58 / 129
そろそろ良い加減少しはスローライフをしたい
第56話 アイスクリーム屋さんの作戦会議
しおりを挟む
早速手に入れた情報を店舗の方に持ち帰る。
「そんな……地下で強制労働……」
狐獣人の二人は特にショックを受けた様だった。
「本当なら助けに行かないと!……でも、フィリー、私には優しかったのに……本当にそんな酷いことしてるの?」
伊織は一時期親しくしていた学友の犯行に悲しそうな顔をする。
「フォクシーは何か知らないの?」
コニーが最近まで狐獣人のコミュニティーにいた筈だし、自らも北狐の血が濃く出ているのだ。
何か情報が無いだろうか。
「うーん……あ、そう言えば、お母さんから手紙来てるから読んでみます」
『空間収納』から簡素に封をされた手紙を出した。
「ちょっと!いつ届いたの?直ぐに中確認しなさい!」
コニーがフォクシーを叱りつける。
フォクシーは白い耳をぺたんとして、大きなフサフサの尻尾をむぎゅっと抱えて上目遣いで姉を見る。
拗ねてるらしい。
「届いたのはおとといくらい。だって……後で読もうと思って忘れてたんだもん」
フォクシーは尻尾を更にぎゅーっと抱きしめて、自分の顔を半分隠した。
どうやらしっかり者の姉に、のんびりウッカリな妹らしいな。
「まあまあ、良いから中身読んでみてよ。
個人的な内容だけなら俺らには教えなくても良いからな」
「はい!読んでみます!」
フォクシーが読み始める。ふむふむと言いながら、目を丸くし、手紙に顔を近づける。
手紙を顔から離して、口を開けてびっくり顔。
……いや、早く読み終えてくれ。なんだその百面相は。
「ちょっと貸して!」
コニーが手紙を奪って目を通す。そして、
「そんな……」
口に手を当てて眉を顰めた。
「何が書いてあったんだ?」
時夫は好奇心が表面に出るのを抑えつつ聞いてみる。
「北狐族の集落に凄いお金持ちの貴族の人が来て、教育を受けさせてやるって言って子供を何人も連れて行ったって。
フォクシーも学校通わせて貰えるかも知れないから、その人の家を訪ねてみろって……」
「で、その家っていうのが……」
「ゴールダマインですね」
時夫の言葉をルミィが引き継いだ。
「その通りです」
コニーの赤茶色の瞳が怒りに燃えている。
「あの、待ってください!
フィリーが、ちゃんと学校にも通わせている可能性はないでしょうか?」
伊織が学友を庇う。
お馬鹿王子の取り巻きとして、伊織を庇ってくれていた経緯があるから、証拠も無しに悪人呼ばわりは出来ないのだろう。
それが伊織自身の為になる行為だったかは微妙だし、善意からの行動だったかは置いといて、素直でまっすぐな性格の伊織は、世話になった人を悪く思いたく無いんだろう。
マジ良い子だ。
とは言え、働かせているという所は否定しないらしい。
まあ、氷系魔法無しにはアイスクリーム屋なんて難しいからな。
そして、時夫としては、伊織も『トッキーのアイスクリームファクトリー』の一員として、情を排してキッチリかっちりライバルを潰す覚悟を決めて欲しい。
「証拠集めが必要だな。
そして、売り上げアップの必要も……」
「その件なんですけど……」
コニーが困った様に眉尻を下げる。
「実は……商人たちがうちの店の材料の仕入れを断ってきてるんです!乳製品が手に入りません!」
「何だって!?」
時夫は相手の本気に驚く。
そこまでしてこのアイスクリーム屋さんを潰そうとするとは!?
「じゃあ……新たな商品開発も必要だな……。
でも、あんまり商品の方向性変えたく無いんだよなぁ。
一体何が良いか……」
うーん……と悩む時夫だっだが、
「はい!発言よろしいでしょうか!」
伊織が元気よく手を上げた。
「はい、伊織ちゃんどうぞ!」
時夫もノリに付き合って発言を許した。
「最近益々暑いじゃ無いですか?私、もう少しサッパリした物食べたいなぁって丁度思ってたんです。
……つまり、かき氷売るってどうですか?」
「採用!」
かき氷始めました!をやります!
