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※2話投稿です。
夜の魔力摂取は慣れ始め、匂いをもとに魔力補給量が多そうな男を識別し自宅に忍び込む。そしていつも通り口淫を行い魔力を補給する。
変わったことといえば足の間の疼きに負け相手の逸物に擦り付けるようになってしまったことだろう。
秘所は湿り気を帯び、パンツにシミを作る。素肌を出してしまったら⋯⋯。快楽への恐怖か自分がまだまともだと思っているのか、自分のズボンを脱ぐことはできずにいた。
夜中2人の家へ忍び込み魔力摂取をし自宅へ戻る。コツを掴んだのか1時間程度で終えることができた。お風呂に入りながらふんわり香る花の匂いを胸いっぱいに吸い込んだ。
広々とした浴室に香りの強い石鹸や入浴剤。私の魔力欠乏が起きた際、父が購入してくれた少ない魔力でお湯が出る高価な魔道具型シャワーなど端々に私の家の財力が目に入る。
入学当初言われていたように私の家は偉いとされている。父が第三騎士団団長をやっており母は中級魔法研究所の副所長をやっている。そのためかなり裕福な生活を送ることができている。
今では落ちこぼれだと言われる私だが、以前は父と母の血を受け継ぎ優秀と言われていた。
お風呂から出て髪の毛を乾かす。サラサラと肩を流れる黒髪はしっかりとケアを行なっているため痛み知らずだ。
鏡を見れば赤黒い瞳の女が映る。以前より黒みが増したこの瞳はまるで血液のように濁っている。そっと目を伏せベッドに入る。ふかふかの柔らかい布団に包まれ徐々に目が落ちていく。最後に思い浮かぶのは手を繋いでいた男女の姿。そして誰かと手を繋ぎ幸せそうに歩く私の情景だった。
────────
翌日、いつもと変わらず家を出て学園に着き授業を受ける。何も変わらない日常。聖女の末裔に会うことなく穏やかに時間が過ぎていく。連日何かとあったため少し安堵し始めていた矢先、それは起こった。
5限目、第二十五実験室にて薬学の授業が行われていた。薬学とは切傷を治す薬や疼痛を軽減する薬、解毒薬、解痺薬など基礎的な薬について学ぶ。
薬草に魔力を込め作るため魔力の欠乏を起こしていた私は今まで効果が弱くほとんど効かないか、ただの草のまま変化せず失敗などしていた。
昨日の摂取にて魔力補給は十分。少し緊張しながらも教師の言う通り魔力を込めれば無事、水脹れ程度の熱傷であればすぐに治る薬を完成させた。
今回の授業は薬を作ること。薬ができたら自習となっているためさっさと課題である熱傷を治す薬を提出しようと席を立つ。
魔力がないはずの私が最近また魔法を使い実技を行い、魔力を使用した薬を作り上げたことを不審がるクラスメイト。相変わらずコソコソ話す内容は〝落ちこぼれ〟〝不正をしている〟など。
──早く教室に戻ろう。
あまり気分が良くない。教師に薬を渡せばジロジロ瓶の中身を確認された。挙句実際に火魔法で己の指を焼き私の作った薬をかけ治るか試す始末。信用されていないことが身に染みて分かる。
「⋯⋯」
「戻っていいでしょうか」
「放課後、講師室へ来い」
「なぜ、でしょうか」
「これについてゆっくり話そうか」
「⋯⋯はい」
教師の目にはしっかりと軽蔑が混ざり吐き捨てるように言った。手を強く握りしめこの屈辱を堪える。クスクスと笑う誰かの声。心臓を強く握られたように痛んだ。
教室から鞄を取り図書室で時間を潰した。そして終業の音が鳴り薬学講師室へ重い足を向ける。
「ユナイデルです」
「入れ」
ノックをし声をかければ威圧的な声が返ってくる。
ドアを開ければ先程の教師。腕を組みこちらを睨むように椅子に座っている。ドアを閉めテーブル越しに立ち教師を見れば不機嫌そうに話し始める。
「お前、最近魔力の欠乏を起こし実技でかなり苦労したらしいな」
「はい」
「そして?最近また魔力が戻り始めたとか」
「はい」
「今回俺の授業でも素晴らしい薬を仕上げたな?」
「はい」
「さぁ、話せ。どう不正したのか」
「⋯⋯は?」
「なんだその態度は。魔力の欠乏を起こしたお前の魔力補給方法を何とか探そうとゲオルグが調べていたことは教師の中でも有名な話だ。元々優秀だったお前を落とせばあいつの担任としての能力を疑われる。そりゃあ必死だろう」
「のう、りょく」
「自分の教えるクラスで作りたくなかったんだろう落ちこぼれを。だからあいつはお前のクラス降格を先延ばしにし続けた。そしてお前は俺ら教師にバレない不正を考え見事返り咲き。そんなところか?」
「不正、とはなんのことですか」
「魔力補助具か何かを使ったのか?それともなんだ誰かに頼んで代理で薬を作らせたのか?いつものように」
「いつ、も⋯⋯」
ねっとりとした笑顔を浮かべる目の前の教師。私の目には人間ではない何かに見えるほど恐ろしいものに思えた。
