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73 目合わせの儀(2)
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「ようこそ、ツガイ様。……月之宮の者たち同様、私たちもまだ御名を呼ぶことはまだ叶いませんため、ツガイ様と従者殿、護衛殿と呼ばせて頂きます」
「了承した。……部屋へ案内を頼む」
「こちらです」
また女官が違う。思いつつ後をついて行く。
案内されたのは鴛鴦の間。夫婦のための居間だ。ここはいつも同じ。
「夕刻の目合わせの儀が終わるまで、護衛殿たちの前でもヴェールは外されませんように」
「承知した」
「昼食後、食休みの後に支度が始まります。昼食はこちらに運びますので、皆様ご一緒に。……房室はこちらになります。足りぬものがありましたらなんなりと」
「ああ、助かる」
「失礼いたします」
案内の女官が出て行くと、レーファは部屋をぐるりと見回した。三十畳ほどもあるだろうか。テーブルと椅子もあるが、窓際に床が十センチほどの高さで一段上がった部分が二畳ほどの広さである。
敷物とクッションが置いてあり、そこに上がっても良いのだとわかった。その下にも敷物が敷かれている。
レト王国では床に絨毯を敷いて座っていたが、それと同じように使えるということだろうか。
窓は天井から膝ほどの高さまで細長くあり、飾り格子が嵌まっている。穏やかな風が吹き抜けて行くのは心地いい。風が強ければすぐに閉められるようになっているのも良かった。
(…………こんなのなかったけどな……)
ただ広いだけの素っ気ない部屋だった。置いてあるものが高級品なのはわかったが、ぬくもりも感じない、無機質とも言える部屋だった。まるで竜人や白竜王の清潤自身のような。
けれど今この部屋は、同じ部屋なのにレーファにとっては知らない部屋のようになっている。
部屋の左側にある衝立の奥が寝室への扉だろう。そこは変わらない。
けれど横一列に大人が四~五人ほど座れそうな榻牀も、対角に置かれた二人掛けの榻牀も、テーブルの中央に置かれた花瓶――花も、まったく見覚えがない。
「広いですねえ……」
「そりゃあ……夫婦の部屋だからなァ。俺たちが入って良かったのかはわからねえが……」
「食事はここで三人一緒にって言われたから大丈夫じゃないかな……」
三人ともそれぞれ溜息を吐くと、窓際の敷物のほうへと行き、座った。
「了承した。……部屋へ案内を頼む」
「こちらです」
また女官が違う。思いつつ後をついて行く。
案内されたのは鴛鴦の間。夫婦のための居間だ。ここはいつも同じ。
「夕刻の目合わせの儀が終わるまで、護衛殿たちの前でもヴェールは外されませんように」
「承知した」
「昼食後、食休みの後に支度が始まります。昼食はこちらに運びますので、皆様ご一緒に。……房室はこちらになります。足りぬものがありましたらなんなりと」
「ああ、助かる」
「失礼いたします」
案内の女官が出て行くと、レーファは部屋をぐるりと見回した。三十畳ほどもあるだろうか。テーブルと椅子もあるが、窓際に床が十センチほどの高さで一段上がった部分が二畳ほどの広さである。
敷物とクッションが置いてあり、そこに上がっても良いのだとわかった。その下にも敷物が敷かれている。
レト王国では床に絨毯を敷いて座っていたが、それと同じように使えるということだろうか。
窓は天井から膝ほどの高さまで細長くあり、飾り格子が嵌まっている。穏やかな風が吹き抜けて行くのは心地いい。風が強ければすぐに閉められるようになっているのも良かった。
(…………こんなのなかったけどな……)
ただ広いだけの素っ気ない部屋だった。置いてあるものが高級品なのはわかったが、ぬくもりも感じない、無機質とも言える部屋だった。まるで竜人や白竜王の清潤自身のような。
けれど今この部屋は、同じ部屋なのにレーファにとっては知らない部屋のようになっている。
部屋の左側にある衝立の奥が寝室への扉だろう。そこは変わらない。
けれど横一列に大人が四~五人ほど座れそうな榻牀も、対角に置かれた二人掛けの榻牀も、テーブルの中央に置かれた花瓶――花も、まったく見覚えがない。
「広いですねえ……」
「そりゃあ……夫婦の部屋だからなァ。俺たちが入って良かったのかはわからねえが……」
「食事はここで三人一緒にって言われたから大丈夫じゃないかな……」
三人ともそれぞれ溜息を吐くと、窓際の敷物のほうへと行き、座った。
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