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84 目合わせの儀(13)
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「あなたを傷付けたくありませんし……気持ち悪いかもしれませんが、少し我慢してくださいね」
レーファの体のことを考えてくれている発言に、ラージュナの影を見た気がした。
(あの方も、優しかった)
その竜人は、目の前の竜人と同一人物だという。
(……同じ、竜人)
同じ顔で、別人のような振る舞いをしていたというから混乱したのだ。竜王だと言えば混沌になっていたことを思えば、理性としてはわからなくもない。けれど納得できるかと言えば別の話だ。
(……前までの、『清潤』には……こんな優しさは、見えなかった)
けれど今はレーファのために、レーファのことを考えて行動してくれる。――ラージュナもそうだった。
(…………ラージュナ様)
初恋だと言ったのは嘘ではない。
最初はともかく、交流しているうちに少しずつ惹かれていった。
彼が、清潤だというなら。この気持ちはどこに持っていけばいいのだろう。初恋も清潤だったということになるのだろうか。
(……それは、少し……考えちゃうな……)
嫌というほどでもないが、断言するのはまだ抵抗がある。
いつか、ちゃんと断言できるようになるのだろうか。
「ッ、ん……っ」
濡れた指が後孔へ入れられる。たしかに以前のように引き攣れた痛みはない。代わりに異物感はかなりあるのだが。
清潤はレーファの様子を窺いながら進めてくれているようだった。
後ろが気になってしまうが、気を散らしてくれるように口付けをくれるし、肌を撫でてくれる。
圧迫が時々増すのは、もっとナカを広げられているからだろうか。ぐちぐちと音が立つのが卑猥だ。聞き慣れないせいもあるかもしれない。
「あ……?」
するりと圧迫が消える感覚。
慣らすのが終わったのだろうか。
「……いれさせて」
耳許で、掠れた声で囁いてくるのは反則だ。
ラージュナの声にも弱かったのだから、同じ人物で同じ声の清潤の声にも弱いに決まっていた。
「ん……」
こくりと頷く。こめかみに口付けられると、脚をさらに開かされた。
熱が、宛がわれる。
「ぁ、あッ……」
時間をかけて慣らされた後孔へ熱が挿入ってくるのは、圧迫感はあるが痛みがほとんどない。それどころか、ナカへ押し込まれるたび、腰がびくびくと震える。まるで熱くて太い熱を歓迎するみたいに。
清潤の首筋から肩へしがみついていた腕が、すがりつくように首へ回る。近付いた秀麗な顔は食い入るようにレーファを見つめていたが、こめかみや頬へ口付けをくれた。
「……痛くは、ありませんか?」
呼吸を乱しながら清潤が問いかけてくる。艶やかで、低くひそめられた声は普段聞かない響き。好きな声にそんな風に囁かれると羞恥が湧く。
言葉にすれば二文字なのに、それが言えなくて、目を瞑ってこくこくと頷いた。
「よかった。……動くので、しがみついて、放さないで」
レーファの体のことを考えてくれている発言に、ラージュナの影を見た気がした。
(あの方も、優しかった)
その竜人は、目の前の竜人と同一人物だという。
(……同じ、竜人)
同じ顔で、別人のような振る舞いをしていたというから混乱したのだ。竜王だと言えば混沌になっていたことを思えば、理性としてはわからなくもない。けれど納得できるかと言えば別の話だ。
(……前までの、『清潤』には……こんな優しさは、見えなかった)
けれど今はレーファのために、レーファのことを考えて行動してくれる。――ラージュナもそうだった。
(…………ラージュナ様)
初恋だと言ったのは嘘ではない。
最初はともかく、交流しているうちに少しずつ惹かれていった。
彼が、清潤だというなら。この気持ちはどこに持っていけばいいのだろう。初恋も清潤だったということになるのだろうか。
(……それは、少し……考えちゃうな……)
嫌というほどでもないが、断言するのはまだ抵抗がある。
いつか、ちゃんと断言できるようになるのだろうか。
「ッ、ん……っ」
濡れた指が後孔へ入れられる。たしかに以前のように引き攣れた痛みはない。代わりに異物感はかなりあるのだが。
清潤はレーファの様子を窺いながら進めてくれているようだった。
後ろが気になってしまうが、気を散らしてくれるように口付けをくれるし、肌を撫でてくれる。
圧迫が時々増すのは、もっとナカを広げられているからだろうか。ぐちぐちと音が立つのが卑猥だ。聞き慣れないせいもあるかもしれない。
「あ……?」
するりと圧迫が消える感覚。
慣らすのが終わったのだろうか。
「……いれさせて」
耳許で、掠れた声で囁いてくるのは反則だ。
ラージュナの声にも弱かったのだから、同じ人物で同じ声の清潤の声にも弱いに決まっていた。
「ん……」
こくりと頷く。こめかみに口付けられると、脚をさらに開かされた。
熱が、宛がわれる。
「ぁ、あッ……」
時間をかけて慣らされた後孔へ熱が挿入ってくるのは、圧迫感はあるが痛みがほとんどない。それどころか、ナカへ押し込まれるたび、腰がびくびくと震える。まるで熱くて太い熱を歓迎するみたいに。
清潤の首筋から肩へしがみついていた腕が、すがりつくように首へ回る。近付いた秀麗な顔は食い入るようにレーファを見つめていたが、こめかみや頬へ口付けをくれた。
「……痛くは、ありませんか?」
呼吸を乱しながら清潤が問いかけてくる。艶やかで、低くひそめられた声は普段聞かない響き。好きな声にそんな風に囁かれると羞恥が湧く。
言葉にすれば二文字なのに、それが言えなくて、目を瞑ってこくこくと頷いた。
「よかった。……動くので、しがみついて、放さないで」
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