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異世界に呼ばれた聖女
第7話 生活魔法のカリスマ
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生活魔法を駆使して、家庭菜園を始めた。
野菜も元の世界と同じ見た目で同じ様な味なのは嬉しい。
品種改良の不足なのか少しエグ味があるのもあるが、むしろ向こうのよりも美味しいのもある。
育て方の違いとかかも知れないが。
「トキオ!見てください!素晴らしいです!流石女神アルマに選ばれし聖女様ですね!
もうこんなにこんなに大きくて瑞々しく育ってます!」
ルミィが大喜びで収穫し始めた。
実についた土を魔法で洗浄しながら籠に入れていく。
「この植物の成長を早める魔法とかどういう仕組みなんだろうな。
人間とかに使ったら赤ん坊が直ぐに大人になったりしないのか?」
頭は赤子。体は大人。ゾッとしないな。
「人間自身が魔力持ってるから植物相手にするみたいにはいきませんよー!」
ルミィが水やりを手伝ってくれながら説明してくれた。
それならちょっと安心。
ルミィの周りにキラキラと水の小さな粒が生まれて、陽光を受けて小さな虹が発生する。水滴を何ヶ所かに集めて畑に散水していく。
手慣れてそうだが時夫よりは一度に扱える水分量が
ゾフィーラ婆さんは謎の細い光線を大量に出して虫を殺しまくってくれている。
葉の上の虫のみを蒸発させて、葉には焦げ跡一つ残さぬ匠の技だ。
もしや若い頃は名のある魔法使いだったりして?
……しかし、こういう魔法使えるボケ老人とかこの世界には沢山いるんだよな。
怖っ!!
様々な生活魔法を操ることができる様になってきたが、いかんせん自由が無いし、出来ることも限られている。
もっと活動の幅を広げたいし、それ以上に、この世界がどんな所なのか、時夫は未だに分かっていない。
「ルミィのご指導ご鞭撻には感謝してるんだけどさ、もっと色々な人に生活魔法のこと教えて貰いたいんだ。
流石に神殿の端っこに隠れ続けるのはつまらないんだけど、何とかならないか?」
ここはそれなりの広さはあるけど、娯楽は本当に何も無い。
それにルミィはたまに一人で時夫を置いて外に出ていくし、その間はゾフィーラ婆さんと二人きりで本を読むか魔法の練習を手探りでするだけだ。
ルミィは時夫の魔法を結構褒めてくれるし、それは普通に嬉しい。
複数の魔法を同時に使ったり、短期間に使いまくれるのは凄いことらしい。
流石は女神様の保証するチート能力だが、今のところはやはり地味な事しか出来ていない。
……いや、正直に言えば
ルミィ以外の人にも褒めてもらいたい!
夜寝る前に色々妄想してみたのだが、
あんまり世間からは高く評価されない生活魔法であっても、世界最高峰ならば、見る人が見ればわかってくれるはず!
それに、家事とか凄い人って元の世界でもそれなりに尊敬されて、賢い時短の家事方法の本なんかも出版されたりしてるし、やり方次第で先駆者になれないかな!?
生活魔法のカリスマ!賢い主婦の味方!
いや、目立ちすぎると面倒になりそうか、ならば謎のカリスマ生活魔法の……。
妄想の世界に半ば入り始めた時夫に、ルミィはフムリとひとつ頷いた。
「わかりました。外に出ましょう」
「え?」
妄想の世界から慌てて脱出して時夫は聞き返す。
「え?外に出れるの?いいの?」
「このまま誰とも会わずにずっと過ごし続けるのは難しいですから。
ちゃんと考えておいたのです!」
ルミィがエヘンと胸を張った。
ぱあっ!とルミィに後光が差したような気がした。おお神々しく見えるぞ。
…………いや待て。コイツ水滴を背後に大量発生させつつ、それを光で照らして謎の演出してやがる!
「…………」
ばちん!
