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44 狩り(3)

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 西の森の手前、開けた草原で王や第一王子から騎士たちの士気を上げるための檄が飛び、百人ほどの王宮付の騎士たちが声をあげる。

 騎士たち同様、レーファとサンディラも鎧は装備している。騎士たちとほぼ同じ形で、色だけが違う。

 第一王子は白に金、第二王子は茶に青、レーファとサンディラは黒に赤だ。それぞれ護衛についた騎士たちも同色の鎧を纏っている。
 国王や王妃付きの騎士たちとはまた別ので、見た目はとても華やかだ。武具はそれぞれ国からの支給品になっていた。

 騎士たちは主に第一王子の護衛で、その次に人数が多いのが第二王子、レーファの護衛は十人足らず。
 これは継承権から考えても、レーファが側妃の子であることを考えてもやむを得ない部分はある。

 武具の装備は弓と剣。剣は小さい頃からサンディラや剣の師について学んでいたから、騎士には劣るだろうが普通よりは扱えると思っていた。

「俺たちは東側から回り込んで森に入る形か」
「そうだね。ウサギが獲れたらシチューにならないかな……」
「ポットパイのシチューが好きだったな」

 サンディラを振り返り、見上げる。

「ラージュナ様も好きっぽいんだよね」
「へえ! あの御方にも好みがあるんだな……」
「そりゃあるよ。……あ、噂をすれば」

 背に負った弓と矢を素早くつがえて構え、迷いなく放つ。小さな声をあげて鳴いた獣のところへ騎士のひとりが走って行き、ウサギを仕留めたことを告げてくれた。

「お見事!」
「何羽くらい狩ればいいかな……」

「基本的におまえが狩ったものは大物でなければおまえが持って帰っていいんだろ? 俺らが食う分が獲れたらいいんじゃねえか?」

「ということは、最低三羽か……いや、ラージュナ様の分を入れたら四羽?」
「まあウサギなら一羽まるごと食えるか……」

 おまえも育ち盛りだったな、とサンディラが笑う。その通りだが、不服でもあって口を尖らせた。
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