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56 義兄(7)
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「愛の告白もなく、一足飛びに愛妾になれっていうのは……正直笑う。まあ告白されたところで爆笑するだけだが。王太子の教育係は何やってんだ……」
最初にレーファが王太子から告げられた言葉を思い出したらしく、サンディラは肩を揺らして笑う。隣でヴェルティスが自分の茶杯に茶を注いだ。
「でも本当、ラージュナ様がいらしてくれて良かったですよ。あの方や竜官閣下を怒らせたら、それこそ個人の問題だけではない大事ですし」
「まぁ心証は悪くなっただろうが……、王太子が竜人相手に引くことをわきまえていただけでも良かったな。奥庭にまで入ってくるとは思わなかったが」
生活空間が違うから、王太子たちが住む本宮のほうからは遠回りをしなければならない。わざわざ手間をかけてやって来たのかと思うと、ご苦労なことだ。
「王太子、放っておいて良かったんですか? まあ聞いた感じ、ラージュナ様や竜官閣下に何かできるとは思えない感じですけど……」
「ラージュナ様が竜官閣下経由で父様か王妃に言ってくれると思う。あの場にラツェ竜官閣下がいらしたのは幸いかな……」
三人いる竜官のうち、ラツェが一番法に厳しい。彼の機嫌を取るのは至難の業と言われていた。だが少なくとも礼儀作法がきちんとしている・する気があるなら、機嫌を損ねることはない。
この場合、王太子には落雷が落ちることを覚悟していてもらわなければならないだろう。本人の自業自得だが。
「成人の儀の前に言ってきたあたりが気に食わねぇなァ」
「成人して結婚の話が出てこないうちにってことでしょ? 卑怯っていうか……やっぱりバカっていうか小賢しいっていうか……」
はぁ、と溜息を吐いたヴェルティスは「でも」と話を続ける。
「レーファが綺麗になったからって、血迷ったことをしたら大変なことになるって、学習してくれればいいですねえ……」
「……バカは学習しないからバカだって知ってたか?」
「知りたくないっすねえ……」
三人ともが遠い目になった。
これは本当にラージュナに娶ってもらって国を出ない限り、収まらないのではないだろうか。さすがにそれはレーファだけの問題ではなくなってしまう。
(いい解決方法はないかな……)
そんなものがすぐに浮かぶはずもなく、レーファは溜息を吐いた。
最初にレーファが王太子から告げられた言葉を思い出したらしく、サンディラは肩を揺らして笑う。隣でヴェルティスが自分の茶杯に茶を注いだ。
「でも本当、ラージュナ様がいらしてくれて良かったですよ。あの方や竜官閣下を怒らせたら、それこそ個人の問題だけではない大事ですし」
「まぁ心証は悪くなっただろうが……、王太子が竜人相手に引くことをわきまえていただけでも良かったな。奥庭にまで入ってくるとは思わなかったが」
生活空間が違うから、王太子たちが住む本宮のほうからは遠回りをしなければならない。わざわざ手間をかけてやって来たのかと思うと、ご苦労なことだ。
「王太子、放っておいて良かったんですか? まあ聞いた感じ、ラージュナ様や竜官閣下に何かできるとは思えない感じですけど……」
「ラージュナ様が竜官閣下経由で父様か王妃に言ってくれると思う。あの場にラツェ竜官閣下がいらしたのは幸いかな……」
三人いる竜官のうち、ラツェが一番法に厳しい。彼の機嫌を取るのは至難の業と言われていた。だが少なくとも礼儀作法がきちんとしている・する気があるなら、機嫌を損ねることはない。
この場合、王太子には落雷が落ちることを覚悟していてもらわなければならないだろう。本人の自業自得だが。
「成人の儀の前に言ってきたあたりが気に食わねぇなァ」
「成人して結婚の話が出てこないうちにってことでしょ? 卑怯っていうか……やっぱりバカっていうか小賢しいっていうか……」
はぁ、と溜息を吐いたヴェルティスは「でも」と話を続ける。
「レーファが綺麗になったからって、血迷ったことをしたら大変なことになるって、学習してくれればいいですねえ……」
「……バカは学習しないからバカだって知ってたか?」
「知りたくないっすねえ……」
三人ともが遠い目になった。
これは本当にラージュナに娶ってもらって国を出ない限り、収まらないのではないだろうか。さすがにそれはレーファだけの問題ではなくなってしまう。
(いい解決方法はないかな……)
そんなものがすぐに浮かぶはずもなく、レーファは溜息を吐いた。
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