「いたあ!」
時夫は無言でルミィにデコピンを食らわせた。
キラキラ演出は霧散した。
涙目でオデコを擦るルミィ。
少し離れたところでデカイ蜂の群れを光線で撃ち落としまくり死闘を繰り広げるゾフィーラ婆さん。
時夫は覚えた魔法をガンガン駆使して、さっさと収穫を終わらせることにした。
野菜も元の世界と同じ見た目で同じ様な味なのは嬉しい。
品種改良の不足なのか少しエグ味があるのもあるが、むしろ向こうのよりも美味しいのもある。
育て方の違いとかかも知れないが。
「トキオ!見てください!素晴らしいです!流石女神アルマに選ばれし聖女様ですね!
もうこんなにこんなに大きくて瑞々しく育ってます!」
ルミィが大喜びで収穫し始めた。
実についた土を魔法で洗浄しながら籠に入れていく。
「この植物の成長を早める魔法とかどういう仕組みなんだろうな。
人間とかに使ったら赤ん坊が直ぐに大人になったりしないのか?」
頭は赤子。体は大人。ゾッとしないな。
「人間自身が魔力持ってるから植物相手にするみたいにはいきませんよー!」
ルミィが水やりを手伝ってくれながら説明してくれた。
それならちょっと安心。
ルミィの周りにキラキラと水の小さな粒が生まれて、陽光を受けて小さな虹が発生する。水滴を何ヶ所かに集めて畑に散水していく。
手慣れてそうだが時夫よりは一度に扱える水分量が
ゾフィーラ婆さんは謎の細い光線を大量に出して虫を殺しまくってくれている。
葉の上の虫のみを蒸発させて、葉には焦げ跡一つ残さぬ匠の技だ。
もしや若い頃は名のある魔法使いだったりして?
……しかし、こういう魔法使えるボケ老人とかこの世界には沢山いるんだよな。
怖っ!!
様々な生活魔法を操ることができる様になってきたが、いかんせん自由が無いし、出来ることも限られている。
もっと活動の幅を広げたいし、それ以上に、この世界がどんな所なのか、時夫は未だに分かっていない。
「ルミィのご指導ご鞭撻には感謝してるんだけどさ、もっと色々な人に生活魔法のこと教えて貰いたいんだ。
流石に神殿の端っこに隠れ続けるのはつまらないんだけど、何とかならないか?」
ここはそれなりの広さはあるけど、娯楽は本当に何も無い。
それにルミィはたまに一人で時夫を置いて外に出ていくし、その間はゾフィーラ婆さんと二人きりで本を読むか魔法の練習を手探りでするだけだ。
ルミィは時夫の魔法を結構褒めてくれるし、それは普通に嬉しい。
複数の魔法を同時に使ったり、短期間に使いまくれるのは凄いことらしい。
流石は女神様の保証するチート能力だが、今のところはやはり地味な事しか出来ていない。
……いや、正直に言えば
ルミィ以外の人にも褒めてもらいたい!
夜寝る前に色々妄想してみたのだが、
あんまり世間からは高く評価されない生活魔法であっても、世界最高峰ならば、見る人が見ればわかってくれるはず!
それに、家事とか凄い人って元の世界でもそれなりに尊敬されて、賢い時短の家事方法の本なんかも出版されたりしてるし、やり方次第で先駆者になれないかな!?
生活魔法のカリスマ!賢い主婦の味方!
いや、目立ちすぎると面倒になりそうか、ならば謎のカリスマ生活魔法の……。
妄想の世界に半ば入り始めた時夫に、ルミィはフムリとひとつ頷いた。
「わかりました。外に出ましょう」
「え?」
妄想の世界から慌てて脱出して時夫は聞き返す。
「え?外に出れるの?いいの?」
「このまま誰とも会わずにずっと過ごし続けるのは難しいですから。
ちゃんと考えておいたのです!」
ルミィがエヘンと胸を張った。
ぱあっ!とルミィに後光が差したような気がした。おお神々しく見えるぞ。
…………いや待て。コイツ水滴を背後に大量発生させつつ、それを光で照らして謎の演出してやがる!
「…………」
ばちん!
「いたあ!」
時夫は無言でルミィにデコピンを食らわせた。
キラキラ演出は霧散した。
涙目でオデコを擦るルミィ。
少し離れたところでデカイ蜂の群れを光線で撃ち落としまくり死闘を繰り広げるゾフィーラ婆さん。
時夫は覚えた魔法をガンガン駆使して、さっさと収穫を終わらせることにした。
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