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そろそろ良い加減少しはスローライフをしたい
第61話 アイスクリーム屋の新たな門出。そして出発準備
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ここは『パーラーゴールダマイン』
制服が一新されて、露出が少なくなった。
その分だけ少し客足が落ち着いたが、客層は幅広くなった。
いや、なんか別方向に偏りが生まれている。
新しい制服は時夫と偽ちょび髭(中身は冒険者ギルド長)によって決められた。
時夫のメイド喫茶って日本で人気だったし、コッチでもイケるんじゃね?
という意見と、
女性達が暴漢が現れた時に対応できた方が良い!
と言うギルド長の意見が合わさり、
メイド服だけど何故か部分的に鎧を装備している!
という意味不明な制服になったのだった。
全員背中に大きな斧を背負っている。コルセットは防弾防刃で、腕にシールド発生装置を付けた戦うメイドさん達だ。
他にも店と店員と客を守るための重課金装備を身に付けているらしいが、詳しいことは時夫は知らない。
制服代金はもちろんオーナーたる緑頭の家に請求なので、ギルド長も随分と好き勝手にやった様子。
店の内装もギルド長の好みに合わせて、動物の首の剥製が壁に飾られたり、デカい斧が飾られたりしてる。
壁紙とかは変更してないので、パステルカラーの可愛いさと、無骨な戦士の趣味が合わさり、異世界の中に新たな種類の異世界が発生している。
そして、王都冒険者ギルド委託事務所を勝手に名乗って、なんとこちらのお店で冒険者登録などの業務が可能になってしまった。
本物の冒険者ギルドは今やニ階の酒場目当ての人しか行かない。
純粋なアイスクリーム目当ての客と、冒険者達の混じり合う謎の空間がここにはあった。
アイスクリームを舐めながらメニュー表の後半に書いてある依頼をパーティの仲間と相談するカラフルなモヒカンが店に彩りを与えている。
「ギルド長最近見かけねぇなぁ」「冒険者に戻ってドラゴン狩りの旅に出たって噂だ」「あ、すみません、マルン味追加二個。あと、この服を溶かすスライムの依頼受けます」
新生『パーラーゴールダマイン』は今日も賑わっている。
♢♢♢♢♢
一方時夫とルミィは隣国マルズへ行く準備を整えて、出発した。
ルミィとリックの調査で、長髪パクリ野郎はマルズにいる事が分かったのだ。
偽聖女ラスティアと共にいる可能性が高いと見ている。
何にしろ、どちらも時夫からすれば討伐対象なので、偽と長髪の二人が関係なくても問題ない。
両方ブン殴る方向性で考えてる。
「さてさて、変装ネックレスは片方ギルド長に貸してるし、どうすっかね。
ルミィはそのままの姿だと目立つんだろ?
俺も何か他の姿にならないとなぁ」
フードから溢れるルミィの綺麗な金髪を眺める。
陽の光に輝く。そしてやはり目立ち過ぎる。
時夫も偽聖女にバッチリ顔を見られてるからなぁ、
「髪、染めてみますか」
ルミィは髪を一房手に取り、光に透かして時夫の方を見て、小首を傾げた。
「できるのか?」
元々がカラフルな頭の人が多いので、染めてるのか地毛なのかなんて意識して無かったが、考えてみれば白髪になる事もあるだろうし、髪色変えたい人も当然存在するか。
「ただ、染めたら上手く元の色に戻せない事もあるので……。
先ずは毛先だけ試しにやってみましょう」
そして、ルミィと共にやって来たのは薬局だ。
「ん、いらっしゃい」
くりくりのカールしたオレンジ色の髪の毛の若い女店主はこちらを見もしないで挨拶してくる。
薬草をごりごりと擦り潰しているところだ。
この世界では、薬を作る人は何故か日本人が魔女と聞いて思い浮かべる様な黒いトンガリ帽子を被っている。
マントも黒い。
汚れが目立たない様にするのと、薬品が爆発した時には咄嗟に広いつばを引っ張って顔を守る為……とか言われているらしいが、狭い店の中で動きにくそうだし、単なる伝統の意味が強いらしい。
「おっすー」
「お邪魔しまーす」
時夫もルミィも慣れてるので、棚の商品を勝手に見る。
「何色にしますかねぇ。風の魔法が得意だし緑もいいですねぇ」
「お、紫だって。かなりイメージ変わりそうだな」
ワイワイはしゃいでいると、店主さんが近くに来た。
猫の様なエメラルドの様な緑の目を細めてルミィを見ている。
やべぇ五月蠅かったかな?
