悪女で悪魔

黒澤尚輝

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翌日、あんなにも必死に縋り付いていた授業もつまらなく感じ始めた。舐められないために、馬鹿にされないために必死に勉強を繰り返し学園で習う学習をすでに終えた私は教壇に立ちツラツラと話す教師を冷静に見ていた。
難しい言い回し、意味のない世間話、時折混ぜる能力の低い生徒の皮肉。全てがアホらしい。自分の快楽のために教師を名乗っているのだろうか。

両親のため学園には来てみたものの今は今夜の計画を練ることしかしていない。魔力も安定し実技の能力も戻った私にはこのクラスが退屈なものに感じていた。
人の視線が気になり、噂を鵜呑みにし、目立たないよう必死に生きようと頑張っていた自分がバカらしく思えた。いくら落ちこぼれから脱しようとも私の噂は絶えることなく広まり今では教師を金で買収し成績を上げているだの使用禁止の危険薬物や魔道具を使用し成績を伸ばしているだの好き勝手話しているのを何度も耳にした。
私がどれだけ優秀だろうが真面目だろうが誠実だろうが他者の意見は変わることなく私を苦しめた。

窓の外には広がる青空。穏やかな気持ちで過ごすことができる。人に何を言われようともう気にすることなく自由に生きている自分に気持ちが晴れるようだった。

私は嫌われる運命。どうせ嫌われるのであれば好きに生きなければ人生がゴミと化すだろう。相変わらず耳障りな授業に辟易してきた私は体調不良だと告げ教室を後にした。廊下に出ると教師があんな生徒になるな、などとクラスメイトに面白おかしく話している声が聞こえてきた。ほんの少しだけ軋んだ胸に気付かぬふりをして空き教室へと向かった。

色んなクラスで色んな音が、声がする。楽しそうに笑う人や失敗をしたのか啜り泣く声。それを励ます声。私にはないものばかりで眩しく思う。そんな声から離れたくて人気のなさそうな教室へと足早に向かう。

そんな時だった。とある空き教室へ引き込まれたのは。突然のことで反応できず呆気なく教室の床へと転がされた私は体勢を立て直そうと手に魔力を込めた。しかしその魔力は魔法へと変換されることなく空へ拡散し消え去った。

「よぉ、悪女」

天井をバックに怪しげに笑うのは3年の首席、第一騎士団長の息子だった。
空き教室での一件以来3年は課外活動をしていたため遭遇することはなかった。あの時の記憶はもちろん消した。しかしこの状況はなんなのだろうか。床に押し倒され手は拘束されている。

「離してください」
「お前さぁこの間俺に何した?」
「⋯⋯特に何も」
「家に帰ったらキスマークだらけになってやがったんだよ。記憶も曖昧だし。お前やっぱり違法魔道具使ってるだろ?記憶操作に催眠系か?」
「勝手な憶測に巻き込まないでください」
「じゃあこの間のことはどう説明すんだ?」
「知りませんよ」

手を掴む力が強くなる。思わず顔を顰めれば何故か男は嬉しそうに笑った。
3年はやはり優秀だ。正体がバレる可能性が高い。どうにかここを切り抜けなければ。

「そろそろ離してください。体調が良くないので保健室に行きたいんです」
「ふっ。そうか。じゃあこれ飲んでから行けよ」

突然訳の分からない発言をしたかと思うと徐にポケットに手を入れ何かを取り出した。小瓶に入っているのは薄く色付く謎の薬。訝しげにそれを見ていると蓋を開け中の薬を口に含んだ。途端、顎を掴まれ口付けをされた。
頭はパニックだった。フェロモンをかけていないのにキスをされたこと、謎の薬を口移しされたこと。驚きで思わずその薬を飲み込んでしまえば即効性のある薬効が現れた。

身体が熱くなる。肌が服に擦れ気持ちがいい。しかし決定打に欠ける快楽は苦しいだけ。

「びっやく、?」
「俺はやられたらやり返す派なんだよ」

拘束を解かれ男と距離をとる。しかし足に力が入らず床に座り込んでしまう。欲しいものはナカヘの刺激。思わず男のモノに目を向けてしまう。
男は椅子に座りこちらを見下ろし笑っていた。

「どうだ?その薬かなり効くだろ?かなりグレーな媚薬なんだってよ」
「っんぅ、はっはっ」
「ははっいい眺めだな」

肩を抱き必死に快楽を逃す。しかし身体の全てが性感帯のようになり全てが気持ちいい。
考えている余裕なんてなかった。フェロモンを放出することもできず私は無様に男に懇願していた。

