93 / 160
93 お茶会(1)
しおりを挟む
「レーファ、茶会の招待状が届いてるけどどうする?」
ヴェルティスの言葉に、既視感がある。
前の生でも茶会はあった。だが儀式の順番が変わったことで、そのイベントは消失したのかと思っていた。
(……あるんだな)
顔が険しくなりかけたのを焼き菓子を口に放り込むことで誤魔化した。
「どなたから?」
「徐侯爵家のご令嬢。皇上の血縁のほうじゃなくて、伯爵位から四百年前の戦争で功績上げて成り上がったほうの侯爵」
すらすらと回答されて、思わず目を丸くした。
「……勉強したね?」
「従者やるならこれくらいはね」
目合わせの儀が終わってからヴェルティスの姿を見ない時があったが、どうやら女官や侍女たちや本で貴族のことを学ぶという勤勉さを発揮していたらしい。
基本的なところはレーファも知識として知っているが、侯爵以下のところは弱い。それどころではなかったのが大きな理由だが。
これからはヴェルティスにも頼ろうと思った。
「美人だけど気が強くてちょっと夢見がちなお嬢さんらしい。どこにでもそういうお嬢さんはいるんだねぇ」
レト王国の宰相の娘がそんな感じだった、と噂に聞いたことはある。王太子の婚約者候補のひとりだったはずだ。王太子すら振り回されたという話は聞いた覚えはある。
その王太子がレーファに愛妾になれなどと言ってきたのは、だからというわけではないだろうけれど。
「どんな竜人族がいるかも見たいから、招待を受けようかな」
仮に、前生までのようなことがあっても、今なら大丈夫だ。そう言い切れる自信が、今のレーファにはある。
(毒が仕込んであっても……まあなんとかなるだろう)
見込みが甘いと怒られるか。ちらりとツガイを頭に浮かべるが、彼が悲しむようなことにはならないはず。そのために小さい頃から薬湯を飲んできたのだから。
そうなると服も用意しないといけない。が、これはヴェルティスと侍女たちが張り切った。
ヴェルティスの言葉に、既視感がある。
前の生でも茶会はあった。だが儀式の順番が変わったことで、そのイベントは消失したのかと思っていた。
(……あるんだな)
顔が険しくなりかけたのを焼き菓子を口に放り込むことで誤魔化した。
「どなたから?」
「徐侯爵家のご令嬢。皇上の血縁のほうじゃなくて、伯爵位から四百年前の戦争で功績上げて成り上がったほうの侯爵」
すらすらと回答されて、思わず目を丸くした。
「……勉強したね?」
「従者やるならこれくらいはね」
目合わせの儀が終わってからヴェルティスの姿を見ない時があったが、どうやら女官や侍女たちや本で貴族のことを学ぶという勤勉さを発揮していたらしい。
基本的なところはレーファも知識として知っているが、侯爵以下のところは弱い。それどころではなかったのが大きな理由だが。
これからはヴェルティスにも頼ろうと思った。
「美人だけど気が強くてちょっと夢見がちなお嬢さんらしい。どこにでもそういうお嬢さんはいるんだねぇ」
レト王国の宰相の娘がそんな感じだった、と噂に聞いたことはある。王太子の婚約者候補のひとりだったはずだ。王太子すら振り回されたという話は聞いた覚えはある。
その王太子がレーファに愛妾になれなどと言ってきたのは、だからというわけではないだろうけれど。
「どんな竜人族がいるかも見たいから、招待を受けようかな」
仮に、前生までのようなことがあっても、今なら大丈夫だ。そう言い切れる自信が、今のレーファにはある。
(毒が仕込んであっても……まあなんとかなるだろう)
見込みが甘いと怒られるか。ちらりとツガイを頭に浮かべるが、彼が悲しむようなことにはならないはず。そのために小さい頃から薬湯を飲んできたのだから。
そうなると服も用意しないといけない。が、これはヴェルティスと侍女たちが張り切った。
24
お気に入りに追加
72
あなたにおすすめの小説
総受けルート確定のBLゲーの主人公に転生してしまったんだけど、ここからソロエンドを迎えるにはどうすればいい?
寺一(テライチ)
BL
──妹よ。にいちゃんは、これから五人の男に抱かれるかもしれません。
ユズイはシスコン気味なことを除けばごくふつうの男子高校生。
ある日、熱をだした妹にかわって彼女が予約したゲームを店まで取りにいくことに。
その帰り道、ユズイは階段から足を踏みはずして命を落としてしまう。
そこに現れた女神さまは「あなたはこんなにはやく死ぬはずではなかった、お詫びに好きな条件で転生させてあげます」と言う。
それに「チート転生がしてみたい」と答えるユズイ。
女神さまは喜んで願いを叶えてくれた……ただしBLゲーの世界で。
BLゲーでのチート。それはとにかく攻略対象の好感度がバグレベルで上がっていくということ。
このままではなにもしなくても総受けルートが確定してしまう!
男にモテても仕方ないとユズイはソロエンドを目指すが、チートを望んだ代償は大きくて……!?
溺愛&執着されまくりの学園ラブコメです。
異世界ぼっち暮らし(神様と一緒!!)
藤雪たすく
BL
愛してくれない家族から旅立ち、希望に満ちた一人暮らしが始まるはずが……異世界で一人暮らしが始まった!?
手違いで人の命を巻き込む神様なんて信じません!!俺が信じる神様はこの世にただ一人……俺の推しは神様です!!
今日も武器屋は閑古鳥
桜羽根ねね
BL
凡庸な町人、アルジュは武器屋の店主である。
代わり映えのない毎日を送っていた、そんなある日、艶やかな紅い髪に金色の瞳を持つ貴族が現れて──。
謎の美形貴族×平凡町人がメインで、脇カプも多数あります。
転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!
めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。
ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。
兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。
義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!?
このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。
※タイトル変更(2024/11/27)
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
龍の寵愛を受けし者達
樹木緑
BL
サンクホルム国の王子のジェイドは、
父王の護衛騎士であるダリルに憧れていたけど、
ある日偶然に自分の護衛にと推す父王に反する声を聞いてしまう。
それ以来ずっと嫌われていると思っていた王子だったが少しずつ打ち解けて
いつかはそれが愛に変わっていることに気付いた。
それと同時に何故父王が最強の自身の護衛を自分につけたのか理解す時が来る。
王家はある者に裏切りにより、
無惨にもその策に敗れてしまう。
剣が苦手でずっと魔法の研究をしていた王子は、
責めて騎士だけは助けようと、
刃にかかる寸前の所でとうの昔に失ったとされる
時戻しの術をかけるが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる