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4章 Contract and a twin

#42 辺りを探して

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カミーユはルリアの家を出、焦りからか歩を早め、セリーヌが何処にいるのか辺りを見回す。

最初は、何時もセリーヌがお茶会をしている場所。
庭のバラが1番綺麗に見える場所に置かれている、紺のテーブルセットに向かうのだが────その場所には誰も居ない。
ルリアの為に造られた、様々な色のバラが咲き誇るバラ園にも。──勿論、ルリアの家の近くにも。

庭を見渡して、セリーヌが居ない事を確認した彼女は落ち着く為に一旦呼吸を整え。
それならば中にいるのだろうと、屋敷へと入る扉をゆっくりと開けるのだった。



「──────でも、セリーヌ様のお部屋って……何処だろう………?」

中へと進み、暗く閑静な空間に重い扉の閉まる音が響き渡るのを聴きながら、ふとカミーユは思った事を口にする。
最近この屋敷に訪れ、そしてルリアの世話係に任命されたカミーユはセリーヌの部屋へ訪れた事は1度もなく。屋敷の大まかな説明をジェシカから受けただけ。

それはジェシカも承知のはずなのだが、あまりの出来事に頭が回らなかったのだろう。
そうで無ければ、あまり屋敷の内情を把握していないカミーユに頼む事など無いのだから。



「……………とりあえず、近くの子に……」

何とか頼まれた仕事を全うしようと、カミーユは近くにいるメイドに話しかけようと辺りを見回す。
そして、窓の掃除をしているメイドの1人を見つければ聞こうと駆け寄るのだった。


「あ、の……………?」

声を掛ければメイドが此方を振り向き、カミーユはセリーヌの部屋が何処なのか尋ねようとしたのだが。

そのメイドの雰囲気が、何処か既視感デジャブを感じた為、彼女は首を傾げるのであった。


『なにか、ごよう?ですか?』

感じている既視感が何なのか考えている間に、話しかけられたメイドは朱色の双眸をカミーユに向けながら、人形の様にこてんと首を傾げる。
その動作に、彼女は既視感の謎を解くのは後にしようと思い立ち。セリーヌの部屋の場所を尋ねた。





「───────緊張、するなあ……」


場所は変わって、セリーヌが居るであろう書斎の前。
部屋の場所を尋ねたは言いものの、肝心のセリーヌは自室には居ないと言われ。代わりに書斎に居ると教えられ、彼女は迷いながらもやっとの事で書斎へ辿り着く。
後は扉を開け、セリーヌにルリアが2人・・居るという事を伝えるだけなのだが。

部屋の前だと言うのに、その場所は何処か重苦しい雰囲気が漂っており。カミーユはその重い空気から逃れようとするかの様に深い息を吐いた。

「……此処で立ち止まっても、仕方ない……よね…………」

「……………………よしっ、行こう」

暫しの間、カミーユは扉を開けることを躊躇していたのだが。
ここで立ち止まっていても仕方ないと決意し、取っ手に手をかければ扉を開けたのだった。
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