「はっ、たす、けてっ」
「どうされたい?」
「ナカ、がっ寂しい、」
「はっきり言えよ。クソビッチ」
「ナカに、欲しいのっ」
「じゃあ俺をその気にさせてみろよ」

なけなしの力を使い立ち上がる。震える朝に叱咤をかけて男の元へ行く。男の元へ跪き足の間へ顔を寄せる。甘い香りに導かれそこへ手を伸ばした。ズボンを脱がせるため腰を浮かせるようお願いをしゆっくりと下げていく。柔らかなそこは少しずつ硬度を増していった。
そっと手を添え優しく撫でる。男を見上げそっと口を開き飲み込む。いつものように咥え扱き始めれば後頭部に手が当たった。ゆっくり撫でる手に心地よさを感じ褒められているかのような感覚に嬉しさが込み上げる。
男のイイ所を探し当て刺激をすればいい子、とでも言うように手が髪を撫でる。

必死になって顔を動かせばどんどん硬くなっていくソコに腰が無意識に動いた。もうすぐ達しそう、そんなところで後頭部を強く押され喉の奥へと差し込まれた。びゅくびゅくと溢れる精液の甘さと喉の奥を刺激されたことで何も触っていないのに私も達してしまう。

「口開けろ」

精液を飲み込み口を開く。何もないのを確認した男はまた頭を撫で嬉しそうに笑った。

「立って」

ゆっくり立ち上がると男は自分のモノを指差し自分で挿入れろ、と言った。
椅子に座る男に跨りお互いのモノを擦り合わせる。硬い剛直に手を添えゆっくり飲み込んでいく。媚薬の効果でいつも異常に気持ちのいい挿入に足が震えた。全てを飲み込み男に縋り付くように服を掴む。

「動けよ」

命令になぜか逆らうことができず震える足で動き始める。粘性の音が響き渡り喘ぎ声が溢れる。男は余裕そうに動く私を見ている。見られている事実にさらに膣内がきゅんきゅんと蠢く。

「そんなんじゃ俺がイケねぇよ」
「んぁっんっはぁっぁっ」

膣内射精を求めて必死に動く。しかし気持ちよさのあまり動きが鈍く中々達することができない。

「ぁ、おね、がいっ動いて、」
「クソビッチのくせに生意気だなぁ?」

恥ずかしげもなく強請る私を嘲笑う男はそれでもなお動かない。私は快楽のため必死に動いた。しかしどう頑張っても決定的なものはなく腹の奥に憤りが溜まるばかり。目の前の男の首元に顔を寄せ柔く吸い付く。少しだけ強く抱きつき腰をなんとか動かした。

「ふっ。無様なだな」

耳元で響く声に背筋が粟立つ。途端男が下から強く突き上げた。突然すぎる刺激にあっという間に達する。ビクビク打ち上げられた魚のように痙攣を繰り返す身体。しかしその動きは止むことなく再度突かれる。
溜まり溜まった快楽が爆発するかのように襲いかかり息が上手くできない。

「あ゙っまっ、へぇっんぁっとまっってぇっ」
「動けって言ったのはお前だろ?」

汚い喘ぎが溢れ止まらない。強すぎる快感から逃れようと男の身体を押すが離れることなどできるはずもなくひたすら打ち付けられるモノに脳が痺れる。
一際大きな快感に呑まれ秘所から愛液が溢れた。

「ははっ潮吹いたのか?はしたないな」

粗相だと思っていたものは潮、と呼ばれるものだと知ったのは最近。快楽が強すぎると溢れるものらしいがびしゃびしゃと椅子を濡らすそれに恥ずかしさが募った。

足に力が入らず漢にもたれるようになった頃突然立ち上がった男は私を床へ転がし再度繋がる。より動きが大きくか早くなり喘ぎしか出ない私に抗う術などなかった。

「あ゙っぁっんっい、っちゃっっっ」
「おら、イケよ」

乱暴な言葉遣い。いつもなら嫌悪を抱くはずなのにその言葉でさらに気持ちが昂る。腰を掴む手が強くなり1番奥へと叩きつけられる。目の前が真っ白になり何も考えられなくなった瞬間ナカにあの感覚が弾けた。温かい感触と満たされる魔力と気持ち。薄れゆく意識の中目の前の男が私を見下ろしているのを見た。

嬉しそうに笑う男は私の下腹部を撫でた。その瞳は怪しげに光りまるで、悪魔のようだった。
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