「そんな……地下で強制労働……」
狐獣人の二人は特にショックを受けた様だった。
「本当なら助けに行かないと!……でも、フィリー、私には優しかったのに……本当にそんな酷いことしてるの?」
伊織は一時期親しくしていた学友の犯行に悲しそうな顔をする。
「フォクシーは何か知らないの?」
コニーが最近まで狐獣人のコミュニティーにいた筈だし、自らも北狐の血が濃く出ているのだ。
何か情報が無いだろうか。
「うーん……あ、そう言えば、お母さんから手紙来てるから読んでみます」
『空間収納』から簡素に封をされた手紙を出した。
「ちょっと!いつ届いたの?直ぐに中確認しなさい!」
コニーがフォクシーを叱りつける。
フォクシーは白い耳をぺたんとして、大きなフサフサの尻尾をむぎゅっと抱えて上目遣いで姉を見る。
拗ねてるらしい。
「届いたのはおとといくらい。だって……後で読もうと思って忘れてたんだもん」
フォクシーは尻尾を更にぎゅーっと抱きしめて、自分の顔を半分隠した。
どうやらしっかり者の姉に、のんびりウッカリな妹らしいな。
「まあまあ、良いから中身読んでみてよ。
個人的な内容だけなら俺らには教えなくても良いからな」
「はい!読んでみます!」
フォクシーが読み始める。ふむふむと言いながら、目を丸くし、手紙に顔を近づける。
手紙を顔から離して、口を開けてびっくり顔。
……いや、早く読み終えてくれ。なんだその百面相は。
「ちょっと貸して!」
コニーが手紙を奪って目を通す。そして、
「そんな……」
口に手を当てて眉を顰めた。
「何が書いてあったんだ?」
時夫は好奇心が表面に出るのを抑えつつ聞いてみる。
「北狐族の集落に凄いお金持ちの貴族の人が来て、教育を受けさせてやるって言って子供を何人も連れて行ったって。
フォクシーも学校通わせて貰えるかも知れないから、その人の家を訪ねてみろって……」
「で、その家っていうのが……」
「ゴールダマインですね」
時夫の言葉をルミィが引き継いだ。
「その通りです」
コニーの赤茶色の瞳が怒りに燃えている。
「あの、待ってください!
フィリーが、ちゃんと学校にも通わせている可能性はないでしょうか?」
伊織が学友を庇う。
お馬鹿王子の取り巻きとして、伊織を庇ってくれていた経緯があるから、証拠も無しに悪人呼ばわりは出来ないのだろう。
それが伊織自身の為になる行為だったかは微妙だし、善意からの行動だったかは置いといて、素直でまっすぐな性格の伊織は、世話になった人を悪く思いたく無いんだろう。
マジ良い子だ。
とは言え、働かせているという所は否定しないらしい。
まあ、氷系魔法無しにはアイスクリーム屋なんて難しいからな。
そして、時夫としては、伊織も『トッキーのアイスクリームファクトリー』の一員として、情を排してキッチリかっちりライバルを潰す覚悟を決めて欲しい。
「証拠集めが必要だな。
そして、売り上げアップの必要も……」
「その件なんですけど……」
コニーが困った様に眉尻を下げる。
「実は……商人たちがうちの店の材料の仕入れを断ってきてるんです!乳製品が手に入りません!」
「何だって!?」
時夫は相手の本気に驚く。
そこまでしてこのアイスクリーム屋さんを潰そうとするとは!?
「じゃあ……新たな商品開発も必要だな……。
でも、あんまり商品の方向性変えたく無いんだよなぁ。
一体何が良いか……」
うーん……と悩む時夫だっだが、
「はい!発言よろしいでしょうか!」
伊織が元気よく手を上げた。
「はい、伊織ちゃんどうぞ!」
時夫もノリに付き合って発言を許した。
「最近益々暑いじゃ無いですか?私、もう少しサッパリした物食べたいなぁって丁度思ってたんです。
……つまり、かき氷売るってどうですか?」
「採用!」
かき氷始めました!をやります!
1
お気に入りに追加
93
あなたにおすすめの小説

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。

転売屋(テンバイヤー)は相場スキルで財を成す
エルリア
ファンタジー
【祝!第17回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞!】
転売屋(テンバイヤー)が異世界に飛ばされたらチートスキルを手にしていた!
元の世界では疎まれていても、こっちの世界なら問題なし。
相場スキルを駆使して目指せ夢のマイショップ!
ふとしたことで異世界に飛ばされた中年が、青年となってお金儲けに走ります。
お金は全てを解決する、それはどの世界においても同じ事。
金金金の主人公が、授かった相場スキルで私利私欲の為に稼ぎまくります。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる