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異世界に呼ばれた聖女
第1話 時田時夫の召喚
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時田時夫はその日、残業を無理やり終えて帰宅途中だった。
キリのいいところまで仕事をしようとしていたが、やればやる程にアレもこれもと目についてしまい、結局腹も減ったので、遅くなったし適当に終わらせてしまった。
閑静な住宅街を駅からアパートまであるいているわけだが、目の前を歩く女子高生に警戒されている気がする。
追い抜こうと足を早めると、向こうも足を早めるので、中々追い抜けない。
早歩きで頑張るしか無い。時夫は男にしては身長が低めなので、リーチの差では女子高生を追い抜くのは大変だが、ずっと警戒されたままは気分が悪いのだ。
時夫が最早意地になって何とか女子高生を追い抜こうとし、横並びになったその時、
ぴかー!きらきら!きらりん!
時夫の足元が白く輝き、
「な、何だ!?」
気がつけば、ひたすら落ちていた。
夢の中にいるような現実感のない感覚。
視界がグニャグニャして、明るくなったり暗くなったりしてる。
何だこれ?俺は頭でもぶつけたのか?
時夫は自分の頭の具合を本気で心配した。
そして、周りがキラキラ輝きを増しながら、自分の中に何か温かいものが皮膚から入ってくるような感覚……。
うへぇ……気持ち悪!!
モゾモゾする様な感覚に少しの間耐えているとら
気がついたら、時夫は 何だか煌びやかなところにいた。
え、何?ここ何?どこ?
映画のセット?え?ヨーロッパの……教会かなんか?
俺は何でこんな所にいるんだ?
外国人がいっぱい……なんか髪の毛の色みんな凄いな。
緑とか青とか……何考えてるんだ。
時夫の頭の中が疑問で埋め尽くされた。
周りを見回すと、見覚えのある制服の女子高生……そうだ、帰宅途中に俺の前を歩いていて……。
時夫はこの状況になる直前何があったのかを思い出す。
しかし、のんびり思い出す暇を状況は与えてくれなかった。
「おお!この方が聖女か!
ささ、聖女様お手をどうぞ」
女子高生は、煌びやかな集団の中でもとりわけキラキラした若い男に連れられて行ってしまった。
なぜか周りの人が言ってることはわかるが、これからどうしたら良いのかは時夫にはさっぱり分からない。
困惑していると、近づいてくるフード付きの白いローブを来た若い女が近づいて来た。
フードから陽光を紡いだような細い髪が僅かに溢れ、青灰色の瞳がこちらをマジマジと不躾に見つめてくる。
細く白い指をこちらに伸ばして、その顔立ちによく似合う透明な声で話しかけて来た。
「もし、そこの方、あなたは聖女様のご関係者なのですか?」
「は?」
聖女?
聖女って言ったか?
何?ゲーム?小説?何?
唐突な言葉だったので、時夫は反応できなかった。
「私の言葉がわかりますか?」
ローブ姿の女は小首を傾げて心配そうに再び声をかけて来た。
金色の髪が一房ローブからこぼれ落ちる。
「ああ、わかる」
これは夢なのか?
「私は神官の、ルミィ・ローダです。私について来てください」
他にどうしようもないので、ルミィに付き従う。
ルミィは他の神官っぽい男達に話しかけてから、時夫の元に戻って来た。
「少しお時間をいただきます。部屋をご用意いたしますので、しばしお待ちいただきますね」
時夫がルミィに案内された部屋で待っていると、結構待たされた後に何人かの人が訪れて、女子高生のこととか、聖女だか女神だかを知っているかと聞かれ、何も知らないと答えると、また一人で待たされた。
そして、トイレに行きたくなって来て、困り出した頃にルミィが戻って来て、告げた。
「あなたは暫く神殿で預かります。私が世話役になりました。
改めてよろしくお願いします。
……えーと、お名前を頂戴してよろしいでしょうか?」
これが、時夫と真面目系ダメ神官ルミィとの出会いだった。
時夫が、どうやら異世界に転移してしまったと気がついたのは暫く神殿で何をするでもなく過ごしてからだった。
暇つぶしに本を貸して欲しいと頼んだら、何冊か貸してくれ、神殿らしく神話に関するものがあったが、全然聞いたことの無いものだった。
何より、魔法とかあるから気がつくなという方がおかしな話だ。
……俺も魔法とか使える様にならないかな?
向こうでは働き詰めでアラサーまで来てしまったのだ。何とか魔法とか使いまくってスローライフを目指したい。
主役はあの女子高生で良いから、端役での幸せを掴みたいもんだ。
時夫はせっせと本をひたすら読んで、この世界の知識の習得に努めることにした。
キリのいいところまで仕事をしようとしていたが、やればやる程にアレもこれもと目についてしまい、結局腹も減ったので、遅くなったし適当に終わらせてしまった。
閑静な住宅街を駅からアパートまであるいているわけだが、目の前を歩く女子高生に警戒されている気がする。
追い抜こうと足を早めると、向こうも足を早めるので、中々追い抜けない。
早歩きで頑張るしか無い。時夫は男にしては身長が低めなので、リーチの差では女子高生を追い抜くのは大変だが、ずっと警戒されたままは気分が悪いのだ。
時夫が最早意地になって何とか女子高生を追い抜こうとし、横並びになったその時、
ぴかー!きらきら!きらりん!
時夫の足元が白く輝き、
「な、何だ!?」
気がつけば、ひたすら落ちていた。
夢の中にいるような現実感のない感覚。
視界がグニャグニャして、明るくなったり暗くなったりしてる。
何だこれ?俺は頭でもぶつけたのか?
時夫は自分の頭の具合を本気で心配した。
そして、周りがキラキラ輝きを増しながら、自分の中に何か温かいものが皮膚から入ってくるような感覚……。
うへぇ……気持ち悪!!
モゾモゾする様な感覚に少しの間耐えているとら
気がついたら、時夫は 何だか煌びやかなところにいた。
え、何?ここ何?どこ?
映画のセット?え?ヨーロッパの……教会かなんか?
俺は何でこんな所にいるんだ?
外国人がいっぱい……なんか髪の毛の色みんな凄いな。
緑とか青とか……何考えてるんだ。
時夫の頭の中が疑問で埋め尽くされた。
周りを見回すと、見覚えのある制服の女子高生……そうだ、帰宅途中に俺の前を歩いていて……。
時夫はこの状況になる直前何があったのかを思い出す。
しかし、のんびり思い出す暇を状況は与えてくれなかった。
「おお!この方が聖女か!
ささ、聖女様お手をどうぞ」
女子高生は、煌びやかな集団の中でもとりわけキラキラした若い男に連れられて行ってしまった。
なぜか周りの人が言ってることはわかるが、これからどうしたら良いのかは時夫にはさっぱり分からない。
困惑していると、近づいてくるフード付きの白いローブを来た若い女が近づいて来た。
フードから陽光を紡いだような細い髪が僅かに溢れ、青灰色の瞳がこちらをマジマジと不躾に見つめてくる。
細く白い指をこちらに伸ばして、その顔立ちによく似合う透明な声で話しかけて来た。
「もし、そこの方、あなたは聖女様のご関係者なのですか?」
「は?」
聖女?
聖女って言ったか?
何?ゲーム?小説?何?
唐突な言葉だったので、時夫は反応できなかった。
「私の言葉がわかりますか?」
ローブ姿の女は小首を傾げて心配そうに再び声をかけて来た。
金色の髪が一房ローブからこぼれ落ちる。
「ああ、わかる」
これは夢なのか?
「私は神官の、ルミィ・ローダです。私について来てください」
他にどうしようもないので、ルミィに付き従う。
ルミィは他の神官っぽい男達に話しかけてから、時夫の元に戻って来た。
「少しお時間をいただきます。部屋をご用意いたしますので、しばしお待ちいただきますね」
時夫がルミィに案内された部屋で待っていると、結構待たされた後に何人かの人が訪れて、女子高生のこととか、聖女だか女神だかを知っているかと聞かれ、何も知らないと答えると、また一人で待たされた。
そして、トイレに行きたくなって来て、困り出した頃にルミィが戻って来て、告げた。
「あなたは暫く神殿で預かります。私が世話役になりました。
改めてよろしくお願いします。
……えーと、お名前を頂戴してよろしいでしょうか?」
これが、時夫と真面目系ダメ神官ルミィとの出会いだった。
時夫が、どうやら異世界に転移してしまったと気がついたのは暫く神殿で何をするでもなく過ごしてからだった。
暇つぶしに本を貸して欲しいと頼んだら、何冊か貸してくれ、神殿らしく神話に関するものがあったが、全然聞いたことの無いものだった。
何より、魔法とかあるから気がつくなという方がおかしな話だ。
……俺も魔法とか使える様にならないかな?
向こうでは働き詰めでアラサーまで来てしまったのだ。何とか魔法とか使いまくってスローライフを目指したい。
主役はあの女子高生で良いから、端役での幸せを掴みたいもんだ。
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