は選ばされたが、ヴェルティスが満足そうに頷いているからきっと見当外れの合わせではなかったのだろう。少しばかりホッとした。
(これが女の子だったら、もっと時間がかかるんだろうなあ)
女性なら何より化粧があるし……と思うと、きっと自分が男で良かったことはたくさんあるんだろうなと思いながら、殿舎を出た。
晴れて窓を通る風が心地よい昼下がり、ヴェルティスが手紙を持ってレーファの部屋を訪れた。
「黒竜王陛下から?」
「そう。使者が『すぐに返信をもらうように』って、表で待ってる」
「えっ、ちょっと待って。ヴェルティス、返信を書くから用意して」
「了解」
手紙を受け取ると慌てて封を切り、便箋を取り出す。
内容は短いものだった。
「ええと……」
「用意できたぞ」
「ありがと。手紙を使者さんに渡したら、着替え手伝ってくれる?」
短い手紙の返事は、やはり短いものになった。
「着替え?」
「黒竜王陛下からお茶のお誘いだったんだ。公式じゃないからかしこまらなくていいって書いてあったけど……お茶の時間からだから、すぐだろう? オレ以外に参加者はいなくて、お伴も連れてきてかまわないって。だからヴェルティスとサンディラも支度してね」
「普段着るようなものよりはちょっといいものをってことか。俺のほうはすぐ済むし。わかった、任せろ」
ヴェルティスに手紙を渡すと、すぐに行ってしまう。レーファは見送りながら衣服をすべて置いている隣の殿舎へ行く。あまりにも清潤が色々と贈ってくれるものだから、服飾だけで部屋が埋まってしまうため、殿舎のひとつを専用の部屋にしたのだ。
愛されてるねえとサンディラもヴェルティスも笑ってくれたけれど、恥ずかしさはある。何より、レーファの体はひとつだけなのに、こんなにあれこれ着ることがあるだろうかと疑問にも思う。
「……青っぽい色がいいな」
「青だな任せろ!」
「えっ速い」
独り言のつもりだったのに、帰ってきたヴェルティスに驚かされてしまった。
衣服はどうやら部位ごとに色分けして収納されているらしい。白を基調にしつつ、薄い青から紺色までの服をあれこれと広げられた。
好みもあるからと最後は選ばされたが、ヴェルティスが満足そうに頷いているからきっと見当外れの合わせではなかったのだろう。少しばかりホッとした。
(これが女の子だったら、もっと時間がかかるんだろうなあ)
女性なら何より化粧があるし……と思うと、きっと自分が男で良かったことはたくさんあるんだろうなと思いながら、殿舎を出た。
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