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第八幕 奸計の古城

好き好き大好き

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「えええええっ!?」

 全員、声をあげた。

「あのう……この扉って、こういう開き方するの?」

 ニコがナラさんに確認するが

「んなことあるかい! 前は普通に開いたわ」

 まあ、そうだよな。

「……これじゃ、黙呪城に行ったところで、リセットなんかされないわよね」

 ハルさんも呆然としている。



「みんなで歌ったのがまずかったんでしょうか?」

 訊いてみるが、

「んなモン知るかい。ワシが誰かに訊きたいわ」

 だよなあ。

 しかしその時、アミが言った。

「ひょっとしたら……元々、こうするのが正解で、これまでが間違ってたんじゃないかしら」

 なるほど。ゲームなんかだと、扉が消えてしまうってのは、そのダンジョンを『クリアした』時の現象だもんな。

「つまり、もう扉は要らない、ってこと?」

 ニコが尋ねる。

「そう……じゃないかな?」

 アミも自信はなさげだ。



「ソウタとニコのどっちが第13代歌い手としても、これまでの12回とはいろいろ違ったことが起っとる、いうこっちゃ。男と女とつがいで黒髪とか、そんなんこれまでなかった話やからな」

「今度こそ黙呪王の支配が終わるってことかしら。それだったらすごく良い話だけど」

「まあ、分らんけどな。ワシら全員、また何かにだまされとるんかもわからんし」

「それ言われると自信ないわね」

 しかし、ここで議論していても始まらない。

「まあ、とりあえず歌詞とメロディーは記録しました。ここの扉がなくても何とかなります。先に進みましょう」

「そうね。もうここから出ましょう」

 扉の奥の通路に入った。



 しかしナラさんが妙なことを言う。

「何かこの通路、前と違うで」

「え? どういうことですか?」

「前はすぐに外につながっとった。こんな城の中をぐるぐる回っとらんかった」

 確かに、出口につながるというよりも、また城の中央部に戻って行ってるような感じだ。

 そして案の定、

「あっ! またここに出てきたわ」

 そこはまた大きな池の岸辺だった。しかも今度は飛び石がない。薄暗い空間に黒い水面だけが拡がっている。

「これ、どうすんのよ。飛び石がないじゃない。岸に沿って歩いて行けば良いの?」

「知るか、そんなモン。ワシかてこんな展開、想定外じゃ」

 しかし岸は所々崩れていて、水が流れ出している場所もあり。ずっと岸を歩いて行くのは危険そうだ。またニコに凍歌を歌ってもらって、氷の上を歩いて行くか。でも、どの方向に行ったらいいんだ?



「待って。何かいる。何か出てくる」

 急にニコが言い出した。

「えっ、何なに?」

 慌てる俺たちの目の前で水面がドーム状に盛り上がった。そこだけ水面をつまみ上げたような、あり得ない光景だ。

 そしてそこから『バシュッ!』っと音を立てて、水の鋭い刃が飛んできた。

「敵襲っ!」

 ハルさんの声で、俺は瞬時に震壁を展開した。ニコも横で炎壁を張っている。他の3人は壁の後に駆け込んだ。

 しかし、かなり威力のある水刃が次から次へ飛んでくる。俺たちの壁術でも1発か2発しか防げない。すぐにまた新しい壁を張らないといけない。

 ハルさんが交代して炎壁を張り、その隙にニコが凍歌を歌った。

 パキパキと音を立てて池の水が凍り、やっと水刃の襲撃は止まった。



 しかしそれで終わるわけもない。

 ドオン、ドオンと鈍い打撃音がしたかと思うと、氷が粉々に砕け散った。

 水面に現れたヤツの正体を見て驚いた。

 緑の髪をした裸の女、その腰から下が大蛇になってる……そう、あの崖下の浜辺で襲われた、海魔イレンだったか、あの蛇女にそっくりだ。

「あはあはあは、あっははははは……」

 大口を開けて笑う、そのカンにさわる笑い方もそっくりだ。

「どいつもこいつも、ボス戦回避のサブルートばっかり選択しやがって、500年間退屈してたのさ。お前ら、よくぞメインルートを選択したな」

 えっ! そういうことだったの? 俺たちやっぱり地雷踏んだの?

「しかもお前ら、妹を殺した仇らしいな。もうこの城に出口はないからな。お前ら虫けらは全員この池の底に沈めてやる」

 えっ! ええっ! 妹!?