「モノによって後で落ち難いのがあるよ。
……お嬢さん、今、魔法で髪色変えてる?」
ルミィがヘーゼルの瞳を見開いた。
そう、この店に来る前に、時夫の首にかけていたネックレスをルミィに渡していたのだ。
「………………」
ルミィが表情を消して黙る。
「いや、別にお客さんのことを探ろうってんじゃ無いんだ。
これ、水で色落ちしないし、『クリーンアップ』でしっかり元の色に戻せる奴だからオススメだよ。
元の髪色に関係なくみぃんな同じ色にできるよ」
店主が棚の一角の瓶を何個かヒョイヒョイと手に取った。
「何個か買ってくれるならお値段オマケするよ。どう?」
時夫に顔を近づけて、ニンマリと口を三日月型にして帽子の下で魔女は笑う。
「じゃあ……それ全部、ください」
何となく気圧されてお買い上げ。
この魔女商売上手かよ。
「オマケのクズ石あげるよ」
使い切りの小さな魔石も幾つか貰えた。
どうもこの世界では、ちょっとしたプレゼントに小さな魔石は重宝されてる様子。
「またね~」
そう言いながら、オレンジ髪の魔女は薬草を擦り潰す作業に戻った。
そして、ルミィは薄ピンク髪にする事にした。よく似合っている。
時夫はギルド長の姿をネックレスに登録しておいた。
元の時夫と一番イメージ違う人物だからな。
ふふふ……偽聖女め、待ってろよ~。
ギルド長の姿になり、強くなったの錯覚した時夫は力瘤を作り、雄叫びを上げた。
「うおおおおぉぉぉおおおお!!!!!」
制服が一新されて、露出が少なくなった。
その分だけ少し客足が落ち着いたが、客層は幅広くなった。
いや、なんか別方向に偏りが生まれている。
新しい制服は時夫と偽ちょび髭(中身は冒険者ギルド長)によって決められた。
時夫のメイド喫茶って日本で人気だったし、コッチでもイケるんじゃね?
という意見と、
女性達が暴漢が現れた時に対応できた方が良い!
と言うギルド長の意見が合わさり、
メイド服だけど何故か部分的に鎧を装備している!
という意味不明な制服になったのだった。
全員背中に大きな斧を背負っている。コルセットは防弾防刃で、腕にシールド発生装置を付けた戦うメイドさん達だ。
他にも店と店員と客を守るための重課金装備を身に付けているらしいが、詳しいことは時夫は知らない。
制服代金はもちろんオーナーたる緑頭の家に請求なので、ギルド長も随分と好き勝手にやった様子。
店の内装もギルド長の好みに合わせて、動物の首の剥製が壁に飾られたり、デカい斧が飾られたりしてる。
壁紙とかは変更してないので、パステルカラーの可愛いさと、無骨な戦士の趣味が合わさり、異世界の中に新たな種類の異世界が発生している。
そして、王都冒険者ギルド委託事務所を勝手に名乗って、なんとこちらのお店で冒険者登録などの業務が可能になってしまった。
本物の冒険者ギルドは今やニ階の酒場目当ての人しか行かない。
純粋なアイスクリーム目当ての客と、冒険者達の混じり合う謎の空間がここにはあった。
アイスクリームを舐めながらメニュー表の後半に書いてある依頼をパーティの仲間と相談するカラフルなモヒカンが店に彩りを与えている。
「ギルド長最近見かけねぇなぁ」「冒険者に戻ってドラゴン狩りの旅に出たって噂だ」「あ、すみません、マルン味追加二個。あと、この服を溶かすスライムの依頼受けます」
新生『パーラーゴールダマイン』は今日も賑わっている。
♢♢♢♢♢
一方時夫とルミィは隣国マルズへ行く準備を整えて、出発した。
ルミィとリックの調査で、長髪パクリ野郎はマルズにいる事が分かったのだ。
偽聖女ラスティアと共にいる可能性が高いと見ている。
何にしろ、どちらも時夫からすれば討伐対象なので、偽と長髪の二人が関係なくても問題ない。
両方ブン殴る方向性で考えてる。
「さてさて、変装ネックレスは片方ギルド長に貸してるし、どうすっかね。
ルミィはそのままの姿だと目立つんだろ?