夜の魔力摂取は慣れ始め、匂いをもとに魔力補給量が多そうな男を識別し自宅に忍び込む。そしていつも通り口淫を行い魔力を補給する。
変わったことといえば足の間の疼きに負け相手の逸物に擦り付けるようになってしまったことだろう。
秘所は湿り気を帯び、パンツにシミを作る。素肌を出してしまったら⋯⋯。快楽への恐怖か自分がまだまともだと思っているのか、自分のズボンを脱ぐことはできずにいた。
夜中2人の家へ忍び込み魔力摂取をし自宅へ戻る。コツを掴んだのか1時間程度で終えることができた。お風呂に入りながらふんわり香る花の匂いを胸いっぱいに吸い込んだ。
広々とした浴室に香りの強い石鹸や入浴剤。私の魔力欠乏が起きた際、父が購入してくれた少ない魔力でお湯が出る高価な魔道具型シャワーなど端々に私の家の財力が目に入る。
入学当初言われていたように私の家は偉いとされている。父が第三騎士団団長をやっており母は中級魔法研究所の副所長をやっている。そのためかなり裕福な生活を送ることができている。
今では落ちこぼれだと言われる私だが、以前は父と母の血を受け継ぎ優秀と言われていた。
お風呂から出て髪の毛を乾かす。サラサラと肩を流れる黒髪はしっかりとケアを行なっているため痛み知らずだ。
鏡を見れば赤黒い瞳の女が映る。以前より黒みが増したこの瞳はまるで血液のように濁っている。そっと目を伏せベッドに入る。ふかふかの柔らかい布団に包まれ徐々に目が落ちていく。最後に思い浮かぶのは手を繋いでいた男女の姿。そして誰かと手を繋ぎ幸せそうに歩く私の情景だった。
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翌日、いつもと変わらず家を出て学園に着き授業を受ける。何も変わらない日常。聖女の末裔に会うことなく穏やかに時間が過ぎていく。連日何かとあったため少し安堵し始めていた矢先、それは起こった。
5限目、第二十五実験室にて薬学の授業が行われていた。薬学とは切傷を治す薬や疼痛を軽減する薬、解毒薬、解痺薬など基礎的な薬について学ぶ。
薬草に魔力を込め作るため魔力の欠乏を起こしていた私は今まで効果が弱くほとんど効かないか、ただの草のまま変化せず失敗などしていた。
昨日の摂取にて魔力補給は十分。少し緊張しながらも教師の言う通り魔力を込めれば無事、水脹れ程度の熱傷であればすぐに治る薬を完成させた。
今回の授業は薬を作ること。薬ができたら自習となっているためさっさと課題である熱傷を治す薬を提出しようと席を立つ。
魔力がないはずの私が最近また魔法を使い実技を行い、魔力を使用した薬を作り上げたことを不審がるクラスメイト。相変わらずコソコソ話す内容は〝落ちこぼれ〟〝不正をしている〟など。
──早く教室に戻ろう。
あまり気分が良くない。教師に薬を渡せばジロジロ瓶の中身を確認された。挙句実際に火魔法で己の指を焼き私の作った薬をかけ治るか試す始末。信用されていないことが身に染みて分かる。
「⋯⋯」
「戻っていいでしょうか」
「放課後、講師室へ来い」
「なぜ、でしょうか」
「これについてゆっくり話そうか」
「⋯⋯はい」
教師の目にはしっかりと軽蔑が混ざり吐き捨てるように言った。手を強く握りしめこの屈辱を堪える。クスクスと笑う誰かの声。心臓を強く握られたように痛んだ。
教室から鞄を取り図書室で時間を潰した。そして終業の音が鳴り薬学講師室へ重い足を向ける。
「ユナイデルです」
「入れ」
ノックをし声をかければ威圧的な声が返ってくる。
ドアを開ければ先程の教師。腕を組みこちらを睨むように椅子に座っている。ドアを閉めテーブル越しに立ち教師を見れば不機嫌そうに話し始める。
「お前、最近魔力の欠乏を起こし実技でかなり苦労したらしいな」
「はい」
「そして?最近また魔力が戻り始めたとか」
「はい」
「今回俺の授業でも素晴らしい薬を仕上げたな?」
「はい」
「さぁ、話せ。どう不正したのか」
「⋯⋯は?」
「なんだその態度は。魔力の欠乏を起こしたお前の魔力補給方法を何とか探そうとゲオルグが調べていたことは教師の中でも有名な話だ。元々優秀だったお前を落とせばあいつの担任としての能力を疑われる。そりゃあ必死だろう」
「のう、りょく」
「自分の教えるクラスで作りたくなかったんだろう落ちこぼれを。だからあいつはお前のクラス降格を先延ばしにし続けた。そしてお前は俺ら教師にバレない不正を考え見事返り咲き。そんなところか?」
「不正、とはなんのことですか」
「魔力補助具か何かを使ったのか?それともなんだ誰かに頼んで代理で薬を作らせたのか?いつものように」
「いつ、も⋯⋯」
ねっとりとした笑顔を浮かべる目の前の教師。私の目には人間ではない何かに見えるほど恐ろしいものに思えた。
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