「ほう、こいつ、海魔の姉ちゃんか」

 ナラさんの言葉が聞こえたのだろう。

「そうさ、私は川姫ラミラ。妹イレンは海に下って海魔になったが、私は川に留まった。そしてこの城で待っていた。全て歌い手を打ち砕くためにさ!」



 そう言いながら特大の水刃が飛んできた。辛くも俺の震壁とハルさんの炎壁の重ね張りでしのぐ。しかし水刃は連発で飛んでくる。乱水刃だ。こうなるともうどんどん壁術を重ねていくしかない。防戦一方だ。

 しかし蛇女は一瞬、水刃の連発を緩めて霧歌を歌おうとした。今だ!

 俺の震刃とニコの凍歌がヒットした。蛇女は声をあげて身体をくねらせ、いったん池の中に潜った。

「どうする? もじゃもじゃとアミには雷耐性ないからな。こんな足下が濡れてるところで雷の歌術使たら感電してまう。海魔の時みたいな攻撃はできんぞ」

「私のツタも、岸からだと遠いし、ボウガンも鱗に跳ね返されてしまうわ。アミちゃんも剣を持って水に飛び込むわけにいかないわ」

「分りました。3人は奏術をお願いします。僕とニコで歌術を使います」

「了解。任せたわよ」

 俺はニコを振り返った。

「ニコ、とにかく凍歌で奴を捕まえてくれ。動きが止まれば狙って震歌を打つことができる」

「分った。やってみる」



 その時、水面を割って蛇女が飛び出してきた。しかしニコが凍歌を歌い出すより一瞬早く、向こうが何か歌いだした。

「アカン! 狂歌や! 耳ふさげっ!」

 ナラさんが叫んだ。

 この歌を聞いて発狂した者は、自ら命を絶ったり、人を殺めたりすることもあるという恐ろしい歌術だ。あの海魔も使っていた。俺たちは両手で必死に耳を塞いだ。

 しかし振り返ると、アミが手に剣を持ったままきょとんとした顔で突っ立っている。ヤバい! 狂歌を知らないのか?

「アミ! 耳を塞げ! 耳、耳を塞げ!」

 必死で叫ぶが……ダメだ。間に合わなかったようだ。

「アミ……」

「アミちゃん……」

 彼女はみるみる苦悶の表情になり、やがてカッと見開いたその目が俺の姿をとらえた。

「ソウタっ!!」

 俺の名を叫ぶや、刀を投げ捨て飛びかかってきた。

 うわっ! 殴られる……と思ったが、違った。彼女は俺の胸にしがみついて泣き出した。

「ソウタ、ソウタぁ、ソウタぁ! 好きなのに、こんなに大好きなのにぃ!」

 え? ええっ!?

「何でキスしてくれないの? 何で抱いてくれないの? 好きなのにぃ! 大好きなのにぃ!」

 あろうことか服まで脱ぎ始めた。普段と全く違う彼女の狂態に場は凍り付いた。

「ダメよっ! アミちゃんっ!」

 ハルさんが種を投げると同時に発芽させた。伸びたツタがあっという間にアミの身体に巻き付き、縛り上げる。

「いやあっ! 止めてえっ! ソウタっ! ソウタぁ! 抱いてえっ、抱いてよおっ!」

 イモムシ状態になったアミにハルさんが駆け寄った。

「ソウタ、この子は私が見てるから! 早くその蛇女をぶっ殺して!」



 しかしその時、頭上からバカ笑いの声が降ってきた。

「あはあはあは、あはははっ! あはははははっ!」

 くっそ、このバカ笑い、本当に頭にくるな。

「狂歌は心の奥にある欲を暴く。人間っていうのは本当に醜いね。欲欲欲……欲の塊じゃないか。若い娘が情欲に狂って男にすがりつく。浅ましいったらありゃしない。あはあはあはっ! あはははははっ!」

 ぎりっ。噛みしめた奥歯が鳴った。

 アミが普段どれほど自分を抑えて俺たちに気を使ってくれてるか。あのお母さんの元でどれだけ苦労してきたか。

 それを、それを……こんな歌術で辱めやがって。許さねえ。絶対に許さねえ。こいつはぶっ殺す。絶対にぶっ殺す。

「クソ爬虫類があっ! ズタズタにしてやる!」

 怒りにまかせて両手で無茶苦茶に震刃を放つ。しかし相手はニョロニョロ逃げ回る上、鱗に当っても大して傷がつかない。

「あはあはあは、あはあはあはははっ!」

 バカ笑いが響く。背後からはアミが号泣する声が聞こえる。チクショー!