俺も何か他の姿にならないとなぁ」
フードから溢れるルミィの綺麗な金髪を眺める。
陽の光に輝く。そしてやはり目立ち過ぎる。
時夫も偽聖女にバッチリ顔を見られてるからなぁ、
「髪、染めてみますか」
ルミィは髪を一房手に取り、光に透かして時夫の方を見て、小首を傾げた。
「できるのか?」
元々がカラフルな頭の人が多いので、染めてるのか地毛なのかなんて意識して無かったが、考えてみれば白髪になる事もあるだろうし、髪色変えたい人も当然存在するか。
「ただ、染めたら上手く元の色に戻せない事もあるので……。
先ずは毛先だけ試しにやってみましょう」
そして、ルミィと共にやって来たのは薬局だ。
「ん、いらっしゃい」
くりくりのカールしたオレンジ色の髪の毛の若い女店主はこちらを見もしないで挨拶してくる。
薬草をごりごりと擦り潰しているところだ。
この世界では、薬を作る人は何故か日本人が魔女と聞いて思い浮かべる様な黒いトンガリ帽子を被っている。
マントも黒い。
汚れが目立たない様にするのと、薬品が爆発した時には咄嗟に広いつばを引っ張って顔を守る為……とか言われているらしいが、狭い店の中で動きにくそうだし、単なる伝統の意味が強いらしい。
「おっすー」
「お邪魔しまーす」
時夫もルミィも慣れてるので、棚の商品を勝手に見る。
「何色にしますかねぇ。風の魔法が得意だし緑もいいですねぇ」
「お、紫だって。かなりイメージ変わりそうだな」
ワイワイはしゃいでいると、店主さんが近くに来た。
猫の様なエメラルドの様な緑の目を細めてルミィを見ている。
やべぇ五月蠅かったかな?
「モノによって後で落ち難いのがあるよ。
……お嬢さん、今、魔法で髪色変えてる?」
ルミィがヘーゼルの瞳を見開いた。
そう、この店に来る前に、時夫の首にかけていたネックレスをルミィに渡していたのだ。
「………………」
ルミィが表情を消して黙る。
「いや、別にお客さんのことを探ろうってんじゃ無いんだ。
これ、水で色落ちしないし、『クリーンアップ』でしっかり元の色に戻せる奴だからオススメだよ。
元の髪色に関係なくみぃんな同じ色にできるよ」
店主が棚の一角の瓶を何個かヒョイヒョイと手に取った。
「何個か買ってくれるならお値段オマケするよ。どう?」
時夫に顔を近づけて、ニンマリと口を三日月型にして帽子の下で魔女は笑う。
「じゃあ……それ全部、ください」
何となく気圧されてお買い上げ。
この魔女商売上手かよ。
「オマケのクズ石あげるよ」
使い切りの小さな魔石も幾つか貰えた。
どうもこの世界では、ちょっとしたプレゼントに小さな魔石は重宝されてる様子。
「またね~」
そう言いながら、オレンジ髪の魔女は薬草を擦り潰す作業に戻った。
そして、ルミィは薄ピンク髪にする事にした。よく似合っている。
時夫はギルド長の姿をネックレスに登録しておいた。
元の時夫と一番イメージ違う人物だからな。
ふふふ……偽聖女め、待ってろよ~。
ギルド長の姿になり、強くなったの錯覚した時夫は力瘤を作り、雄叫びを上げた。
「うおおおおぉぉぉおおおお!!!!!」
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