異世界のんびり冒険日記

リリィ903

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本編

15話 領主邸にて③

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「すまんな、待たせたか。」

「そうですね、待ちましたわ。」

「うっ!すまん。」

「あなた。後程、たっぷりとお話いたしましょう。
もちろん、ゴアンもね。」

ゴアンは目を反らした。
ベイグマンは話を反らすようにアークに向かって喋る。

「それで、公爵とはな……」

「あっ!その話はランセリアさ…んから聞きました。」

ベイグマンの前なので「様」と言おうとしたのだが、本人から睨まれたのでなんとか「さん」と言った。

「そ、そうか、わかった」

「しかし、領地の仕事を夫婦でやるってことは貴族ってやっぱり大変なんですね。」

アークはそんなことを言ってやんわり、貴族になるのを断ろうとしていた。

「いや、普通の貴族は妻が領地の仕事をすることはないだろうな。」

「え?では、何故?」

「私は、元々、文官だったのですよ。
だから、嫁いだあとも領地の仕事をやっているんです。」

「なるほど。そうなんですね。」

「あぁ、それで今日来てもらった本題なんだがな、まずは、ゴブリンの集落殲滅の報酬を払おうと思ってな。」

「あの、報酬なら貰いましたが……」

「白金貨20枚だろう?
それは、ゴアンから聞いているが、あれはあくまでもゴブリンの集落を殲滅するための支度金だ。
それに、報酬としてはあれでは安すぎる。」

「え!そうですか?それだけでも十分なんですが……」

「そういうわけにはいかない、聞けばゴブリンエンペラーまでいたと言うじゃないかしかもそれを単独討伐。
どう考えても白金貨20枚では足りん。
追加で白金貨200枚の報酬額が妥当だろうな。」

そう言って大きな袋をテーブルの上に置いた。

「そ、そんなに?」

「ゴブリンエンペラーまでいる集落と言うのはそれほどの脅威なのだよ。」

そう言って、テーブルの上の袋を受け取るように促された。

「わかりました。ありがたく頂戴します。m(._.)m」

アークはテーブルの上に置かれた袋を持ち上げようと袋を触る

「冷たっ!」

つい、そんな言葉が出てしまった。

ベイグマンもゴアンも苦笑いをしている!

袋がこんなに冷たいってことは本人達も相当冷たいんだろうなぁ
と思いながら改めて受け取る。

「入れ物がないようならギルドから払おうか?ギルドなら口座を作れるし。」

何も入れ物を持っていないことからベイグマンがそんなことを言った。

「いや、大丈夫です。」

そう答えるとアークは無限収納インベントリに入れた。

「「アイテムボックス!」」

ベイグマンとランセリアが同時に声を上げる。

「あっ!」

アイテムボックス持ちは珍しいと言うことを忘れて目の前で無限収納インベントリに入れてしまった。

そこで、ベイグマンは
「アイテムボックス持ちは珍しい為色々な所から勧誘があったりするだろうから気を付けなさい。
なかには手荒な真似をするやからもいるからな、と言ってもゴブリンエンペラーを単独討伐する程の者だそう簡単にはヤられんだろうがな。」
と言ってきた。

「さて、これでゴブリンの件は終わった。
次はアーク君、君に士爵位を与えようと思う!」

「その事については大変ありがたいですが自分は冒険者としてのんびり暮らそうかと思ってまして。」

「そうか。と普通なら納得するんだがね。今回はそうもいかん。
ゴブリンエンペラーを単独討伐する程の強さ、それにアイテムボックス、おまけにAランクの冒険者だ。」

「最初の2つは何となくわかりますが、Aランク冒険者って関係あるんですか?」

「ああ、Aランク冒険者がSランク以上になるためにはその国の王の承認が必要になる。
そうなると国のお抱え冒険者になると言っても過言ではない。」

「だから、王国の貴族にして早めに縛り付けておきたいと?」

「いや、王国の貴族と言えばそうなんだが、国王からいきなり男爵とかに叙爵されると何処かの領地の代官にされたりするんだよ。
だから、私がアーク君を士爵に叙爵しておけば私の家臣としてある程度は自由に動けると思うんだけどね。」

「そもそも、国王様から叙爵されるとは限らないのでは?」

「いや、Sランクの冒険者には漏れなく爵位が与えられるよ。」

「いや、Sランクの冒険者になるとは限らないのでは?」

「登録初日にDランクの冒険者を一撃で倒した。
しかもかなり手加減をして。
そして、翌日にはゴブリンエンペラーを含む500体もの集落の単独の殲滅だよ?
それで、噂で聞いたが迷宮都市に行こうとしているようだね。」

「はい、王都とか迷宮都市とか他の国とか行ってみたいなと思ってます。」

「なるほど。今の状態で迷宮都市に行きうっかり、功績になるようなことをしたら直ぐにSランクに推薦されるだろうね。
そして、それは他国に行っても同じだろうね。」

「うっ!」

「私の家臣として、士爵になっておけば、ある程度は自由だし、開拓と言う名目で森林地帯で開拓をしつつのんびり暮らすことはある程度は可能だと思うんだが?まあ、帝国との間にある森林地帯を開拓しようとして出来たものはいないんだがね。」

「他国に行ってしまったら、ルーセリアが可哀想ですわよ。」

ランセリアがそんなことを言ってきた。

「ランセリア、それはどういう意味だい?」

「どうもこうも、ルーセリアは満更でもないようですからね。」

「アーク君!!そうなると話が大分変わってくるな!」

ベイグマンが青筋をたてている。

「いや、それは、その……」

「まあ、それは置いといて、どうだい?貴族がいやなら、このままでもいいし、強制はしないよ。
ただ、国王からの話は強制になるだろうね。
もちろん、断ることも出来るけど周りの貴族が何て言うかもそうだけど、嫌がらせをしてくるかもしれないし、王国には居づらくなるだろうね。」

「しばらく、考えさせてください。」

「わかった。じゃあ、待つよ。
ただし、迷宮都市に行く前には決めてくれ。」

「はい、わかりました。」

そんな感じで領主との会談は終わった。

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やっと、進んだかな?(´-ω-`)
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