「ソウタ、落ち着いて。普通の凍歌だとなかなか捕まらないから、思いっきり広い範囲を凍らすね。奏術で支援をお願い」

 ニコは冷静だ。

「うん、分かった」

 うなずいて後を振り返ると、もうナラさんは準備できていた。

「ナラさん!」

「ほおい! いくでえ」

『ドンチッ、タンチッ、ドンチッ、タンチッ、ドンチッ、タンチッ、ドンチッ、タンチッ』

 背後から良い感じのグルーヴが飛んでくる。俺はべー太をかまえ、スライドから入って凍歌のベースラインを弾いた。弾いて、弾いて、弾きまくった。

 ニコは池の端ギリギリまで出て仁王立ちになり右手をかざした。

「あなたも、絶対に、許さないわ。凍りつきなさい」

 厳かに宣言し、俺たちの伴奏にのって朗々と歌い始めた。

「凍てよ、凍てよ、芯まで凍てつき、氷り固まり命尽きたまえ♪」

 その歌声が終わるか終わらないかのうちに池の水はピシピシと音を立てて凍りついた。彼女は右手を逃げ回る蛇女に向けた。

「あはあはあはあ……は……」

 捕らえた! バカ笑いが止まった。

 蛇女は下半身が池の水ごと凍りつき、上半身も半分だけ白くなり、動きを封じられたままもがいている。

 ニコ、グッジョブ!

 彼女はこっちを見て大きくうなずいた。よし、とどめは俺だな。



 俺は蛇女の頭を狙って大声で歌い始めた。

「来いやっ、来いやっ、来いやっ、来いやっ、散れやっ、散れやっ、散れやっ、散れやっ♪」

 そうだ。震動エネルギーを溜めに溜めた震歌だ。このゲス女、アミの心を弄びやがって、絶っ対に許さねえ。この怒りを込めまくって歌う。

 ナラさんが良い感じにテンポをだんだん速めてくれる。毎日一緒に演奏してるバンド仲間だ。こちらのやろうとしてることは、以心伝心で分かってもらえる。

 蛇女の姿が大きな震動でブレて見える。このままこの世から消してやる。

「散れやあっ! 散れやあっ! 散れやあっ! 失せろゲス女っ!!」

 ナラさんがピタリと音を止める。俺のシャウトとばっちりタイミングが合った。強烈な震動波が俺の右手を離れてすっ飛んで行き、反動でひっくり返りそうになる。



 決まった! 

 大爆発の衝撃に対して身構えたが、不思議なことが起こった。蛇女の姿が一瞬激しくブレたかと思うと、フッと見えなくなったのだ。

 あれっ!? 何だ? 消えたぞ。どっか逃げたのか?

 しかしその数秒後、『ガン!』という激しい衝撃で身体を地面に叩きつけられた。

「キャッ!」

「ニコ、大丈夫!?」

「う、うん……大丈夫」

「ナラさん! ハルさん! アミ!」

 みな地面に投げ出されている。

「あいたたた……」

「お前、何ちゅう歌術使うねん。今のん砕歌サイカやないか」

「え? 普通に震歌を歌ったつもりですけど……砕歌って何ですか?」

「説明は後や。上見てみ」



 今の衝撃波で古城のどこかが壊れたようで、上の方から外の光が差し込んでいる。と、そこからだんだん崩れが拡がっているのか、上からバラバラガラガラ、瓦礫が降ってきた。痛い痛い、っていうか、これ、マズい。

 慌てて上向きに震壁を張って、みんなその下に逃げ込んだ。

「砕歌っちゅうのは、震の歌術の最終奥義や。物体にありったけの震動エネルギーを注ぎ込んで、粒子のレベルで粉々にしてしまうんや。食らったモンはキレイに消滅してまう。お前、いつの間にそんな恐ろしい歌術使えるようになったんや」

「知りませんよ、そんなの。震歌を歌うのに、いつもより溜めまくっただけです」

「まあ、副作用でえげつない衝撃波が出るから誰も使わんらしいけどな」

「ええっ? これ、僕のせいですか?」

 みるみる古城は崩れていき、周りにドカドカ瓦礫が落ちてくる。池に張った氷も割れていく。震壁を張ってなければ生き埋めだ。

 と、岸のどこかが決壊したのか、池の水位が下がって行く。流れ出す水を追っていけば外に出られそうだ。

 アミをナラさんの背中にくくりつけ、上から降ってくる瓦礫を震壁で遮りながら、全員で古城を脱出した。
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